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第4章 ここから始まる勇者様?
四十四日目④ ついに……
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「じゃあ、ここにサインをお願いね。一応彼が精霊だって話はここで留めておくから。いろいろ面倒でしょ?」
「お気遣い感謝いたします、キャサリン様。」
キャサリンさんはにこやかに、ワカタケに微笑みかけていた。
ワカタケも、キャサリンさんの心遣いに一礼を持って返していたのだ。
なんだかこの二人の組み合わせの方が主従に見えるのは気のせいだろうか?
いや、気のせいではないはずだ!!
って脳内で遊んでいたら、キャサリンさんからにらまれてしまった。
余計なこと考えているのがばれてるのかな。
「ではこちらをお願いいたします。」
サインを終えた書類をキャサリンさんに返したワカタケは、そのまま俺の後ろへと回った。
おそらく自分の役割が終わったので、後ろに控えた感じだろうか。
「じゃあ、これで登録は完了ね。カイト君。依頼の方をよろしく頼むわね。実は鍛冶ギルドから大分せっつかれているの。出来れば早めにしてくれると助かるわ。その時はギルドから少し色を付けさせてもらうから。」
「わかりました。なるだけ早くに納品できるようにしますね。」
俺の返事にキャサリンさんは気を良くしたのか、その表情から「るん♪」って聞こえてきそうな感じだった。
本当にそのしぐさがかわいらしいから反則だよな。
俺の用事が終わると、ポールが今度は自分の晩だといわんばかりにキャサリンさんに詰め寄っていた。
「あ、あ、あの!!借金奴隷……リサの件ですが、その後どうなったのか教えてもらえますか?ギルマスからは本決まりのような話を貰ったので、詰めていきたいのですが。」
そこまで必死にならなくてもいいのにと思ったが、まぁ一目ぼれした子の話だから、食いつきたくなるのは仕方のない事なのかもしれないな。
「ちょっと待ってね、今ギルマスに確認してみるから。」
そう言うと、キャサリンさんは席を立ちバックヤードへと引っ込んでいった。
それから数分で戻ってきたキャサリンさんは一枚の紙を持っていた。
それをそっとポールに手渡すと、ポールは顔を赤らめて小さく握りこぶしを握っていた。
どうやらいい話が書かれていたようだ。
ポールはその紙を読み終えると、俺に手渡してきた。
読めと言う事なんだろうな。
その書類には次の事が記載されていた。
——————
リサ・フレデリックおよびナンディーモ・コークルの引き渡しに伴う通達。
リサをポール・トーマンを身請け先とし、金貨1枚にて引き渡すものとする。
ナンディーモの身分を冒険者見習いとし、カイト・イシダテのパーティに参加させるものとする。
※上記二人には魔導契約書において契約を交わし、履行させるものとする。
上記内容をポールまたはカイトに伝えるものとする。
——————
つまり、引き渡しは確定したってところかな。
ちゃんと明記されたことにより、現実となったのでポールは喜んだのか。
でもさ、これ……。
リサって子が納得しているかどうかって完全に別じゃないのか?って思うのは俺だけだろうか……
ちゃんと身請け理由を伝えてあるんだよな?って思うよ。
トラブルにならないことを祈りたいね。
読み終えた紙をキャサリンさんに返すと、すぐに燃やしてしまった。
ポールは慌てていたけど、おそらく情報が外に漏れないようにするためだと思えた。
それにしてもポールがここまで取り乱すなんて、本当に珍しいよな、
朝の出来事と言い、今のポールといい、みんなの新しい一面が見られて少しうれしかったりした。
「じゃあ、引き渡し日時なんだけど、明日の昼でいいかしら。彼女たちは昨日から宿舎に泊まってもらっているから、手続きを含めてそれが最短になるわ。」
ポールはすぐにでも引き受けたいと思っていたようだけど、俺ばかりではなくワカタケにまで止められていしまった。
こちらの受け入れ準備も整っていないし、何より部屋が足りない。
そのために家を建て直すのだから。
3人で話し合った結果、明日の昼に迎えに来てそのまま【森のアナグマ亭】に住んでもらうことにした。
今日戻ってから、他のメンバーには説明するけど、特に異論は出ないと思う。
「キャサリンさん、取り乱してすみません。明日の昼に伺って身請けを行いたいと思います。」
「わかりました。ではギルマスにはそのように伝えますね。ポール君、リサをお願いしますね。あの子はおそらく人を信用していないかもしれませんので。」
キャサリンさんは何か悲しそうな眼をしていた。
リサを思って心で泣いてくれているのかもしれないな。
「その子とはゆっくり話をしてみます。我が家には女性陣が多いですから。そこをとっかかりにしてみますよ。」
「よろしくお願いね、カイト君。」
キャサリンさんは深々と頭を下げていた。
そこまでするにはきっと何かあるんだろうなと思うけど、今は考えても仕方がないのかもしれない。
俺たちは今日の予定を完了したので、キャサリンさんに挨拶をすると、自宅に戻ることにしたのだった。
自宅に戻るとエルダ達も帰ってきており、買い物についての報告を受けた。
キキョウともうまくやっているようで一安心したけど、今度は買い込みすぎじゃないのか?
ってくらい、収納箱(簡易)からあふれ出ていた。
「あ、カイト。お願いがあるんだけどいい?」
「言わずともいいよ。収納箱(簡易)の追加でしょ?」
俺は呆れながら、今余っている収納箱(簡易)を2つアイテムボックスから取り出して、キッチンの収納スペースに置いたのだった。
それからエルダ達にリサの身請けと、もう一人の引き取りについて説明し了承を得ることができた。
これで明日からは本格的に忙しくなりそうな、そんな気がした。
「お気遣い感謝いたします、キャサリン様。」
キャサリンさんはにこやかに、ワカタケに微笑みかけていた。
ワカタケも、キャサリンさんの心遣いに一礼を持って返していたのだ。
なんだかこの二人の組み合わせの方が主従に見えるのは気のせいだろうか?
