262 / 322
第6章 ここから始まる第一歩
五十二日目③ 腹芸嫌い
しおりを挟む
ガランゴロンガラン
ギルド内はいつも通り朝から依頼争奪戦を繰り広げていた。
それぞれの実力にあった依頼を選んでいるかと思いきや、先に大量に取ってあとで吟味して戻すみたいなやり方をしている人もいた。
それ自体ルール違反では無い様だけど、戻された依頼書は既にぐしゃぐしゃでなんだか可哀想に思えてしまった。
一応は依頼なんだから、書類は大事に扱おうよって思ってしまうのは、俺がこの世界の人間じゃないからなのかな?
そんなやり取りを横目に、俺たちはいつも通りキャサリンさんの受付カウンターへ足を運んだ。
キャサリンさんの窓口の隣に若い受付嬢が居るんだけど、そこは大渋滞をお起こしていた。
別にキャサリンさんが不人気な訳では無くて、どうやら新人さんらしく手間取っているようだった。
先輩受付嬢も手伝って何とか捌いていくけど、新人さんが一組捌く間にキャサリンさんは三組捌けているので、処理速度は一目瞭然だと思う。
受付カウンターに設置されたパソコンのような魔導具でテキパキと処理していくキャサリンさん。
この辺りの処理能力の違いが、新人さんとの差なんだろうな。
これもまた現代日本と同じ構図かもしれない。
「おはようございますキャサリンさん。シャバズのおっちゃんはいますか?」
「おはようカイト君。ごめんなさい私今忙しいからそのまま執務室へ向かって。絶対いるはずだから。っていうより、帰ってないはずだから……」
憐れみの視線を向けたキャサリンさんから許可をもらい、俺たちは二階にあるギルマスの執務室へ向かった。
勝手知ったるなんとやらというくらいここに来ているので特に迷うことは無かった。
ただ、俺たちには覚悟が足りなかったんだ……
コンコンコン
「おう、入れ。」
「お邪魔します。」
シャバズのおっちゃんは誰何をすることなく俺たちに入室許可を出した。
俺たち以外来る予定が無かったのか?
「ようやく来たな……まぁ座れや。」
目の下に隈が出来ているシャバズのおっちゃん。
おそらく寝ずの作業だったんだろうな……
「その……何と言って良いのか……。ごめんなさい。」
俺は堪らずシャバズのおっちゃんに頭を下げてしまったのだった。
皆もなんとなく察したようで、同じように頭を下げた。
入り口付近で全員が頭を下げる絵面……なんとなくブラック企業臭がしてきそうだった。
「頭を下げるくらいなら、問題をこっちに寄越すんじゃねぇよ。」
「それは殿下に文句を言ってくれよ。あの人が引っ掻き回してきたんだから。ぎりぎりの妥協点がソコだったってだけからさ。」
俺はおっちゃんからの物言いに、すかさず反論した。
全て俺が悪いみたいな言い方はやめてもらいたい。
むしろ俺としては巻き込まれている感じが強いのだから。
「で、今日はその件で来てもらった訳だが……。いったいお前ら何をやらかしたんだ。嬢……今は殿下か。殿下からの火急の知らせで手紙が届いたぞ。しかもリサを〝ダンジョン内不明者リスト〟に加えろとか無茶ぶりも良い所だ。」
「その件に付いても問題発生って訳じゃないけど、殿下が先に芽を摘もうって考えたらしいからな。で、妥協案でリサを死亡した事にしちゃえって。ギルドで死亡扱いにして、新しい冒険者証を発給してもらえば問題解決だろ?この世界で冒険者証ほど公正な一般人用身分証は無いからさ。」
おっちゃんはなんだか渋っている様だけど、これでやっていかないと何とも出来なくなるんだよな。
俺としては問題無いと思っているんだけど、殿下的には面倒を避けたいって事と、いくらでも言い訳の利く状況を作りたいって事なんだと俺は考えている。
実際問題リサが死亡した事になった場合、遺体返還要求が必ず来るだろう。
でも〝ダンジョン内不明者リスト〟に入っていると、遺体が捜索不可って事になる。
しかも冒険者証が別のモノになってれば、それは別人だとギルドが認めた事になる。
つまるところ、正式に別人だって断言されるって事だ。
この辺は現代日本でも役所が偽造した身分証だった場合、正式な身分証になるのと同じだ。
こっちの世界だとそれが余計にまかり通ってしまいそうだ。
「わぁ~てるよ。【トリスタン王国】との兼ね合いだろう?しかも正教会が絡んでくる可能性も視野に入れての対応だ。さすがの俺でもそれくらいは分かるさ。だがな、やって良い事と悪い事がある事も理解しろ。今回のは悪い方だ。」
おっちゃんの目が本気で怒っているのが見て取れた。
確かにそうなんだよな。
おっちゃんに不正するように上から圧力がかかっている状況になっているんだ……
……ごめんおっちゃん……
「ごめん……。浅はかな考えだった……。」
俺は謝るしか出来なかった。
あの場を収めてかつアリサを守るって考えると、この方法が一番だと思ってしまった。
殿下も反対しなかったし、問題無いのかと考えてしま……
ってちょっと待てよ……
あ!!くそ!!やられた!!
