勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

文字の大きさ
上 下
264 / 322
第6章 ここから始まる第一歩

五十三日目① ある意味超人パーティー

しおりを挟む
「う、う~ん。」

 あ、頭が痛い……
 あれからやけ酒で、閉店ギリギリまで呑みまくった。
 一応意識は有ったので、何とか自宅まで辿り着けはしたが、ポールとナンディーには物凄く迷惑をかけてしまった……

 取り敢えず二日酔いには解毒ポーションが効くので、服用しようと思ってアイテムボックスを確認したんだ。

「あれ?無い?」

 そんな筈は無い……
 昨日まで5本残ってたのに、全く無くなるなんて。
 有り得ないだろ?

……
…………
………………

 あ!!
 昨日シルさん達にあげたんだっけ。
 やけ酒に付き合わせた詫びって言って全部あげた気がする。

 クッソ頭いてぇ!!

 俺は痛む頭と気持ち悪さを抱えたまま、食堂へ向かったのだった。
 なんとか吐きはしなかったよ……



「おはようカイトぉ~って大丈夫?」

 デイジーの朝から元気の挨拶が頭に響く……
 かなりしんどい……

「カイト、さすがにあれは飲み過ぎだ。少しは反省するんだな。」

 俺があまりのつらさに声を出せないでいると、ポールからお小言が飛んで来た。
 それに引き換え、付き合ってくれたポールは全然問題なさそうだ。
 ほとんど同じ量を飲んだくせになんで平気なんだよ。
 って、頭を使ったらまた頭痛が。

「何それっぽいこと言ってるのぉ~?私から解毒ポーション貰っておいて。」
「なぁ!!」

 デイジーの裏切りにポールが慌てふためいている。
 ずっる!!まじずっる!!自分だけ楽してんじゃねぇ~よ!!

 俺の非難がましい視線に気づいたポールは、その目を一瞬にしてそらした。
 畜生!!

「はいはい、カイトもポーション飲んだら良いのに。」
「それが昨日シルさん達に渡したみたいだ。」
「あぁ~。」

 デイジーの憐れみに満ちた視線が突き刺さる。
 
「うぅ~ん……」

 あまりの頭の痛さにテーブルに突っ伏していると、ことりとテーブルから音が聞こえる。
 ゆっくりと頭を上げると、そこには一本のポーションが置かれていた。

「はいこれ飲んで元気出そうねぇ~。」

 か、神様仏様デイジー様~~~!!
 危うく俺は拝み倒しそうになったよ。
 なんとか自重して、デイジーからもらったポーションを煽り飲む。

「うげ……。何度飲んでも慣れないなこの味。」
「仕方ないよ、ポーションなんてそんなもんだしね。それだって以前よりもましになったんだから、それはカイトの功績だよ。」

 地味なまずさに顔を顰めてしまった。
 この世界ではポーションが苦くてまずいのが当たり前だった。
 確かに色もなんだか毒々しかったりするし、当たり前過ぎて改良する気にもならないんだろうな。
 デイジーが言う通り、俺が作った?って言っていいんだろうか……薬物作業台のおかげか、味は大分マシになったようだった。
 前に一度、以前のポーションを飲む機会があったけど、とてもじゃないけど今後の飲みたいと思えないほどのまずさだった。
 つまりあれか、不味いが故にもう飲みたくないからケガを少しでも減らそうという心境になるようにわざとそうしていたのか⁈
 なんて考えていると、デイジーが怪訝そうにしていた。

「おやカイトさん、元気そうで何よりですね。」

 丁度朝の散歩から戻ってきたナンディーが、さわやかなイケメンスマイルを向けて来た。
 これがデイジーからポーション貰う前だったらかなりきつかった。
 あれ?ちょっと待って、ナンディーだってあれだけ飲んだのに何で平気そうなんだ?
 ナンディーもデイジーから解毒ポーションを受け取ったんだろうか。

