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第5章 ここから始まる女神様?
五十日目⑫ 結果……クラフトバカだった件
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「カイトちょっと良いかしら。」
俺が変なことを考え込んでいると、背後からエルダが話しかけてきた。
ヤバいな、全然気が付かなかった。
「ん?あ、あぁ、構わないよ。どうしたの?」
俺が慌ててエルダに向けて返事をすると、近くに居たはずのポールの姿が無かった。
ポールは、今はリサとデイジーの側に居るようだ。
いつの間に移動したんだ?
「ポールがね、話の途中でカイトが思考の海に飛び込んだって言ってたんで心配になったのよ。」
「ごめん。さすがにダンジョンでこれはまずかったね。」
どうやらポールは、俺があまりにも深く考え込みすぎて反応が無くなった事で心配になったらしい。
それをエルダに相談した事で、いまこうなっているみたいだ。
「それは気を付けるようにしてね。もしこれで襲われたら、私もフォローが間に合わないから。」
「ご、ごめん。」
「それで、これからどうするの?カイトもリサもスライム退治には慣れてきたようだし、フロッグ種と戦うために下に降りる?」
エルダが確認してきたのは下に降りるか否かと言う事だった。
しかし、時間も大分遅くなっている気がする。
本来は第2層まで足を延ばすつもりだったけど、すでに外の時間は夕方近いはずだ。
「いや、今日は引き上げよう。見てくれよ、なんだかんだで俺の手は震えてるよ。」
俺はおどけた感じで今の身体の状況を説明した。
さすがに今回は俺でも分かるほどに消耗が激しかったようで、両手共に握力の低下がみられた。
初めての地形で初めてのモンスター。
なんだかんだで消耗していたらしい。
それを自覚出来ただけ成長したんだろうなと思ったりもした。
「カイト、撤収で良いのか?」
「そうするよ。さすがにこの手じゃ更に強い敵とは戦えない。」
震える手をポールに見せると、一つ頷いて理解を示してくれた。
その表情はどこか嬉しそうだった。
「いきなり思考の海に飛び込んだり、手が震えているのは消耗の証でもある。よく決断が出来たよ。これが若い冒険者なら無謀にも第2層に突撃してただろうな。」
「さすがにそこまで無謀じゃないさ。」
俺の返答に満足したのか、ポールの表情は明るかった。
どうやらかなり心配させてしまっていたようだ。
リサを見ても、大分消耗が激しそうだった。
まぁ、あれだけ動き回ればそうなるよねってところか。
「あ、そうだ。ドロップアイテム確認してなかったけど、誰か拾ってくれてた?」
俺はふと、自分が戦いに夢中になりすぎてドロップアイテムを拾っていなかった事に気が付いた。
やはり、ここでも周りに目を向けられていなかった事が良く分かるね。
「大丈夫だよぉ~。私が預かってるから。戻ったら全部出すねぇ~。」
「ありがとうデイジー。助かったよ。」
俺がデイジーに頭を下げると、何でも無いよとデイジーが返してきた。
うん、仲間の存在って本当に助かるね。
「おや?話は終わりましたかな?カイトさん回復はいかがです?今リサさんも回復し終えたので、もう少ししたら行動に移れそうですよ。」
「そうか……。今日はこれで探索は終了にするよ。それと回復頼んでいいかな?手の感覚が若干怪しいんだ。」
俺が自分の不調箇所を伝えると、ナンディーはふむふむと言いながら俺の身体を隅々まで見回していた。
そして一つ頷くと、【回復魔法】をかけてくれた。
淡い緑色の光が俺の身体を覆うと、かすり傷などが無くなっていくのが良く分かる。
両手をにぎにぎと握ってみると、手に感覚が戻ってきているのが分かった。
ありがたい。
「ありがとうナンディー。助かった。ところでなんでさっき俺の身体を見回していったんだ?」
