勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

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第5章 ここから始まる女神様?

五十一日目① 用途不明なドロップアイテム

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 【湿原のダンジョン】を探索した翌日、俺はデイジーと昨日のドロップアイテムの確認を行っていた。
 ほとんどが魔石(小)とスライムゼリーだった。
 倒したモンスターが【マッドスライム】と【スライムアシッド】の2種だった事もある。
 ただ、一つだけ違う物が有ったので鑑定してみたんだけど、これまた困った事になった……

——————

弱酸性液:スライムアシッドの体液。薬品の素材。中間素材。

——————

 使い道が良く分からなかったのだ。
 しかもレシピが解放されたならまだマシだけど、そのレシピ開放も無かった。
 おそらく他に必要な素材が有るのかもしれない。
 こればっかりは集めてみない事には分からない。

「とりあえずこんなところだねぇ~。素材の売却はどうする?」
「どうしたもんかな?売却したところで、どれくらいになるんだ?」
「分かんない……」
「だよなぁ~」

コンコンコン

 デイジーと二人で悩みながら唸り声を上げていると、後ろからノックする音が聞こえた。
 音のする方を見ると、エルダが迎えに来たようだった。

「どうしたの?そんなに難しい顔をして。ドロップアイテムの整理してたんでしょ?困り事でもあったの?」

 エルダは俺たちが困り顔で唸っていたもんだから、心配になったみたいだ。
 その一言一言もずっと疑問形だった。

「いやな、ドロップアイテムが魔石(小)とスライムゼリーと弱酸性液だったんだ。新しい物で弱酸性液があったから、ついに新しいレシピが解放か?って思ったんだけど、何も無かったんだよ。お陰様で使い道が全く分からない。エルダは何か知ってる?」

 俺の質問に、エルダも何かを思い出そうと必死に記憶を辿っていた。
 一瞬閃き懸けるも何か違うと、また考え込んでしまった。
 エルダに振ってしまって申し訳ない事をしてしまったかもしれないな。
 俺も必死に考えるも、全く分からなかった。
 すると、エルダがはっと閃いた様に顔を上げた。

「そうよ、ここで悩んでも仕方がないし、キャサリンさんに聞いてみるのが早いわ。」

 確かに!!
 困った時のキャサリン先生だな、うん。

「どちらにせよ一度冒険者ギルドに顔を出すから、その時にでも聞いてみるよ。」
「そうすると良いわ。じゃあ、朝食にしましょう。」

 エルダは朝食で呼びに来ていたのに、俺たちと一緒になって考え込んでしまったようだ。



 俺たちが一階に降りると、店は朝食の配膳で大忙しだった。
 レティシアとキキョウも手伝っているみたいで、なんだか板に付いていた。

「おはようみんな。」
「おはようございます、カイトさん。」

 リサは最近、やっと俺の目を見て挨拶してくれるようになった。
 昨日の戦闘中も目を見てアイコンタクトを取れたし、少しは信用してくれたのだろうか?

「カイト、今日はどうするつもりだ?」

 すでに席についていたポールが軽いあいさつの後、今日の予定について確認してきた。
 
「それなんだけど、今日は午前中冒険者ギルドかなって思ってる。昨日丁度レンガも納品されたし、俺の方で簡易溶鉱炉を製造して納品って感じだと思う。」
「……そうか、じゃあ俺とナンディーで護衛に付く。」

 ポールは少し考えるそぶりを見せると、行動予定を立ててくれた。
 二人が付いてきてくれればほぼほぼ問題はない……はず?
 
「そっか。よろしくポール。ナンディー……ってナンディーは?」

 俺はポールに頭を下げてからナンディーを探した。
 しかし、俺たちのいるテーブル付近にはその姿が無かった。
 しばらくすると、外からナンディーが入ってくるのが見えた。
 何かあったんだろうか?

「ナンディーおはよう。どうしたの外なんて出て。」
「いえいえどうって事はありませんよ。ただご近所のゴミ掃除をしていただけですから。」
「?」

 ナンディーの返答に俺が頭にはてなマークを浮かべていると、ポールたちも少し困り顔をしていた。
 まあ、大方俺が降りてくるまでの間に何か問題があって、ナンディーが処理してきたってところが正解だと思うけど……
 いったい何があったんだろうか。
 たぶん、聞いても教えてはくれないだろうな。
 その辺過保護過ぎないかとも思うけど、無理に聞き出すような事でもないのかもしれない。

「お、起きて来たな。それよりもカイトが俺に預けた肉のお陰でこっちはテンテコマイだ。」
「あ、おはようございますダニエルさん。良い肉だったでしょ?」

 厨房から左手に拳を作り右肩を叩きながらダニエルさんが出て来た。
 朝からかなりのペースで朝食の準備をしていたみたいだ。
 レティシアとキキョウも手伝ったようで、それについては感謝された。
 配膳はワカタケとハバナも手伝ったようだ。

「だいぶ忙しそうですね。」
「そりゃもうおかげさんで。豚丼がバカ売れだよ。」

 まあそうだよな。
 使ってるのがオーク肉なんだからさ。
 俺が最初に食べた時は養豚の豚肉を使っていたんだけど、今は俺が納品したオーク肉を使っている。
 値段も少しだけ値上げしたはしたけど、微々たるものだ。
 本当にダニエルさんの漢気を感じるよ。
 後で追加のオーク肉を納品する事にしよう。
 どうせ俺のアイテムボックスに仕舞っていても、ダンジョンで食べる以外に今のところ使い道が無いから。
 そのお陰様もあってか、あまり金に余裕が無い初心者冒険者がこぞって食べに来ている。
 そのせいもあって、朝から食堂が大賑わいになっていた。
 初心者冒険者はここで朝食を摂ってから、ダッシュで冒険者ギルドへ行って依頼書争奪戦を繰り広げているんだろうな。
 俺としてはそれを通して冒険者同士の交流が始まると思っていたけど、現実は違ってしまったな。
 まあ、今の生活の方がゆっくり出来て良いんだけどさ。
 せっかく異世界に来たんだから体験はしたいでしょ?

「ははは、大繁盛で何よりです。」
「言ってろ。」

 そう言いつつも嬉しそうにしているところを見ると、冒険者たちが美味そうに飯を食っている姿が何よりなんだろうな。
 さすがダニエルさんだ。

 あまり長居をしても他の客の迷惑になるだろうから、俺たちも早めに朝食を済ませる事にした。
 さすがに朝から豚丼を食べられるほど胃が丈夫じゃないから、俺は普通の朝食セットを頼んだ。
 誰とは言わないけど、朝から豚丼3杯食べた人がいた……
 誰とは言わないよ……
 ポール、そこで微笑ましい物でも見るような態度を取らないでよ。

 そして俺とポールとナンディーは、予定通り冒険者ギルドへ向かった。
 残った女性陣には買い出しをお願いしてある。
 ポーション類が不足してきたので、素材の購入を頼んだのだ。
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