勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

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第5章 ここから始まる女神様?

四十八日目④ またも言おう……「俺は悪くない!!」

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「この子がレティシア。おっちゃんが譲ってくれた家の守護精霊だ。」

 俺からの紹介を受けたレティシアは、お姫様と見間違う様に優雅に一礼をした。

「私はカイト様のお屋敷を守護しております、【コチハルチア】族のレティシアと申します。」
「もしかしてあの家の……。」

 おっちゃんは察しがついたらしい。
 その通りなんだけどね。

「そうだね、守ってくれていた守護精霊だ。ちなみに木工ギルドのギルマス・エドワードさんが妹さんの為に贈ったネックレスだそうだ。」
「そうか……。あの子らの家を守ってくれてどうもありがとう。」

 おっちゃんはレティシアに向けて、頭を下げていた。
 キャサリンさんもそれに倣い、頭を下げる。
 レティシアは、全く問題ないとにこやかに微笑んでいた。

「で、レティシアさんが何か問題なのか?」

 あらかたレティシアと話ができたおっちゃんは、俺との話を再開した。
 正直、話すかどうか迷ったけど、陛下にも繋いでほしいという思惑もある。
 まあ、後ろ盾になってくれるんだからいいよな?

「驚かないで聞いてくれるか。レティシアはおっちゃんたちが知る通り、【宝石人間】で守護精霊だった。」
「だった?」

 そりゃ食いつくよな。
 おっちゃんは物凄く、不安そうな顔を浮かべていた。
 キャサリンさんも一緒だ。
 明らかに二人から緊張の色がうかがえる。

「そう、だった。今は【職業:女神】【称号:レティシア教主神】になっちまったんだ……。な?意味分かんないだろ?」
「「………………。」」

 二人が固まること約五分。

 先に復活したのはキャサリンさんだった。
 頭の情報を整理したいのか、こめかみをずっとぐりぐりしていた。
 何度も顔を上げてはレティシアを見つめて、また顔をうつ向かせて、大きくため息をついている。
 まあ、そうなるよね……

 少し遅れておっちゃんも復活し、同じくレティシアを見つめている。
 見つめられたレティシアも、物凄く困った様な顔をしていた。
 本人だって困惑しているんだから仕方ないよ。

「カイト、こいつはどういうこった。ありえんだろうこんな事……」
「そう言われてもさ、有り得たんだから仕方がないだろ。しかも隠すのは無理だからな。昨日の夜【森のアナグマ亭】の食事処での出来事だからな……。今頃うわさが広がってんじゃないか……。」

 俺の言葉を聞いたおっちゃんは天井を仰ぎ見て魂が抜かれた様に、急速に力が抜けていく様子だった。
 分かるよおっちゃん。
 現実逃避したいよね。
 でもちゃんと戻ってきてもらわなきゃならないからな?
 まだ話し途中だぜ?

「で、まだ続きがあるんだ。」
「ふむ、ここからは、私がお話したしましょう。」

 そう言うと、先ほどまでレティシアの足元で跪いていたナンディーが立ち上がり、ソファーに座り直していた。

「まず初めに私の職業が変化いたしました。内容は【職業:教祖】【称号:伝道師】となりました。それはもう、天上から光が降り注ぎ、私を祝福する様な……。」

 そう語るナンディーは、またもどこか別の世界に旅立つのではないかと思えるほど、トリップを始めてしまった。

 しまった、今キキョウが居ないんだった!!

ゴン!!

 すると、どこからともなくデイジーが銀のお盆を取り出して、ナンディーの頭に落としていた。
 どうやら、キキョウから託されていたらしい。
 その衝撃で我に返ったナンディーは、みんなに頭を下げて謝罪を行っていた。

「とまあこんな感じで、新興宗教が誕生してしまいました。一応陛下に話を通しておいてもらえないかなと。」

 俺は極めてフランクに、何でもないんだよ?ただ伝えてくれればいいんだよ的空気で頑張って話をしていく。

「カイト……。なんでお前はいつも問題ばかり持ち込むんだ……。」

 おっちゃんの目が真面目に怖いです。
 俺のせいじゃないのに……
 俺悪くないよな?
 俺なんもしてないよ?

「まず分かった……。この件については元老院に報告して、陛下の耳にも入れる。間違っても勧誘活動などしないでくれよ?間違いなく【ユピテル真教】がちょっかいをかけてくるから。最悪異教徒だ、何だと騒ぎ出して、やっと帰ってくれた【勇者モドキ】が戻ってくる可能性すらあるんだからよ。」

 うんそれは絶対にやだ。
 皆の顔を見ても、拒否反応が凄い。
 特にリサとナンディーが能面の様になっていた。

「ナンディー。間違っても街中でレティシアに祈りを捧げたりしないでな?確実に怪しまれるから。いい?」
「えぇ。【勇者モドキ】が来るのに比べたら、耐える方が何倍もましですとも。して、ギルマス。いつ許可が下りるのですかな?」

 おい!!いっている側から布教活動始める気かよ!?
 つかさ、【職業:女神】ってどういうことだよって突っ込みたいよ。
 まさかと思うけど、ユピテルも【職業:神】じゃないよな?
 昔の精霊が神格を得ると【職業:神】になる的な……
 うんやめよう。
 考えていたら絶対またフラグが建つ。

「と言う事でおっちゃん。いろいろ迷惑かけるけどよろしく頼む。」

 俺は精いっぱい頭を下げた。
 俺の真剣な様子にほかの皆も頭を下げている。
 後ろからも音が聞こえたから、レティシアも頭を下げているんだろうな。

「わかってるっつの。たく、ホント災難だよ……」

 ブツブツ言いながらもなんだかんだで助けてくれるギルマスは、本当に頼りになるよな。

 と言う事で、面倒事が完了したので、やっとこれで連携訓練に入れそうだ。
 いざ久しぶりのダンジョンへ行くぞ!!
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