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第4章 ここから始まる勇者様?
四十五日目④ リサと神官騎士その2
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リサについては、ポールとデイジーに一任しよう。
2人ならうまくやってくれるだろうと信じている。
いや、リア充爆発しろなんて思ってないよ?
思ってないったら思ってない。
そう、気にしたら負けなのだから。
それよりも……だ。
さっきからずっとそわそわしている人がいる。
元神官騎士の男性だ。
何かを言いたくてうずうずしている、そんな感じに見受けられた。
「じゃあ、次だ。カイトたちも知っての通りこいつは元神官騎士で、ナンディーモ・コークルっていうやつだ。ただ、こいつはこの前の一件で国に戻る気がなくなったってわけだ。まあ、あの【勇者モドキ】にも辟易していたらしいな。それで、条件付きではあるが亡命を認めたって形だ。」
ちょ、亡命ってあんた!?
そんな人物を俺たちに押し付けるって何考えてんだよ!?
むしろそんな重要人物何人に押し付けちゃっていいのかよ⁈
「おい、おっちゃん。亡命ってどういうことだよ。今初めて聞いたんだけど?」
俺が少し怒気を混ぜて話をすると、何食わぬ顔で「すまん」って言っておっちゃんは話を進めていった。
少しは反省してほしいものだ……けど、絶対反省しないだろうな。
いや、むしろ素直に反省されたら、それはそれで気持ちが悪いなって思ってしまった。
「それで前も話をしたが、カイトたちのパーティーにはナンディーモの教育係になってもらうからそのつもりでいてくれ。」
「いやいや、教育係もなにも……俺まだDランクだぞ?」
そう、俺だってまだまだ駆け出し冒険者だっていうのに、何を教えろって言うんだよ。
むしろ俺も教わってる真っ最中なんだけど?
「いや、カイトには期待してないから安心しろや。ポールとデイジー、それにエルダ。カイトに教えるついででいいから、こいつにも指導をしてくれたら助かる。」
おっちゃんはそう言うと、ポールとデイジーに向かって頭を下げた。
ポールたちだってそこまでされたら嫌だとは言えず、なし崩し的に受け入れる形になってしまった。
まあ、それが家建てる時の条件でもあるから〝いやだ〟はあり得ないんだけどな。
結局のところ、俺腹芸苦手だわ。
狸たちには付いて行ける気がしないよ。
気が付いたら雁字搦めじゃないか……
自由な冒険者家業がまた遠のいていっている気がするよ。
いつになったら自由になるのやら。
「まぁ、ナンディーモの実力については、そんなに心配せんで良いぞ。何なら訓練所を貸すから試しに手合わせしてみたらどうだ。そうだな……カイトと戦えばこいつの実力はすぐにわかるからよ。」
そこまで言われたら、俺だって引き下がるわけにはいかないっての。
なんだかおっちゃんに良い様にされている気がするけど、ここはひとつリーダーとしての威厳を発揮しないとな。
「わかったよ。というわけで申し訳ないけど、訓練所で一手相手してくれないか?」
「ふぅ。やっと私の発言が許されましたね。カイトさんでしたか。ふむ……。わかりました。ではまいりましょうか。」
なんだか良く分からないやつだな。
掴み処が無いっていうか何というか。
今まで相手したことの無い感じがした。
俺たちはおっちゃんの提案に乗り、冒険者ギルドの訓練所に来ている。
先客がいたけど、おっちゃんが頼んで開けてもらったらしい。
その先客たちも何かが始まると思ってそのまま見学に回っていた。
俺見世物じゃないんだけどね。
「よし、じゃあ二人ともこっちに来てくれ。」
おっちゃんが俺とナンディーモを訓練所中央に呼び寄せた。
装備については訓練用の武器と防具を借りている。
鉄製の剣と盾で、俺はいつも通りショートソード二本をチョイスした。
ナンディーモは俺と違い、少し大きめのカイトシールドのチョイスだ。
武器は……えぇ?!まじかよ……
ナンディーモが手にしている剣は……バスターソードって種類の剣だった。
確かこいつは片手・両手両方で使える武器だったはず。
ただその分片手で扱うにはその重量が邪魔になってくる。
だからこそのその肉体ってわけか……
そこにカイトシールドか……
おそらく、カイトシールドでこちらの攻撃を防いで、片手持ちのバスターソードで攻撃。
隙を見つけて両手持ちで両断ってところかな?
だったら俺は足を使ってかく乱してやるまでだな。
「二人とも刃をつぶした武器といっても危険がないわけじゃない。十分注意するように。危険と判断したら即止めに入るからそのつもりでな。あとは相手を死に至らしめる攻撃もなしだ。わかったか?」
了解!!
それ以外は全力出していいってことね。
俺とナンディーモは中央で睨み合う形となる。
俺の手は汗で少し湿っていた。
なんだかんだ言って緊張はしているらしい。
ナンディーモは……落ち着いている。
こちらをじっと見つめ、一挙手一投足を見落とさないつもりだろう。
俺の剣を握る手に力が入る。
「はじめ!!」
おっちゃんの合図とともに、俺は一気に駆け出した。
だが、ナンディーモは動く気配を見せなかった。
動揺する事もなく、どっしりと構えるさまはポールの目の前に立っている気分にさえなってくる。
タワーシールドではない、小さめのカイトシールドだというのに。
2人ならうまくやってくれるだろうと信じている。
いや、リア充爆発しろなんて思ってないよ?
