勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

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第5章 ここから始まる女神様?

五十日目⑦ 準備は大事だよねって話その1 新しい戦い方

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「どうしたのあなた達……。心ここにあらずって感じね?」

 なんとか冒険者ギルドにたどり着いた俺たちは、すでに疲れ果てていた。
 それを見たキャサリンさんがとても心配そうにしていたので、小声で事の概要を伝えた。
 さすがのキャサリンさんも【破壊された魔導剣】と【新緑の宝珠】については驚いたようで、俺たちの疲れた理由も理解してくれた。

「なるほどねぇ。【破壊された魔導剣】と【新緑の宝珠】については一度魔導具ギルドに行ってみるのもいいかもしれないわね。あそこなら【破壊された魔導剣】を修復出来る職人を紹介してくれるかもしれないわ。それと【新緑の宝珠】についての詳しい情報も聞けるかもしれないしね。」

 確かにそれが一番いいかもしれないと思えた。
 【新緑の宝珠】については素材として俺が保管しているしかないよな……

 それから俺たちはキャサリンさんを交えて、今後の攻略予定を立てていく。
 俺の今の目標は【鉱山跡地ダンジョン】第十層のリザードマンを倒して装備品を作ることだったので、やはりエルダと決めた通りに湿地帯のダンジョンである【湿原のダンジョン】を目指すのが一番いいのではという事になった。
 装備としても今はオークの皮を使った装備になっているので、特に問題ないだろうとの事だ。
 本当にエルダってすごいな。
 エルダが予定した通りになっている。
 Cランク冒険者ってだけあって、きちんとした裏打ちのある経験と情報を持っているんだろうな。

 俺がエルダを見つめていると、何故かそっぽを向かれてしまった。
 俺何かしたかな?

 そんな俺たちのやり取りを見つめていたナンディーが、何故か温かい目で見つめて来たので、何んだかモヤッとしてしまった。

「そう言えばキャサリンさん。【湿原のダンジョン】はスライム系のモンスターが主流だって聞いていましたけど、その他に注意点ってありますか?」

 俺は前のダンジョン攻略の際と同じ轍を踏まないように、出来る限り情報を集めるようにしようと思っていた。
 丁度キャサリンさんもいるので、確認するにはもってこいだ。
 それに、今攻略中の場所というのはD~Fランクが攻略する階層なので、既に情報が出回っていたりする。
 これがA~Bランクのダンジョンだったり、この前の【緑人の住処ダンジョン】のような新規ダンジョンでもない限り、情報不足というのはそうそう起こりえないことだ。
 あるとしたら、【イレギュラー】くらいだ。

「そうね……。あとはフロッグ種や水棲生物種のモンスターも多いわ。でもやっぱりメインはスライムね。あそこに出現する【イレギュラー】もスライムなはずよ。とりあえずは第1層第2層あたりだと遭遇することは無いから安心していいわ。それに、あそこを探索のメインにしているパーティーもいるから【イレギュラー】は大体狩られているから大丈夫よ。」

 なるほど、やはりスライムがメインか。
 となると、俺も魔法を使ってく必要がありそうだな。
 スキルレベルを上げるのには丁度良いかもしれないな。

「スライムの弱点とかってありますか?」
「そうね、スライム種は打撃が効き難いわね。フロッグ種は逆に斬撃が聞き難いわ。共通しているのは水属性以外の魔法が効き易いってところかしら。」

 これまた予想通りで助かるよ。
 これなら俺たちでも問題無く戦えそうだな。
 若干ポールとナンディーが暇を持て余しそうな気もしなくはないけど。
 あ、【付与魔法】でどうにかなるかな?
 俺はリサにその辺も確認してみたんだけど、リサのスキルレベルではまだ属性の【付与魔法】は習得していないそうだ。

 リサはそれを俺に伝えると、とても申し訳なさそうにしていた。
 別にそこまでならなくてもとも思ったけど、女性陣からの視線がきついので口を閉ざすことにした。
 うん、解せん!!

 リサを女性陣が慰めている間に、俺とポールとナンディーは作戦会議を始めた。

「状況次第ではポールとナンディーって戦いづらいんじゃないの?」
「ふむ、そうですな。私の場合は最悪聖属性魔法で何とでもなりますが、ポールさんはどうなんでしょうね?」
「俺は特に問題ない。スライムは打撃に弱いだけで、刺撃も弱点のうちだ。フロッグ種に関してはひっくり返せば腹が弱点で、そこは刃物も問題ない。要は戦い方でどうにでもなるということだ。」

 なるほどね。
 戦い方ひとつでどうとでもなるってことは、何度も失敗を繰り返してきた証かもしれないな。
 デイジーもポールもなんだかんだ言ってCランク目前の冒険者なんだものな。
 俺に比べたらとてつもない量の経験を積んできているはずだ。
 それにエルダもCランク。
 戦い方についてはエルダ、デイジー、リサの3人に任せるのが一番いいかもしれないな。

「なに、カイトは遠い目をしているの?あなたも魔法が使えるんだから戦うに決まってるでしょ?」
「いや、俺の射程距離知ってるだろ?ほぼほぼ接近戦しか出来ないんだぞ?」
「なら接近戦で使えるようになればいいじゃない?」

 デイジーの一言で俺はハッと思った。
 そうだよ、遠距離攻撃だけが魔法攻撃じゃないんだよな。
 接近戦で当てたっていいんだよ。
 なのになんで俺は遠距離攻撃って勝手に決めつけて使おうとしなかったんだ?

「デイジーありがとう!!皆、今回のテーマは〝魔法戦〟ってことで行きたいんだけど良いかな?俺も前衛に出て近接魔法戦をやってみたいと思う。」
「いいんじゃないか?特にカイトは姿を消してからの不意打ちが出来るんだから、そこに魔法を組み合わせるのもありだろうし。」

 確かに馬鹿正直に突っ込むだけが戦術じゃないよな?
 こそっと隠れてこそっと近寄ってドガンと当てる。
 これだって立派な戦術だ。

「近接戦闘で、思考のみで魔法を使えるようになれば、さらに幅が広がるんじゃないかしら?」

 ナイスエルダ!!それが出来たら俺無双出来るんじゃないか?

「そんなスキルあるんだ!?それなら絶対習得したいな!!」
「いえ?聞いたことないわよ?キャサリンさんはどうですか?」
「え?私もないわね?」

 ちょっと待て!!
 その期待させておいて落っことすって、どんな高等テクニックですか?!

「カイトさん。スキルはありませんが技術としては存在します。弛まぬ努力の先に道は開けるのです。」
「ナンディー……」

 ナンディーだけが俺の理解者だ。
 ナンディーは俺の事をきちんと分かってくれているんだな。
 よく見ると、ナンディーの後ろに何やら後光が差しているように感じる。
 これは祈っておいた方がいいのだろうか……
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本日 5/2(木)より新作掲載開始しました!!もしよろしければそちらも立ち寄っていただければ幸いです!!手加減必須のチートハンター ~神様の計算を超えて、魔王の手から世界を護ります!! https://www.alphapolis.co.jp/novel/911619238/145877156
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