282 / 322
第6章 ここから始まる第一歩
五十五日目⑦ 回復役はとても重要です
しおりを挟む
「回避!!」
俺たちが階段を下りる第4層に到着するや否や、ポールからいきなり回避の指示が飛ぶ。
ポールの声に反応した俺の目に飛び込んで来たのは、【スライムヘッジホッグ】の太いトゲだった。
槍のような棘は俺たちが下りてきた階段目掛けて特大の棘を飛ばしてきていた。
俺は慌てて回避行動を取って事無きを得たけど、ポールが声をかけてくれなかったらマジで串刺しになっていた。
ポールも敢えて盾を構えなかったのは、第4層に降りてすぐだったので自身の戦闘態勢が全く整っていなかったからのようだ。
もし、不十分な体勢のまま盾で受け止めていたら、その衝撃に耐えきれず間違いなく吹き飛ばされていただろう。
俺だったら絶対ガードして吹っ飛ばされていたと思う。
後ろを確認すると、防御態勢をいち早く取っていたナンディーが盾で上手い事軌道を逸らしてくれていた。
おかげでエルダたちは無事の様だった。
ただ、ナンディーは無傷とは言い辛く左腕をぶらりとさせていた。
どうやら痺れが残ったのか骨折又はひびが入ったのか。
今すぐに左腕を自由に使うというのは難しいように思えた。
「ありがとうナンディー。」
「いえいえ、これくらいは問題有りませんよ。それよりもすぐにエルダさんとデイジーさんは攻撃準備を。アリサ、ポールさんの態勢が整い次第、一気に魔法を使ってください。それと随時【補助魔法】を使ってください。出来れば戦闘中途切れないように。出来ますね?」
ポールが原状復帰出来ていないので、代わりにナンディーがパーティーに指示を出していた。
ナンディーの指示に、強く頷いた3人はすぐに準備に取り掛かっていた。
ナンディーもすぐに自分に回復を施し、戦線に復帰する。
かなりスムーズな指示出しに、横目で見ていた俺は感心してしまった。
アリサも状況把握に努めており、頭の中では思考がフル加速しているんだろうな。
俺とポールは回転回避を行ったために、少しみんなから離れてしまった。
ただ、それほど離れているわけでもないので、ナンディーの指示で時間を稼いでくれて助かった。
アリサは、デイジーと情報共有しつつ、状況把握行っていた。
それと同時に、この先の戦況予測を立てていた。
第3層を回った際に、大分トレーニングを積むことになったので予測精度がかなり上昇していた。
しかし新しいスライムのせいで絶対とは言い切れない状況には変わりはなかった。
それでもデイジーはその戦況予測に沿って速攻で魔法の拡散矢を放ち、前方のモンスターを足止めしていた。
エルダも足止めに注力しており、こちらにモンスターが来る気配はなかった。
少しでも戦況をこちらの有利にするために。
無事元に戻った俺とポールも戦闘態勢を改めて取り直す。
さすがにこの距離だと、その存在が探知スキルに引っ掛かってくる。
スライム【スライムヘッジホッグ】に【マッドスライム】。
あとは見たことないスライムだ。
スキル【マッピング】に簡単な情報が表示される。
【ヒーリングスライム】……
何とも癒し系スライムだこと。
見た目は薄緑色のスライムで、うっすら光っているようにも見える。
フヨフヨした感じは、今までのスライムと大差はないようだ。
正直連れて帰りたいって思ったのは内緒だ。
ずるずると移動する【ヒーリングスライム】は、デイジーとエルダの攻撃で傷を負ったスライムに近づいているようだ。
そして、【ヒーリングスライム】が傷を負った【マッドスライム】に触れた時だった。
【ヒーリングスライム】の薄緑の光が、【マッドスライム】に伝播していく。
さっきまで傷付いて薄汚れていた【マッドスライム】だが、光が消えた時にはその傷は見当たらなかった。
なるほど、だからヒーリングなのか……
確かに回復役がいるの考え物だな。
モンスターたちも俺たちを見て同じこと考えているんだろうか?