「それはですね、昔の【勇者】一行に随伴していた【聖女】様の教えです。【回復魔法】はただかけるだけでも回復する。しかし、きちんと人の身体を学び、何をしたらどう回復するか、それをイメージ出来れば更に回復は力を増していく。そう言い伝えられているのです。」
またここでも勇者様案件だった……
おそらくその【聖女】も医学をかじった転移者か転生者だろうな。
先輩たちには頭が上がらないよ。
「よし、それじゃあ戻ろうか。」
俺たちはこうして【湿原のダンジョン】の初回探索を終えたのだった。
冒険者ギルドに戻ると、キャサリンさんから木工ギルドからの伝言を教えて貰った。
予定通りレンガ400個が完成したらしい。
さすがエドワードさんだ。
俺は早速レンガを受け取りに木工ギルドへと向かった。
といっても、先に女性陣は【森のアナグマ亭】に戻ってもらった。
夕食の件もあるので、二手に分かれた形だ。
「お、来たな。裏手に回れ。そこにすべてを置いてきた。」
どこぞの海賊王でも見ているようで何とも言い難かった。
もしかして、勇者様は俺とあまり変わらない年代の人間だったのかもしれないなって思ってしまった。
裏手に回ると、出来上がったレンガが綺麗に積み重なっていた。
しかも崩れないようにきちんと台を使ってくれている。
「こいつで問題ないか?」
「はい、全く問題ないです。それにしてもよく間に合わせましたね。もっと遅くなるかと思ってました。」
「あぁ、それな。実は職人たちが作業になれたら、どんどんペースアップが進んだんだよ。効率重視で作業を進めた結果……トータル500個のほかに200個の余剰分まで作成できた。これも君のお陰だ。ありがとう。」
そんなに大それたことしてないんだけどな……
俺は500個のレンガを収納箱(簡易)に入れられるだけ入れて持ち帰る事にした。
これで明日は晴れて簡易溶鉱炉の作成日だ。
なんだかんだでワクワクが止まらなかった。
俺が変なことを考え込んでいると、背後からエルダが話しかけてきた。
ヤバいな、全然気が付かなかった。
「ん?あ、あぁ、構わないよ。どうしたの?」
俺が慌ててエルダに向けて返事をすると、近くに居たはずのポールの姿が無かった。
ポールは、今はリサとデイジーの側に居るようだ。
いつの間に移動したんだ?
「ポールがね、話の途中でカイトが思考の海に飛び込んだって言ってたんで心配になったのよ。」
「ごめん。さすがにダンジョンでこれはまずかったね。」
どうやらポールは、俺があまりにも深く考え込みすぎて反応が無くなった事で心配になったらしい。
それをエルダに相談した事で、いまこうなっているみたいだ。
「それは気を付けるようにしてね。もしこれで襲われたら、私もフォローが間に合わないから。」
「ご、ごめん。」
「それで、これからどうするの?カイトもリサもスライム退治には慣れてきたようだし、フロッグ種と戦うために下に降りる?」
エルダが確認してきたのは下に降りるか否かと言う事だった。
しかし、時間も大分遅くなっている気がする。
本来は第2層まで足を延ばすつもりだったけど、すでに外の時間は夕方近いはずだ。
「いや、今日は引き上げよう。見てくれよ、なんだかんだで俺の手は震えてるよ。」
俺はおどけた感じで今の身体の状況を説明した。
さすがに今回は俺でも分かるほどに消耗が激しかったようで、両手共に握力の低下がみられた。
初めての地形で初めてのモンスター。
なんだかんだで消耗していたらしい。
それを自覚出来ただけ成長したんだろうなと思ったりもした。
「カイト、撤収で良いのか?」
「そうするよ。さすがにこの手じゃ更に強い敵とは戦えない。」
震える手をポールに見せると、一つ頷いて理解を示してくれた。
その表情はどこか嬉しそうだった。
「いきなり思考の海に飛び込んだり、手が震えているのは消耗の証でもある。よく決断が出来たよ。これが若い冒険者なら無謀にも第2層に突撃してただろうな。」
「さすがにそこまで無謀じゃないさ。」
俺の返答に満足したのか、ポールの表情は明るかった。
