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第4章 ここから始まる勇者様?
三十八日目⑥ やり過ぎ注意
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顔を出したのは【スピアウィード】6株?でいいのか?匹で良いのかな?まいっか。
俺とポールはメイン武器で、デイジーはさっそく買ったサブウェポンの短剣を使って刈り取りを行う。
まさに刈り取りで、収穫作業だった。
【スピアウィード】は刈り取っても魔石を残すことはなかった。
ただ、刈り取られた【スピアウィード】は手の中で変化を起こし、ヒール草になったのだ。
まさにファンタジー的変化で驚きを隠せずにいた。
それを見たデイジーが不思議そうな顔で、俺の顔を覗き込んできた。
「そんなに珍しいの?」
「珍しっていうか、不思議だなって。こいつら魔石を落とさないってことは魔物じゃないんだろ?だけどこうやってドロップアイテムを落とす。片や猪とかは解体しないと何も手に入らない。野生動物と魔物とこの草と何が違うのかなって思ってね。」
このあたりは俺もずっと疑問に思っていた。
あまりにも不自然だからだ。
だけど、みんなはそうではないらしい。
俺の疑問にさらに疑問を持ったみたいだ。
「カイト。この世界ではそれが当たり前だからな。誰も考えたことはないんじゃないのか?考えるとしたら生物学者だろうけど、あいつらほとんどモンスター研究にしか興味が無いぞ?」
「なるほどねぇ~。みんなからしたら当たり前の出来事だから、考えることはしないって感じなんだな。わかった、じゃあこういうもんだとして受け入れていくよ。」
俺がそう言うと、エルダがどこか腑に落ちていない表情を浮かべていた。
「カイトがそういうのであればいいんだけど……。あまり納得していないって表情をしているわよ?」
「そうだな、たぶんこれは俺が異世界人だからの感想だと思う。俺たちの世界にモンスターもいなければドロップアイテムや魔法なんて存在しない。あるのは現実的なことばかりだから。」
俺の言葉に一瞬エルダは考え込んでいた。
「なるほどね。私たちには理解しがたい暮らしだわ。不便じゃないの?」
「不便じゃないよ。むしろ、この世界より便利だし、ある意味では平和だと思う。」
俺の言葉に興味を持ったのか、エルダは少し考えるそぶりを見せると、ちょっとだけにこやかな笑みを浮かべていた。
「いつか見てみたいわね。カイトの生まれ育った世界。」
「その時は必ず連れて行くよ。」
俺はエルダにそういった。
叶うなら、いつか見せてあげたいものだ。
それから俺たちは【スピアウィード】をずいぶん刈りまくった。
ところが弱毒草がまだ手に入っていないのだ。
「ところで、弱毒草って【ポイズンウィード】からだったよな?」
「あぁ。それで間違いない。やることは一緒だ。」
ということはまた肉を投げてってことか?
