勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

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第6章 ここから始まる第一歩

五十三日目② 食の暴力 【マッドフロッグ】編

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 そんなこんなで厨房の片づけ等を終えたエルダたち。
全員が席に着いたのでデイジー待望のフロッグレッグ定食を食べる事にした。

「「「「「「いただきます!!」」」」」」

 うん、デイジーの食べっぷりは凄まじかった。
 デイジーの前に在る皿からフロッグレッグがみるみる消えていく。
 ポールがデイジーの食べ方を呆れながら見つつ、横からサラダも食べる様に勧めている。
 どっちがオカンかわからんくなりそうだ……

 隣の席でもレティシアと小人たちが朝食を摂っている。
 他の席でも今日の朝食定食がフロッグレッグで喜んでいる人も多いようだった。
 この世界ではフロッグレッグはポピュラーなメニューなんだろうか?

 確かに美味そうだ……
 見た目はおいしそうに見える。
 照り焼きにしているためか、その艶と香りが食欲をダイレクトに刺激してくる。

 ゴクリ……

 俺は思わず生唾を飲んでしまった。
 しかも意識してじゃなく、ごく自然に……
 美味そうに見えるけど、泥蛙だろ?あの【マッドフロッグ】だろ?
 あの、泥まみれで粘液まみれで、毒々しい色合いの、あの【マッドフロッグ】。
 俺の考え過ぎなんだろうか……

 皆の食べっぷりに触発されて、俺も恐る恐るフロッグレッグに手を伸ばした。
 見た目は筋肉質で鶏肉によく似ている。
 むしろ鶏肉よりも柔らかそうですらある。
 鑑定結果もそうだから間違いないんだろうけど、持ち上げた瞬間にあの【マッドフロッグ】が頭をよぎった。
 へ、偏見は良くない。
食わず嫌いは良くない!!
出された物はおいしくいただきましょう!!
 俺は自分にそう言い聞かせながら、口元に運ぶ。
 大きく口を開けて、一噛み……するまでに思いっきり躊躇してしまった。
 口元に近付けてから、呼吸と共に鼻孔を駆け抜ける香ばしい香り……
 男は度胸!!
 俺は一噛み頬張った……
 噛めば噛むほど溢れ出す旨味。
 肉汁が溢れて来る訳じゃいけど、物凄く濃い味わいが口の中で暴れまわる。
 その暴力的で荒々しい旨味の波に俺は完敗してしまった。
 右手のフロッグレッグを頬張っている間に、左手にも持ち上げてしまったのだ。
 それに気が付いた俺は物凄く恥ずかしくなってしまった。
 それを見たデイジーは、ニヤリと笑った。
 もちろんその両手にはフロッグレッグを掴んでだ。
 それからも俺はムシャリムシャリとワイルドに食べ進めていった。
 それを見たデイジーも負けじと頬張り続ける。
 
 周りから呆れた視線が飛んできているみたいだったけど、今はそんなことなんて考えている余裕はない。
 なぜならデイジーが狙っているからだ……
 俺の皿を!!


 カラン

 デイジーが食べた最後のフロッグレッグの骨が、皿の上で踊っていた。
 くるくると回って止まった先には、フロッグレッグの骨の山。
 食べに食べた気がする。
 むしろ止まらないって感じで。
 肉が美味かったのか料理が巧かったのか。
 さすがはダニエルさんだと言っておこう。
 パーティーメンバーもそうだけど、レティシアと小人たちも満足していた。
 後で外回りのヒイロとテツコンにも持って行ってやらねばな。



「そう言えばカイト、今日の予定を聞いてなかったわね?」

 テーブルの上を拭き掃除しながらエルダが聞いてきた。
 それについて皆の話を聞きたかったんだ。

「今日は昨日の泥蛙の外皮を鞣してマッドフロッグレザーを作るところからスタートかな。おそらくいろいろレシピが増えるだろうから、それの確認も含めると、一日休みにしようと思うんだ。」

 どう考えても今日は、クラフト作業で時間を取られそうな気がしてならない。
 そうなるとダンジョンって言うのは難しい気がしたのだ。

「俺はそれでいいぞ。」
「わたしもぉ~。」
「……はい。」

 ポールたちも賛成のようだ。
 デイジーはかなり食べたようで、あまりの苦しさに動きたくないって感じだな。

「私も問題ありませんよ?」

 ナンディーも用事は無いようだ。
 むしろ、ナンディー的にはレティシアを礼拝する時間が取れると考えると、その方が嬉しかったりするんだろうか……

「だってさエルダ。」
「わかったは。それじゃ、アリサとデイジーを借りて行って良いかしら。」

 俺としては問題無い。
 ただ何をする気なのかは気になってしまった。
 きっと俺の顔が納得いってないって感じだったんだろうか、エルダが付け足して説明してくれた。

「アリサの服装なんだけど、前の服しか持って無くて。せっかく素性を変えたんだから衣装も変えた方が良いと思うの。」

 うん、それは盲点だった。
 服装が変わって無ければ説得力もあったもんじゃないな。
 ってかむしろアリサさんよ、なんで君が一番驚いているんだい?
 君が真っ先にやるべき事だと思うんだけど?

「あら、でしたら私たちもご一緒させてください。」

 厨房の片付けが終わったのかレティシアとキキョウも顔を出してきた。
 何か必要な物でも出来たんだろうか?

「主様?女性に向かって向ける視線じゃありませんよ?必要になるのは仕方の無い事ですから。」

 あぁ~、俺この世界の下着事情は良く分からないからなぁ。
 今もガンテツさんが揃えてくれた数着の服を着まわしてるし。
 むしろスキル【クリーン】でどんな汚れや匂いも一発洗浄だし。
 おれ、臭くないよね?

 どうやら女性陣で買い物に出る事になりそうだ。
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