考えが顔に出ていたみたいで、おっちゃんがニヤリと笑っていた。
「やっと気が付いたみたいだな。殿下にまんまと乗せられおって。少しは腹芸を覚える様にって言ってただろうが。」
「ハンス隊長にも言われていたけど……。」
まんまと殿下に一杯食わされたようだ。
殿下はあくまでも〝俺たちからの要請を飲んでおっちゃんに圧力をかけた〟という形が取れる。
事の最後まで知らぬ存ぜぬを通せる立場に居るわけだ。
国の対応としては一番いい形になったともいえる。
まさかここまで読んでの訪問だったんだろうか……
それともあの場の即興でこれを構築したのか……
殿下はなんだかんだ言って王族なんだな。
絶対にソリは合いそうにないや。
「まあ、済んだ事はしゃぁ~ねぇ~。一応王族からの要請だって体で、俺の一存で処理しておく。ただし忠告だ。即決即断も大事だが、一旦持ち帰って誰かに相談する事も大事だ。特に今回の件は流れに任せて即断即決しなければこうはならなかったからな。もしくは俺かキャサリンを呼べば何とかなったろうに。良い勉強になったな。」
「はい……」
俺の頭は申し訳なさでいっぱいだった。
皆もなんだか元気が無かった。
特にアリサとポールは深刻だ。
せっかくハッピーエンドかと思ったら、実は掌の上だったとか、まじで凹むよな。
ギルド内はいつも通り朝から依頼争奪戦を繰り広げていた。
それぞれの実力にあった依頼を選んでいるかと思いきや、先に大量に取ってあとで吟味して戻すみたいなやり方をしている人もいた。
それ自体ルール違反では無い様だけど、戻された依頼書は既にぐしゃぐしゃでなんだか可哀想に思えてしまった。
一応は依頼なんだから、書類は大事に扱おうよって思ってしまうのは、俺がこの世界の人間じゃないからなのかな?
そんなやり取りを横目に、俺たちはいつも通りキャサリンさんの受付カウンターへ足を運んだ。
キャサリンさんの窓口の隣に若い受付嬢が居るんだけど、そこは大渋滞をお起こしていた。
別にキャサリンさんが不人気な訳では無くて、どうやら新人さんらしく手間取っているようだった。
先輩受付嬢も手伝って何とか捌いていくけど、新人さんが一組捌く間にキャサリンさんは三組捌けているので、処理速度は一目瞭然だと思う。
受付カウンターに設置されたパソコンのような魔導具でテキパキと処理していくキャサリンさん。
この辺りの処理能力の違いが、新人さんとの差なんだろうな。
これもまた現代日本と同じ構図かもしれない。
「おはようございますキャサリンさん。シャバズのおっちゃんはいますか?」
「おはようカイト君。ごめんなさい私今忙しいからそのまま執務室へ向かって。絶対いるはずだから。っていうより、帰ってないはずだから……」
憐れみの視線を向けたキャサリンさんから許可をもらい、俺たちは二階にあるギルマスの執務室へ向かった。
勝手知ったるなんとやらというくらいここに来ているので特に迷うことは無かった。
ただ、俺たちには覚悟が足りなかったんだ……
コンコンコン
「おう、入れ。」
「お邪魔します。」
シャバズのおっちゃんは誰何をすることなく俺たちに入室許可を出した。
俺たち以外来る予定が無かったのか?
