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第6章 ここから始まる第一歩
五十四日目② 続・性能テスト
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ポールの大盾の性能テストが終了した後、初お披露目となった物があった。
それはエルダの【積層式魔光陣】だ。
今までは一枚の【魔光陣】を展開させて魔方陣を起動させる手順だったんだけど、今覚えている高威力の魔方陣を使おうとすると、どうしても陣のサイズが大きくならざるを得なかった。
サイズとしては下位クラスですら1mを超えて来た。
しかし、【積層式魔光陣】ではそれよりももっと小さい【魔光陣】を何層も重ねることで魔方陣を発動させるそうだ。
エルダ曰く、レイさんも同じように悩み辿り着いた一つの答えだって話だ。
【積層式魔光陣】で使う魔方陣の大きさは一枚当たり約20cm程度。
上位の魔方陣を使おうとするとそれを何枚も重ねて制御する事になるみたいだ。
逆に単純な【積層式魔光陣】であれば、3層で事足りるんだとか。
その説明を受けたけど、俺にはちんぷんかんぷんだった。
その点アリサは自身が魔法を使うだけあって何とか理解できた様子だ。
もしかすると【魔光陣】使いがまた一人誕生するのだろうか?
それはさておき、女性陣無双をしながら第1層を抜けて、目的の第2層へやってきた。
第2層では俺の感知範囲内にも【マッドフロッグ】が複数いるのが確認できる。
こいつらを一気に集めればテストにもってこいではないかな?
そう思った俺は装備の確認を行った後、投擲で周辺の石を【マッドフロッグ】に向かって投げつけた。
久しぶりの投擲スキルで腕が鈍ってるんじゃないかと思ったけど、意外と問題無く使えた。
いきなり攻撃された【マッドフロッグ】はかなり興奮状態にあるようで、いつもより激しく鳴き声を上げていた。
その鳴き声につられて、更に多くの【マッドフロッグ】が俺を取り囲む。
その数23匹。
さすがにやばいかと思ったけど、新装備が物凄く良い仕事してくれました。
一番近くに居た【マッドフロッグ】が、その舌を鞭のようにしならせて攻撃を仕掛けて来た。
ばちぃん!!
周囲にはその衝撃音と衝撃波が伝わる。
しかし俺には少しの痛みも衝撃も感じられなかったのだ。
俺は内心歓喜した。
装備ひとつでこれほどまでに戦況は変わってしまうのかと。
これは確かにロベルトさんが警戒するわけだ。
今回改修した装備を安易にかつ安価で作れてしまうのだから。
そうなれば国対国の戦争にだって悪影響を及ぼすことになりえる。
素材さへそろえれば最強の軍隊だって作る事が可能になってくる。
そんなことを考えながら、俺は23匹の【マッドフロッグ】を相手に性能テストを続けた。
遠くから数匹の【マッドフロッグ】が泥水弾を吐き出そうとしていたので、あえて受ける事にした。
ナンディーも俺の考えに気が付いたようで、念の為に【回復魔法】を発動待機状態でストックしてくれている。
ゴボッという変な音と共に吐き出された泥水弾。3発が見事に俺に命中すると全身泥だらけになってしまった。
しかし変化は直ぐに現れた。
装備についていた泥が、スルりと地面へ落ちていった。
泥蛙の外套には何の跡も残ってはいない。
撥水性のもあるなんて、とても嬉しい誤算だ。
ただし……顔に付いた泥は落ちてはくれなかった……
「スキル「クリーン」……」
ですよねぇ~
約10分くらい性能テストの為に戦い続けたけど、特に問題は見られなかった。
顔の泥以外はね!!
