勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

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第6章 ここから始まる第一歩

五十三日目④ 増えた増えた

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 朝食を終えた俺たち3人は冒険者ギルドに来ていた。
 もちろん製作の為だし、休息日だからと言って酒場に出入りしているわけじゃない。

 エルダ達は女性陣で買い物に出かけたので、こっちは男だけだ。
 
 ギルド会館の中を裏手の倉庫に向かって歩いていると、ちょうど【乾坤一擲】のメンバーが酒場でくつろいでいた……ってより酔いつぶれていた。
 うん、あれからまだ飲んでたみたいだね……
 
 キャサリンさんとメイリンさんに挨拶をして、すぐに裏手の倉庫へと向かった。
 そして何気に倉庫入り口には、〝現在貸し出し中。関係者以外立ち入り禁止〟の札が付けられていた。
 うん、怪しさ満点だね。
 むしろ〝覗いてください〟〝見ていってください〟って言っているようにしか見えなかった。
 まあ、キャサリンさん曰く、これ自体が魔導具だから覗き見とか侵入したりすると、すぐに知らせが来るらしい。
 しかも人物の顔写真付きで……
 いわゆる防犯カメラ的なものだね。
 この世界ってこういったことについては尖った性能を発揮している気がしてならないな。
 これも〝勇者様案件〟だったりして。
 だったら当時の勇者様はだいぶやらかしてそうだな。
 
 倉庫の中に入ると、俺は照明の魔道具を起動する。
 明るくなった倉庫内は何とも言えない状況だ。
 約三割ほど占領している俺の設備が、何だか研究所を思わせなくもない感じになっていた。

「カイト、今日は耐水性装備の準備をするのか?」
「そうだね、そのつもりでいるよ。エルダからの依頼でもあるし、全員分を作る事になるかな?でもその前にレシピが出ない事には何も出来ないってのもあるんだよね。そういえばさ、普通こういう装備を作る時ってどうすんの?」

 素朴な疑問だ。
 エルダから全員分の耐水性装備を頼まれたけど、普通だったら鍛冶師とかに持っていく話だよね?
 むしろそっちの方が早い気がする。

「それはだな、素材持ち込み依頼で鍛冶師か裁縫師に行く事になるな。武具だったら鍛冶師に、マントだったら裁縫師だな。ただし、持ち込みって言ってもいろいろあるぞ。全ての素材を集めて依頼するやつもいれば、素材無しの奴もいる。それぞれで大分金額が変わってくるからな。」
「え?じゃあ、俺作るよりいいんじゃないの?」

 むしろ、素材不足で作れませんってオチが有る俺よりも確実性があるはず。

「しかしだ、納品までに最低でも一週間くらいは見ておかないといけない。装備品はそんなに簡単に作れないんだよ。すべて職人の手作業なんだからな。」

 うん、俺の規格外さが良く分かるな。
 俺の場合素材さえ揃えれば、後はスキルや作業台が処理してくれる。
 しかもほとんどゴミが出ない。
 そりゃロベルトさんもいらないって言う訳だ。

「そうですね、私の元の装備品は更に聖職者の洗礼を経ますので、それから更に一か月は要するでしょうね。おそらくカイトさんが作ったら数分から数十分の時間で作り上げてしまう事でしょう。」

 そう聞くと、なんだか申し訳なさが溢れ出るよ。
 ぶっちゃけそこまで考えてなかったや。
 いくら一流の仕上がりではないとはいえ、それなりの性能を持つ俺謹製の装備品。
 ガンテツさんなどの一流どころに調整してもらえば、ほぼ一流の装備品といっても過言じゃない。
 それを短時間で作れるんだから、職人泣かせだというのは間違いないな。
 調整を含めたって数日で完了してしまうんだから。

「うん、理解はしたけど自重はしない!!」
「そこは威張るところなのか?」

 ポールの若干の呆れ顔を気にせずに作業に移る。

 まずは泥蛙の外皮をなめず作業だな。
 取り敢えずは一枚使ってやってみるか。

 俺は作業台に泥蛙の外皮を乗せて起動させる。

 すると泥蛙の外皮は直ぐに光の中に消えてゆき、ふわりと作業台の上に3枚の皮生地出現する。
 いつ見ても不思議な光景だな。

 取り敢えず出来上がった皮生地を鑑定してみる

——————

マッドフロッグレザー:泥蛙の外皮をなめしたもの。中間素材。

——————

ピコン

『スキル:DIYのレシピが増えました。』

 お、【鑑定】に合わせてレシピもやっぱり増えたな。
 予定通りの装備品だったらいいんだけどな。
 俺は軽い期待を胸にレシピを確認してみた。

——————

技能 :DIY レベル3……低級アイテムの作成。設備使用時のレシピ(低級アイテム)の追加。
     ▼設備(NEW)
       簡易鞣し台(NEW)……木材10+弱酸性液5+硬化液5+粘膜腺5で作成。皮の鞣し作業台。SP:40
       簡易服飾作業台(NEW)……木材10+鉄の釘30で作成。服飾系作業台。

——————

 あれ?当てが外れたみたいだ……
 設備が二つ増えるってどうよ……
 鞣し台と作業台シリーズか。

 俺が困惑の色を顕わにしていたようで、心配したポールが声をかけて来た。
 事情を説明したが、「取り敢えず作るしかないだろう」と言われてしまった。
 確かにそうなんだけどさ。
 さすがに場所占領しすぎかなって思えて来たよ。
 まあ、作るんですけどね。
 取り敢えず両方とも作業台で作成可能みたいだけど、簡易鞣し台には俺の知らない素材が必要だった。
 まずは簡易服飾作業台を作ってみよう。

 というわけで、今持ってる泥蛙の外皮を全てなめした後に、必要な素材を準備してもう一度作業台を起動させる。

『簡易服飾作業台作成中。残り時間:20分。予約枠1/5』

 よし、準備万端。
 後は待つだけなんだけど……
 地味に時間がかかりそうだね。

「とりあえず一つ作成開始した。」
「そうか、やっぱり一日掛になりそうか?」

 ポールも時間は気になってる様子だ。
 俺の護衛も含めての契約だとは言え待たせるのも悪い気もするよね。
 ナンディーは……祈ってるから問題ない!!
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本日 5/2(木)より新作掲載開始しました!!もしよろしければそちらも立ち寄っていただければ幸いです!!手加減必須のチートハンター ~神様の計算を超えて、魔王の手から世界を護ります!! https://www.alphapolis.co.jp/novel/911619238/145877156
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