勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

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第4章 ここから始まる勇者様?

三十五日目④ サプラ~~~~~~~~イズ!!(計画案)

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 次の目的地は、木工ギルドからさらに歩いて十分ほどにある、魔道具ギルドだ。
 見た目は洋館で、古びた感じがまた良い雰囲気を出していた。
 そして、その壁に伸びる蔦がきれいにまいて、美しい花を咲かせていた。
 それはまるでおとぎ話の中に出てくるような、そんな感じだった。
 ただ、それが街中にあるので若干浮いているのは気にしてはいけない。
 つか、これなら魔道具ギルドってより魔導ギルドだろ?って思ってしまった。

 中に入ろうと入り口まで来ると、見知った人と鉢合わせた。
 薬師ギルドの受付嬢、ミオさんだ。

「こんにちはミオさん。奇遇だね。」
「あ、こんにちはカイトさん。どうしたんですかこんなところで。」

 いつも通り清楚な空気を纏ったミオさん。
 ザ・お姉さんって感じがするね。
 
「自宅のキッチンを直そうと思って、魔導キッチンを見に来たんだ。」
「そうだったんですね。あ、お姉ちゃんに言えばある程度揃うと思いますよ?一緒にどうですか?」

 やっぱりマイさんの妹だったのか。
 でも、なんでミオさんがここに来たんだ?

「あ、私はお姉ちゃんにお弁当を届けに来たんです。いつも忘れるから、ある意味で日常かもしれませんね。」

 そう言うと、ミオさんは勝手知ったるなんとやらのごとく、ギルド会館へ入っていった。
 あれ?なんで会話が成立していたんだ?
 俺はエルダたちを見ると、呆れた顔をしていた。
 どうやらまた声が漏れていたらしい……
 これ絶対呪いじゃなかろうか……



 中にはいると、1階はホールになっていて、魔道具の展示スペースだった。
 所狭しと並べられた新型魔道具が、ひと際存在感を醸し出していた。
 それを見たエルダとデイジーの目がとても輝いていた。
 真新しいキッチンを前に、夢が膨らんでいるのだろうか。

 受付は奥にあるということなので、見積依頼の為に奥の受付へと向かった。
 2人が名残惜しそうにしているのを見て、なんだかかわいかったのは内緒だ。
 受付嬢がミオさんを見つけると、すぐに他のギルド職員を走らせていた。
 ミオさんが言った通りいつもの光景らしい。

「お姉ちゃんいますか?」
「今呼びに行ってます。毎日ご苦労様です。」

 本当にいつもの事なんだろうな。
 対応している受付嬢も慣れた対応だった。
 少しすると、奥から女性の姿が見えた。
 うん、マイさんだ。

「あらあら、ミオ~おおきになぁ。お弁当すっかり忘れとったわぁ~。ほんまおおきになぁ。」
「もう、お姉ちゃんたら、いっつも忘れてるじゃない。今日こそわって思ってたのに。」

 姉妹のじゃれ合いなのだろうか、周りの職員もほっこりとしたものを見るように、優しい視線でみつめていた。
 こっちもほっこりしてしまった。
 それにしても全然似てないなこの二人。
 まあ、美人ってことだけは似たんだなって思う。

「そや、それでカイトはんは、今日どないしはったん?」
「はい、自宅に置くキッチンを新しくしようかと思いまして。あとついでに給湯関連もと考えてます。」

 手短にマイさんに伝えると、少し考えるそぶりをしてから、ギルマス自ら案内してくれた。

「じゃあ、カイトさん。私はこれで帰りますね。お姉ちゃんはしっかり食べてよね?」
「じゃあ、また。」

 ミオさんはそのまま薬師ギルドまで戻っていくのだった。
 それにしてもマイさんって、実は残念女子なんではないだろうかと思ってしまう。

「じゃあ、わてが案内するさかい、着いて来とぉくれやす。」

 受付カウンターから出て来たマイさんの案内で、魔導キッチンを見て回った。
 使うのが2人なので、2人に見てもらうことにした。
 煮炊きはもちろん、温め機能なども完備されていた。
 一番重視しないといけないのは、魔石の使用効率だ。
 今使っている魔導キッチンは魔石(極小)で大体一週間持つか持たないからしい。
 エルダとしては効率の良いものに切り替えたいと思っているようだ。

 いくつかの新型魔導キッチンを見せてもらったけど、どれもこれも素晴らしいものだった。
 マイさんの説明も相まって、二人の目が終始キラキラとしていた。

 給湯機も含めてあらかた見終わり、見積の段階になった。
 マイさんから提示された金額を見て、エルダ達は驚いていた。

——————

・新型魔導キッチンMK-92 金貨250枚
・新型給湯設備MWK-105 金貨200枚
※ともに設置解体費用込み

——————
 
 さすがにこれは買えないと、エルダとデイジーは肩を落としていた。
 ポールがすかさず、型落ちがあればそれでもいいのでは?と助け船を出してくれた。
 マイさんもさすが商売人。
 今見せてくれた設備の型落ち品の見積もりもすでに作っていてくれた。

——————

・旧型魔導キッチンMK-91 金貨100枚
・旧型給湯設備MWK-104 金貨80枚
※ともに設置解体費用込み

——————

 これならまだ手の届く範囲では?とはエルダ達は話し合っていた。
 それにしても不思議だ。
 確かに半額にはなっているけど、トータル金貨180枚ってのも十分高額だと思うんだけどね。
 ちなみに、一概には言えないけど、感覚的に金貨1枚が1万円くらいだから、約180万円……
 十分それなりの金額だよね……

 まずは設置できるかどうかの確認も必要となるため、現地確認が必要とのことだった。

 7日後に木工ギルドでも下見が来るので、それに合わせてほしいと伝えると、了承してもらえた。
 エルダ達の楽しみで仕方がないようで、キャッキャとしていた。







 俺は少し離れた場所で、マイさんを捕まえて新型を入れてもらうよう伝えた。
 毎度おいしい料理を作ってくれてるんだもの、これくらいはいいよね?
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