「え?ナンディーにはあげてないよ?」
「私は魔法が有りますからね。【回復魔法】に解毒魔法もありますから。詠唱できなくならない限り何とでもなります。」

 ナンディーって何気にすごい超人だと思うんだけど、俺の気のせいだろうか……
 むしろ俺以外絶対におかしい気がする。
 何だろうな、バランスはとれているけどなんとなくとがっているようなパーティ……
 そうか、あれだ、メンバーが濃すぎるんだよ。
 うん、合点がいった。

 そんなこんなで朝からガヤガヤしていると、厨房からいい匂いがしてきた。
 どうやら朝食の準備が出来たみたいだな。

「カイト、今回の肉もまた大量だな。」

 厨房からダニエルさんが料理を運んできてくれた。
 手にしたプレートには肉料理が大量に積んであった。
 うん、どこからどう見てもカエルの足だね……
 照り焼き風に味付けされているようで、そのつやつや加減が食欲をそそる。
 更にその脇にはマヨネーズと追加の照り焼きソースも添えられており、至れり尽くせりだ。

「だ、ダニエルさん。これは?」
「ん?こいつはデイジーちゃんから受け取った箱に入ってたフロッグレッグだな。なかなか良い感じに仕上がったぞ。エルダちゃんもレティシアちゃんもキキョウさんもいい腕してるぜ。このままここで働いてほしいくらいだ。」

 ダニエルさんは料理をドカリとテーブルに置くと、大声で笑いながら厨房に引っ込んでいった。
 どうやら今日はフロッグレッグの定食になるらしい。
 デイジーはどうやら好物らしく、目が輝いていた。
 今にも飛び掛かりそうになっているが、皆がテーブルに付くのをじっと我慢している。
 これ以上待たせるとかわいそうだね。

「エルダぁ~?まぁだぁ~?」

 デイジーはたまらずエルダを呼びつける。
 もう限界いっぱいいっぱいっぽいな

 カタカタなるワゴンカートを押しながらエルダは厨房から出て来た。
 ワゴンカートにはお茶のセットが乗っており、朝のお茶の準備をしてくれるらしいね。

「さすがに朝から濃い肉料理だから、お茶も準備していたのよ。デイジーだっておいしく食べたいでしょ?」
「愛してるエルダ!!」

 握りこぶしで親指を立てたデイジーの目は、既にエルダからフロッグレッグに移っていた。
 どんだけ待ち遠しいんだよ……
しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』

ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。 誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】

雪乃カナ
ファンタジー
世界が退屈でしかなかった1人の少年〝稗月倖真〟──彼は生まれつきチート級の身体能力と力を持っていた。だが同時に生まれた現代世界ではその力を持て余す退屈な日々を送っていた。  そんなある日いつものように孤児院の自室で起床し「退屈だな」と、呟いたその瞬間、突如現れた〝光の渦〟に吸い込まれてしまう!  気づくと辺りは白く光る見た事の無い部屋に!?  するとそこに女神アルテナが現れて「取り敢えず異世界で魔王を倒してきてもらえませんか♪」と頼まれる。  だが、異世界に着くと前途多難なことばかり、思わず「おい、アルテナ、聞いてないぞ!」と、叫びたくなるような事態も発覚したり──  でも、何はともあれ、女神様に異世界召喚されることになり、生まれた世界では持て余したチート級の力を使い、異世界へと魔王を倒しに行く主人公の、異世界ファンタジー物語!!

異世界で等価交換~文明の力で冒険者として生き抜く

りおまる
ファンタジー
交通事故で命を落とし、愛犬ルナと共に異世界に転生したタケル。神から授かった『等価交換』スキルで、現代のアイテムを異世界で取引し、商売人として成功を目指す。商業ギルドとの取引や店舗経営、そして冒険者としての活動を通じて仲間を増やしながら、タケルは異世界での新たな人生を切り開いていく。商売と冒険、二つの顔を持つ異世界ライフを描く、笑いあり、感動ありの成長ファンタジー!

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。