それにしてもこれは厄介だな。
早めに【ヒーリングスライム】を倒さないと【スライムヘッジホッグ】が特攻覚悟でガンガンに攻めてくる可能性が高くなる。
そして傷つくと【ヒーリングスライム】のもとに戻って傷を治すと。
なら最初のターゲットは【ヒーリングスライム】だ。
俺はみんなにそのことを告げると、スキルの発動準備にかかる。
女性陣は一気に飽和攻撃を仕掛けて、完全に俺から意識を外しにかかる。
この辺は第3層で嫌って言うほどやった連携だ。
むしろこれが俺たちの主戦闘パターンになりつつあった。
正直な話、魔法系の攻撃はすでに中位冒険者パーティーに匹敵するんじゃないのかというのがナンディーの意見だった。
それに比べて物理攻撃については決定打にかけていた。
デイジーの通常矢の攻撃と俺の一撃。
ポールとナンディーの攻撃も物理攻撃に属するけど、ポールとナンディーはガンガンに突っ込んでいくというよりも、前線を支えることに注力している。
そうすると、必然的にダメージディーラーは俺とデイジーになる。
だけどデイジーの主武器は【魔導弓】、つまり魔法よりだ。
で、結論として物理ダメージのメインは俺になったってわけだ。
だからこそのハイド特化の戦闘をどう組み立てるかってなって、現在に至っているわけだった。
俺は頃合いを見計らって【気配遮断】と【消音】を発動する。
正直なところ、【魔力遮断】とか【魔力探知】系に対する備えも欲しいところだけど、さすがにご都合主義様はそこまで優しいわけではなかった。
チラッチラッ……
ち、だめか。
俺たちが階段を下りる第4層に到着するや否や、ポールからいきなり回避の指示が飛ぶ。
ポールの声に反応した俺の目に飛び込んで来たのは、【スライムヘッジホッグ】の太いトゲだった。
槍のような棘は俺たちが下りてきた階段目掛けて特大の棘を飛ばしてきていた。
俺は慌てて回避行動を取って事無きを得たけど、ポールが声をかけてくれなかったらマジで串刺しになっていた。
ポールも敢えて盾を構えなかったのは、第4層に降りてすぐだったので自身の戦闘態勢が全く整っていなかったからのようだ。
もし、不十分な体勢のまま盾で受け止めていたら、その衝撃に耐えきれず間違いなく吹き飛ばされていただろう。
俺だったら絶対ガードして吹っ飛ばされていたと思う。
後ろを確認すると、防御態勢をいち早く取っていたナンディーが盾で上手い事軌道を逸らしてくれていた。
おかげでエルダたちは無事の様だった。
ただ、ナンディーは無傷とは言い辛く左腕をぶらりとさせていた。
どうやら痺れが残ったのか骨折又はひびが入ったのか。
今すぐに左腕を自由に使うというのは難しいように思えた。
「ありがとうナンディー。」
「いえいえ、これくらいは問題有りませんよ。それよりもすぐにエルダさんとデイジーさんは攻撃準備を。アリサ、ポールさんの態勢が整い次第、一気に魔法を使ってください。それと随時【補助魔法】を使ってください。出来れば戦闘中途切れないように。出来ますね?」
ポールが原状復帰出来ていないので、代わりにナンディーがパーティーに指示を出していた。
ナンディーの指示に、強く頷いた3人はすぐに準備に取り掛かっていた。
ナンディーもすぐに自分に回復を施し、戦線に復帰する。
かなりスムーズな指示出しに、横目で見ていた俺は感心してしまった。
アリサも状況把握に努めており、頭の中では思考がフル加速しているんだろうな。
俺とポールは回転回避を行ったために、少しみんなから離れてしまった。
ただ、それほど離れているわけでもないので、ナンディーの指示で時間を稼いでくれて助かった。
アリサは、デイジーと情報共有しつつ、状況把握行っていた。
それと同時に、この先の戦況予測を立てていた。
