勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

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第4章 ここから始まる勇者様?

三十八日目④ 結果→カイト=クラフト馬鹿

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 冒険者ギルドで依頼を受けた俺たちは、次の目的地ガンテツさんの店にやってきた。
 ここはいつも通り冒険者でごった返していた。
 メンテで来る人。
 武具を求めに来る人。
 鉱石を直接卸しに来た人。
 いろんな人がいて、毎度飽きることはないかな。

「おっちゃ~~~~ん。ガンテツのおっちゃ~~~ん。いまだいじょ~~~ぶ~~~~~~?」

 俺は、工房の奥にいるであろうガンテツさんに声をかけた。
 遠くから「ちょっとまってろ~~~~!!」って聞こえたので、どうやら声は届いていたようだ。
 俺たちは、ガンテツのおっちゃんが来るまで、店の中を物色していた。
 正直、俺が今使っている武器よりも良い物が揃っている。
 今使っている双剣だって、ジェダンさんのお下がりだからね。
 いくら良い素材を使おうとも、経年劣化には勝てないってことらしい。
 まぁ、今の俺には十分すぎる性能なんだけど。

 色々見て回るうちに、作ってみたいものがたくさん浮かんできた。
 きっと俺は、どこまで行ってもクラフト脳なんだろうな。
 あんな素材ほしいとか、こんな素材を扱ってみたいだとか。

 デイジーは、ポールと一緒にサブウェポンを吟味しているようだ。
 メインウェポンはこの前、ライラさんのところで受け取った【魔導弓】があるが、サブウェポンはまだ新調していない。
 早めに変えたいなって話はしていたから、丁度良いのかもしれない。
 俺はエルダと一緒に、いろいろ物色して歩いていた。

 そしてふと見た先に、壁にかかる一本の剣を見つけた。
 深く黒光りする剣で、長さはショートソードクラスだろうか。
 片手で振り回す感じの長さだ。
 柄などには特に派手な装飾を施されているわけでもない。
 ただただ、その剣姿の美しさに目を奪われたのだ。
 俺は迷うことなくその剣に手を伸ばした。

 その時だった。

「そいつに触っちゃならねぇ!!」

 ガンテツさんの怒鳴り声が俺の耳に届いた。
 その声で我に返った俺は、剣に伸ばそうとしていた手を慌ててひっこめた。

「あの……」

 俺が困惑していると、ガンテツのおっちゃんが事情を説明してくれた。

「その剣は黒龍の爪を芯に使ったんだが、どういうわけか意志を持ってるんじゃないのかってくらい、人を引き付けるんだ。だが、触れたら最後、認められないとはじかれちまうんだ。」
「じゃあそんな物騒な物、置かないでくださいよ!!」

 俺が強気で返すと、おっちゃんの一言で毒気が抜かれてしまった。

「いや、だって、ほら。かっこいいだろ?」

 うん、否定しない!!

「あ、じゃなかった。ほいこれ。鑑定と調整をお願いします。」
「こりゃまた面白いの持ってきたな。出来栄えは……二流ってところか。だがわるくわねぇな。よし、これなら四日だ。四日有れば調整が終わるだろうよ。」
「わかりました。じゃあ、四日後に取りに来ますね。」
「おう。また来いよ!!」
「行ってきます!!」

 うん、これで用事は完了。
 気を取り直して【新緑のダンジョン】へ行くとしますかね。



 まあ、前も来た場所だから、移動はものすごくスムーズだった。
 特に難しいこともなく、【新緑のダンジョン】へ着くことができた。
 道すがら、オークやゴブリンが目についたが、それほど脅威にもならなかった。
 俺たちの連携も大分みられるようになってきたってことかな。

 ダンジョンの受付を済ませ俺たちは、【新緑のダンジョン】へ足を踏み入れた。
 今日の目的は各種薬草の採取。
 まあ、ぶっちゃけると、どんな種類の薬草でもいいんで、とりあえずまとまった数の薬草が欲しいとのことらしい。

 ギルドで調べた限りでは、第1層にヒール草と弱毒草。
 第2層で眠り苔。
 第3層でパラライの実が取れるそうだ。

 確か第1層のダンジョンは洞窟型だったはず。
 どこでとれるんだ?
 俺はマップを見ながら首をかしげてしまった。

「なぁ、ポール。この洞窟で本当にヒール草とか手に入るのか?」
「そうか、まだ見たことなかったな。このダンジョンの奥には泉が数か所あるんだ。そこに薬草類が自生している。第2層、第3層も同じだ。」

 なるほどね。
 前回来たときは戦闘メインにしていたから、ポールたちはあえてそちらに足を向けなかったのか。
 今回の目的地はそっちだってことか。

「ありがとうポール。じゃあ目的地はその泉ってことで出発しよう。」

 そして改めて俺はダンジョンの探索を開始した。
 今日は意外とモンスターの数が少なかった。

 しばらく進むと、デイジーが停止を呼びかけた。
 俺の感知範囲にはかかってないので、かなり離れた位置のようだ。

「モンスターの気配があるんだけど、どうやら人の気配もあるんだよねぇ~。たぶん戦闘中かなぁ~。」
「デイジー。モンスターの数はわかるか?」
「待ってポール……。ここからじゃはっきりはわからないかな。人の方もわからない。おそらく1パーティーだと思うけど……。ごめん。」

 デイジーは申し訳なさそうにしていた。
 しかし、そこまでの情報をスキルなしで収集してのけるんだから、優秀といっても過言じゃない。

「じゃあ、俺が一旦偵察してくるよ。せっかくスキル覚えたんだし、練習ががてら行ってくる。やばくなったら引き返すから、バックアップはよろしく。」
「わかったわ。無理しないでねカイト。」
「おう!!」

 俺はエルダと会話を交わすと、すぐに準備を始めた。
 俺が使うのは【職業:斥候】系4スキルだ。

「【気配探知】【気配遮断】【集音】【消音】!!」

 俺がスキルを発動させると、みんなが一様に驚きを顕わにしていた。

「ほんと目の前で見るとすごいわね。一瞬で気配が薄れていくわ。」
「すごいな。」
「だね~」

 つまり、消し切れていないってところかな。
 まあ、慎重に動けば問題ないだろう。

 そして俺は、戦闘が行われている方へ移動したのだった。
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