水属性耐性も問題無く機能したようで、俺は傷1つ追わずにさばききったのだ。
これに対してはエルダ達も感心していた。
ただその関心が装備に対してなのか俺に対してなのか……
性能テストを終えてからは、あとはいつも通りの討伐作業となる。
エルダは【積層式魔光陣】の修練をし、アリサは動き回るデイジーに対するバフ付与の練習をしている。
確実に舐めプも良い所という感じだった。
俺も練習を兼ねて【魔双剣】を試していく。
付与するのは両方とも【エアロバレッド】。
【マッドフロッグ】の粘膜を吹き飛ばしつつ切り裂いていったのだ。
いろいろ魔法を試してみたけど、これが一番効率が良かった。
ポールはと言うと、何とも器用な倒し方というか、おそらくそれが正しい倒し方なんだと思う。
突進してきた【マッドフロッグ】を盾で押し返して、よろけたところを槍で下から掬い上げる。
腹を出した瞬間、おそらく核になる魔石を狙って一突き。
びくりと一瞬震えた【マッドフロッグ】はグダリとその場で動きを止めていた。
どうやら腹回りには粘膜腺が備わっていないようだった。
そんな感じで23匹の【マッドフロッグ】は、この世とお別れをしたのだった。
倒した【マッドフロッグ】を見ていて、ふとキャスバニアさんの言葉を思い出した。
倒してすぐのモンスターの魔石を抜くと解体された扱いになるようで、靄となって消えないというものだ。
試しに俺は1匹から魔石を取り出した。
その他の部位を解体しないように気を付けながら。
すると、効果覿面。
【マッドフロッグ】は新鮮な状態でその場にとどまった。
俺は次々と魔石を取り出し、消えないようにしていく。
全ての魔石を抜き終えると、ふと疑問が生まれる。
これ全部俺が解体するのかと言う事だ。
それについてエルダに相談すると。半分はスキル上げの為に行い、もう半分をギルドに任せるのがいいのではと言う事だ。
それなら俺の労力は少なくて済むので即採用した。
性能テストが終わった俺たちは、その足で冒険者ギルドへと向かった。
あまりの新鮮で完全な【マッドフロッグ】を見て、メイリンさんは一瞬気を失いかけたけど、耐えきったあたりは成長なんだろうか。
俺は半分をメイリンさんに預け、残りを解体場を借りて作業を行う。
出来上がった泥蛙の外皮をすぐになめしていく。
最後に出来上がったなめし皮でみんなの装備一式に裏打ちを施し、これで装備の準備が整った。
明日再度調整を行ったら、いよいよリザードマン……
エルダ曰く、中級冒険者への第一歩になるだろうとのことだ。
否が応でも高まる気持ちを抑え、俺は眠れぬ夜を過ごすこととなったのだった。
それはエルダの【積層式魔光陣】だ。
今までは一枚の【魔光陣】を展開させて魔方陣を起動させる手順だったんだけど、今覚えている高威力の魔方陣を使おうとすると、どうしても陣のサイズが大きくならざるを得なかった。
サイズとしては下位クラスですら1mを超えて来た。
しかし、【積層式魔光陣】ではそれよりももっと小さい【魔光陣】を何層も重ねることで魔方陣を発動させるそうだ。
エルダ曰く、レイさんも同じように悩み辿り着いた一つの答えだって話だ。
【積層式魔光陣】で使う魔方陣の大きさは一枚当たり約20cm程度。
上位の魔方陣を使おうとするとそれを何枚も重ねて制御する事になるみたいだ。
逆に単純な【積層式魔光陣】であれば、3層で事足りるんだとか。
その説明を受けたけど、俺にはちんぷんかんぷんだった。
その点アリサは自身が魔法を使うだけあって何とか理解できた様子だ。
もしかすると【魔光陣】使いがまた一人誕生するのだろうか?
それはさておき、女性陣無双をしながら第1層を抜けて、目的の第2層へやってきた。
第2層では俺の感知範囲内にも【マッドフロッグ】が複数いるのが確認できる。
こいつらを一気に集めればテストにもってこいではないかな?
そう思った俺は装備の確認を行った後、投擲で周辺の石を【マッドフロッグ】に向かって投げつけた。
久しぶりの投擲スキルで腕が鈍ってるんじゃないかと思ったけど、意外と問題無く使えた。
いきなり攻撃された【マッドフロッグ】はかなり興奮状態にあるようで、いつもより激しく鳴き声を上げていた。
その鳴き声につられて、更に多くの【マッドフロッグ】が俺を取り囲む。
その数23匹。
さすがにやばいかと思ったけど、新装備が物凄く良い仕事してくれました。
一番近くに居た【マッドフロッグ】が、その舌を鞭のようにしならせて攻撃を仕掛けて来た。
ばちぃん!!
