2 / 142
第1章 未来の物語
第1話 魔砲使い(ガンナー)
しおりを挟む
ガシャン……コン……ドシン!!
ガシャン……コン……ドシン!!
鬱蒼と生い茂る森の中に、軋みを上げる機械音が響き渡る。
その音が響くたびに大地を激しく揺らす。
ギギギギ……
ギィ―
その機械音の出処には、全長15mを超えるであろう躯体が存在した。
6つ足の多脚戦車の如く、その錆び付いた足を動かしている。
しかし、その足には筋肉の様な筋も見え隠れする。
一見しただけで、ただの機械では無い事は直ぐに理解出来てしまう。
戦車の砲身部分には、馬の様な頭部が据え付けられており、前後左右に首を振りながら何かを探している様だった。
身体の四方にはサーチライトの様な照明も取り付けられており、縦横無尽に光の帯が辺りを照らしていた。
時折頭部のパーツの目らしきものがピピピという音と共に赤く光り、狙いを定めている様見える。
その躯体の上部には目測で砲身長5m、約40ミリ口径ほどありそうな機関砲が4門備え付けられていた。
その砲身も何かを探す様に忙しなく動き回っている。
すると、何かを発見したのか、頭部がじっと動かなくなった。
GUGYAOOOOOOOOOOOO!!
一拍の静寂の後、突如として叫び声が響き渡る。
ドドドドドッ!!
砲身から射出された弾丸は、地面を抉り小さな窪みをいくつも形成していく。
その弾丸の向く先には鬱蒼とした森も存在しており、その木々たちも粉砕されていった。
いまだ鳴りやまない銃声に反応するかの様に、複数の影が木から木へと飛び回っていた。
「くそ!!見つかった!!そっちは大丈夫か!?」
少しかすれ気味の声で、男は通信機に向かって叫んでいた。
一人岩陰に隠れていた男は、激しい銃声に身を屈ませる。
男は見た目的には30半ばに差し掛かったくらいで、かなり鍛えこまれた肉体を誇っていた。
「こっちはね!!ただ、佐久間が足をやられた!!さすがにこれ以上は無理だ!!」
男の声に反応する様に、別の人物が叫んでいた。
他にも数名の声が聞こえてきたが、けが人は1名だけの様だ。
「全員聞こえるか!!」
その一団のリーダーらしきかすれ声の男は、岩陰に身を隠しながら指示を出していく。
「蒔苗小隊各員に告ぐ!!大型機械魔の討伐は、一時中断だ!!全員、無事に帰還しろ!!殿は俺が務める!!行動開始!!」
「オーライ!!」
「了解!!」
「ラジャー!!」
「先行ってる!!」
通信機から聞こえた男の言葉に、それぞれが反応する。
「リヒテル隊長!!絶対死ぬんじゃないよ!!」
「くそ縁起でもねぇこと言うんじゃねぇよ!!小隊を任せたぞレイラ!!」
「任された!!」
最後に答えたレイラと呼ばれた女性もまた、後方に向けて走り出した。
小隊全員が撤退を開始したのを確認したリヒテルは、機械魔呼ばれた躯体に向けて、手にした銃火器からスモーク弾を撃ち込んだ。
カン!!
甲高い金属音を上げて躯体にぶつかったスモーク弾は、機械魔の躯体に張り付き、周囲にモクモクと煙を吐き出していく。
リヒテルは、続け様にスモーク弾を撃ち込む。
機械魔の周囲が煙で満たされたことを確認したリヒテルは、仲間たちを追うように目的地に向かって走り出した。
森の中は、整備されているはずもなく、足場がとてつもなく悪い。
泥濘に木の根、場合によっては以前の戦闘の痕跡なども存在している。
そんな悪路では、リヒテルも全力で走る事は出来ずにいた。
いくらリヒテルが普段からトレーニングを積んでいるからといって、限界というものが存在する。
それでもなお、リヒテルは自身が持てる全力を出し尽くす。
必ず生き延びると心に誓って。
それからどのくらい走っただろうか。
リヒテルは、肩が跳ねるほどに息を切らしていた。
既に先程の戦闘領域からは、かなりの距離を取る事に成功していた。
通信機から続々と聞こえる味方の無事帰還の声に安堵しながらも、リヒテルは嫌な予感に苛まれていた。
キュピン!!
