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第4章 ここから始まる勇者様?
三十八日目⑦ 弱点って誰にでもあるよね?
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泉の部屋の【ポイズンウィード】から、弱毒草をあらかた回収できた俺たちは、第二層の眠り苔の採取に向かうことにした。
思いのほか俺の解毒ポーション(低)の効果が高かったようで、予定よりも多く弱毒草を集めることが出来た。
皆の視線が痛かったが気にしたら負けだ!!
エルダさんや……「カイトだからね」で締めくくるのやめません?
若干傷つくからね?
第2層は、さっきまでとはうって変わって、湿度がかなり高くなっていた。
洞窟型ダンジョンであることは変わりないんだけど、洞窟の壁から水が湧き出て、いたるところが小川のような感じになっていた。
天井からも水滴が滴り落ちる光景は、〝ザ・洞窟〟って感じがした。
この小川どこまで続くのか一瞬気になったけど、探っている場合ではなかった。
「カイト。ここからは少し気を付けたほうがいい。」
「何か問題でもあるのか?」
ポールから注意喚起をされたが、何に注意すればいいのかわからなかった。
「だからポールはいっつも話を端折りすぎ。ここから先は眠り苔の群生地があるの。でね、群生地の眠り苔はわかりやすいんだけど、たまに道端にひっそりと生えているときがあるの。その眠り苔の胞子を吸い込むと、途端に睡魔に襲われちゃうんだ。しかもそういう時に限って戦闘中とか。だから周囲警戒のほかに足元の警戒も必要になるの。」
デイジーさん何ともわかりやすい説明ありがとうございます。
そしてポール、端折りすぎ!!
というわけで、全方位に警戒をしながらダンジョン内を進んでいくことにした。
この階層ではオークよりも、ゴブリンの上位種が出やすいらしい。
先程から何回か戦闘を繰り返してきたけど、すべてがゴブリン系だった。
一番驚いたのがゴブリンメイジだった。
あのゴブリンが魔法を放ってきたときは、面食らってしまった。
正直、完全に油断していた。
ゴブリンだから大丈夫だろうって感じで、不用意に突っ込みすぎた。
そのおかげで、ゴブリンから水属性魔法の直撃を受けてしまった。
しかも俺の装備が水が弱点だったので、ダメージが一気に跳ね上がってやばかった。
手持ちの回復ポーション(低)が無かったらと思うとぞっとする。
その後はみんなのフォローで何とか切り抜けることができた。
これは完全に俺のミスだ。
ここまでだいぶ順調にこなせていただけに、冷や水を浴びせられた気分だった。
「さっきのはいただけないわね。」
「ごめんなさい。」
ダンジョン内だというのに、俺はエルダから正座で説教を受けていた。
一歩間違えば命にかかわっていたので、甘んじて受け入れている。
「大方、ゴブリンだから大丈夫って思って突っ込んだんでしょうけど、状況把握の指揮者デイジーの話をきちんと聞きなさい。良いわね?」
「はい……」
そっと顔を上げてエルダの顔を見ると、ものすごく心配しているのが見て取れた。
それだけのことをしてしまったんだと、つくづく感じた。
「それにね、あなたのスキル【気配察知】ならモンスターの特徴だってわかったはずでしょ?どうして確認しなかったの?」
「完全に舐めてました。」
「でしょうね。次からはきちんと突っ込む前に確認すること。約束よ?」
「ごめん、エルダ……」
「まったくもう。」
エルダは大きくため息をつくと、説教モードが終わったようで怒りの矛を収めてくれた。
「二人とも、そろそろいいか?」
「だね~。ここまだダンジョンだしね~。」
ポールとデイジーにせかされて、ダンジョン探索を再開した。
ほどなくして眠り苔の群生地を発見したわけだけど、ここからが大変だった。
近づくと一気に胞子をばら撒くのだ。
しかも、連鎖的に複数の個体がばら撒くもんだから、辺り一面胞子で黄色く染まっている。
「なあ、これってどうやって採取するのさ?」
俺はその光景を見て、途方に暮れてしまった。
「こういう時はエルダちゃんの出番なのです~~~~~!!」
デイジーがエルダを引っ張て来て俺の前に突き出した。
どういうことなんだ?
「この眠り苔の胞子は水に弱いの。水に浸かってしまうと、胞子が飛ばせなくて、水につかった胞子は溶けてなくなってしまうのよ。だからこの眠り苔採取には魔法使いが必須だってわけよ。」
「なんともまぁ、不思議な生態だな。」
エルダは話の後に、おもむろに【魔光陣】を立ち上げた。
光魔法で構築されていく【魔光陣】は何とも言えずきれいだった。
「水瀑布!!」
エルダの気合の声とともに【魔光陣】は発動し、目の前に大きな水の塊が姿を現した。
そしてその水の塊が爆ぜたと思うと、前方に勢いよく流れだしたのだ。
辺り一面水浸しとなり、くるぶし付近まで水に浸かっている状況だ。
「カイト、これで採取が可能になる。水が引く前に一気に回収を進めるぞ。回収した眠り苔はこの皮袋に入れてくれ。これは魔道具で一定の水をためた状態にできるものだ。」
ポールが取り出した革袋は、若干の伸縮性があり、中をのぞくと水が満たされていた。
だが、ひっくり返しても水が溢れてこない不思議現象。
まさにファンタジーだなって思ってしまったのは内緒だ。
俺たちはびちゃびちゃと音をたてながら、順に眠り苔を回収していくのだった。
というかさ、俺の装備……
水属性が弱点なの忘れてない?
