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第5章 ここから始まる女神様?

四十八日目② 戦術会議

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 ってことが昨日の夜に起こっていたのだ。
 今日は出来ればダンジョンで連携の確認とかもしたかった。
 ナンディーは模擬戦である程度分かったけど、リサに関してはまだ良く分かっていない。
 リサに確認したところ、【付与魔術】と【無属性魔法】が主軸になるそうだ。
 直接戦闘はあまり得意ではなく、もっぱら補助がメインになるそうだ。
 それについてはナンディーが太鼓判を押していた。
 確かナンディーはリサと一緒に組んでいたんだもんな。

「リサの【付与魔術】は素晴らしいものがあります。己の実力が一段階上がったような錯覚になるのです。ですので、慢心を生む種にもなりかねません。幸いこのパーティーはそういったことに無縁そうですので問題はないかと思いますよ。」
「私の魔法……すごいのですか?」

 リサは恐る恐る、ナンディーに確認していた。
 おそらく自信が持てなかったんだと思う。

「そうですね、私はそう思います。まぁ、あの【勇者モドキ】には理解ができなかったようですが。特に素晴らしいのは相手への阻害効果ですね。バフでこちらの戦力の底上げ。デバフで相手の戦力を崩す。つまりはそれができる術者なのですよ。」

 確かにそれはすごいな。
 戦術の幅が広がる云々じゃなくて、戦力そのものが広がってしまうのだから。
 ホントなんでうちのメンバーは、優秀な人ばっかりなんだ?

「そういえばナンディーって職業変わったから、スキル構成も変わったりしてるの?」
「そうでした。【回復魔法】と【聖属性魔法】の二つを習得しておりました。ただ、どれだけどう使えるかは未知数ですので、これから確認という状況でしょうか。これもレティシア様のおみt……」
「ストップストップ。もぉ~すぐに自分の世界に入るの良くないよ?今は打ち合わせ中でしょ?」

 トリップしかけたナンディーを、デイジーが止めてくれた。
 俺はあまりにもナンディーのトリップした目が怖くて、声がかけづらかったんだよね。
 さすがわデイジーさん。
 ポールとエルダも若干引いていた。
 リザは……目すら合わせてないな。

「ということはだ、ポールが第一盾職だとしたら、ナンディーが第二盾職って感じかな?そうすると、交代しながら前を支えられるから大分厚みが増すな。」

 ナンディーの動きなら、確実にタンクとしての役割を果たせると踏んでいた。
 しかも【回復魔法】があるから、前衛はかなり安定するはずだ。
 隙あらば、攻撃にも参加できるってマルチすぎるでしょ。

「リサは補助系だと中衛で対応って流れになりそうだね。デイジーがそのフォローかな?」

 リサが前衛にバフをかけてくれれば、前衛はより堅牢になり、中後衛の被害を押さえられるはずだ。
 そうすれば安定してデイジーがダメージを稼いでくれる。

「あとは後衛で砲台役のエルダが火力を補うと。俺は機動性を上げて遊撃部隊かな?どうポール。こんな感じで。」
「あぁ、俺も同じ意見だ。ナンディーには臨機応変に対応してもらうのでいいと思う。あとは俺との連携を上げれば完璧だろうな。」

 よかった。
 ポールも同じ意見なら、まず問題はないだろうね。

「あ、あの。わ、私も攻撃参加……させてください!!」

 これには少しびっくりした。
 リサが自分から戦闘参加を希望してきたのだ。
 俺はてっきり中衛で大丈夫だと思ってたんだけど。

「あ、ご、ごめんなさい。私……の、魔法。【無属性魔法】。決定打にならないけど、弱点もないんです。す、スキル【多重思考】もあるから、攻撃と、補助。ど、同時にこなせます……です。」

 俺は聞いたことの無いスキルだったので、エルダに説明を求めた。
 エルダはこれを知っていたようで詳しく説明してくれた。
 要約すると、同時にいろいろなことを考えられるってことらしい。
 複数の魔法を同時進行とかも可能だそうだ。

「それってものすごく有用スキルじゃないか!!リサ、君ってすごい子なんだね。でもあの【勇者モドキ】も良く手放したよ。」
「カイト。その発言は良くないわ。リサに失礼よ。」
「あ……。ごめんリサ。君を悪く言うつもりはないんだ。本当にごめん。」

 エルダからの叱責で俺は自分の失言に気付くことができた。
 リサも気にしていないといってくれたので良かったけど、言葉には気を付けないとな。

「デイジー。デイジー的にこのフォーメーションで大丈夫だと思いうか?」
「ん~。それだったら私が最後尾の方が良いかも。カイトが遊撃に回ってくれるなら、後方警戒とかもしやすいし。前衛でポールとナンディー。中衛に前衛補助のリサと魔法担当のエルダ。後衛に私が入る。で、カイトが周辺警戒。ってどうかな?」

 確かにそれもいい感じかもしれない。
 結果的にデイジーとエルダのどっちがダメージディーラーになるかってことだな。
 デイジー的にはエルダがダメージディーラーをする方がいいと判断したようだ。

「エルダは?」
「私はデイジーの案に賛成ね。私も【魔光陣】の実践投入を進めたいから。」

 なるほどね。
 ポールとナンディーも反対はないようだ。

「じゃあ、魔法が効きにくい場合はメインをデイジーが。それ以外をエルダが担当するってことで良いかな?その辺は臨機応変に行こうか。」

 話をまとめた俺たちは、【森のアナグマ亭】を出て、一路冒険者ギルドへ向かった。

 ただ俺の足取りはものすごく重い物だった。
 昨日発生した事態をきちんと報告する義務があるからだ。
 きっとシャバズのおっちゃんも卒倒するんだろうな……

 そして俺たちは冒険者ギルドの扉をくぐったのだった。
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