リヒテルの左頬を何かが掠る。
すると、目の前にドロリと溶けた大地の凹みが出来上がっていた。
遅れてくる、熱に焼かれる左頬の痛みに、リヒテルは思わず立ち止まってしまう。
「くそ!!超長距離狙撃かよ!!しかもレーザー搭載とか聞いてねぇよ!!」
更に襲い来る、狙いすましたかの様な熱線を辛うじて躱したリヒテルは、近場の岩陰に転がり込むのが精いっぱいだった。
岩陰に隠れるも、遠くより聞こえる機械の軋む音と、重量物が大地にぶつかる振動に恐怖を拭えずにいた。
徐々に近づいてくるそれに、リヒテルは息も絶え絶えになりながらも悪態をついていた。
「観測班は何やってたんだよ!!どう見積もっても、一個小隊でどうこするもんじゃねぇだろうが!!完全に中隊規模だろうがよ!!」
リヒテルはボヤキながらも、手元の銃器に目を落としていた。
リヒテルが手にしている銃火器は、NGTの進化によって誕生した〝魔銃〟である。
〝魔銃〟とは、魔石から取り出された魔素のエネルギーを使用して、弾丸を撃ち出す銃火器である。
とは言うものの、いくら魔素を利用していても、撃ち出されるのが普通の金属弾であるが故に、大型機械魔には幾分か力不足が否めなかった。
弾丸の全てを魔石を粉上にした魔石粉で覆った魔石粉塗装弾も存在するものの、扱いが難しく超長距離射撃等でなければ使用が出来ない程だった。
「あぁ、くそ!!今回は赤字覚悟かよ!!絶対に狩猟者連合協同組合に請求してやる!!覚えてやがれ!!」
リヒテルは、手にしていた銃火器を左腕の腕輪に近付ける。
「収納」の言葉と共に、手にした銃器が腕輪に吸い込まれる。
リヒテルがしていた腕輪は通称〝インベントリ〟と呼ばれる収納道具だ。
これもNGTの発展により実現した物になる。
更にリヒテルが「展開」と声を発すると、リヒテルの手の中にいくつもの赤く輝く宝石のようなものが握られていた。
魔石である。
「レイラ聞こえるか!!」
「どうしたの隊長!!問題発生か!?」
通信機越しにレイラの焦りが窺えた。
レイラもまた、リヒテルが帰還しない事にやきもきしていたのだ。
「わりいレイラ。今回は赤字だ。劉の奴に謝っておいてくれ。」
「ちょ、ちょっとどう言う事よ!!」
「いったん通信を切るぞ。またな!!」
「ちょっと~~~!!ねぇリヒテル!!リヒテ……」
ピっ
通信を切断したリヒテルは、深く息を吐き深呼吸を始めた。
リヒテルは自分の体の中に埋め込まれた魔石に意識を集中していく。
すると手にした魔石もまた反応を示し始めた。
ドクリドクリと脈打つ体内の魔石に連動する様に、手にした魔石も脈打ち始める。
手にした魔石は、徐々に光を放ち始め、その形を変えていった。
複数ある魔石が一つの塊となり、見る間に全長3mもあろうかという大型ライフル銃の形状の銃火器へと変貌を遂げた。
そう、これが……、この世界が機械魔に対抗する為に生み出された技能【ブラックスミス】である。
そしてその技能より生み出された銃火器を、人類は〝魔砲〟と呼称した。
魔砲は周囲に漂う魔素を利用し弾丸を形成。
発射の爆薬代わりにもまた魔素が利用される。
つまり1から10まで全て魔素で構成された銃火器なのである。
そしてこの〝魔砲〟の使い手を人々はこう呼んでいる。
魔砲使いと……
魔砲使いは狩猟者の花形である。
全てをその理不尽なまでの火力で薙ぎ倒し、理不尽の塊である機械魔をも圧倒する火力を有するのだ。
理不尽には理不尽で対抗する。
それが魔砲使いである。
リヒテルは片膝立ちとなり魔砲を構える。
ライフル銃のストックを体に押し当てバランスを保つ。
その照準はもちろん大型機械魔に向いている。
「まぁ、弱点は電撃だろうが……。どうせデカブツだ!!どうやったって当たるだろうさ!!」
手にしたライフル型魔砲と自分の魔石とをリンクしていく。
リヒテルは額に装着した射撃管制補助装置を降ろした。
右目だけ隠れる様に装着されたバイザーから見える視界には、たくさんの数字が並んでいる。
「デカブツをロック……」
リヒテルの声に反応する様に、右目の視界には何か三角形の照準器の様な物が忙しなく動いている。
次第に動きがゆっくりとなり、砲身の照準器と射撃管制補助装置の照準器が重なり合う。
「ロック完了……。魔弾装填……。」
今度は右目の射撃管制補助装置から機械音声が流れてくる。
———第一層 属性指定……電撃を選択……承認しました———
その機械音声と共に、リヒテルの持つライフル型魔砲が光の輪に包まれる。
更にリヒテルは意識をライフル型魔砲に向ける。
———第二層 特性指定……吸着を選択……承認しました———
更に光の輪が重なり、二重の輪がライフルを包む。
———第三層 特性指定……爆発を選択……承認しました———
更なる光の輪が魔砲を包み込んでいく。
「さぁ、食事の時間だぞデカブツ!!」
リヒテルが叫ぶと、三重の光の円環がカシャンカシャンと音を立てて一気に前に迫り出していく。
それは既にライフル型魔砲の先端を超え、仮想の砲身を作り出していった。
キュイーーーーーーーン!!!!