地味にダメージを受けています……
思いのほか俺の解毒ポーション(低)の効果が高かったようで、予定よりも多く弱毒草を集めることが出来た。
皆の視線が痛かったが気にしたら負けだ!!
エルダさんや……「カイトだからね」で締めくくるのやめません?
若干傷つくからね?
第2層は、さっきまでとはうって変わって、湿度がかなり高くなっていた。
洞窟型ダンジョンであることは変わりないんだけど、洞窟の壁から水が湧き出て、いたるところが小川のような感じになっていた。
天井からも水滴が滴り落ちる光景は、〝ザ・洞窟〟って感じがした。
この小川どこまで続くのか一瞬気になったけど、探っている場合ではなかった。
「カイト。ここからは少し気を付けたほうがいい。」
「何か問題でもあるのか?」
ポールから注意喚起をされたが、何に注意すればいいのかわからなかった。
「だからポールはいっつも話を端折りすぎ。ここから先は眠り苔の群生地があるの。でね、群生地の眠り苔はわかりやすいんだけど、たまに道端にひっそりと生えているときがあるの。その眠り苔の胞子を吸い込むと、途端に睡魔に襲われちゃうんだ。しかもそういう時に限って戦闘中とか。だから周囲警戒のほかに足元の警戒も必要になるの。」
デイジーさん何ともわかりやすい説明ありがとうございます。
そしてポール、端折りすぎ!!
というわけで、全方位に警戒をしながらダンジョン内を進んでいくことにした。
この階層ではオークよりも、ゴブリンの上位種が出やすいらしい。
先程から何回か戦闘を繰り返してきたけど、すべてがゴブリン系だった。
一番驚いたのがゴブリンメイジだった。
あのゴブリンが魔法を放ってきたときは、面食らってしまった。
正直、完全に油断していた。
ゴブリンだから大丈夫だろうって感じで、不用意に突っ込みすぎた。
そのおかげで、ゴブリンから水属性魔法の直撃を受けてしまった。
しかも俺の装備が水が弱点だったので、ダメージが一気に跳ね上がってやばかった。
手持ちの回復ポーション(低)が無かったらと思うとぞっとする。
その後はみんなのフォローで何とか切り抜けることができた。
これは完全に俺のミスだ。
ここまでだいぶ順調にこなせていただけに、冷や水を浴びせられた気分だった。
「さっきのはいただけないわね。」
「ごめんなさい。」
ダンジョン内だというのに、俺はエルダから正座で説教を受けていた。
一歩間違えば命にかかわっていたので、甘んじて受け入れている。
「大方、ゴブリンだから大丈夫って思って突っ込んだんでしょうけど、状況把握の指揮者デイジーの話をきちんと聞きなさい。良いわね?」
「はい……」
そっと顔を上げてエルダの顔を見ると、ものすごく心配しているのが見て取れた。
それだけのことをしてしまったんだと、つくづく感じた。
「それにね、あなたのスキル【気配察知】ならモンスターの特徴だってわかったはずでしょ?どうして確認しなかったの?」
「完全に舐めてました。」
「でしょうね。次からはきちんと突っ込む前に確認すること。約束よ?」
「ごめん、エルダ……」
「まったくもう。」
エルダは大きくため息をつくと、説教モードが終わったようで怒りの矛を収めてくれた。
「二人とも、そろそろいいか?」
「だね~。ここまだダンジョンだしね~。」
ポールとデイジーにせかされて、ダンジョン探索を再開した。
ほどなくして眠り苔の群生地を発見したわけだけど、ここからが大変だった。
近づくと一気に胞子をばら撒くのだ。
しかも、連鎖的に複数の個体がばら撒くもんだから、辺り一面胞子で黄色く染まっている。
「なあ、これってどうやって採取するのさ?」
俺はその光景を見て、途方に暮れてしまった。
「こういう時はエルダちゃんの出番なのです~~~~~!!」
デイジーがエルダを引っ張て来て俺の前に突き出した。
どういうことなんだ?
「この眠り苔の胞子は水に弱いの。水に浸かってしまうと、胞子が飛ばせなくて、水につかった胞子は溶けてなくなってしまうのよ。だからこの眠り苔採取には魔法使いが必須だってわけよ。」
「なんともまぁ、不思議な生態だな。」
エルダは話の後に、おもむろに【魔光陣】を立ち上げた。
光魔法で構築されていく【魔光陣】は何とも言えずきれいだった。
「水瀑布!!」
エルダの気合の声とともに【魔光陣】は発動し、目の前に大きな水の塊が姿を現した。
そしてその水の塊が爆ぜたと思うと、前方に勢いよく流れだしたのだ。
辺り一面水浸しとなり、くるぶし付近まで水に浸かっている状況だ。
「カイト、これで採取が可能になる。水が引く前に一気に回収を進めるぞ。回収した眠り苔はこの皮袋に入れてくれ。これは魔道具で一定の水をためた状態にできるものだ。」
ポールが取り出した革袋は、若干の伸縮性があり、中をのぞくと水が満たされていた。
だが、ひっくり返しても水が溢れてこない不思議現象。
まさにファンタジーだなって思ってしまったのは内緒だ。
俺たちはびちゃびちゃと音をたてながら、順に眠り苔を回収していくのだった。
というかさ、俺の装備……
水属性が弱点なの忘れてない?
地味にダメージを受けています……
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