どうやらかなり心配させてしまっていたようだ。
リサを見ても、大分消耗が激しそうだった。
まぁ、あれだけ動き回ればそうなるよねってところか。
「あ、そうだ。ドロップアイテム確認してなかったけど、誰か拾ってくれてた?」
俺はふと、自分が戦いに夢中になりすぎてドロップアイテムを拾っていなかった事に気が付いた。
やはり、ここでも周りに目を向けられていなかった事が良く分かるね。
「大丈夫だよぉ~。私が預かってるから。戻ったら全部出すねぇ~。」
「ありがとうデイジー。助かったよ。」
俺がデイジーに頭を下げると、何でも無いよとデイジーが返してきた。
うん、仲間の存在って本当に助かるね。
「おや?話は終わりましたかな?カイトさん回復はいかがです?今リサさんも回復し終えたので、もう少ししたら行動に移れそうですよ。」
「そうか……。今日はこれで探索は終了にするよ。それと回復頼んでいいかな?手の感覚が若干怪しいんだ。」
俺が自分の不調箇所を伝えると、ナンディーはふむふむと言いながら俺の身体を隅々まで見回していた。
そして一つ頷くと、【回復魔法】をかけてくれた。
淡い緑色の光が俺の身体を覆うと、かすり傷などが無くなっていくのが良く分かる。
両手をにぎにぎと握ってみると、手に感覚が戻ってきているのが分かった。
ありがたい。
「ありがとうナンディー。助かった。ところでなんでさっき俺の身体を見回していったんだ?」
「それはですね、昔の【勇者】一行に随伴していた【聖女】様の教えです。【回復魔法】はただかけるだけでも回復する。しかし、きちんと人の身体を学び、何をしたらどう回復するか、それをイメージ出来れば更に回復は力を増していく。そう言い伝えられているのです。」
またここでも勇者様案件だった……
おそらくその【聖女】も医学をかじった転移者か転生者だろうな。
先輩たちには頭が上がらないよ。
「よし、それじゃあ戻ろうか。」
俺たちはこうして【湿原のダンジョン】の初回探索を終えたのだった。
冒険者ギルドに戻ると、キャサリンさんから木工ギルドからの伝言を教えて貰った。
予定通りレンガ400個が完成したらしい。
さすがエドワードさんだ。
俺は早速レンガを受け取りに木工ギルドへと向かった。
といっても、先に女性陣は【森のアナグマ亭】に戻ってもらった。
夕食の件もあるので、二手に分かれた形だ。
「お、来たな。裏手に回れ。そこにすべてを置いてきた。」
どこぞの海賊王でも見ているようで何とも言い難かった。
もしかして、勇者様は俺とあまり変わらない年代の人間だったのかもしれないなって思ってしまった。
裏手に回ると、出来上がったレンガが綺麗に積み重なっていた。
しかも崩れないようにきちんと台を使ってくれている。
「こいつで問題ないか?」
「はい、全く問題ないです。それにしてもよく間に合わせましたね。もっと遅くなるかと思ってました。」
「あぁ、それな。実は職人たちが作業になれたら、どんどんペースアップが進んだんだよ。効率重視で作業を進めた結果……トータル500個のほかに200個の余剰分まで作成できた。これも君のお陰だ。ありがとう。」
そんなに大それたことしてないんだけどな……
俺は500個のレンガを収納箱(簡易)に入れられるだけ入れて持ち帰る事にした。
これで明日は晴れて簡易溶鉱炉の作成日だ。
なんだかんだでワクワクが止まらなかった。
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本日 5/2(木)より新作掲載開始しました!!もしよろしければそちらも立ち寄っていただければ幸いです!!手加減必須のチートハンター ~神様の計算を超えて、魔王の手から世界を護ります!! https://www.alphapolis.co.jp/novel/911619238/145877156
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