形容し難い不快音が辺りに鳴り響く。
それは魔砲使いの特性を所持しないものには聞こえない音であったが、慣れないものからすると吐き気を模様する程、不快なものだ。
そして、迫り出した仮想の砲身は、徐々に回転を始めていく。
その回転が速まる程に不快音が激しくなる。
この音は魔素を周囲から吸収している音なのだ。
———魔砲陣展開完了……発射条件クリア……スタンバイ———
その機械音声を待っていましたと言わんばかりに、リヒテルの表情がニヤリと歪む。
「腹壊すほど喰らいやがれ!!」
ガシャン……コン……ドシン!!
鬱蒼と生い茂る森の中に、軋みを上げる機械音が響き渡る。
その音が響くたびに大地を激しく揺らす。
ギギギギ……
ギィ―
その機械音の出処には、全長15mを超えるであろう躯体が存在した。
6つ足の多脚戦車の如く、その錆び付いた足を動かしている。
しかし、その足には筋肉の様な筋も見え隠れする。
一見しただけで、ただの機械では無い事は直ぐに理解出来てしまう。
戦車の砲身部分には、馬の様な頭部が据え付けられており、前後左右に首を振りながら何かを探している様だった。
身体の四方にはサーチライトの様な照明も取り付けられており、縦横無尽に光の帯が辺りを照らしていた。
時折頭部のパーツの目らしきものがピピピという音と共に赤く光り、狙いを定めている様見える。
その躯体の上部には目測で砲身長5m、約40ミリ口径ほどありそうな機関砲が4門備え付けられていた。
その砲身も何かを探す様に忙しなく動き回っている。
すると、何かを発見したのか、頭部がじっと動かなくなった。
GUGYAOOOOOOOOOOOO!!
一拍の静寂の後、突如として叫び声が響き渡る。
ドドドドドッ!!
砲身から射出された弾丸は、地面を抉り小さな窪みをいくつも形成していく。
その弾丸の向く先には鬱蒼とした森も存在しており、その木々たちも粉砕されていった。
いまだ鳴りやまない銃声に反応するかの様に、複数の影が木から木へと飛び回っていた。
「くそ!!見つかった!!そっちは大丈夫か!?」
少しかすれ気味の声で、男は通信機に向かって叫んでいた。
一人岩陰に隠れていた男は、激しい銃声に身を屈ませる。
男は見た目的には30半ばに差し掛かったくらいで、かなり鍛えこまれた肉体を誇っていた。
「こっちはね!!ただ、佐久間が足をやられた!!さすがにこれ以上は無理だ!!」
男の声に反応する様に、別の人物が叫んでいた。
他にも数名の声が聞こえてきたが、けが人は1名だけの様だ。
「全員聞こえるか!!」
その一団のリーダーらしきかすれ声の男は、岩陰に身を隠しながら指示を出していく。
「蒔苗小隊各員に告ぐ!!大型機械魔の討伐は、一時中断だ!!全員、無事に帰還しろ!!殿は俺が務める!!行動開始!!」
「オーライ!!」
「了解!!」
「ラジャー!!」
「先行ってる!!」
通信機から聞こえた男の言葉に、それぞれが反応する。
「リヒテル隊長!!絶対死ぬんじゃないよ!!」
「くそ縁起でもねぇこと言うんじゃねぇよ!!小隊を任せたぞレイラ!!」
「任された!!」
最後に答えたレイラと呼ばれた女性もまた、後方に向けて走り出した。
小隊全員が撤退を開始したのを確認したリヒテルは、機械魔呼ばれた躯体に向けて、手にした銃火器からスモーク弾を撃ち込んだ。
カン!!
