勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

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第4章 ここから始まる勇者様?

四十二日目② 話が暴走していく話

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 とりあえず【勇者モドキ】の件はほっといて、三人をリビングまで案内することにした。

「懐かしいな。ほとんどあの当時のままじゃねぇか。」
「エドワードさんが建てた当時から、あまり手を入れてないみたいですね。」

 エドワードさんは、感慨深くいろいろと見て回っている。
 とりあえず一回全部見させてもらうといって、家中を調べに行ってしまった。
 残されたマイさんとおっちゃんにソファーを勧める。
 その間にエルダとデイジーは、キッチンでお茶の準備を始めていた。

「エドワードさんはいなくなっちゃいましたけど、マイさん。今日はよろしくお願いします。」
「気にしねえでおくんなんし。それよりも、この前の話通りで良いのでありんすか?」

 マイさんは奥の二人に聞こえないように、小声で確認を取ってきた。
 もちろん最新型の魔導キッチンについてだ。
 それについては全く問題が無いので、そのまま進めてもらうことにしてある。

「はい、そのまま進めてください。今日はダミー契約を結んでいただければ結構ですので。」
「カイトさんも悪い人でありんすね。まあ、それもまたカイトさんの魅力なのかもしれんせんね。」

 そう言うとマイさんは口元を扇子で隠し、コロコロと笑っていたのだった。
 エルダ達がお茶の準備を終え、キッチンから戻ってきた。
 2人もソファーに座ると、キッチンについての聞き取りが始まった。
 マイさんからの提案に二人は喜びを隠せず、あれこれ迷っているよだった。
 旧式を選んだお陰で、逆に予算的余裕ができたと、いろいろ機能を追加しようとたくらんでいるようだった。
 しかし、マイさんもさすがはギルマスというべきなのか。
 機能の要・不要を的確にアドバイスをしてくれて、本当に必要な機能に厳選しながらチョイスを進めていく。

 あらかた決め終わると、二人の目はキラキラと輝いていた。
 きっと新しいキッチンで料理をすることを夢見ているんだろうな。
 そして俺からのサプライズでもっと驚かせてあげたい。

「ある程度内容が決まりんしたね。じゃあ、一度キッチンでサイズを確認して、最終決定をしんしょう。」

 席を立ったマイさんと共にエルダとデイジーはキッチンへ向かっていった。
 これからさらに詰めて、最終決定をするらしい。
 その後で寸法取りをして本契約の流れになるそうだ。
 
 リビングに残された俺たちがお茶を飲んでくつろいでいると、家を見て回ったエドワードさんが戻ってきた。
 何やら手には大量のメモが握られており、それを見ながらウンウン唸っていた。

「エドワードさん。改修工事にこの家は耐えられそうですか?」
「おう、それについては問題ないだろうな。時間はかなり経過しているが、しっかりとしていたぞ。それよりもなんじゃあの作業場は。足の踏み場すらないじゃないか。」
「あはははは……」

 俺はエドワードさんの指摘に、笑ってごまかすことしかできなかった。
 量産体制を作るために、場所を無理やり確保しながら作業していたから、整理するのを諦めたのだ。
 お陰で、作業台やら何やらが所狭しと鎮座している状態だ。

「あれじゃ、作業場の拡張はしたくなるわな。あとは風呂場の改築だったか?それもある程度決まってるのか?」
「はい、風呂場の仕様についてもあらかた話し合いました。それと追加なんですが、続き廊下で離れを一棟お願いできますか。寝るだけの場所なんで凝った造りでなくていいので。」
「はなれなぁ~。作れるには作れるが場所が足りねぇぞ?」

 そうか、場所の問題が出てくるのか。
 さすがにそこまで考えてなかったな。
 庭をつぶせばいいかってくらいにしか考えてなかったからな。

「横から良いか?」

 エドワードさんと話を付けているときに、シャバズのおっちゃんが話に入ってきた。
 何か提案があるのだろうか?

「この家の隣の敷地なんだがな、実は俺の所有なんだわ。そこで提案だ。いっその事、この敷地と隣の敷地合わせて買い取らねぇか?」

 おっと、ここでいきなりぶっこんできた~~~~!!
 ってのは冗談で、何をいきなり言い出してんだこのおっさん!?
 そんな金どこにあるってんだよ?

「おっと、金の心配はしなくていいぞ。鍛冶ギルドからも仕事の依頼があったからな。」
「ものすごく嫌な予感しかしなんだけど……」

 なんてタイムリーな……
 御都合主義様がまたご降臨召されたのか?
 それに、これってあれだろ?鋼材を作れ的な話だろ?
 絶対きついやつじゃんよ……

「鍛冶屋ギルドからの依頼は簡易溶鉱炉の製作依頼だ。数は20基。一基金貨100枚。どうだ?受けるか?」
「イエス!!」

 俺はその誘いに迷わず飛びついてしまった。
 だって金貨2000枚だよ?
 今回の資金捻出もぎりぎりだったから、こんな申し出断ること出来ないでしょ?

「わかった。土地の評価額は確か金貨800枚だったから、依頼達成後に残り金貨1200枚を、坊主の口座に振り込むように手続きしておく。それと、あとでこの土地と隣の土地の権利書も持ってくるから、サインしてくれ。それをもってここはお前さんのものになる。」
「ありがとうございます。」

 これで俺は一国一城の主だ!!
 なんか盛り上がってきたな!!

「そっちの話はまとまったようだな。じゃあ、離れは……。いや、いっその事、隣と合わせて建て直しを考えないか?その方が逆に安く済みこともある。なに、支払いは分割でも構わん。」

 なんだなんだ、話がでかくなってきてないか?!
 だんだんしり込みしそうなんだけど……
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