採取というよりも罠猟だなこれ。
「でもさポール。俺今まで【ポイズンウィード】に出会ってないんだけど?」
「ここにはいないようだからな。【ポイズンウィード】と【スピアウィード】は共存していないんだ。だからここじゃない別な場所に陣取っているはずだ。」
「なるほどね。ある意味敵対関係にあるってことか。じゃあ、次に行くってことで良いかな?」
「そうしよう。」
他の場所にはすでに冒険者パーティーが居たりで、なかなかいい場所が見つからかった。
マップもあらかた埋まってしまい、どうやらここが最後の場所みたいだ。
「ここでなかったら弱毒草はあきらめないとだめだね~。」
「とりあえず、中を確認してからだな。」
そう言うとポールは手にしていたオーク肉を泉の側に投げ入れた。
【スピアウィード】が居ればすぐに反応を示すはずだけど、今回は全く示さなかった。
「よし、当たりだ。この場所は【ポイズンウィード】の住処の可能性が高そうだ。」
ポールはそう言うと、今度は解毒ポーションを取り出し周囲に撒き始めた。
ほぼ失敗作に近い解毒ポーションは捨て値レベルで売られたりするらしいが、どうやらそれを買っておいたらしい。
「え?なんで解毒ポーション?」
「カイト、見てて。面白いことが起こるから。」
エルダがクスクスと笑いながら、地面を指さしていた。
すると次第に、地面に変化が現れた。
生い茂っていた草が移動を始めたのだ。
いたるところからモゾモゾと動く気配がしている。
そしてようやく俺の【気配察知】に反応が現れた。
どうやら、動くまでは完全に気配を絶って草に擬態しているようだ。
「でもどうやってこれを回収するのさ?」
俺は素朴な疑問をポールにぶつけると、普通に腰に差してあった予備の剣を【ポイズンウィード】が居る位置に突き刺した。
一瞬びくりと動いた【ポイズンウィード】だったけど、すぐに活動を停止した。
それを確認したポールはグイっと【ポイズンウィード】が刺さった剣ごと持ち上げた。
すると、【ポイズンウィード】は次第にしなびけていき、弱毒草へと姿を変えた。
「こうすれば回収できる。ただ、素手で絶対に触ったらだめだ。肌が爛れてしまうからな。」
「そっか、もし動いていないやつを触ったらどうなるんだ?」
「もれなく爛れる。」
うわ~。
絶対気を付けないといけないやつだ。
幸いにして俺も解毒ポーション(低)を数本所持していたので、周囲に振り撒いてみた。
するとポールの時よりも広範囲でうごめき始めた。
さすがにちょっと気持ち悪かったのは言うまでもない。
「カイト。何を撒いたの?」
「ん?解毒ポーション(低)だけど……。効きすぎた?」
「そうね。やっぱりカイトだからってところかしらね。」
何とも言えない空気のまま俺たちは【ポイズンウィード】を順調に回収していくのだった。
俺とポールはメイン武器で、デイジーはさっそく買ったサブウェポンの短剣を使って刈り取りを行う。
まさに刈り取りで、収穫作業だった。
【スピアウィード】は刈り取っても魔石を残すことはなかった。
ただ、刈り取られた【スピアウィード】は手の中で変化を起こし、ヒール草になったのだ。
まさにファンタジー的変化で驚きを隠せずにいた。
それを見たデイジーが不思議そうな顔で、俺の顔を覗き込んできた。
「そんなに珍しいの?」
「珍しっていうか、不思議だなって。こいつら魔石を落とさないってことは魔物じゃないんだろ?だけどこうやってドロップアイテムを落とす。片や猪とかは解体しないと何も手に入らない。野生動物と魔物とこの草と何が違うのかなって思ってね。」
このあたりは俺もずっと疑問に思っていた。
あまりにも不自然だからだ。
だけど、みんなはそうではないらしい。
俺の疑問にさらに疑問を持ったみたいだ。
「カイト。この世界ではそれが当たり前だからな。誰も考えたことはないんじゃないのか?考えるとしたら生物学者だろうけど、あいつらほとんどモンスター研究にしか興味が無いぞ?」
「なるほどねぇ~。みんなからしたら当たり前の出来事だから、考えることはしないって感じなんだな。わかった、じゃあこういうもんだとして受け入れていくよ。」
俺がそう言うと、エルダがどこか腑に落ちていない表情を浮かべていた。
「カイトがそういうのであればいいんだけど……。あまり納得していないって表情をしているわよ?」
「そうだな、たぶんこれは俺が異世界人だからの感想だと思う。俺たちの世界にモンスターもいなければドロップアイテムや魔法なんて存在しない。あるのは現実的なことばかりだから。」
俺の言葉に一瞬エルダは考え込んでいた。
「なるほどね。私たちには理解しがたい暮らしだわ。不便じゃないの?」
「不便じゃないよ。むしろ、この世界より便利だし、ある意味では平和だと思う。」
俺の言葉に興味を持ったのか、エルダは少し考えるそぶりを見せると、ちょっとだけにこやかな笑みを浮かべていた。
「いつか見てみたいわね。カイトの生まれ育った世界。」
「その時は必ず連れて行くよ。」
俺はエルダにそういった。
叶うなら、いつか見せてあげたいものだ。
それから俺たちは【スピアウィード】をずいぶん刈りまくった。
ところが弱毒草がまだ手に入っていないのだ。
「ところで、弱毒草って【ポイズンウィード】からだったよな?」
「あぁ。それで間違いない。やることは一緒だ。」
ということはまた肉を投げてってことか?
