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第4章 ここから始まる勇者様?
四十二日目⑤ 暗部ってすごいな!!
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シャバズのおっちゃんとのやり取りで、いきなり住人が2人増えることになった。
元から奴隷少女は受け入れる予定だったけど、もう一人は予定外もいいところだ。
「カイト。国王陛下からの依頼である以上、否は基本的にあり得ないから。仕方ないと思いましょう。」
「それもそうだな……。うん、今回の件は王命だと思って諦めよう……」
エルダが慰めてくれるけど、なんだか負けた気がしてならないのは気のせいだろうか。
「そうだ、それとおっちゃん、良いのか?秘密が外に漏れる可能性がどんどん増えていってるけど?」
「お前さんがそう思っている以上、逆に問題ねぇぞ?それにな、ちゃんと暗部が周辺警戒してんだからよ。」
まじか。
だろうとは思ってたけど、気配が全く分からなかった。
それだけ街に溶け込んでいるんだろうな。
「え?カイト気付いてなかったの?」
「俺は気付いていると思っていたんだが……」
まじかよ!?
デイジーとポールは気が付いていたって……。
まさかエルダも?
俺がエルダの方を見ると、首を縦に振って肯定していた。
はい、気づいていないのは俺だけでした。
気配まったくわかんないんですけど?
「ちゃんと昨日の帰りにも入り口近くであいさつしたでしょ?」
「あぁ、近所のおばちゃんだろ?いつも気にかけてくれ……て……ってもしかして……」
俺は首をギギギって音が鳴るんじゃないかと思うほど、軋みを上げながらおっちゃんの方を向き直った。
「そいつも暗部の一人だな。」
おっちゃんは今にも吹き出しそうになるのを耐えに耐えて教えてくれた。
「でもなんでみんなは気が付くんだよ?」
「気配が無さすぎるのよ。あまりにも溶け込みすぎるから、逆に浮き彫りになっていたわよ?」
デイジーが種明かしをしてくれた。
なるほどな……ってなるかぁ~~~~~!!
分かるわけないじゃんよ?
完全に近所の住人だとばかり思ってましたよ。
毎朝『おはようございます』から始まって、帰りには『ただいま』って挨拶してたじゃん!!
皆もナチュラルにやってるから警戒するわけないじゃん⁈
しかも普通に立ち話とかしてたし。
あれ?でも今にして思えば近況報告とか、今考えてることとか、愚痴とか漏らしてたかも……
これってもしかして誘導尋問に引っ掛かってたってわけ⁈
「ほかにも冒険者に扮した暗部とかもいたよ~。」
なんでこんなにこの人たちって優秀なんだろうな。
俺、いらなくね?
俺生産だけしてるのでいいんじゃないだろうか……
ちがうか。
俺がやりたいのは、自分で素材集めして、自分の装備を作って、自分の冒険をしたいんだ。
そのためにエルダは協力してくれているわけだし。
ここでぐずってても仕方がないな。
「なるほどねぇ~。あんまり良い気分じゃないけど、ただで護衛が付いてるって思えば案外悪くない環境かもしれないな。」
「プライベートはねぇけどな。」
俺がいい感じにまとめようとしたのに、シャバズのおっちゃんがガハハと豪快に笑いながら突っ込みを入れてきた。
ホントその通りなんだけどな!!
「それじゃあ、伝えることは伝えたし、あとは俺から陛下に伝えておく。それとポール。奴隷少女……リサの身請けの件は陛下から許可が出てる。それも併せて準備してれ。身請け金は金貨1枚だ。」
そう言うと、残ったお茶を一気に飲み干し、シャバズのおっちゃんは冒険者ギルドに帰っていった。
そしてポールは深々と頭を下げていた。
おっちゃんが最後に言った言葉……
『身請け金は金貨1枚だ』。
きっとおっちゃんからのサプライズだったんだろうな。
本来はもっと高額なはずだ。
俺も覚悟していたし、ポールが足りなかった場合不足分をパーティー資金から出すこともエルダと相談していた。
それすらも霞んでしまうほどのサプライズ。
おっちゃんも意外と粋なところあるよな。
「ポール。身請けの件よかったな。」
「あぁ、まさか金貨1枚でって話になるとは思ってもみなかった。」
「だな、改めて礼を言いに行こう。」
「あぁ。」
俺とポールはおっちゃんの人情に心打たれていた。
デイジーはと言うと、エルダと何か話をしていた。
聞き耳を立てて話を聞くと、何とも言えない感情になってしまった。
「ギルマスって絶対裏あるよね?」
「そうね。何か隠しているわ。もしくは厄介ごとが追加されるとか。」
「カイトならあり得るからねぇ。もう少し、慎重になってほしいっても思うけど、それがカイトだって言ったらねぇ~。」
「本当ね。」
エルダとデイジーは何やら大きなため息をついていた。
俺は聞くべきじゃなかったと本気で思ってしまった。
「じゃあ、今度は新居完成までの間の宿探しをしよぉ~!!」
デイジーが元気よく宿について話をしてきたので、俺とデイジーは顔を見合わせて、一つ頷いた。
「「それなら【森のアナグマ亭】!!」」
2人の声が見事に重なり、何だがこそばゆくなった。
エルダの顔も赤かったので、きっと俺の顔も赤かったんだろうな。
2人を見ていたデイジーとポールがニヤニヤしていたから、そうに違いないな。
そうと決まればまずは言ってみない事には始まらないな。
俺たちは【森のアナグマ亭】に行ってみることにした。
ちなみに、家の外に出るといつものおばちゃんが声をかけてくれる。
うん、全くわからん!!あの人暗部なのか……
どっからどう見ても、近所の話好きおばちゃんにしか見えませんでした。
元から奴隷少女は受け入れる予定だったけど、もう一人は予定外もいいところだ。
「カイト。国王陛下からの依頼である以上、否は基本的にあり得ないから。仕方ないと思いましょう。」
「それもそうだな……。うん、今回の件は王命だと思って諦めよう……」
エルダが慰めてくれるけど、なんだか負けた気がしてならないのは気のせいだろうか。
「そうだ、それとおっちゃん、良いのか?秘密が外に漏れる可能性がどんどん増えていってるけど?」
「お前さんがそう思っている以上、逆に問題ねぇぞ?それにな、ちゃんと暗部が周辺警戒してんだからよ。」
まじか。
だろうとは思ってたけど、気配が全く分からなかった。
それだけ街に溶け込んでいるんだろうな。
「え?カイト気付いてなかったの?」
「俺は気付いていると思っていたんだが……」
まじかよ!?