思ってないったら思ってない。
そう、気にしたら負けなのだから。
それよりも……だ。
さっきからずっとそわそわしている人がいる。
元神官騎士の男性だ。
何かを言いたくてうずうずしている、そんな感じに見受けられた。
「じゃあ、次だ。カイトたちも知っての通りこいつは元神官騎士で、ナンディーモ・コークルっていうやつだ。ただ、こいつはこの前の一件で国に戻る気がなくなったってわけだ。まあ、あの【勇者モドキ】にも辟易していたらしいな。それで、条件付きではあるが亡命を認めたって形だ。」
ちょ、亡命ってあんた!?
そんな人物を俺たちに押し付けるって何考えてんだよ!?
むしろそんな重要人物何人に押し付けちゃっていいのかよ⁈
「おい、おっちゃん。亡命ってどういうことだよ。今初めて聞いたんだけど?」
俺が少し怒気を混ぜて話をすると、何食わぬ顔で「すまん」って言っておっちゃんは話を進めていった。
少しは反省してほしいものだ……けど、絶対反省しないだろうな。
いや、むしろ素直に反省されたら、それはそれで気持ちが悪いなって思ってしまった。
「それで前も話をしたが、カイトたちのパーティーにはナンディーモの教育係になってもらうからそのつもりでいてくれ。」
「いやいや、教育係もなにも……俺まだDランクだぞ?」
そう、俺だってまだまだ駆け出し冒険者だっていうのに、何を教えろって言うんだよ。
むしろ俺も教わってる真っ最中なんだけど?
「いや、カイトには期待してないから安心しろや。ポールとデイジー、それにエルダ。カイトに教えるついででいいから、こいつにも指導をしてくれたら助かる。」
おっちゃんはそう言うと、ポールとデイジーに向かって頭を下げた。
ポールたちだってそこまでされたら嫌だとは言えず、なし崩し的に受け入れる形になってしまった。
まあ、それが家建てる時の条件でもあるから〝いやだ〟はあり得ないんだけどな。
結局のところ、俺腹芸苦手だわ。
狸たちには付いて行ける気がしないよ。
気が付いたら雁字搦めじゃないか……
自由な冒険者家業がまた遠のいていっている気がするよ。
いつになったら自由になるのやら。
「まぁ、ナンディーモの実力については、そんなに心配せんで良いぞ。何なら訓練所を貸すから試しに手合わせしてみたらどうだ。そうだな……カイトと戦えばこいつの実力はすぐにわかるからよ。」
そこまで言われたら、俺だって引き下がるわけにはいかないっての。
なんだかおっちゃんに良い様にされている気がするけど、ここはひとつリーダーとしての威厳を発揮しないとな。
「わかったよ。というわけで申し訳ないけど、訓練所で一手相手してくれないか?」
「ふぅ。やっと私の発言が許されましたね。カイトさんでしたか。ふむ……。わかりました。ではまいりましょうか。」
なんだか良く分からないやつだな。
掴み処が無いっていうか何というか。
今まで相手したことの無い感じがした。
俺たちはおっちゃんの提案に乗り、冒険者ギルドの訓練所に来ている。
先客がいたけど、おっちゃんが頼んで開けてもらったらしい。
その先客たちも何かが始まると思ってそのまま見学に回っていた。
俺見世物じゃないんだけどね。
「よし、じゃあ二人ともこっちに来てくれ。」
おっちゃんが俺とナンディーモを訓練所中央に呼び寄せた。
装備については訓練用の武器と防具を借りている。
鉄製の剣と盾で、俺はいつも通りショートソード二本をチョイスした。
ナンディーモは俺と違い、少し大きめのカイトシールドのチョイスだ。
武器は……えぇ?!まじかよ……
ナンディーモが手にしている剣は……バスターソードって種類の剣だった。
確かこいつは片手・両手両方で使える武器だったはず。
ただその分片手で扱うにはその重量が邪魔になってくる。
だからこそのその肉体ってわけか……
そこにカイトシールドか……
おそらく、カイトシールドでこちらの攻撃を防いで、片手持ちのバスターソードで攻撃。
隙を見つけて両手持ちで両断ってところかな?
だったら俺は足を使ってかく乱してやるまでだな。
「二人とも刃をつぶした武器といっても危険がないわけじゃない。十分注意するように。危険と判断したら即止めに入るからそのつもりでな。あとは相手を死に至らしめる攻撃もなしだ。わかったか?」
了解!!
それ以外は全力出していいってことね。
俺とナンディーモは中央で睨み合う形となる。
俺の手は汗で少し湿っていた。
なんだかんだ言って緊張はしているらしい。
ナンディーモは……落ち着いている。
こちらをじっと見つめ、一挙手一投足を見落とさないつもりだろう。
俺の剣を握る手に力が入る。
「はじめ!!」
おっちゃんの合図とともに、俺は一気に駆け出した。
だが、ナンディーモは動く気配を見せなかった。
動揺する事もなく、どっしりと構えるさまはポールの目の前に立っている気分にさえなってくる。
タワーシールドではない、小さめのカイトシールドだというのに。
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本日 5/2(木)より新作掲載開始しました!!もしよろしければそちらも立ち寄っていただければ幸いです!!手加減必須のチートハンター ~神様の計算を超えて、魔王の手から世界を護ります!! https://www.alphapolis.co.jp/novel/911619238/145877156
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