勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

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第4章 ここから始まる勇者様?

四十三日目⑦ 彼らの役割

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 今日はなんだか疲れてしまった。
 もうさ、何が何だかわかんないんだよ。

 もともと住人が2人増えるって予定だったんだ。
 なのにだ……
 追加で8人だぞ?
 さすがに意味が分からないよ。

「なぁ、エルダ。この状況どう思う?」
「そうね……。諦めましょう……」

 すでにエルダは現実逃避を始めてしまったようだ。
 その目には覇気は無く、ハイライトが消えかかっていた。
 ポールとデイジーも言葉をなくしたように、ただ静かにたたずんでいるだけだった。

「そうだ、レティシア。君たちの部屋とかってどうしたら良いんだ?さすがに何も準備していないぞ?」

 小人たち……、じゃないな。
 キキョウたちと楽しそうにおしゃべりをしているレティシアに声をかけると、優雅にこちらを振り返った。
 その姿はまさにお姫様で、衣装のドレスも決まっていた。
 メイド服調の衣装はマーメードラインの細身のドレスに変わり、三つ編みだった髪も降ろされて、淡い金色のロングヘアがふわりと宙を舞った。

「はい、部屋の準備は不要です。私たちは実体ではありませんから。本体に戻れば問題ありません。」

 レティシアはそう言うと、ふわりとその姿を消したのだった。
 それに合わせてキキョウたちもその姿を消して、俺たちの前からいなくなってしまった。

『ご主人様?これでお判りいただけましたでしょうか。私たちは精霊。実体のない生命なのです。』
『そうじゃの。これでも我らは長きにわたり、いろいろな家を渡り歩いて来ておる。そんじょそこらの年寄りと一緒にせんでほしいのぉ。』

 ホント君たちは意味不明な生き物だよ全く。
 とりあえず出てきてもらって今後の話とかもしないといけないよな。

「レティシア。君たちについてはあらかた分かったから、今後について話し合わないか?場合によっては設計の見直しが必要になるかもしれないからな。」

 すると、レティシアたちはまた姿を現した。
 しかしまた驚かされた。
 全員衣装チェンジしてやがった!!
 どれだけ芸が細かいんだよ……

「レティシア。君たちのそれぞれの役割を教えてくれないか?」
「そうですね。私とキキョウは家事全般を行います。ワカタケは執事長と言えばいいんでしょうか。その下にハバナが見習いとして付きます。ヒイロとギンスズは庭師です。あとテツコンは警備担当です。なおヒイロとワカタケは警備も同時にこなします。サクラは統括役です。」

 これまたびっくり。
 大体役割分担は出来ていたんだな。
 だからさっきの衣装だったわけか。
 今はどちらかと言うと部屋着に近いのかな?
 キキョウとサクラは着物だし、ギンスズは甚平かなそれ?
 しかもキキョウに至っては少し着崩してるし。
 なんでそんなに色香を振りまくんだ?
 ふぅ。これもきっと勇者様案件なんだろうな……
 なんでもありだな勇者様。

「わかったよ。エルダ、明日からはキキョウたちと協力してもらっていいかな?デイジーも大丈夫かい?」
「わかったわ。レティシア、よろしくね。」
「よろしく~」

 そう言うと、エルダとデイジーはレティシアとキキョウと共にキッチンへと移動していった。
 明日からの打ち合わせでもするのかな?

「主様!!」
「どうしたのテツコン?」
「はっ!!私とヒイロはこれより警備に映りたいと思います。正面玄関および裏口を警備します!!」
「そっか。ありがとう。でも無理はダメだからな?」
「はっ!!行くぞヒイロ!!」
「ちょ!!待てよ!!じゃあ行ってくるぜ!!」

 ばたばたと準備をしながら駆けていく二人を見てると、なんだか心配になってくる。
 まあ、守護精霊というのだから大丈夫なんだろうけど。

「それではお屋形様。私は会計の確認を行います。資料などはありますでしょうか。」
「それならエルダが管理してると思いうから聞いてみてもらえるかな?」
「わかりました。ではエルダ様より引継ぎを行い作業に移りたいと思います。」

 そう言って優雅に一礼したワカタケは、エルダの元へと向かっていった。
 なんだかさっきまでの振り回され感が見えなくなったな。
 ハバナは一瞬どうするか迷ったようだけど、一礼を見よう見まねで行いワカタケの後に付いて行った。
 頑張れハバナ!!

「さてさて、儂らはどうするかな?」
「そうですねぇ……。それではカイト様。今後についての予定をお聞かせ願えますでしょうか。皆の行動の予定を建てますので。」

 サクラはさすがに統括役だけあるな。
 今後についてもきちんと考えてるんだから。

 俺はサクラに、今後の建築予定などを話して聞かせた。
 それをメモに取るのかと思いきや、一字一句ギンスズが覚えていったのだ。
 さすがにこれにはポールも驚いていた。
 サクラが覚えるもんだと俺も思っていたからな。
 俺たちの様子を見ていたギンスズは、にやりと口元を緩めて笑っていた。
 どうやら俺たちは試されていたようだな。
 きっとこういう爺さんを老獪って言うのかもしれないな。

 あらかた説明し終えるとサクラは思案の海へと飛び込んでいった。
 おそらく当分は帰ってこないだろうな。

「では儂と一手稽古をしてくれんかな?」

 ギンスズはそう言うと、どこからか取り出した刀を腰に下げ、庭へ歩いていった。
 そして俺とポールはしごきというには生易しい鍛錬を受けることとなった。
 この爺さん強すぎなんだけど!!

 なんだかんだとばたばたした1日が終わりを迎えたのだった……
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