勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

文字の大きさ
上 下
208 / 322
第4章 ここから始まる勇者様?

四十五日目③ 癖つよキャラが増えていく……

しおりを挟む
「キャサリンさん、おはようございます。今ギルマスの手は空いていますか?」

 昨日とは打って変わって落ち着いた状態の受付窓口。
 キャサリンさんはいつものように世話しなく事務作業に追われていた。
 周りの受付職員もあわただしくしている様子から、表に見える華々しい姿からは想像できないくらい大変な仕事なんだなって思ってしまった。
 ほんと感謝していますキャサリンさん。
 
「あら、おはよう。時間は少し早かったわね。ギルマスは執務室に居るはずだから、問題無いはずよ。ちょっと待ってね。」

 そう言うとキャサリンさんは行っていた作業の手を止めて受付の席を立つと、奥の職員に声をかけていた。
 話し終えたキャサリンさんは席に座り直すと、予定について話をしてくれた。

「実はまだ二人が来ていないのよ。それでね、先に執務室に入ってもらって待つことになるけどいいかしら?」
「構いませんよ~。私たちが早く来ちゃっただけだしねぇ~。」

 デイジーがキャサリンさんに返事をしているが、どこかいつものような元気さが無かった。
 やっぱり気になりはするんだよね……
 キャサリンさんもそんなデイジーを見つめると、何やら微笑ましい物でも見ているかのように目を細めていた。
 その視線に気が付いたデイジーはなんだか恥ずかしそうにしていた。
 そんなデイジーをフォローするようにポールはデイジーの頭を3回ポンポンと叩いていた。
 あれ?おかしいな……なんかメラメラと沸き上がるものがあるんだが。
 きっと気のせいだろう。
 うん気のせいだ。

「じゃあ、二階に上がってもらえるかしら。私も後からうかがうわ。リスティー、三人を執務室へ案内よろしくね?」
「せんぱ~~~い。私も手が離せないんですけどぉ~?」

 少し離れた場所から、間延びした女性の声が聞こえて来た。
 声からすると、若い子に感じる。
 奥から顔を出した子は確かに若そうだった。
 見た目的にはおそらく18~20歳くらいだろうか。
 身長も160cmあるか無いか。
 赤いショートヘアで少したれ目が印象的だった。
 体形はうん、ナイスバディ!!

 ぞわっとした?!

 いきなり殺気に近い何かを感じたけど、何だったんだ?

 女性陣の表情がとても蔑んだ物を見るような感じがした。
 はい、ごめんなさい。

「先輩。自分で行ってくださいよ。私だって間に合わないですよ。」

 半分泣きそうな声と顔でキャサリンさんに訴えているリスティーだったけど、キャサリンさんには通用しなかったようだ。

「リスティー……。そういえば、少し前にガレオンからお菓子貰ったでしょ?おやつタイムの時間はあるのね?ガレオンに餌付け禁止を言い渡さないとね。」
「あ~~~あ~~~~あ~~~~~~!!行きます行きます!!行かせてもらいます!!ガレオンさんのお菓子禁止はやめてください!!」

 リスティーさんは何故か必死に抗議をしていた。
 そこまでのモノなのだろうか?

 俺が困惑していると、リスティーさんが慌てた様子で俺たちの案内を始めてくれた。

「さぁ、急ぎますよ?お三人ともついてきてください!!お菓子の為に!!」

 どうやら、お菓子の為に頑張って仕事をするようだった。
 これでいいのかキャサリンさん……
 俺が抗議の目でキャサリンさんを見つめると、キャサリンさんは両手を上げてにこりと微笑んでいた。
 どうやら、リスティーさんの日常のようだ。
 うん、諦めるしかないらしいね。



コンコンコン

「ギルマス。カイトさん達をお連れしました。」
「おう、入ってもらえ。」

 ガチャリと開いた部屋をのぞくと、そこは書類の山だった。
 前より増えている気がするのは気のせいだろうか……

「ではカイトさん。ソファーにかけてお待ちください。あと、きちんと先輩に報告してくださいね。私はちゃんと仕事したって。」
「あ、あぁ。」

 ぐいぐいと迫りながら念を押してきたリスティーさんは、話を終えると急いで執務室を後にしていった。
 俺は空返事をするので精いっぱいだった。

「なんだったんだ?」
「すまねぇな。先々週から転勤してきた奴なんだがな。」

 おっちゃんが書類との格闘をひと段落させて、俺たちの前のソファーにドカリと座った。
 かなり疲れているのか、肩を回しながら体をほぐしていた。
 やっぱりギルドマスターって大変なんだなぁ~ってどうでもいいことを考えてしまった。

「仕事が優秀の割にはどうもさぼり癖があってな。ダンジョン都市【アポカリテ】で受付嬢をやってたんだが、こっちに研修することになった。たまに対応すると思うから、気にかけてやってくれ。」

 おっちゃん曰くリスティーさん自体優秀は優秀らしいんだけど、さっきのやり取りを見ると何とも言えない感じがしてしまった。

 それから俺たちは新メンバー二人が来るまでの間、おっちゃんから詳しい説明を聞くことになった。
 すでに契約書などは準備してもらっていたみたいで、リサに関してはリサとポールのサインが入れば完了らしい。
 もう一人の……何て名前だっけ?まいいや、神官騎士は魔導契約書によって制限をかけることになる。
 これはポールたちも行っている契約書なんだけど、それのさらに強力なものになるそうだ。
 理由は正教国への情報漏洩の恐れがあるから。
 まあ、当然の措置といえば致し方ないのかもしれないな。
しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

異世界で等価交換~文明の力で冒険者として生き抜く

りおまる
ファンタジー
交通事故で命を落とし、愛犬ルナと共に異世界に転生したタケル。神から授かった『等価交換』スキルで、現代のアイテムを異世界で取引し、商売人として成功を目指す。商業ギルドとの取引や店舗経営、そして冒険者としての活動を通じて仲間を増やしながら、タケルは異世界での新たな人生を切り開いていく。商売と冒険、二つの顔を持つ異世界ライフを描く、笑いあり、感動ありの成長ファンタジー!

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。