周囲にはその衝撃音と衝撃波が伝わる。
しかし俺には少しの痛みも衝撃も感じられなかったのだ。
俺は内心歓喜した。
装備ひとつでこれほどまでに戦況は変わってしまうのかと。
これは確かにロベルトさんが警戒するわけだ。
今回改修した装備を安易にかつ安価で作れてしまうのだから。
そうなれば国対国の戦争にだって悪影響を及ぼすことになりえる。
素材さへそろえれば最強の軍隊だって作る事が可能になってくる。
そんなことを考えながら、俺は23匹の【マッドフロッグ】を相手に性能テストを続けた。
遠くから数匹の【マッドフロッグ】が泥水弾を吐き出そうとしていたので、あえて受ける事にした。
ナンディーも俺の考えに気が付いたようで、念の為に【回復魔法】を発動待機状態でストックしてくれている。
ゴボッという変な音と共に吐き出された泥水弾。3発が見事に俺に命中すると全身泥だらけになってしまった。
しかし変化は直ぐに現れた。
装備についていた泥が、スルりと地面へ落ちていった。
泥蛙の外套には何の跡も残ってはいない。
撥水性のもあるなんて、とても嬉しい誤算だ。
ただし……顔に付いた泥は落ちてはくれなかった……
「スキル「クリーン」……」
ですよねぇ~
約10分くらい性能テストの為に戦い続けたけど、特に問題は見られなかった。
顔の泥以外はね!!
水属性耐性も問題無く機能したようで、俺は傷1つ追わずにさばききったのだ。
これに対してはエルダ達も感心していた。
ただその関心が装備に対してなのか俺に対してなのか……
性能テストを終えてからは、あとはいつも通りの討伐作業となる。
エルダは【積層式魔光陣】の修練をし、アリサは動き回るデイジーに対するバフ付与の練習をしている。
確実に舐めプも良い所という感じだった。
俺も練習を兼ねて【魔双剣】を試していく。
付与するのは両方とも【エアロバレッド】。
【マッドフロッグ】の粘膜を吹き飛ばしつつ切り裂いていったのだ。
いろいろ魔法を試してみたけど、これが一番効率が良かった。
ポールはと言うと、何とも器用な倒し方というか、おそらくそれが正しい倒し方なんだと思う。
突進してきた【マッドフロッグ】を盾で押し返して、よろけたところを槍で下から掬い上げる。
腹を出した瞬間、おそらく核になる魔石を狙って一突き。
びくりと一瞬震えた【マッドフロッグ】はグダリとその場で動きを止めていた。
どうやら腹回りには粘膜腺が備わっていないようだった。
そんな感じで23匹の【マッドフロッグ】は、この世とお別れをしたのだった。
倒した【マッドフロッグ】を見ていて、ふとキャスバニアさんの言葉を思い出した。
倒してすぐのモンスターの魔石を抜くと解体された扱いになるようで、靄となって消えないというものだ。
試しに俺は1匹から魔石を取り出した。
その他の部位を解体しないように気を付けながら。
すると、効果覿面。
【マッドフロッグ】は新鮮な状態でその場にとどまった。
俺は次々と魔石を取り出し、消えないようにしていく。
全ての魔石を抜き終えると、ふと疑問が生まれる。
これ全部俺が解体するのかと言う事だ。
それについてエルダに相談すると。半分はスキル上げの為に行い、もう半分をギルドに任せるのがいいのではと言う事だ。
それなら俺の労力は少なくて済むので即採用した。
性能テストが終わった俺たちは、その足で冒険者ギルドへと向かった。
あまりの新鮮で完全な【マッドフロッグ】を見て、メイリンさんは一瞬気を失いかけたけど、耐えきったあたりは成長なんだろうか。
俺は半分をメイリンさんに預け、残りを解体場を借りて作業を行う。
出来上がった泥蛙の外皮をすぐになめしていく。
最後に出来上がったなめし皮でみんなの装備一式に裏打ちを施し、これで装備の準備が整った。
明日再度調整を行ったら、いよいよリザードマン……
エルダ曰く、中級冒険者への第一歩になるだろうとのことだ。
否が応でも高まる気持ちを抑え、俺は眠れぬ夜を過ごすこととなったのだった。
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