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第4章 ここから始まる勇者様?
三十七日目④ シャバズ、動きます!!
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「キャサリンさん!!お願いがあります!!」
俺は冒険者ギルドへ駆け込むなり、受付カウンターにいたキャサリンさんに話しかけた。
あまりの勢いだったのか、キャサリンさんが若干引き気味だったのは致し方ない。
「どうしたんです?そんなに慌てて……。あれ?後ろの方は……Cランクパーティー『乾坤一擲』の皆さんではないですか?」
「それよりもキャサリンさん。体調不良またはかなり疲れが出やすい状況の冒険者や、町民を確認してください!!おそらく呪いをかけられています!!」
「なんですって⁉そんな馬鹿な⁉」
俺が慌てて説明すると、その事態の重さを理解しきれていないキャサリンさんが居た。
すると先輩冒険者の一人が付け加えてくれた。
「肉の坊主が言ってるのは本当だ。さっきまで気付かなかったけど、確かにずっとだるさが抜けなかった。で、坊主から言われてステータスを確認したら【デバフ:疲労の呪い(弱)】が欠けられてた。おそらくこれは【隠匿】のスキルも併用して使われた、無駄に高度な無駄技術だ。ただ、今回は軽い呪いだが、これが重いものだとしたら……。下手人は即刻とっつ構えないとまずいぞ。ある意味王国への戦争だからな。」
「それはまずいわね……。わかったわ、カイト君とシル君も一緒に来てくれない?ギルマスと対応を協議する必要があるわ。」
へ~、この人の名前シルっていうんだ~。ふ~ん。
今まで知らんかった……
俺とシルさんは、キャサリンさんの案内でギルマスの執務室へと移動した。
シルさんは終始緊張気味で、若干歩き方が変なのは気にしてはいけないのだろうな。
コンコンコン
「ギルマス。緊急案件です。入ります。」
キャサリンさんはシャバズのおっちゃんの返答を待たずに、執務室のドアを開けた。
しかも、唖然としているおっちゃんを尻目に、俺たちにソファーに座るよう勧め、自分はお茶の準備を始めるのだった。
ようやく事態が呑み込めたのか、急いで書類仕事にめどをつけたおっちゃんもソファーに移動してきた。
キャサリンさんがお茶の準備を終えると、みんなに配ってくれた。
少しぬるめで、ほっと一息つくにはちょうどよかった。
「で、いきなりここに来たってことはまた厄介ごとか?」
若干ご機嫌斜めなシャバズのおっちゃんだったが、そんなことはどうでもよかった。
いまはそれに構っている余裕なんてないんだから。
「はい、今回はかなりまずいことになりそうです。」
「なぁ、カイト君よ~。お前さんが厄介ごと以外を持ち込んだことが無かった記憶がするんだが、俺の気のせいかな?」
そんなことないはず……だよね?
なんだかおっちゃんのこめかみに青筋が浮いている。
そんなに怒ったら欠陥切れちゃうのにね?
「俺は特に何もしてませんって。それよりも、どうやら俺は呪いを受けたらしいです。隣のシルさんも同様です。」
「そうみたいです。俺もそうですが、パーティーメンバー三名も呪いを受けている時点で、異常です。」
シルさんの援護もあってか、シャバズのおっちゃんも事態が思わしくないことを理解したらしい。
「しかもこの呪いは【デバフ:疲労の呪い(弱)】っていう呪いで、身体が若干だるい感じがするだけです。つまりかけられたことすら分かり辛いんです。」
「これまた厄介な呪いだな。」
おっちゃんも呪いの意地悪さに、顔が引きつっていた。
「シャバズのおっちゃん、話はそれで終わらないんだよ。なんせこの呪い“自分が呪いにかかっているかも?”または“あれ?おかしいな?”って認識してからステータスボードを開かないと、表示されないように【隠匿】されているんだ。」
「まじかよ……。なんだその地味に洗練された無駄に高難易度な技術は……。そんないたずらに使わずに、もっと役立つことがあるだろうに。」
おっちゃんも俺と同じ意見のようだ。
これほどの技量なら、どっかの国の暗部だったり、護衛だって務まるレベルだ。
そんな技術を無駄に使うんだから、犯人は愉快犯なんだろうか……
「よし、まずは各ギルドに情報を流して、他に被害が無いかの確認だな。それと、元老院を通して国王陛下にも伝えておく。治療法は……薬師ギルドと魔導ギルドに依頼しないとならんな。そっちも準備を進める。すまんがもうしばらく我慢してくれ。」
おっちゃんはそう言うと即行動を起こした。
通信魔道具で各所に連絡を取り、準備を進めていく。
俺たちはこれでやることが無くなったので、執務室を後にした。
一階に戻ると、ホールが何やら騒がしくなっていた。
どうやら、冒険者ギルドでも確認作業が始まったらしい。
次第に状況が判明していく中で、何となくだけど概要がつかめてきた。
おそらくあいつらの仕業だ。
むしろ、それ以外に犯人がいるなら、そいつはものすごく頭の切れるやつってことになるな……
?!じゃあ、陛下が危ないじゃないか?!
俺はものすごく嫌な予感を覚えた。
「なあエルダ……これってかなりまずい状況じゃないか?」
「そうね……あまりいいとは言い難い状況になってそうね。」
エルダも俺と同じ結論に至ったようで、少し焦りの様子を浮かべていた。
だけどここで疑問が出てくる。
なんでデイジーとポールは呪われなかったんだ?