採取というよりも罠猟だなこれ。
「でもさポール。俺今まで【ポイズンウィード】に出会ってないんだけど?」
「ここにはいないようだからな。【ポイズンウィード】と【スピアウィード】は共存していないんだ。だからここじゃない別な場所に陣取っているはずだ。」
「なるほどね。ある意味敵対関係にあるってことか。じゃあ、次に行くってことで良いかな?」
「そうしよう。」
他の場所にはすでに冒険者パーティーが居たりで、なかなかいい場所が見つからかった。
マップもあらかた埋まってしまい、どうやらここが最後の場所みたいだ。
「ここでなかったら弱毒草はあきらめないとだめだね~。」
「とりあえず、中を確認してからだな。」
そう言うとポールは手にしていたオーク肉を泉の側に投げ入れた。
【スピアウィード】が居ればすぐに反応を示すはずだけど、今回は全く示さなかった。
「よし、当たりだ。この場所は【ポイズンウィード】の住処の可能性が高そうだ。」
ポールはそう言うと、今度は解毒ポーションを取り出し周囲に撒き始めた。
ほぼ失敗作に近い解毒ポーションは捨て値レベルで売られたりするらしいが、どうやらそれを買っておいたらしい。
「え?なんで解毒ポーション?」
「カイト、見てて。面白いことが起こるから。」
エルダがクスクスと笑いながら、地面を指さしていた。
すると次第に、地面に変化が現れた。
生い茂っていた草が移動を始めたのだ。
いたるところからモゾモゾと動く気配がしている。
そしてようやく俺の【気配察知】に反応が現れた。
どうやら、動くまでは完全に気配を絶って草に擬態しているようだ。
「でもどうやってこれを回収するのさ?」
俺は素朴な疑問をポールにぶつけると、普通に腰に差してあった予備の剣を【ポイズンウィード】が居る位置に突き刺した。
一瞬びくりと動いた【ポイズンウィード】だったけど、すぐに活動を停止した。
それを確認したポールはグイっと【ポイズンウィード】が刺さった剣ごと持ち上げた。
すると、【ポイズンウィード】は次第にしなびけていき、弱毒草へと姿を変えた。
「こうすれば回収できる。ただ、素手で絶対に触ったらだめだ。肌が爛れてしまうからな。」
「そっか、もし動いていないやつを触ったらどうなるんだ?」
「もれなく爛れる。」
うわ~。
絶対気を付けないといけないやつだ。
幸いにして俺も解毒ポーション(低)を数本所持していたので、周囲に振り撒いてみた。
するとポールの時よりも広範囲でうごめき始めた。
さすがにちょっと気持ち悪かったのは言うまでもない。
「カイト。何を撒いたの?」
「ん?解毒ポーション(低)だけど……。効きすぎた?」
「そうね。やっぱりカイトだからってところかしらね。」
何とも言えない空気のまま俺たちは【ポイズンウィード】を順調に回収していくのだった。
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本日 5/2(木)より新作掲載開始しました!!もしよろしければそちらも立ち寄っていただければ幸いです!!手加減必須のチートハンター ~神様の計算を超えて、魔王の手から世界を護ります!! https://www.alphapolis.co.jp/novel/911619238/145877156
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