勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

文字の大きさ
上 下
210 / 322
第4章 ここから始まる勇者様?

四十五日目④ リサと神官騎士その2

しおりを挟む
 リサについては、ポールとデイジーに一任しよう。
 2人ならうまくやってくれるだろうと信じている。
 いや、リア充爆発しろなんて思ってないよ?
 思ってないったら思ってない。
 そう、気にしたら負けなのだから。

 それよりも……だ。
 さっきからずっとそわそわしている人がいる。
 元神官騎士の男性だ。
 何かを言いたくてうずうずしている、そんな感じに見受けられた。

「じゃあ、次だ。カイトたちも知っての通りこいつは元神官騎士で、ナンディーモ・コークルっていうやつだ。ただ、こいつはこの前の一件で国に戻る気がなくなったってわけだ。まあ、あの【勇者モドキ】にも辟易していたらしいな。それで、条件付きではあるが亡命を認めたって形だ。」

 ちょ、亡命ってあんた!?
 そんな人物を俺たちに押し付けるって何考えてんだよ!?
 むしろそんな重要人物何人に押し付けちゃっていいのかよ⁈

「おい、おっちゃん。亡命ってどういうことだよ。今初めて聞いたんだけど?」

 俺が少し怒気を混ぜて話をすると、何食わぬ顔で「すまん」って言っておっちゃんは話を進めていった。
 少しは反省してほしいものだ……けど、絶対反省しないだろうな。
 いや、むしろ素直に反省されたら、それはそれで気持ちが悪いなって思ってしまった。

「それで前も話をしたが、カイトたちのパーティーにはナンディーモの教育係になってもらうからそのつもりでいてくれ。」
「いやいや、教育係もなにも……俺まだDランクだぞ?」

 そう、俺だってまだまだ駆け出し冒険者だっていうのに、何を教えろって言うんだよ。
 むしろ俺も教わってる真っ最中なんだけど?

「いや、カイトには期待してないから安心しろや。ポールとデイジー、それにエルダ。カイトに教えるついででいいから、こいつにも指導をしてくれたら助かる。」

 おっちゃんはそう言うと、ポールとデイジーに向かって頭を下げた。
 ポールたちだってそこまでされたら嫌だとは言えず、なし崩し的に受け入れる形になってしまった。
 まあ、それが家建てる時の条件でもあるから〝いやだ〟はあり得ないんだけどな。

 結局のところ、俺腹芸苦手だわ。
 狸たちには付いて行ける気がしないよ。
 気が付いたら雁字搦めじゃないか……
 自由な冒険者家業がまた遠のいていっている気がするよ。
 いつになったら自由になるのやら。

「まぁ、ナンディーモの実力については、そんなに心配せんで良いぞ。何なら訓練所を貸すから試しに手合わせしてみたらどうだ。そうだな……カイトと戦えばこいつの実力はすぐにわかるからよ。」

 そこまで言われたら、俺だって引き下がるわけにはいかないっての。
 なんだかおっちゃんに良い様にされている気がするけど、ここはひとつリーダーとしての威厳を発揮しないとな。

「わかったよ。というわけで申し訳ないけど、訓練所で一手相手してくれないか?」
「ふぅ。やっと私の発言が許されましたね。カイトさんでしたか。ふむ……。わかりました。ではまいりましょうか。」

 なんだか良く分からないやつだな。
 掴み処が無いっていうか何というか。
 今まで相手したことの無い感じがした。



 俺たちはおっちゃんの提案に乗り、冒険者ギルドの訓練所に来ている。
 先客がいたけど、おっちゃんが頼んで開けてもらったらしい。
 その先客たちも何かが始まると思ってそのまま見学に回っていた。
 俺見世物じゃないんだけどね。

「よし、じゃあ二人ともこっちに来てくれ。」

 おっちゃんが俺とナンディーモを訓練所中央に呼び寄せた。
 装備については訓練用の武器と防具を借りている。
 鉄製の剣と盾で、俺はいつも通りショートソード二本をチョイスした。
 ナンディーモは俺と違い、少し大きめのカイトシールドのチョイスだ。
 武器は……えぇ?!まじかよ……
 ナンディーモが手にしている剣は……バスターソードって種類の剣だった。
 確かこいつは片手・両手両方で使える武器だったはず。
 ただその分片手で扱うにはその重量が邪魔になってくる。
 だからこそのその肉体ってわけか……
 そこにカイトシールドか……
 おそらく、カイトシールドでこちらの攻撃を防いで、片手持ちのバスターソードで攻撃。
 隙を見つけて両手持ちで両断ってところかな?
 だったら俺は足を使ってかく乱してやるまでだな。

「二人とも刃をつぶした武器といっても危険がないわけじゃない。十分注意するように。危険と判断したら即止めに入るからそのつもりでな。あとは相手を死に至らしめる攻撃もなしだ。わかったか?」

 了解!!
 それ以外は全力出していいってことね。

 俺とナンディーモは中央で睨み合う形となる。
 俺の手は汗で少し湿っていた。
 なんだかんだ言って緊張はしているらしい。
 ナンディーモは……落ち着いている。
 こちらをじっと見つめ、一挙手一投足を見落とさないつもりだろう。
 俺の剣を握る手に力が入る。

「はじめ!!」

 おっちゃんの合図とともに、俺は一気に駆け出した。
 だが、ナンディーモは動く気配を見せなかった。
 動揺する事もなく、どっしりと構えるさまはポールの目の前に立っている気分にさえなってくる。
 タワーシールドではない、小さめのカイトシールドだというのに。
しおりを挟む
本日 5/2(木)より新作掲載開始しました!!もしよろしければそちらも立ち寄っていただければ幸いです!!手加減必須のチートハンター ~神様の計算を超えて、魔王の手から世界を護ります!! https://www.alphapolis.co.jp/novel/911619238/145877156
感想 77

あなたにおすすめの小説

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

生活魔法は万能です

浜柔
ファンタジー
 生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。  それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。  ――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。