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第4章 ここから始まる勇者様?
三十八日目⑤ もう見たくなかった……
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ガン!!
ギン!!
ドガン!!
「ブギッ!!フギ!!」
「ブブブゴッ!!」
ドゴーーーーーンッ!!
「くそっ!!効いてないぞ!!どうなってやがる⁉」
「えぇ~い!!あなた達!!私たちを守りなさい!!ほら早く!!」
どっかで聞いたことのある声だな……
俺は慎重に、さらに距離を詰める。
目視できる範囲まで迫ると、その姿を確認できた。
畜生……
どこまでもついてない……
また【勇者モドキ】かよ!!
俺はそう心の中で毒づいた。
それにしても、お粗末な戦闘だな。
仮にも【勇者様】だろうに。
ほとんど攻撃に参加しないで、【聖女(笑)】と一緒に後方に居やがる。
神官騎士四名で実質相手にしているようなもんだな。
えっと、敵は……
オークが2匹。
ダメダメじゃないかよ。
「守りを固めろ!!俺に近づけんじゃない!!」
「も~やだ~~~~~!!服が汚れたじゃないの!!」
「それもこれもあの屑が役に立たないからだ!!くそ!!王様に没収されたせいで散々じゃないか!!」
「ほらあなた達!!さっさと始末なさい!!」
あ~も~やだ。
絶対関わりたくない!!
こんな奴らに関わったら絶対ろくなことにならん。
戻ってルート変更を伝えよう。
俺は戦闘を見届けることなく、その場を後にした。
本当は最後まで見届けたほうがいいんだろうけど、見るに堪えなかった。
神官騎士があまりにも不憫だな。
モンスターに気付かれることなくエルダ達に合流した俺は、ことの詳細を伝えた。
3人とも顔を顰めて、とてもとても嫌そうな顔をしていた。
それはほんと見事に三人そろって同じ顔……
全力で嫌そうな顔でした。
俺が別ルートから奥に向かうことを提案すると、そのままみんな了承してくれたので、移動を開始した。
それから当初とは違うルートをしばらく移動すると、前方に泉が姿を現した。
これが目的地か?
「カイト、目的地に着いたぞ。」
「了解。それにしても不思議な場所だな。」
そう、ここはとても澄んだ空気の不思議な空間だった。
中央には滾々と湧き出る泉があり、その周りには色とりどりの花や草が咲き誇っていた。
さらに天井付近から木漏れ日が差し込み、ここがダンジョンであるということを忘れさせてくれる。
俺は導かれるようにその泉の側へ歩み寄った。
するといきなりエルダから腕を取られ、引き寄せられた。
「カイト!!気を付けて!!」
引き寄せられた反動でしりもちをついた俺は、目を疑った。
今さっきまで俺がいた場所に、下から槍のような植物が生えていたのだ。
そのままあそこに居たら、串刺しになっていたかもしれない。
「た、助かった……のか……?」
「あぶなかったね~。」
俺は気の抜けた声が漏れ出てしまった。
デイジーも「ふぅ~」と言わんばかりに額の汗をぬぐうしぐさをしていた。
しかしあれはいったい……
「あれは【スピアウィード】。完全な初見殺しのモンスターよ。そして厄介なのは、地中に潜んでいる時は植物の種に擬態しているの。だから気配がしないわ。」
「なるほど、だから【気配探知】に反応が出なかったのか。」
俺はダンジョンに入ってから【気配探知】を怠っていなかった。
さすがにデイジーのようにはいかないまでも、自分が不意打ちを喰らわないようにということと、レベル上げの意味を込めて発動させ続けていた。
だが現実は……
俺はピンと伸びた槍上の草に目を奪われていた……
「そうよ。そして自分の近くに獲物が来ると一気に成長して襲い掛かってくるの。」
「何それこわ!!」
先程まで元気だった【スピアウィード】はしなしなと萎れていき、そのうち消えてなくなった。
どういうことだ?
「あれは栄養を得られずに枯れて死んだのよ。」
「なんつう生態だよ。」
つまり奴らの栄養は、生物ってことか……
「ちなみに、【スピアウィード】のドロップアイテムがヒール草。あと【ポイズンウィード】が弱毒草よ。」
「え?生えてるんじゃないの?!」
これは予想外だ。
俺はてっきりヒール草と弱毒草が生えていて、それを採取するもんだと思ってた。
「確かにあの泉の側にはヒール草と弱毒草も生えている。しかし、それを見分けながら探すよりも、この2匹のモンスターを倒したほうがより確実に手に入るからな。皆そうしているというわけだ。」
「なるほどね~。でもどうやって探して、倒すのさ。近づかないと出てこないんだろ?」
近づけば串刺し。
離れらば出てこない。
正直、手も足も出ない感じでお手上げだ。
「それがそうでもないのよね~。こいつらって匂いがわかるみたいで、肉を投げ込むとそこに群がる感じで伸びるのよね~。」
するとデイジーが解体で集めたオークのくず肉をおもむろに取りだし、無造作に放り投げた。
肉は数回地面をバウンドすると、俺たちから50mくらい先で止まった。
モコ……モコモコ……
ザシュ!!ザシュ!!ザシュシュシュシュシュシュ!!!!!!
地面から先ほど見た【スピアウィード】が、勢いよく飛び出してきた。
その飛び出す速度は一瞬で、放り投げられたオーク肉は瞬く間に串刺しの刑になっていた。
さっきの対応が遅れていたらと思うと、背中に冷や汗が流れる。
「これならいけるでしょ?だからここに来る人は必ずオークを何体も倒して肉を手に入れてからくるんだよ~。それか街で豚肉を買ってくるかな?」
「カイト。さっさと仕留めないとまた枯れるから急ごう。」
ポールに促され俺は【スピアウィード】を刈り取り始めたのだった。
ギン!!
