勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

文字の大きさ
上 下
198 / 322
第4章 ここから始まる勇者様?

四十三日目⑥ へん……しん!!

しおりを挟む
 名前を受け取った七人の小人は、大喜びではしゃぎまくった。
 今まで誰も名前を付けてくれていなかったらしい。
 渡された紙を何度も眺めては、ニヤニヤと呆けた顔を浮かべていた。

「なんだかものすごくうれしそうだな。」
「ほんとだねぇ~。よかったねポール。きにいってくれてるみたいだよ。」

 ポールを見るとまんざらでもない感じなんで、きっと喜んでもらってうれしいんだろうな。
 エルダもその喜びようにほっこりしているように見えた。

『ありがとうございます。この子達も喜んでいるみたいで……。本当にありがとうございます。それで何ですが、私たちはご主人様の眷族となりました。今後ともよろしくお願いしますね。』
「え?」

 ちょっと待てい!!
 いきなり眷族ってどういうこと?
 どうしたら良いの俺?
 教えて誰か!?

 俺が混乱してアワアワしていると、エルダが代わりに話を進めてくれた。

「それは名前を付けたからってことで良いの?」
『はい!!私たちは家を守る守護精霊です。私はそのネックレスの宝石が、この子達は家が本体となります。ですので、本来契約上縛られるのは私だけだったんですが、名前を得たことでこの子達もご主人様の眷族となりました。』

 レティシアが言うには、精霊の名づけとは自身の眷族となることを了承する行為だということだ。
 だからと言って、俺に何か被害があるわけではないそうだ。
 小人たちはこの家を守り、整備し、住み続ける。
 それが生き甲斐であり、すべてなんだそうだ。

「「「「「「「主様、トラスグ族はこの家を守護し、いかなる外敵も通さず、快適に過ごせるようここに誓います!!」」」」」」」

 その声にはとても力強い思いが込められていた。
 俺は思わず「よろしく頼む」と声をかけてしまった。

 するとどうだろうか、いきなり小人たちは光に包まれてしまったではないか。
 何があったんだ?
 誰か説明してくれ!!

『安心してください。進化をしているだけですから。』

 そうにこやかにレティシアは話してるけど、何をどう考えて安心すればいいんだ?
 つか、進化ってなんだよ?!
 いきなり言われてもわかるわけないだろう!?

 しばらくすると光は収まってきた。
 それに合わせて俺の思考も混乱から抜け出してきた。

 そしてそこに現れたのは……

 七人の小人だった。

 って、変わってないじゃないか!?
 俺はてっきり大きくなったりとかするんだと思ったよ?!
 身構えちまったじゃないか!!
 もうさ、驚きすぎて疲れたよ……

『うん、無事に進化をしたみたいね。体は大丈夫?』
「はぁ~ッはッはぁ~!!問題などありませぬ!!」

 レティシアが小人たちの体調を気遣い声をかけていた。
 代表するように青色……テツコンが大声で叫んでいる。
 うん、あれだけ元気があれば問題ないかな。
 それにしても進化して変わったのって……
 あ、爺さん……ギンスズの背中が少し伸びた気がするな。
 って、細かすぎるわ!!

 それから俺は七人を見渡すと、それぞれ少し小ぎれいになっているようだった。

「あらあら、ご主人様。何か気がかりでもあるのでしょうか?」

 紫……キキョウは頬に手を当てながら困ったような顔を浮かべていた。
 少し俺も邪推しすぎたのかもしれないな。

「いやね、進化って言ったから見た目とか大幅に変わるのだと思ってたんだよ。ごめんな?悪いことしたみたいだな。」

 しかし返ってきた言葉に俺は驚きすぎて言葉が出なかった。

「あ、それならにい……ご主人様。大丈夫ですよ!!」

 そう元気よく答えたハバナが突然「変身!!」と言ったとたん煙に包まれたのだ。
 何が起こったかわからないが、もやもやと白い煙でいっぱいになった。
 煙が収まると、そこには10歳くらいの男の子が立っていたんだ。
 な?意味わかんないだろ?
 大丈夫だ、俺も意味が分からないから……

 男の子は体をチェックすると、問題ないとばかりに親指を立てて「ぐッ!!♪」って感じでやってきんだ。
 もうさ、わけわかんないよ。

 ただそれだけで終わらないのが小人たちだった。
 次々に「変身!!」って言うと、部屋中が真っ白の煙でいっぱいになった。
 モクモクと立ち込める煙が落ち着くと、そこには70くらいの老人から10代の少年までそろっていた。

「のうご主人様や。この姿の方がいいのかのう?」

 ギンスズが杖を片手に話しかけて来たけど、70くらいの好々爺がそこに居たのだ。
 桜色のサクラもおばあさまとでも呼べばいいのかって感じだし、ワカタケなんて執事服だぞ?
 キキョウもメイド服っぽい衣装だし、お前らその衣装どっから出したんだと突っ込みが入れたかった。
 つかキキョウ……スタイル良すぎないか?!
 一瞬殺気を感じたのは気のせい?

『みんなその恰好で過ごすのですか?』
「え?だってご主人様が期待してたんだろ?だったら期待に応えるのが眷族の務めってやつでしょ!!」

 赤……ヒイロが元気いっぱいに応えてくれた。
 見た目は全力で庭職人なんだけどね。
 テツコンは皮鎧に身を包んだ衛兵に見える。
 おそらく彼らはこの家に必要な人材として変身したんだろうね。

『狡い!!じゃあ私だって!!』

 そう言うとレティシアまでも変身を始めてしまった。
 もうさ、どうにでもしてッて感じだよ……

 そして俺たちの前に現れたのは……
 どう見てもお姫様です。ありがとうございました。

 俺現実逃避していいよね?
しおりを挟む
本日 5/2(木)より新作掲載開始しました!!もしよろしければそちらも立ち寄っていただければ幸いです!!手加減必須のチートハンター ~神様の計算を超えて、魔王の手から世界を護ります!! https://www.alphapolis.co.jp/novel/911619238/145877156
感想 77

あなたにおすすめの小説

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

生活魔法は万能です

浜柔
ファンタジー
 生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。  それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。  ――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。