勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

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第5章 ここから始まる女神様?

五十日目③ 石釜戸の有用性

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 ギルマスとの話し合いを終えた俺は、冒険者ギルドの倉庫の一角に来ていた。
 今日はここで大工ギルドの職人さんに、レンガ作成を手伝ってもらう事になっている。
 必要数が必要数だけに、人海戦術で一気に作成したいと思ったからだ。

「とりあえず、予定分の石釜戸を作っておかないとな。場所は……このあたりで良いか?」

 ギルドから間借りしている場所は、倉庫の入り口を入ってすぐの左手奥だ。
 俺が火を使うのを考慮して、換気設備がある場所を貸してくれたのだ。
 と言っても、片付けたのは俺とデイジーなんだけどね。
 アイテムボックス持ちだとギルドにはばれているから、ことのついでとこの倉庫の整理をさせられたんだよね。
 お陰で、タダで貸してもらえたんで良かったんだけけど。

 簡易溶鉱炉もその側に在るので、今回はここに設置する事にする。
 使わなかったら使わなかったで、良いかなって。
 最悪廃棄するなりなんなりすればいいし。
 というわけで早速製作に取り掛かった。

 収納箱(簡易)から、事前に準備しておいた石を100個取り出した。
 そうは言っても、これまたアイテムボックスが役立つんだけどね。
 そう考えると、前にノリでポールに鉄材造りを手伝わせたけど、あの鉱石を素手で移動させてたって思うと、まじで感謝だわ。
 後で、何かプレゼント出来たら良いな。
 俺はポールに対してのプレゼントについて考えながら、取り出した石を順番に石釜戸へと作り変えていく。

「石釜戸10基」

 すると、設置した100個の石が光に包まれると、どんどんと石釜戸に変わっていく。
 さすがに10基ともなるとインパクトが凄いね。
 ズラリと並んだ石釜戸は町工場といっても良いんじゃないか?って思える光景だった。
 確かにこんなんしていたら、職人さんが悲鳴を上げるよなぁ。

 俺がそんな感じで感傷に浸っていると、後ろから声がかけられた。

「お屋形様、こちらでしたか。木工ギルドマスター・エドワード様他職人方々をお連れしました。」

 振り返ると、そこにキャサリンさんとの打ち合わせを終えたワカタケが、エドワードさん達を案内していた。
 いろんな職人さんたちが来たみたいで、大工や家具職人も混じっていた。
 
「カイトの坊主、約束通り連れて来たぞ。これだけ居れば足りるだろ?」

 エドワードさんに連れられてきた職人さんは総勢で13名。
 俺の予定より3人多いようだ。
 まあ、材料運びもあるんでそのまま作ってもらう事にした。

「よろしくお願いします。それと、無理を聞いてもらってありがとうございます。」

 俺がエドワードさんに頭を下げると、なんだか困ったような表情を浮かべていた。

「それがだな……。カイトの坊主に〝石釜戸は職人の仕事を奪う事になるから反対だ〟って言った手前言い辛いんだが、現場に居たレンガ職人の見習いが試しにって、置いていった石釜戸を使わせてみたんだわ。そしたら出来上がったレンガが、(高品質)では無いものの(並品質)だって事が分かったんだ。でな、建設現場の職人曰く、今までは品質が揃ってなくて困り果てていたっていうんだ。それに細工レンガに至っては、上位のレンガ職人クラスじゃなきゃ、まともな物が作れなかった。と言う事でだ……悪いんだが、こいつにしばらくの間使わしてもらってもいいか?レンガ職人たちにも時々派遣して、色々試してもらって意見を聞きたいんだわ。だめか?」

 俺としては特に問題も無い事だったのでOKしたいところだけど、ここはあくまでも冒険者ギルドの倉庫だし、入り浸るのはまずいだろうなって思ってしまった。

「ちょっと冒険者ギルドのギルマスに確認しないと、返答は出来ませんよ?」
「だったらよ、この石釜戸?を移設する事は可能か?可能なら木工ギルドの工房に持って行ってもらいたいんだが。」

 俺がここでの作業に難色を示すと、エドワードさんは代替案として木工ギルドの工房を貸してくれるという事を提示してきた。
 俺としてはそれだったら全然問題無いので即OKした。

「よし、じゃあ早速で悪いが何基貸してもらえるんだ?」
「ここに並んだ10基なら問題ありませんよ。今日の為に準備した奴ですし。終わったら廃棄予定ですからね。」

 俺がそう言うと、エドワードさんの目がギラリと光ったような気がした。
 例えるなら……そう、獲物を前にした猛禽類の様な鋭い目つきに感じた。

「じゃあ、さっそく頼む。レンガの材料はこっちで手配するから問題無い。で、数はいくつ必要なんだ?」
「数はレンガ400本です。予備にあと100本くらい作る予定だったのでおそらく今日いっぱいはかかるかなって踏んでました。」

 数を聞いた瞬間に、後ろに控えていた職人さんたちの顔色が変わった。
 そりゃあもう、血の気が引いたって感じの顔色で、中には冷や汗を流している人も見受けられた。

「おいおいカイトの坊主、何かの冗談か?400本っていや、数日掛けで作る量だぞ?」
「あれ?エドワードさんも観ましたよね?ってか作りましたよね?粘土準備して指定してやれば一瞬ですから。SP次第で今日中には完成しますよ?」

 おかしいな?確かにエドワードさん自分で作ったよね?

「確かに作りはしたが……」
「なら問題無いですって。予備の100本は無理に作らなくても、最悪自分で作りますから。まずは木工ギルドの作業場へ行きましょう。」

 いまいち理解出来ていない職人さんたちと共に、俺は木工ギルドへと向かう事にした。
 ワカタケには一度【森のアナグマ亭】に戻ってもらい、事情説明を頼んでおいた。
 一応護衛としてポールに来てもらえるようには伝えたけど、何となくナンディーが来そうな気がしている。
 エルダが迎えに来るといって、ナンディーが一人だと危ないとか言ってそうだな、うん。
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