第3層を回った際に、大分トレーニングを積むことになったので予測精度がかなり上昇していた。
しかし新しいスライムのせいで絶対とは言い切れない状況には変わりはなかった。
それでもデイジーはその戦況予測に沿って速攻で魔法の拡散矢を放ち、前方のモンスターを足止めしていた。
エルダも足止めに注力しており、こちらにモンスターが来る気配はなかった。
少しでも戦況をこちらの有利にするために。
無事元に戻った俺とポールも戦闘態勢を改めて取り直す。
さすがにこの距離だと、その存在が探知スキルに引っ掛かってくる。
スライム【スライムヘッジホッグ】に【マッドスライム】。
あとは見たことないスライムだ。
スキル【マッピング】に簡単な情報が表示される。
【ヒーリングスライム】……
何とも癒し系スライムだこと。
見た目は薄緑色のスライムで、うっすら光っているようにも見える。
フヨフヨした感じは、今までのスライムと大差はないようだ。
正直連れて帰りたいって思ったのは内緒だ。
ずるずると移動する【ヒーリングスライム】は、デイジーとエルダの攻撃で傷を負ったスライムに近づいているようだ。
そして、【ヒーリングスライム】が傷を負った【マッドスライム】に触れた時だった。
【ヒーリングスライム】の薄緑の光が、【マッドスライム】に伝播していく。
さっきまで傷付いて薄汚れていた【マッドスライム】だが、光が消えた時にはその傷は見当たらなかった。
なるほど、だからヒーリングなのか……
確かに回復役がいるの考え物だな。
モンスターたちも俺たちを見て同じこと考えているんだろうか?
それにしてもこれは厄介だな。
早めに【ヒーリングスライム】を倒さないと【スライムヘッジホッグ】が特攻覚悟でガンガンに攻めてくる可能性が高くなる。
そして傷つくと【ヒーリングスライム】のもとに戻って傷を治すと。
なら最初のターゲットは【ヒーリングスライム】だ。
俺はみんなにそのことを告げると、スキルの発動準備にかかる。
女性陣は一気に飽和攻撃を仕掛けて、完全に俺から意識を外しにかかる。
この辺は第3層で嫌って言うほどやった連携だ。
むしろこれが俺たちの主戦闘パターンになりつつあった。
正直な話、魔法系の攻撃はすでに中位冒険者パーティーに匹敵するんじゃないのかというのがナンディーの意見だった。
それに比べて物理攻撃については決定打にかけていた。
デイジーの通常矢の攻撃と俺の一撃。
ポールとナンディーの攻撃も物理攻撃に属するけど、ポールとナンディーはガンガンに突っ込んでいくというよりも、前線を支えることに注力している。
そうすると、必然的にダメージディーラーは俺とデイジーになる。
だけどデイジーの主武器は【魔導弓】、つまり魔法よりだ。
で、結論として物理ダメージのメインは俺になったってわけだ。
だからこそのハイド特化の戦闘をどう組み立てるかってなって、現在に至っているわけだった。
俺は頃合いを見計らって【気配遮断】と【消音】を発動する。
正直なところ、【魔力遮断】とか【魔力探知】系に対する備えも欲しいところだけど、さすがにご都合主義様はそこまで優しいわけではなかった。
チラッチラッ……
ち、だめか。
381
本日 5/2(木)より新作掲載開始しました!!もしよろしければそちらも立ち寄っていただければ幸いです!!手加減必須のチートハンター ~神様の計算を超えて、魔王の手から世界を護ります!! https://www.alphapolis.co.jp/novel/911619238/145877156
お気に入りに追加
3,346
あなたにおすすめの小説
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。