甲高い金属音を上げて躯体にぶつかったスモーク弾は、機械魔の躯体に張り付き、周囲にモクモクと煙を吐き出していく。
リヒテルは、続け様にスモーク弾を撃ち込む。
機械魔の周囲が煙で満たされたことを確認したリヒテルは、仲間たちを追うように目的地に向かって走り出した。
森の中は、整備されているはずもなく、足場がとてつもなく悪い。
泥濘に木の根、場合によっては以前の戦闘の痕跡なども存在している。
そんな悪路では、リヒテルも全力で走る事は出来ずにいた。
いくらリヒテルが普段からトレーニングを積んでいるからといって、限界というものが存在する。
それでもなお、リヒテルは自身が持てる全力を出し尽くす。
必ず生き延びると心に誓って。
それからどのくらい走っただろうか。
リヒテルは、肩が跳ねるほどに息を切らしていた。
既に先程の戦闘領域からは、かなりの距離を取る事に成功していた。
通信機から続々と聞こえる味方の無事帰還の声に安堵しながらも、リヒテルは嫌な予感に苛まれていた。
キュピン!!
リヒテルの左頬を何かが掠る。
すると、目の前にドロリと溶けた大地の凹みが出来上がっていた。
遅れてくる、熱に焼かれる左頬の痛みに、リヒテルは思わず立ち止まってしまう。
「くそ!!超長距離狙撃かよ!!しかもレーザー搭載とか聞いてねぇよ!!」
更に襲い来る、狙いすましたかの様な熱線を辛うじて躱したリヒテルは、近場の岩陰に転がり込むのが精いっぱいだった。
岩陰に隠れるも、遠くより聞こえる機械の軋む音と、重量物が大地にぶつかる振動に恐怖を拭えずにいた。
徐々に近づいてくるそれに、リヒテルは息も絶え絶えになりながらも悪態をついていた。
「観測班は何やってたんだよ!!どう見積もっても、一個小隊でどうこするもんじゃねぇだろうが!!完全に中隊規模だろうがよ!!」
リヒテルはボヤキながらも、手元の銃器に目を落としていた。
リヒテルが手にしている銃火器は、NGTの進化によって誕生した〝魔銃〟である。
〝魔銃〟とは、魔石から取り出された魔素のエネルギーを使用して、弾丸を撃ち出す銃火器である。
とは言うものの、いくら魔素を利用していても、撃ち出されるのが普通の金属弾であるが故に、大型機械魔には幾分か力不足が否めなかった。
弾丸の全てを魔石を粉上にした魔石粉で覆った魔石粉塗装弾も存在するものの、扱いが難しく超長距離射撃等でなければ使用が出来ない程だった。
「あぁ、くそ!!今回は赤字覚悟かよ!!絶対に狩猟者連合協同組合に請求してやる!!覚えてやがれ!!」
リヒテルは、手にしていた銃火器を左腕の腕輪に近付ける。
「収納」の言葉と共に、手にした銃器が腕輪に吸い込まれる。
リヒテルがしていた腕輪は通称〝インベントリ〟と呼ばれる収納道具だ。
これもNGTの発展により実現した物になる。
更にリヒテルが「展開」と声を発すると、リヒテルの手の中にいくつもの赤く輝く宝石のようなものが握られていた。
魔石である。
「レイラ聞こえるか!!」
「どうしたの隊長!!問題発生か!?」
通信機越しにレイラの焦りが窺えた。
レイラもまた、リヒテルが帰還しない事にやきもきしていたのだ。
「わりいレイラ。今回は赤字だ。劉の奴に謝っておいてくれ。」
「ちょ、ちょっとどう言う事よ!!」
「いったん通信を切るぞ。またな!!」
「ちょっと~~~!!ねぇリヒテル!!リヒテ……」
ピっ
通信を切断したリヒテルは、深く息を吐き深呼吸を始めた。
リヒテルは自分の体の中に埋め込まれた魔石に意識を集中していく。
すると手にした魔石もまた反応を示し始めた。
ドクリドクリと脈打つ体内の魔石に連動する様に、手にした魔石も脈打ち始める。
手にした魔石は、徐々に光を放ち始め、その形を変えていった。
複数ある魔石が一つの塊となり、見る間に全長3mもあろうかという大型ライフル銃の形状の銃火器へと変貌を遂げた。
そう、これが……、この世界が機械魔に対抗する為に生み出された技能【ブラックスミス】である。
そしてその技能より生み出された銃火器を、人類は〝魔砲〟と呼称した。
魔砲は周囲に漂う魔素を利用し弾丸を形成。
発射の爆薬代わりにもまた魔素が利用される。
つまり1から10まで全て魔素で構成された銃火器なのである。
そしてこの〝魔砲〟の使い手を人々はこう呼んでいる。
魔砲使いと……
魔砲使いは狩猟者の花形である。
全てをその理不尽なまでの火力で薙ぎ倒し、理不尽の塊である機械魔をも圧倒する火力を有するのだ。
理不尽には理不尽で対抗する。
それが魔砲使いである。
リヒテルは片膝立ちとなり魔砲を構える。
ライフル銃のストックを体に押し当てバランスを保つ。
その照準はもちろん大型機械魔に向いている。
「まぁ、弱点は電撃だろうが……。どうせデカブツだ!!どうやったって当たるだろうさ!!」
手にしたライフル型魔砲と自分の魔石とをリンクしていく。
リヒテルは額に装着した射撃管制補助装置を降ろした。
右目だけ隠れる様に装着されたバイザーから見える視界には、たくさんの数字が並んでいる。
「デカブツをロック……」
リヒテルの声に反応する様に、右目の視界には何か三角形の照準器の様な物が忙しなく動いている。
