勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

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第7章 ここから始まる雁字搦め

五十八日目② 状況確認とそれから

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「おはよう皆。」

 俺が食堂に降りると、すでにポールたちは食事を終えていた。
 というよりも、その後のお茶も飲み終えていた。
 あれ?もしかして俺完全に寝坊したのか?

「遅かったなカイト。エルダも一緒だったのか。」

 ポールは俺とエルダが一緒に降りてきたというのにあまり気にした様子はなかった。
 ナンディーも同じで、唯一アリサが少しきょどってるくらいだった。

「カイト~、昨日は飲み過ぎたのかな?解毒ポーション(低)は必要?」

 いたずらっ子のような笑みを浮かべるデイジーだったが、それを咎めるような人はここにはいなかった。
 くそ!!味方はいないのか⁈

「いらないよ。別に二日酔いにはなってないからね。それよりもギンスズ、あの酒はもう出さないでくれ。」

 責任転嫁じゃないけど、あの酒を呑んで以降の記憶が無い。
 つまりあの酒を呑まなければ問題無かったということだ。
 これについてはギンスズもただ平謝りをしてくるだけだった。

 大事には至らなかったけど、何かあってからじゃ問題だからね。
 って、あれ?問題無かったんじゃないか?
 あるとすれば俺の記憶が無いことが問題か?

「ついにカイトとエルダが結ばれて……」
「ないから!!」

 デイジーの親父コメントを食い気味に否定するエルダ。
 その表情は真っ赤にゆで上がっていた。
 なんかそこまで強く否定されると、若干へこみそうになるのは気のせいか?
 とまあ、冗談はさておいて、予定がだいぶくるってしまった。
 俺はみんなと今後についての状況確認を行った。

 ①再度合宿を行う
 ②【トリスタン王国】がかなりきな臭い
 ③【ゴーヨクォート正教国】も絡んでる

 うん、なんかめんどくさくなりそうだな。
 
「とりあえず、昨日みたいなことはもうないはずだし、改めてダンジョン合宿をするのでいいかな?」
「あぁ、それで問題ない。一日日程はずれたが、日程なんてあってないものだからな。カイトとアリサの訓練がメインだ。」

 まとめた内容に少しうんざりしつつも、この後の予定について決めていく。
 すぐにダンジョンに向かうのではなく、昨日使った消耗品も補充が必要だろ。
 というわけで、早めに行動を開始して準備をすることにした。

 さすがにまだ店などはやっていなかったため、ポーション類は薬師ギルドに直接買い付け行くことにした。
 これについてはギルド登録していてよかった。
 登録してないと、直接買い付けが出来なかったからね。
 最悪自分で作るってこともできるけど、それだと時間がかかってしまう。

 その後冒険者ギルドに向かい、何か依頼が無いかと確認しようとしたら、ちょうどギルド会館から出てきたキャサリンさんに捕まってしまった。
 何やらギルマスが話があるそうだ。

 うん、面倒臭い匂いしかしないのは気のせいじゃないはずだ。



「悪いな朝早くから。」
「いや、ちょうど寄ったところだから問題ないよ。それより用事ってのは……昨日の続き?」

 どことなくやる気がない空気を纏ったシャバズのおっちゃん.
 気だるそうに、ソファーに深く腰を下ろしていた。
 俺たちも各々座ると、おっちゃんは俺の顔を見て改めて深いため息をついていた。

「本当にお前は問題ごとを持ってくるよな。」
「いやいや、俺は首突っ込んだりしてないからね?」

 おっちゃんのジト目が痛い。
 本当に俺は何もしていないんだが……ほぼ濡れ衣に近い気がしてならない。
 俺だってあの現場に出くわしたくはなかったから。
 出くわしてしまったからには介入せざるを得ないわけで。

「まあ、いい。とりあえず獣王国【ライオット】については……なるようにしかならなかだろうな。一応俺の方から陛下には書状を出した。陛下からも獣王国【ライオット】に向けて何らかの動きがあるだろうから、それ次第にはなるが……」

 どことなくおっちゃんの表情が険しい。
 それだけ事が深刻なのかもしれない。
 最悪獣王国【ライオット】との関係に亀裂が走った場合、【トリスタン王国】と【ゴーヨクォート正教国】の思うつぼになるだろうからね。
 
「俺たちにはどうにもできないしね。そう言えばあのお姫様……結局どうなったのさ?」
「あぁ、ロレットの嬢ちゃん……ローラルシュレット嬢についてはどうにか落ち着いてもらった。というよりも取り巻きの護衛たちのおかげだな。それついてはカイトたちに礼を言わなくちゃならないか。お前たちがあの場に居合わせて、助太刀に入っていなかったら完全にアウトだったろうよ。」

 俺が一番気になっていたのはこの件だ。
 昨日の件についてはあのお姫様次第でどうにでも転がってしまう案件だから。
 そのお姫様が思いとどまってくれたってことは、少しはましな方に転がったってことだろう。

「ローラルシュレット嬢がお前に会いたがっていたぞ。」
「いや、俺は別に会う理由はないんだけど……絶対面倒なことになる事確定じゃないか。」

 若干皮肉目に伝えてきたシャバズのおっちゃんだった。
 俺としては会うつもりは毛頭ない。
 あったとてどうにかなるわけじゃないしね。
 ここからは上の人間同士の話し合いだろうし、俺たちが出る幕じゃない。
 むしろ関わった碌なことにならないのは考えるまでもない。

「じゃあ、おっちゃん。俺たちはまたダンジョン合宿に行ってくるから、何か進展があったら教えてほしいくらいだね。」
「そうか、わかった。何かあったら伝えよう。ただ……ダンジョン内は気を付けろ。何か嫌な予感がする。」

 おっちゃんが冗談で言っているわけじゃないのは伝わってきた。
 その真剣な目がそれを物語っていた。

「分かった。十分に気を付けるよ。」

 俺たちはそう言い残し、ダンジョン合宿へ向かったのだった。
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