勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

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第4章 ここから始まる勇者様?

四十一日目① 原因は俺でした

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 昨日の夜に、【緑人の住処ダンジョン】の第1層から第3層までのマップを書き上げた俺は、帰り際にキャサリンさんに提出した。
 それを見たキャサリンさんは、目が飛び出るほど驚いていたが、俺もかなりビックリだ。
 まさかこんなに正確に書けるとは、思っていなかったから。
 一応、まだ9割くらいであることを伝えると、それでも十分すぎると褒められた。
 これをもとに、ほかの冒険者に確認作業を依頼し、依頼達成となるそうだ。
 なので、報酬等は後日になることを教えてもらった。



 それで、今日はどうするか。
 朝食後にミーティングを行うことになった。

「で、どうしよっかカイト。昨日のままだと、また第4層でストップになっちゃうよ?」
「そうなんだよなぁ。正直なところ、迷ってる。【新緑のダンジョン】を進めるのも一つなんだよな。今の装備だとその先の湿地帯にあるダンジョン【湿原のダンジョン】には行けないだろうし。その辺どう思うエルダ?」

 俺は朝食を片付けて戻ってきたエルダに、今後の動きについて意見を聞いた。
 エルダも今の状況に少し迷っており、思案顔だった。

「そうね、正直手詰まりではあるわね。【新緑のダンジョン】でオーク装備が作れたから、その先の【湿原のダンジョン】も進めたいところだわ。カイト、装備は確か明日点検の完了だったかしら?」
「だね。明日は改築の件で木工ギルドと魔道具ギルドが話し合いに来るから、終日休暇かな。その空いた時間でガンテツさんのところに取りに行く予定だよ。」

 三人とも、どうしたものかと考えこんでいた。
 これについては、俺もどうしたら良いか迷っていた。
 おそらく【新緑のダンジョン】も【緑人の住処ダンジョン】もこれ以上進むのは難しいと思う。
 その辺は装備の更新が急がれるけど、今のところは危険を冒す必要は感じられない。
 むしろ無理をして怪我したら、ダンジョン探索どころじゃなくなってしまうからね。
 そうなると【鉱山跡地ダンジョン】なんだけど……
 ここも【湿原のダンジョン】の攻略を待ってからになる。
 これぞまさに八方塞がりだ。

「一度冒険者ギルドに行ってみてはどうだ?掲示板の状況を見て考えたらいいんじゃないか?」
「「「確かに。」」」

 というわけで、ポールの指摘に納得した俺たちは、そのまま冒険者ギルドに向かことにした。



 ギルド会館につくと、何かいつもよりも騒がしい気がした。
 なんとなく嫌な予感を覚えて皆の顔を見ると、同じように嫌そうな顔をしていた。
 何事もなければいいんだけど……

ドン!!

「なんでこの情報にこれしか貰えないんだよ!!こっちは必死に情報集めて来たんだぞ!!」
「ちゃんと説明してくれ!!」
「そうだそうだ!!」

 何やら数人の冒険者が、受付嬢……キャサリンさんに食って掛かっていた。
 俺は見たことの無い顔だったんで、周りの冒険者に聞いてみたが、知り合いではないそうだ。
 どうやら、新規ダンジョンの攻略に、他の街から流れて来た冒険者だったらしい。
 あいつら絶対後悔することになるのにな……

「ですから、すでに第1層から第3層については、初日でほぼすべての情報が集まっております。この情報ではこれが妥当な報酬です。」

 キャサリンさんは極めて丁寧に、やさし~く教えてあげていた。
 それでもその冒険者パーティーは納得がいかなかったようだ。

「おかしいだろ?!こっちは必死にマッピングして来たんだぞ⁉しかも第3層までの分!!どんだけ苦労したかわかってんのかよ!!」

 あ~、うん。
 ごめんなさい、キャサリンさん。
 俺が悪いんですね、はい。

 彼らは完全に、俺の被害者だったらしい。
 大きくため息をついたキャサリンさんは、一度席を立つと3枚の紙を持ってきた。
 あれは……
 俺が書いたマップだ。

「ではこちらをご覧ください。昨日提供されたマップです。本日から確認作業に入りますが、その他の方からの提供情報と照らし合わせても、一番正確に記載されています。これに記載されていない部分があれば、それなりの報酬でしたが、これよりも劣る情報でしたので妥当な金額がそちらです。ご理解いただけましたか?」
「このくそあまぁ~~~~!!俺たちを誰だと思ってんだ!!Cランクパーティーの【ブラックハウンド】だぞ!!」

 自分たちが調べた情報よりも正確なマップを見せられて、赤面を通り越して憤怒の表情になっていく冒険者たち。
 その冒険者たちは、腰にぶら下げている剣に手をかけようとしていた。

 その時だった。

「はいはい、ストップストップ。そこまでだ。ギルド内では剣を抜くのはご法度だぞ?それもわかんないのか?」

 騒ぎを止めたのはシルさんだった。
 シルさん達のパーティー【乾坤一擲】は、今帰ってきたみたいだった。
 ポーターも一緒で、だいぶ疲れてそうだったけど、ケガなどはなさそうだ。
 さすがCランクって感じがした。

「誰だお前!!俺は……」
「【ブラックハウンド】って言えばガイさんのところのだろ?いいのかこんなことして。絶対キレられるぞ?ガイさんはキャサリンさんのファンなんだからよ。」

 えっと、止め方が何とも言えないのですが。
 出来ればバシッと止めてほしかった!!と、思ってしまったのは俺だけではないはずだ。
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