次第に動きがゆっくりとなり、砲身の照準器と射撃管制補助装置の照準器が重なり合う。
「ロック完了……。魔弾装填……。」
今度は右目の射撃管制補助装置から機械音声が流れてくる。
———第一層 属性指定……電撃を選択……承認しました———
その機械音声と共に、リヒテルの持つライフル型魔砲が光の輪に包まれる。
更にリヒテルは意識をライフル型魔砲に向ける。
———第二層 特性指定……吸着を選択……承認しました———
更に光の輪が重なり、二重の輪がライフルを包む。
———第三層 特性指定……爆発を選択……承認しました———
更なる光の輪が魔砲を包み込んでいく。
「さぁ、食事の時間だぞデカブツ!!」
リヒテルが叫ぶと、三重の光の円環がカシャンカシャンと音を立てて一気に前に迫り出していく。
それは既にライフル型魔砲の先端を超え、仮想の砲身を作り出していった。
キュイーーーーーーーン!!!!
形容し難い不快音が辺りに鳴り響く。
それは魔砲使いの特性を所持しないものには聞こえない音であったが、慣れないものからすると吐き気を模様する程、不快なものだ。
そして、迫り出した仮想の砲身は、徐々に回転を始めていく。
その回転が速まる程に不快音が激しくなる。
この音は魔素を周囲から吸収している音なのだ。
———魔砲陣展開完了……発射条件クリア……スタンバイ———
その機械音声を待っていましたと言わんばかりに、リヒテルの表情がニヤリと歪む。
「腹壊すほど喰らいやがれ!!」
22
お気に入りに追加
78
あなたにおすすめの小説
最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~
華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』
たったこの一言から、すべてが始まった。
ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。
そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。
それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。
ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。
スキルとは祝福か、呪いか……
ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!!
主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。
ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。
ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。
しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。
一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。
途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。
その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。
そして、世界存亡の危機。
全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した……
※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。
『付与』して『リセット』!ハズレスキルを駆使し、理不尽な世界で成り上がる!
びーぜろ@転移世界のアウトサイダー発売中
ファンタジー
ハズレスキルも組み合わせ次第!?付与とリセットで成り上がる!
孤児として教会に引き取られたサクシュ村の青年・ノアは10歳と15歳を迎える年に2つのスキルを授かった。
授かったスキルの名は『リセット』と『付与』。
どちらもハズレスキルな上、その日の内にステータスを奪われてしまう。
途方に暮れるノア……しかし、二つのハズレスキルには桁外れの可能性が眠っていた!
ハズレスキルを授かった青年・ノアの成り上がりスローライフファンタジー! ここに開幕!
※本作はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
現代ダンジョンで成り上がり!
カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる!
現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。
舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。
四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる