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第6章 ここから始まる第一歩
五十三日目① ある意味超人パーティー
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「う、う~ん。」
あ、頭が痛い……
あれからやけ酒で、閉店ギリギリまで呑みまくった。
一応意識は有ったので、何とか自宅まで辿り着けはしたが、ポールとナンディーには物凄く迷惑をかけてしまった……
取り敢えず二日酔いには解毒ポーションが効くので、服用しようと思ってアイテムボックスを確認したんだ。
「あれ?無い?」
そんな筈は無い……
昨日まで5本残ってたのに、全く無くなるなんて。
有り得ないだろ?
……
…………
………………
あ!!
昨日シルさん達にあげたんだっけ。
やけ酒に付き合わせた詫びって言って全部あげた気がする。
クッソ頭いてぇ!!
俺は痛む頭と気持ち悪さを抱えたまま、食堂へ向かったのだった。
なんとか吐きはしなかったよ……
「おはようカイトぉ~って大丈夫?」
デイジーの朝から元気の挨拶が頭に響く……
かなりしんどい……
「カイト、さすがにあれは飲み過ぎだ。少しは反省するんだな。」
俺があまりのつらさに声を出せないでいると、ポールからお小言が飛んで来た。
それに引き換え、付き合ってくれたポールは全然問題なさそうだ。
ほとんど同じ量を飲んだくせになんで平気なんだよ。
って、頭を使ったらまた頭痛が。
「何それっぽいこと言ってるのぉ~?私から解毒ポーション貰っておいて。」
「なぁ!!」
デイジーの裏切りにポールが慌てふためいている。
ずっる!!まじずっる!!自分だけ楽してんじゃねぇ~よ!!
俺の非難がましい視線に気づいたポールは、その目を一瞬にしてそらした。
畜生!!
「はいはい、カイトもポーション飲んだら良いのに。」
「それが昨日シルさん達に渡したみたいだ。」
「あぁ~。」
デイジーの憐れみに満ちた視線が突き刺さる。
「うぅ~ん……」
あまりの頭の痛さにテーブルに突っ伏していると、ことりとテーブルから音が聞こえる。
ゆっくりと頭を上げると、そこには一本のポーションが置かれていた。
「はいこれ飲んで元気出そうねぇ~。」
か、神様仏様デイジー様~~~!!
危うく俺は拝み倒しそうになったよ。
なんとか自重して、デイジーからもらったポーションを煽り飲む。
「うげ……。何度飲んでも慣れないなこの味。」
「仕方ないよ、ポーションなんてそんなもんだしね。それだって以前よりもましになったんだから、それはカイトの功績だよ。」
地味なまずさに顔を顰めてしまった。
この世界ではポーションが苦くてまずいのが当たり前だった。
確かに色もなんだか毒々しかったりするし、当たり前過ぎて改良する気にもならないんだろうな。
デイジーが言う通り、俺が作った?って言っていいんだろうか……薬物作業台のおかげか、味は大分マシになったようだった。
前に一度、以前のポーションを飲む機会があったけど、とてもじゃないけど今後の飲みたいと思えないほどのまずさだった。
つまりあれか、不味いが故にもう飲みたくないからケガを少しでも減らそうという心境になるようにわざとそうしていたのか⁈
なんて考えていると、デイジーが怪訝そうにしていた。
「おやカイトさん、元気そうで何よりですね。」
丁度朝の散歩から戻ってきたナンディーが、さわやかなイケメンスマイルを向けて来た。
これがデイジーからポーション貰う前だったらかなりきつかった。
あれ?ちょっと待って、ナンディーだってあれだけ飲んだのに何で平気そうなんだ?
ナンディーもデイジーから解毒ポーションを受け取ったんだろうか。
「え?ナンディーにはあげてないよ?」
「私は魔法が有りますからね。【回復魔法】に解毒魔法もありますから。詠唱できなくならない限り何とでもなります。」
ナンディーって何気にすごい超人だと思うんだけど、俺の気のせいだろうか……
むしろ俺以外絶対におかしい気がする。
何だろうな、バランスはとれているけどなんとなくとがっているようなパーティ……
そうか、あれだ、メンバーが濃すぎるんだよ。
うん、合点がいった。
そんなこんなで朝からガヤガヤしていると、厨房からいい匂いがしてきた。
どうやら朝食の準備が出来たみたいだな。
「カイト、今回の肉もまた大量だな。」
厨房からダニエルさんが料理を運んできてくれた。
手にしたプレートには肉料理が大量に積んであった。
うん、どこからどう見てもカエルの足だね……
照り焼き風に味付けされているようで、そのつやつや加減が食欲をそそる。
更にその脇にはマヨネーズと追加の照り焼きソースも添えられており、至れり尽くせりだ。
「だ、ダニエルさん。これは?」
「ん?こいつはデイジーちゃんから受け取った箱に入ってたフロッグレッグだな。なかなか良い感じに仕上がったぞ。エルダちゃんもレティシアちゃんもキキョウさんもいい腕してるぜ。このままここで働いてほしいくらいだ。」
ダニエルさんは料理をドカリとテーブルに置くと、大声で笑いながら厨房に引っ込んでいった。
どうやら今日はフロッグレッグの定食になるらしい。
デイジーはどうやら好物らしく、目が輝いていた。
今にも飛び掛かりそうになっているが、皆がテーブルに付くのをじっと我慢している。
これ以上待たせるとかわいそうだね。
「エルダぁ~?まぁだぁ~?」
デイジーはたまらずエルダを呼びつける。
もう限界いっぱいいっぱいっぽいな
カタカタなるワゴンカートを押しながらエルダは厨房から出て来た。
ワゴンカートにはお茶のセットが乗っており、朝のお茶の準備をしてくれるらしいね。
「さすがに朝から濃い肉料理だから、お茶も準備していたのよ。デイジーだっておいしく食べたいでしょ?」
「愛してるエルダ!!」
握りこぶしで親指を立てたデイジーの目は、既にエルダからフロッグレッグに移っていた。
どんだけ待ち遠しいんだよ……
あ、頭が痛い……
あれからやけ酒で、閉店ギリギリまで呑みまくった。
一応意識は有ったので、何とか自宅まで辿り着けはしたが、ポールとナンディーには物凄く迷惑をかけてしまった……
取り敢えず二日酔いには解毒ポーションが効くので、服用しようと思ってアイテムボックスを確認したんだ。
「あれ?無い?」
そんな筈は無い……
昨日まで5本残ってたのに、全く無くなるなんて。
有り得ないだろ?
……
…………
………………
あ!!
昨日シルさん達にあげたんだっけ。
やけ酒に付き合わせた詫びって言って全部あげた気がする。
クッソ頭いてぇ!!
俺は痛む頭と気持ち悪さを抱えたまま、食堂へ向かったのだった。
なんとか吐きはしなかったよ……
「おはようカイトぉ~って大丈夫?」
デイジーの朝から元気の挨拶が頭に響く……
かなりしんどい……
「カイト、さすがにあれは飲み過ぎだ。少しは反省するんだな。」
俺があまりのつらさに声を出せないでいると、ポールからお小言が飛んで来た。
それに引き換え、付き合ってくれたポールは全然問題なさそうだ。
ほとんど同じ量を飲んだくせになんで平気なんだよ。
って、頭を使ったらまた頭痛が。
「何それっぽいこと言ってるのぉ~?私から解毒ポーション貰っておいて。」
「なぁ!!」
デイジーの裏切りにポールが慌てふためいている。
ずっる!!まじずっる!!自分だけ楽してんじゃねぇ~よ!!
俺の非難がましい視線に気づいたポールは、その目を一瞬にしてそらした。
畜生!!
「はいはい、カイトもポーション飲んだら良いのに。」
「それが昨日シルさん達に渡したみたいだ。」
「あぁ~。」
デイジーの憐れみに満ちた視線が突き刺さる。
「うぅ~ん……」
あまりの頭の痛さにテーブルに突っ伏していると、ことりとテーブルから音が聞こえる。
ゆっくりと頭を上げると、そこには一本のポーションが置かれていた。
「はいこれ飲んで元気出そうねぇ~。」
か、神様仏様デイジー様~~~!!
危うく俺は拝み倒しそうになったよ。
なんとか自重して、デイジーからもらったポーションを煽り飲む。
「うげ……。何度飲んでも慣れないなこの味。」
「仕方ないよ、ポーションなんてそんなもんだしね。それだって以前よりもましになったんだから、それはカイトの功績だよ。」
地味なまずさに顔を顰めてしまった。
この世界ではポーションが苦くてまずいのが当たり前だった。
確かに色もなんだか毒々しかったりするし、当たり前過ぎて改良する気にもならないんだろうな。
デイジーが言う通り、俺が作った?って言っていいんだろうか……薬物作業台のおかげか、味は大分マシになったようだった。
前に一度、以前のポーションを飲む機会があったけど、とてもじゃないけど今後の飲みたいと思えないほどのまずさだった。
つまりあれか、不味いが故にもう飲みたくないからケガを少しでも減らそうという心境になるようにわざとそうしていたのか⁈
なんて考えていると、デイジーが怪訝そうにしていた。
「おやカイトさん、元気そうで何よりですね。」
丁度朝の散歩から戻ってきたナンディーが、さわやかなイケメンスマイルを向けて来た。
これがデイジーからポーション貰う前だったらかなりきつかった。
あれ?ちょっと待って、ナンディーだってあれだけ飲んだのに何で平気そうなんだ?
ナンディーもデイジーから解毒ポーションを受け取ったんだろうか。
「え?ナンディーにはあげてないよ?」
「私は魔法が有りますからね。【回復魔法】に解毒魔法もありますから。詠唱できなくならない限り何とでもなります。」
ナンディーって何気にすごい超人だと思うんだけど、俺の気のせいだろうか……
むしろ俺以外絶対におかしい気がする。
何だろうな、バランスはとれているけどなんとなくとがっているようなパーティ……
そうか、あれだ、メンバーが濃すぎるんだよ。
うん、合点がいった。
そんなこんなで朝からガヤガヤしていると、厨房からいい匂いがしてきた。
どうやら朝食の準備が出来たみたいだな。
「カイト、今回の肉もまた大量だな。」
厨房からダニエルさんが料理を運んできてくれた。
手にしたプレートには肉料理が大量に積んであった。
うん、どこからどう見てもカエルの足だね……
照り焼き風に味付けされているようで、そのつやつや加減が食欲をそそる。
更にその脇にはマヨネーズと追加の照り焼きソースも添えられており、至れり尽くせりだ。
「だ、ダニエルさん。これは?」
「ん?こいつはデイジーちゃんから受け取った箱に入ってたフロッグレッグだな。なかなか良い感じに仕上がったぞ。エルダちゃんもレティシアちゃんもキキョウさんもいい腕してるぜ。このままここで働いてほしいくらいだ。」
ダニエルさんは料理をドカリとテーブルに置くと、大声で笑いながら厨房に引っ込んでいった。
どうやら今日はフロッグレッグの定食になるらしい。
デイジーはどうやら好物らしく、目が輝いていた。
今にも飛び掛かりそうになっているが、皆がテーブルに付くのをじっと我慢している。
これ以上待たせるとかわいそうだね。
「エルダぁ~?まぁだぁ~?」
デイジーはたまらずエルダを呼びつける。
もう限界いっぱいいっぱいっぽいな
カタカタなるワゴンカートを押しながらエルダは厨房から出て来た。
ワゴンカートにはお茶のセットが乗っており、朝のお茶の準備をしてくれるらしいね。
「さすがに朝から濃い肉料理だから、お茶も準備していたのよ。デイジーだっておいしく食べたいでしょ?」
「愛してるエルダ!!」
握りこぶしで親指を立てたデイジーの目は、既にエルダからフロッグレッグに移っていた。
どんだけ待ち遠しいんだよ……
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