勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

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第5章 ここから始まる女神様?

四十八日目⑥ スキルの疑念とナンディーからの指摘

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 俺はダンジョンに入ってからすぐに【職業:鉱山師】に切り替えていた。
 やはりというべきだろうか、この職業のスキルは採掘系の依頼や準備にものすごく便利だ。
 スキル【マッピング】と連動するスキル【鉱物探知】で効率よく鉱脈を探していく。
 狙いは鉄鉱脈と銅鉱脈。
 おそらくスキルレベルが上がればそのほかの鉱脈を見つけられそうだけど、今はこれで十分だ。
 というか、早くスキル【鉱物探知】が(仮)取れるといいんだど。
 そうしたらもっと使い勝手はよくなるはずだしね。
 
 それから皆に守られながら掘り進めていると、ふと思ったことがあった。
 前にスキル【解体】がメンバーにも波及したことがあった気がした。
 もしかして、スキル【採掘作業】も波及するんじゃないかと言う事だ。
 これが可能だったら、俺の持つスキルはかなり化ける。
 毎度検証するたびに感じるのは、この世界のスキルと俺のスキルは根本的に何かが違う気がする。
 とりあえずその検証は皆と話し合ってからやってみよう。

 それと、正直リサの【付与魔法】を見て思った。
 リサのスキル【付与魔法】は、【付与魔法】を一つのスキルとして認識していた。
 【付与魔法】を覚えるのには勉強は必要らしいけど、その一つ一つはこのスキル【付与魔法】に統括されているらしい。
 エルダのスキル【水魔法】をとってもそうだ。
 【ウォーターバレッド】も【水牢】も同じスキル【水魔法】に統括されている。
 しかし俺の場合は【ウォーターバレッド】単品が魔法スキルとして管理されてる。
 これは明らかにおかしい話だと思う。
 この世界の理で考えたら俺はスキル【水魔法】を習得するのが普通だからだ。
 この件に付いては【勇者召喚】の弊害と言われてしまえばそれまでだけど、それだけではない気がしてならなかった。

 そんなこんなでいろいろ考えながら採掘作業を進めていくと、あっという間で石200個を集めることができた。
 さすがのこのペースにリサとナンディーは驚いていた。
 正直今日丸一日掛るものだと思っていたそうだ
 そう言えば俺のスキルをきちんと見せるのは初めてだったかもしれないな。

「それにしてもカイトさんのスキルは意味が分かりませんね。一人で複数の系統のスキルを使いこなしているんですから。」

 俺が素材の整理をしていると、ナンディーが不思議な顔をして近づいてきた。
 確か、エルダから教えてもらったけど、俺ほど系統がばらばらのスキルを習得している人は聞いたことないらしい。
 ナンディーもそれが気になったようだ。

「そうだね。俺の職業がそれを可能にしているってところかな?」
「確か【職業:なんでも屋】でスキル【DIY】でしたかな?その二つも私は聞いたことがありませんでした。本当に何でもありの職業とスキルなんですね。」

 ナンディーも聞いたことが無かったようだ。
 あれ?おっちゃんその辺の説明をしてなかったの?

「俺はてっきりおっちゃんから聞いてるもんだと思ってたよ。」
「そうですね。話には。しかし、実際に見てみて思いました。完全に規格外ですね。今はまだ経験不足が否めませんが、これらがすべて埋まったころにはものすごい戦力となっている事でしょうね。」

 何だろ、物凄く褒められている気がする。
 裏があるんじゃないかって本気で疑いそうになったよ。
 ナンディーはそう俺に話すと、しきりにあごひげを触っていた。
 リサから聞いていたが、ナンディーが思案するときの癖らしい。
 ということは何かを考えているとかそんな感じかな?

「で、何か聞きたいことがあったんじゃないの?」

 俺は話が進みそうもなかったので、話を振ってみることにした。

「そうですね、聞きたい事というよりは年長者としての苦言でしょうか。おそらくこのままいくと、どこかを極めるまで至らず、器用貧乏で終わってしまわないかと危惧しています。手広くし過ぎてはいませんか?もし誰かに代わってもらえるなら、遠慮なく他の人間を頼るべきです。カイトさんの命と時間は有限ですよ?その事をきちんと考えた方がいいでしょうね。」

 ナンディーから言われて俺もハッとしてしまった。
 俺はゲームの感覚から、まだ抜け出せていなかったのかもしれない。
 一から十まで全部一人でやってコンプリートを目指す。
 やりこみ系のゲームによくあるパターンだ。
 素材も加工も何もかもすべて自分でこなし、戦闘も自分で対応する。
 ほしい素材も全部自分で集めてくる。
 そんな存在に、無意識に憧れていたのかもしれないな。
 頼れるところは頼ったらいい……か。
 今回の石だって、依頼出せば速攻で集まったかもしれないな。
 土や水だってそうだ。
 下手すりゃ汎用性の高い素材や低級の素材は、各ギルドに行けば手に入るはずだ。
 それをなんで意地を張っていたのか……
 なんで自分でそろえる気でいたのか……
 確かに一人で行動してるならそれでもよかったかもしれない。
 でも今は皆がいる。
 皆で冒険者パーティーを組んでいるんだ。
 俺の意味の無い我儘に付き合わせてるのは違うんだ。

 ナンディーが言外に言いたかったことは、きっとこれの事なんだろうな。

「ありがとう、ナンディー。助かったよ。」

 俺が礼を言うと、ナンディーは首をかしげていた。
 あれ?違うの?
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