今回かかった人たちは商店街の騒ぎに駆け付けた冒険者たちだ。
そこにはデイジーとポールもいたはず……
全く持って意味不明な行動に、俺は頭を悩ませる羽目になった。
俺は冒険者ギルドへ駆け込むなり、受付カウンターにいたキャサリンさんに話しかけた。
あまりの勢いだったのか、キャサリンさんが若干引き気味だったのは致し方ない。
「どうしたんです?そんなに慌てて……。あれ?後ろの方は……Cランクパーティー『乾坤一擲』の皆さんではないですか?」
「それよりもキャサリンさん。体調不良またはかなり疲れが出やすい状況の冒険者や、町民を確認してください!!おそらく呪いをかけられています!!」
「なんですって⁉そんな馬鹿な⁉」
俺が慌てて説明すると、その事態の重さを理解しきれていないキャサリンさんが居た。
すると先輩冒険者の一人が付け加えてくれた。
「肉の坊主が言ってるのは本当だ。さっきまで気付かなかったけど、確かにずっとだるさが抜けなかった。で、坊主から言われてステータスを確認したら【デバフ:疲労の呪い(弱)】が欠けられてた。おそらくこれは【隠匿】のスキルも併用して使われた、無駄に高度な無駄技術だ。ただ、今回は軽い呪いだが、これが重いものだとしたら……。下手人は即刻とっつ構えないとまずいぞ。ある意味王国への戦争だからな。」
「それはまずいわね……。わかったわ、カイト君とシル君も一緒に来てくれない?ギルマスと対応を協議する必要があるわ。」
へ~、この人の名前シルっていうんだ~。ふ~ん。
今まで知らんかった……
俺とシルさんは、キャサリンさんの案内でギルマスの執務室へと移動した。
シルさんは終始緊張気味で、若干歩き方が変なのは気にしてはいけないのだろうな。
コンコンコン
「ギルマス。緊急案件です。入ります。」
キャサリンさんはシャバズのおっちゃんの返答を待たずに、執務室のドアを開けた。
しかも、唖然としているおっちゃんを尻目に、俺たちにソファーに座るよう勧め、自分はお茶の準備を始めるのだった。
ようやく事態が呑み込めたのか、急いで書類仕事にめどをつけたおっちゃんもソファーに移動してきた。
キャサリンさんがお茶の準備を終えると、みんなに配ってくれた。
少しぬるめで、ほっと一息つくにはちょうどよかった。
「で、いきなりここに来たってことはまた厄介ごとか?」
若干ご機嫌斜めなシャバズのおっちゃんだったが、そんなことはどうでもよかった。
いまはそれに構っている余裕なんてないんだから。
「はい、今回はかなりまずいことになりそうです。」
「なぁ、カイト君よ~。お前さんが厄介ごと以外を持ち込んだことが無かった記憶がするんだが、俺の気のせいかな?」
そんなことないはず……だよね?
なんだかおっちゃんのこめかみに青筋が浮いている。
そんなに怒ったら欠陥切れちゃうのにね?
「俺は特に何もしてませんって。それよりも、どうやら俺は呪いを受けたらしいです。隣のシルさんも同様です。」
「そうみたいです。俺もそうですが、パーティーメンバー三名も呪いを受けている時点で、異常です。」
シルさんの援護もあってか、シャバズのおっちゃんも事態が思わしくないことを理解したらしい。
「しかもこの呪いは【デバフ:疲労の呪い(弱)】っていう呪いで、身体が若干だるい感じがするだけです。つまりかけられたことすら分かり辛いんです。」
「これまた厄介な呪いだな。」
おっちゃんも呪いの意地悪さに、顔が引きつっていた。
「シャバズのおっちゃん、話はそれで終わらないんだよ。なんせこの呪い“自分が呪いにかかっているかも?”または“あれ?おかしいな?”って認識してからステータスボードを開かないと、表示されないように【隠匿】されているんだ。」
「まじかよ……。なんだその地味に洗練された無駄に高難易度な技術は……。そんないたずらに使わずに、もっと役立つことがあるだろうに。」
おっちゃんも俺と同じ意見のようだ。
これほどの技量なら、どっかの国の暗部だったり、護衛だって務まるレベルだ。
そんな技術を無駄に使うんだから、犯人は愉快犯なんだろうか……
「よし、まずは各ギルドに情報を流して、他に被害が無いかの確認だな。それと、元老院を通して国王陛下にも伝えておく。治療法は……薬師ギルドと魔導ギルドに依頼しないとならんな。そっちも準備を進める。すまんがもうしばらく我慢してくれ。」
おっちゃんはそう言うと即行動を起こした。
通信魔道具で各所に連絡を取り、準備を進めていく。
俺たちはこれでやることが無くなったので、執務室を後にした。
一階に戻ると、ホールが何やら騒がしくなっていた。
どうやら、冒険者ギルドでも確認作業が始まったらしい。
次第に状況が判明していく中で、何となくだけど概要がつかめてきた。
おそらくあいつらの仕業だ。
むしろ、それ以外に犯人がいるなら、そいつはものすごく頭の切れるやつってことになるな……
?!じゃあ、陛下が危ないじゃないか?!
俺はものすごく嫌な予感を覚えた。
「なあエルダ……これってかなりまずい状況じゃないか?」
「そうね……あまりいいとは言い難い状況になってそうね。」
エルダも俺と同じ結論に至ったようで、少し焦りの様子を浮かべていた。
だけどここで疑問が出てくる。
なんでデイジーとポールは呪われなかったんだ?
今回かかった人たちは商店街の騒ぎに駆け付けた冒険者たちだ。
そこにはデイジーとポールもいたはず……
全く持って意味不明な行動に、俺は頭を悩ませる羽目になった。
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