勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

文字の大きさ
上 下
152 / 322
第4章 ここから始まる勇者様?

三十六日目③ 第3層探索

しおりを挟む
 第2層も変わり映えはしなかったが、鉱脈に問題が発生した。
 どうも冒険者が大分入っているようで、何か所か有ったには有ったけど、効率が極めて悪かった。
 このまま第2層で作業をしていても時間の無駄になりそうだ。

 俺はみんなに状況を説明して、この先の第3層へ行くことを提案する。
 みんなもそれには賛成で、第3層に降りることになった。
 デイジーがぶっちゃけたけど、正直暇だったらしい。
 モンスターが現れてもほとんどエルダが倒してしまったからのようだ。
 俺はポールの護衛の下、せっせと掘っていたので全くわかってなかった。



 第3層には【ロックワーム】の巣窟だった。
 【クイーン】の気配は無いが、【ロックワーム】がそこかしこに隠れていた。
 冒険者がそれなりに潜っているはずなのに、どうしてこうも数が多いんだ?

「なあ、エルダ。【ロックワーム】の数多すぎないか?俺たちより先に潜ってる人たちはいるはずだよな?」
「そうね、第2層の鉱脈的に冒険者はそれなりに入ってるはずよ。それにしても多いわね。何もなければいいんだけど……」

 そうなんだよな。
 前の【クイーン】がかなり出現したときのような感じに、【ロックワーム】が隠れ潜んでいるのだ。
 何事もなく掘り終われることを祈ろう……

 そんな心配をよそに、問題なく採掘が順調に進んでいった。
 目標個数は銅鉱石が100個。
 鉄鉱石が約600個。

 現状収納箱(簡易)を確認すると銅鉱石が70個で鉄鉱石が400個。
 うん目標量まで全然足りないな。
 さすがに今日一日での回収は無理があったみたいだ。
 だけどこの調子なら明日一日あれば回収は可能なはずだ。

「カイト、あとどれくらいで集まりそう?」

 俺が鉱石の整理をしていると、エルダが状況確認の為に声をかけてきた。

「そうだね、ちょっと足りないかな~。出来れば銅鉱石をもう少し集めたいかな?鉄鉱石はまだ時間があるから特に問題ないけど、銅鉱石は薬師ギルドからの依頼だから、あまり時間が無いんだよね。」
「わかったわ。この後は銅鉱石を集めて終了ってところかしら?」
「そうなるね。ポールとデイジーも大丈夫?」

 俺は周辺警戒に当たっていた二人に声をかけると、問題ないとの返事が返ってきた。
 というわけで、もう少し粘って鉱石集めを進めることにした。



 数か所回ると、何とか銅鉱石を集めきることができた。
 これも皆のおかげだな。

「じゃあ、銅鉱石は数がそろったから今日は帰るとしよう。」
「そっか~。鉄鉱石はまだ足りない感じ?」

 予想通り、鉄鉱石は目標量に到達する事が出来なかった。
 結局明日もここに来ることが確定してしまった。
 
「そうだね。鉄鉱石は後100個ってところかな?」
「わかった。明日も頑張ろうね~。」

 本当にありがたいな。
 一人だけで集めようとしたら、何日かかることやら。
 仲間がいるだけで、こんなに違うのかと改めて知ることができた。

 俺は帰り支度の為に立てかけてあったつるはしを持ち上げた。
 何の気なしに持ち上げたおかげでバランスを崩してしまい、つるはしが壁に強くぶつかってしまった。
 その時だった。

ガラガラガラガラ!!

 突然壁が崩れていったのだ。
 これは……
 隠し部屋来た~~~~!!

 中を探ると宝箱が一つ。

 いかにも罠がありますよ~。って感じに部屋の中央に設置されていた。

 どうしたものかと思案していると、デイジーが宝箱を開ける前に鑑定してみたら?と提案してきた。
 確かに宝箱を鑑定してみるのも一つの手ではある。

 さすがに警戒せずに中に入るわけにはいかないので、周囲を警戒しつつ部屋の中へと侵入していく。
 俺たち4人が部屋の中に入った瞬間だった。
 部屋全体が何かの幕に覆われたような感じになった。
 
 デイジーが慌てて出口から外に出ようとしたが、壁のような何かがあって出ることができない。

 「くそ!!モンスターハウスだ!!」

 ポールが慌てたように叫んだ。
 モンスターハウスはいわゆる、ダンジョントラップの一種だ。
 部屋に入るなり出口がふさがれ、強制戦闘を余儀なくされるのだ。
 俺たちは宝箱に気を持っていかれすぎて、モンスターハウスにまで気が回っていなかったようだ。
 おそらく普段のデイジーなら違和感を感じていたかもしれない。
 しかし、今回俺のわがままで長く潜ったために、少し疲れが出てしまったらしい。

「みんな!!戦闘準備!!」
「「「おう!!」」」

 いち早く戦闘状態に入っていたエルダが、俺たちに声をかける。
 気を取り直した俺たちは部屋の中央を見つめていた。
 魔素が徐々に集まり出し、モンスターの姿を形成していく。
 クイーンだ!!
 早めに倒さないと、卵が孵って戦闘がより厳しくなっていく。
 俺は焦りの中で武器を構えた。

 クイーンの一鳴きをを合図に戦闘状態に突入。
 地面からは4体の【ロックワーム】が出現。
 クイーンの後ろには卵が次々と生まれていく。

 俺は焦りながらも何とか【ロックワーム】をさばいていく。
 ポールもいい感じで捌いていき、デイジーがとどめを刺していく。

「みんな離れて!!爆炎!!」

 エルダの双肩の上にはそれぞれ【魔光陣】が形成されていた。
 エルダの掛け声とともに射出される火炎弾。
 着弾すると同時に爆発音と衝撃と熱気が部屋全体を覆いつくした。

 ちりちりと焼ける匂いの中、動いていたのは俺たちだけだった。
しおりを挟む
本日 5/2(木)より新作掲載開始しました!!もしよろしければそちらも立ち寄っていただければ幸いです!!手加減必須のチートハンター ~神様の計算を超えて、魔王の手から世界を護ります!! https://www.alphapolis.co.jp/novel/911619238/145877156
感想 77

あなたにおすすめの小説

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

生活魔法は万能です

浜柔
ファンタジー
 生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。  それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。  ――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

雪月夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。