いや、気のせいではないはずだ!!
って脳内で遊んでいたら、キャサリンさんからにらまれてしまった。
余計なこと考えているのがばれてるのかな。
「ではこちらをお願いいたします。」
サインを終えた書類をキャサリンさんに返したワカタケは、そのまま俺の後ろへと回った。
おそらく自分の役割が終わったので、後ろに控えた感じだろうか。
「じゃあ、これで登録は完了ね。カイト君。依頼の方をよろしく頼むわね。実は鍛冶ギルドから大分せっつかれているの。出来れば早めにしてくれると助かるわ。その時はギルドから少し色を付けさせてもらうから。」
「わかりました。なるだけ早くに納品できるようにしますね。」
俺の返事にキャサリンさんは気を良くしたのか、その表情から「るん♪」って聞こえてきそうな感じだった。
本当にそのしぐさがかわいらしいから反則だよな。
俺の用事が終わると、ポールが今度は自分の晩だといわんばかりにキャサリンさんに詰め寄っていた。
「あ、あ、あの!!借金奴隷……リサの件ですが、その後どうなったのか教えてもらえますか?ギルマスからは本決まりのような話を貰ったので、詰めていきたいのですが。」
そこまで必死にならなくてもいいのにと思ったが、まぁ一目ぼれした子の話だから、食いつきたくなるのは仕方のない事なのかもしれないな。
「ちょっと待ってね、今ギルマスに確認してみるから。」
そう言うと、キャサリンさんは席を立ちバックヤードへと引っ込んでいった。
それから数分で戻ってきたキャサリンさんは一枚の紙を持っていた。
それをそっとポールに手渡すと、ポールは顔を赤らめて小さく握りこぶしを握っていた。
どうやらいい話が書かれていたようだ。
ポールはその紙を読み終えると、俺に手渡してきた。
読めと言う事なんだろうな。
その書類には次の事が記載されていた。
——————
リサ・フレデリックおよびナンディーモ・コークルの引き渡しに伴う通達。
リサをポール・トーマンを身請け先とし、金貨1枚にて引き渡すものとする。
ナンディーモの身分を冒険者見習いとし、カイト・イシダテのパーティに参加させるものとする。
※上記二人には魔導契約書において契約を交わし、履行させるものとする。
上記内容をポールまたはカイトに伝えるものとする。
——————
つまり、引き渡しは確定したってところかな。
ちゃんと明記されたことにより、現実となったのでポールは喜んだのか。
でもさ、これ……。
リサって子が納得しているかどうかって完全に別じゃないのか?って思うのは俺だけだろうか……
ちゃんと身請け理由を伝えてあるんだよな?って思うよ。
トラブルにならないことを祈りたいね。
読み終えた紙をキャサリンさんに返すと、すぐに燃やしてしまった。
ポールは慌てていたけど、おそらく情報が外に漏れないようにするためだと思えた。
それにしてもポールがここまで取り乱すなんて、本当に珍しいよな、
朝の出来事と言い、今のポールといい、みんなの新しい一面が見られて少しうれしかったりした。
「じゃあ、引き渡し日時なんだけど、明日の昼でいいかしら。彼女たちは昨日から宿舎に泊まってもらっているから、手続きを含めてそれが最短になるわ。」
ポールはすぐにでも引き受けたいと思っていたようだけど、俺ばかりではなくワカタケにまで止められていしまった。
こちらの受け入れ準備も整っていないし、何より部屋が足りない。
そのために家を建て直すのだから。
3人で話し合った結果、明日の昼に迎えに来てそのまま【森のアナグマ亭】に住んでもらうことにした。
今日戻ってから、他のメンバーには説明するけど、特に異論は出ないと思う。
「キャサリンさん、取り乱してすみません。明日の昼に伺って身請けを行いたいと思います。」
「わかりました。ではギルマスにはそのように伝えますね。ポール君、リサをお願いしますね。あの子はおそらく人を信用していないかもしれませんので。」
キャサリンさんは何か悲しそうな眼をしていた。
リサを思って心で泣いてくれているのかもしれないな。
「その子とはゆっくり話をしてみます。我が家には女性陣が多いですから。そこをとっかかりにしてみますよ。」
「よろしくお願いね、カイト君。」
キャサリンさんは深々と頭を下げていた。
そこまでするにはきっと何かあるんだろうなと思うけど、今は考えても仕方がないのかもしれない。
俺たちは今日の予定を完了したので、キャサリンさんに挨拶をすると、自宅に戻ることにしたのだった。
自宅に戻るとエルダ達も帰ってきており、買い物についての報告を受けた。
キキョウともうまくやっているようで一安心したけど、今度は買い込みすぎじゃないのか?
ってくらい、収納箱(簡易)からあふれ出ていた。
「あ、カイト。お願いがあるんだけどいい?」
「言わずともいいよ。収納箱(簡易)の追加でしょ?」
俺は呆れながら、今余っている収納箱(簡易)を2つアイテムボックスから取り出して、キッチンの収納スペースに置いたのだった。
それからエルダ達にリサの身請けと、もう一人の引き取りについて説明し了承を得ることができた。
これで明日からは本格的に忙しくなりそうな、そんな気がした。
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本日 5/2(木)より新作掲載開始しました!!もしよろしければそちらも立ち寄っていただければ幸いです!!手加減必須のチートハンター ~神様の計算を超えて、魔王の手から世界を護ります!! https://www.alphapolis.co.jp/novel/911619238/145877156
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