デイジーとポールは気が付いていたって……。
まさかエルダも?
俺がエルダの方を見ると、首を縦に振って肯定していた。
はい、気づいていないのは俺だけでした。
気配まったくわかんないんですけど?
「ちゃんと昨日の帰りにも入り口近くであいさつしたでしょ?」
「あぁ、近所のおばちゃんだろ?いつも気にかけてくれ……て……ってもしかして……」
俺は首をギギギって音が鳴るんじゃないかと思うほど、軋みを上げながらおっちゃんの方を向き直った。
「そいつも暗部の一人だな。」
おっちゃんは今にも吹き出しそうになるのを耐えに耐えて教えてくれた。
「でもなんでみんなは気が付くんだよ?」
「気配が無さすぎるのよ。あまりにも溶け込みすぎるから、逆に浮き彫りになっていたわよ?」
デイジーが種明かしをしてくれた。
なるほどな……ってなるかぁ~~~~~!!
分かるわけないじゃんよ?
完全に近所の住人だとばかり思ってましたよ。
毎朝『おはようございます』から始まって、帰りには『ただいま』って挨拶してたじゃん!!
皆もナチュラルにやってるから警戒するわけないじゃん⁈
しかも普通に立ち話とかしてたし。
あれ?でも今にして思えば近況報告とか、今考えてることとか、愚痴とか漏らしてたかも……
これってもしかして誘導尋問に引っ掛かってたってわけ⁈
「ほかにも冒険者に扮した暗部とかもいたよ~。」
なんでこんなにこの人たちって優秀なんだろうな。
俺、いらなくね?
俺生産だけしてるのでいいんじゃないだろうか……
ちがうか。
俺がやりたいのは、自分で素材集めして、自分の装備を作って、自分の冒険をしたいんだ。
そのためにエルダは協力してくれているわけだし。
ここでぐずってても仕方がないな。
「なるほどねぇ~。あんまり良い気分じゃないけど、ただで護衛が付いてるって思えば案外悪くない環境かもしれないな。」
「プライベートはねぇけどな。」
俺がいい感じにまとめようとしたのに、シャバズのおっちゃんがガハハと豪快に笑いながら突っ込みを入れてきた。
ホントその通りなんだけどな!!
「それじゃあ、伝えることは伝えたし、あとは俺から陛下に伝えておく。それとポール。奴隷少女……リサの身請けの件は陛下から許可が出てる。それも併せて準備してれ。身請け金は金貨1枚だ。」
そう言うと、残ったお茶を一気に飲み干し、シャバズのおっちゃんは冒険者ギルドに帰っていった。
そしてポールは深々と頭を下げていた。
おっちゃんが最後に言った言葉……
『身請け金は金貨1枚だ』。
きっとおっちゃんからのサプライズだったんだろうな。
本来はもっと高額なはずだ。
俺も覚悟していたし、ポールが足りなかった場合不足分をパーティー資金から出すこともエルダと相談していた。
それすらも霞んでしまうほどのサプライズ。
おっちゃんも意外と粋なところあるよな。
「ポール。身請けの件よかったな。」
「あぁ、まさか金貨1枚でって話になるとは思ってもみなかった。」
「だな、改めて礼を言いに行こう。」
「あぁ。」
俺とポールはおっちゃんの人情に心打たれていた。
デイジーはと言うと、エルダと何か話をしていた。
聞き耳を立てて話を聞くと、何とも言えない感情になってしまった。
「ギルマスって絶対裏あるよね?」
「そうね。何か隠しているわ。もしくは厄介ごとが追加されるとか。」
「カイトならあり得るからねぇ。もう少し、慎重になってほしいっても思うけど、それがカイトだって言ったらねぇ~。」
「本当ね。」
エルダとデイジーは何やら大きなため息をついていた。
俺は聞くべきじゃなかったと本気で思ってしまった。
「じゃあ、今度は新居完成までの間の宿探しをしよぉ~!!」
デイジーが元気よく宿について話をしてきたので、俺とデイジーは顔を見合わせて、一つ頷いた。
「「それなら【森のアナグマ亭】!!」」
2人の声が見事に重なり、何だがこそばゆくなった。
エルダの顔も赤かったので、きっと俺の顔も赤かったんだろうな。
2人を見ていたデイジーとポールがニヤニヤしていたから、そうに違いないな。
そうと決まればまずは言ってみない事には始まらないな。
俺たちは【森のアナグマ亭】に行ってみることにした。
ちなみに、家の外に出るといつものおばちゃんが声をかけてくれる。
うん、全くわからん!!あの人暗部なのか……
どっからどう見ても、近所の話好きおばちゃんにしか見えませんでした。
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本日 5/2(木)より新作掲載開始しました!!もしよろしければそちらも立ち寄っていただければ幸いです!!手加減必須のチートハンター ~神様の計算を超えて、魔王の手から世界を護ります!! https://www.alphapolis.co.jp/novel/911619238/145877156
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