ドガン!!
「ブギッ!!フギ!!」
「ブブブゴッ!!」
ドゴーーーーーンッ!!
「くそっ!!効いてないぞ!!どうなってやがる⁉」
「えぇ~い!!あなた達!!私たちを守りなさい!!ほら早く!!」
どっかで聞いたことのある声だな……
俺は慎重に、さらに距離を詰める。
目視できる範囲まで迫ると、その姿を確認できた。
畜生……
どこまでもついてない……
また【勇者モドキ】かよ!!
俺はそう心の中で毒づいた。
それにしても、お粗末な戦闘だな。
仮にも【勇者様】だろうに。
ほとんど攻撃に参加しないで、【聖女(笑)】と一緒に後方に居やがる。
神官騎士四名で実質相手にしているようなもんだな。
えっと、敵は……
オークが2匹。
ダメダメじゃないかよ。
「守りを固めろ!!俺に近づけんじゃない!!」
「も~やだ~~~~~!!服が汚れたじゃないの!!」
「それもこれもあの屑が役に立たないからだ!!くそ!!王様に没収されたせいで散々じゃないか!!」
「ほらあなた達!!さっさと始末なさい!!」
あ~も~やだ。
絶対関わりたくない!!
こんな奴らに関わったら絶対ろくなことにならん。
戻ってルート変更を伝えよう。
俺は戦闘を見届けることなく、その場を後にした。
本当は最後まで見届けたほうがいいんだろうけど、見るに堪えなかった。
神官騎士があまりにも不憫だな。
モンスターに気付かれることなくエルダ達に合流した俺は、ことの詳細を伝えた。
3人とも顔を顰めて、とてもとても嫌そうな顔をしていた。
それはほんと見事に三人そろって同じ顔……
全力で嫌そうな顔でした。
俺が別ルートから奥に向かうことを提案すると、そのままみんな了承してくれたので、移動を開始した。
それから当初とは違うルートをしばらく移動すると、前方に泉が姿を現した。
これが目的地か?
「カイト、目的地に着いたぞ。」
「了解。それにしても不思議な場所だな。」
そう、ここはとても澄んだ空気の不思議な空間だった。
中央には滾々と湧き出る泉があり、その周りには色とりどりの花や草が咲き誇っていた。
さらに天井付近から木漏れ日が差し込み、ここがダンジョンであるということを忘れさせてくれる。
俺は導かれるようにその泉の側へ歩み寄った。
するといきなりエルダから腕を取られ、引き寄せられた。
「カイト!!気を付けて!!」
引き寄せられた反動でしりもちをついた俺は、目を疑った。
今さっきまで俺がいた場所に、下から槍のような植物が生えていたのだ。
そのままあそこに居たら、串刺しになっていたかもしれない。
「た、助かった……のか……?」
「あぶなかったね~。」
俺は気の抜けた声が漏れ出てしまった。
デイジーも「ふぅ~」と言わんばかりに額の汗をぬぐうしぐさをしていた。
しかしあれはいったい……
「あれは【スピアウィード】。完全な初見殺しのモンスターよ。そして厄介なのは、地中に潜んでいる時は植物の種に擬態しているの。だから気配がしないわ。」
「なるほど、だから【気配探知】に反応が出なかったのか。」
俺はダンジョンに入ってから【気配探知】を怠っていなかった。
さすがにデイジーのようにはいかないまでも、自分が不意打ちを喰らわないようにということと、レベル上げの意味を込めて発動させ続けていた。
だが現実は……
俺はピンと伸びた槍上の草に目を奪われていた……
「そうよ。そして自分の近くに獲物が来ると一気に成長して襲い掛かってくるの。」
「何それこわ!!」
先程まで元気だった【スピアウィード】はしなしなと萎れていき、そのうち消えてなくなった。
どういうことだ?
「あれは栄養を得られずに枯れて死んだのよ。」
「なんつう生態だよ。」
つまり奴らの栄養は、生物ってことか……
「ちなみに、【スピアウィード】のドロップアイテムがヒール草。あと【ポイズンウィード】が弱毒草よ。」
「え?生えてるんじゃないの?!」
これは予想外だ。
俺はてっきりヒール草と弱毒草が生えていて、それを採取するもんだと思ってた。
「確かにあの泉の側にはヒール草と弱毒草も生えている。しかし、それを見分けながら探すよりも、この2匹のモンスターを倒したほうがより確実に手に入るからな。皆そうしているというわけだ。」
「なるほどね~。でもどうやって探して、倒すのさ。近づかないと出てこないんだろ?」
近づけば串刺し。
離れらば出てこない。
正直、手も足も出ない感じでお手上げだ。
「それがそうでもないのよね~。こいつらって匂いがわかるみたいで、肉を投げ込むとそこに群がる感じで伸びるのよね~。」
するとデイジーが解体で集めたオークのくず肉をおもむろに取りだし、無造作に放り投げた。
肉は数回地面をバウンドすると、俺たちから50mくらい先で止まった。
モコ……モコモコ……
ザシュ!!ザシュ!!ザシュシュシュシュシュシュ!!!!!!
地面から先ほど見た【スピアウィード】が、勢いよく飛び出してきた。
その飛び出す速度は一瞬で、放り投げられたオーク肉は瞬く間に串刺しの刑になっていた。
さっきの対応が遅れていたらと思うと、背中に冷や汗が流れる。
「これならいけるでしょ?だからここに来る人は必ずオークを何体も倒して肉を手に入れてからくるんだよ~。それか街で豚肉を買ってくるかな?」
「カイト。さっさと仕留めないとまた枯れるから急ごう。」
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