「ようやく来たな……まぁ座れや。」
目の下に隈が出来ているシャバズのおっちゃん。
おそらく寝ずの作業だったんだろうな……
「その……何と言って良いのか……。ごめんなさい。」
俺は堪らずシャバズのおっちゃんに頭を下げてしまったのだった。
皆もなんとなく察したようで、同じように頭を下げた。
入り口付近で全員が頭を下げる絵面……なんとなくブラック企業臭がしてきそうだった。
「頭を下げるくらいなら、問題をこっちに寄越すんじゃねぇよ。」
「それは殿下に文句を言ってくれよ。あの人が引っ掻き回してきたんだから。ぎりぎりの妥協点がソコだったってだけからさ。」
俺はおっちゃんからの物言いに、すかさず反論した。
全て俺が悪いみたいな言い方はやめてもらいたい。
むしろ俺としては巻き込まれている感じが強いのだから。
「で、今日はその件で来てもらった訳だが……。いったいお前ら何をやらかしたんだ。嬢……今は殿下か。殿下からの火急の知らせで手紙が届いたぞ。しかもリサを〝ダンジョン内不明者リスト〟に加えろとか無茶ぶりも良い所だ。」
「その件に付いても問題発生って訳じゃないけど、殿下が先に芽を摘もうって考えたらしいからな。で、妥協案でリサを死亡した事にしちゃえって。ギルドで死亡扱いにして、新しい冒険者証を発給してもらえば問題解決だろ?この世界で冒険者証ほど公正な一般人用身分証は無いからさ。」
おっちゃんはなんだか渋っている様だけど、これでやっていかないと何とも出来なくなるんだよな。
俺としては問題無いと思っているんだけど、殿下的には面倒を避けたいって事と、いくらでも言い訳の利く状況を作りたいって事なんだと俺は考えている。
実際問題リサが死亡した事になった場合、遺体返還要求が必ず来るだろう。
でも〝ダンジョン内不明者リスト〟に入っていると、遺体が捜索不可って事になる。
しかも冒険者証が別のモノになってれば、それは別人だとギルドが認めた事になる。
つまるところ、正式に別人だって断言されるって事だ。
この辺は現代日本でも役所が偽造した身分証だった場合、正式な身分証になるのと同じだ。
こっちの世界だとそれが余計にまかり通ってしまいそうだ。
「わぁ~てるよ。【トリスタン王国】との兼ね合いだろう?しかも正教会が絡んでくる可能性も視野に入れての対応だ。さすがの俺でもそれくらいは分かるさ。だがな、やって良い事と悪い事がある事も理解しろ。今回のは悪い方だ。」
おっちゃんの目が本気で怒っているのが見て取れた。
確かにそうなんだよな。
おっちゃんに不正するように上から圧力がかかっている状況になっているんだ……
……ごめんおっちゃん……
「ごめん……。浅はかな考えだった……。」
俺は謝るしか出来なかった。
あの場を収めてかつアリサを守るって考えると、この方法が一番だと思ってしまった。
殿下も反対しなかったし、問題無いのかと考えてしま……
ってちょっと待てよ……
あ!!くそ!!やられた!!
考えが顔に出ていたみたいで、おっちゃんがニヤリと笑っていた。
「やっと気が付いたみたいだな。殿下にまんまと乗せられおって。少しは腹芸を覚える様にって言ってただろうが。」
「ハンス隊長にも言われていたけど……。」
まんまと殿下に一杯食わされたようだ。
殿下はあくまでも〝俺たちからの要請を飲んでおっちゃんに圧力をかけた〟という形が取れる。
事の最後まで知らぬ存ぜぬを通せる立場に居るわけだ。
国の対応としては一番いい形になったともいえる。
まさかここまで読んでの訪問だったんだろうか……
それともあの場の即興でこれを構築したのか……
殿下はなんだかんだ言って王族なんだな。
絶対にソリは合いそうにないや。
「まあ、済んだ事はしゃぁ~ねぇ~。一応王族からの要請だって体で、俺の一存で処理しておく。ただし忠告だ。即決即断も大事だが、一旦持ち帰って誰かに相談する事も大事だ。特に今回の件は流れに任せて即断即決しなければこうはならなかったからな。もしくは俺かキャサリンを呼べば何とかなったろうに。良い勉強になったな。」
「はい……」
俺の頭は申し訳なさでいっぱいだった。
皆もなんだか元気が無かった。
特にアリサとポールは深刻だ。
せっかくハッピーエンドかと思ったら、実は掌の上だったとか、まじで凹むよな。
488
本日 5/2(木)より新作掲載開始しました!!もしよろしければそちらも立ち寄っていただければ幸いです!!手加減必須のチートハンター ~神様の計算を超えて、魔王の手から世界を護ります!! https://www.alphapolis.co.jp/novel/911619238/145877156
お気に入りに追加
3,346
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。