勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

文字の大きさ
上 下
136 / 322
第3章 ここから始まる転換点?

三十四日目⑨ モンス肉はやばい

しおりを挟む
 街へ帰る際に、オーク肉の扱いについて話し合った。
 正直オーク肉400kgなんて持っていても仕方がない。
 いくら収納箱(簡易)で荷物の圧縮したところで、消費しきれない。
 しかもこれから何回も来ることになるであろう場所なので、今から備蓄するのはどうなんだろうか。

「キッチンを預かっているエルダとしてはどうなの?」
「そうね、カイトに保管してもらってれば劣化しないって言っても、そこまでは必要ないわね。100kgもあれば十分すぎるわ。それに霜降り肉も17kgもあるんでしょ?これは5kgもあれば十分よ。たぶん一回食べると当分いらなくなるから。」

 エルダの言葉に引っ掛かりを覚えた。
 一回食べると当分いらないって……。
 うまいんじゃないの?

「あら?不思議そうな顔ね?霜降り肉は脂分が多いから、一口二口は良いの。でも量を摂ると……あきるのよ。だから一人100gもあれば十分ってこと。逆にオーク肉の方はどんな料理にも使えるから、重宝するわ。」

 なるほど、つまりはたまに食べるごちそう的な?そんな感じなんだろうな。

「そういえばカイト。オークの睾丸はどうした?とっていたんだろ?」

 ……。
 言えない。
 捨てて来たなんて言えない。

「どうした?まさか……。捨てたのか?!」
「カイト⁉」

 ポールとデイジーが驚きを隠せないでいた。
 実は最初にエルダから、睾丸は高値で取引されるから必ず回収するように言われていた。
 しかし、解体して思った。
 これは取り扱いたくないと……
 エルダも解体で出て来た睾丸を見て、ものすごく嫌な顔をしていた。
 取り出した場所が場所だけに。
 2人してそっと内臓と一緒に処分したのだ。
 取引金額も聞いている。
 1つ金貨5枚。
 今回は4匹分で8個金貨40枚だ。
 でも……それでも、生理的に無理だった。

「デイジー。今度俺と一緒に解体作業しよう。そうすればわかるから……」

 ポールは俺の言っている意味を理解したようで、ものすごく嫌な顔をした。
 その解体を俺たち二人にやらせたんだけどね。
 そして、一緒に解体作業をすると聞いて、デイジーも嫌な顔をしていた。
 デイジー、君も知っているんだろ?

 結果、ギルドに卸すのは次のようになった。

・オークの肉(500g) 600個(300kg)
・オークの霜降り肉(250g) 48個(12kg)
・オークの骨(500g) 100本

 ギルドに卸す分を収納箱(簡易)に移し替えていく。
 その数8箱になってしまった。

「それにしても、普通じゃありえない量よね?」
「そうなのか?」
「そうよ。ふつうは一回ダンジョン行って50kgとか100kg取れたら万歳よ?それをオーク肉で400kgって異常よ?」

 デイジーはそのでたらめな量に、いまだに納得がいかないという感じだ。

「でも霜降り肉が食べられるからいいだろ?」
「そうなんだけどね~~~。」

 本当にデイジーはわかりやすいな。
 スキップしながらデイジーの隣を歩いている。

 そんなこんなで俺たちは街へと戻ってきたのだった。



 俺たちは、そのまま冒険者ギルドに向かった。
 ギルド会館はいつも通り、酒場でどんちゃん騒ぎ。
 ドンだけ体力有り余ってんだろうな。
 受付にはキャサリンさんがいて、帰ってきたことを知らせた。

「おかえりなさい。どうだった【新緑のダンジョン】は。」
「えぇ、自分の未熟さを痛感しました。」

 俺は恥ずかしさのあまり、頭をカリカリとかいてしまった。
 幼少期からの癖で、つい出てしまう。
  
「そう、それはよかったわ。」
「そうですね、いい経験が出来ました。仲間に感謝です。」

 キャサリンさんは俺の返事を聞いて、優し気な笑みを浮かべていた。
 その表情を見てキャサリンさんにはお見通しなんだなってそう思ってしまった。

「それじゃあ、精算しましょうか。」
「はい、それで量が量なので、裏を使わせてください。」
「わかったわ。誰か、ここをお願い。」

 キャサリンさんは受付を交換してもらって、俺たちと一緒に裏に回った。

「で、カイト君。君またやらかしたわね?」
「え?やらかしてませんからね?はい、これが今回の分です。」

 納品予定にしていた分を分けておいた収納箱(簡易)を、アイテムボックスから合計8箱取り出した。
 それを見たキャサリンさんは既にあきらめの表情を浮かべていた。
 さらに内容よそのおおよその量を説明すると、天井を見上げて生気を失ったようになってしまった。
 あ、なんかごめんなさい。


 
 それからしばらくしてキャサリンさんは正気に戻ると、すぐに追加の職員を呼び出した。
 到着した職員にてきぱきと指示を出すキャサリンさん。
 やっぱりできる女性はかっこいいよなって思ってしまった。
 中身の確認して、報酬を割り出すから待っていてほしいそうだ。

 俺たちは、待っている間にギルドの酒場で、食事をとることにした。
 ついでだからと、デイジーから保管してもらってたオーク肉を陰で取り出してもらった。
 量にして50kg。
 そして全員一致で、マスターにステーキにしてもらうことにした。
 一人1kgもあれば十分なので、残りはここにいる人で分けてもらった。

 酒場にいた冒険者たちは、いきなりの差し入れにどっと沸きあがった。
 次々と礼を言いに来る先輩たちと乾杯をしながら、俺たちもステーキにありついたのだった。

 ものすごく旨かったとだけ言っておこう。
しおりを挟む
本日 5/2(木)より新作掲載開始しました!!もしよろしければそちらも立ち寄っていただければ幸いです!!手加減必須のチートハンター ~神様の計算を超えて、魔王の手から世界を護ります!! https://www.alphapolis.co.jp/novel/911619238/145877156
感想 77

あなたにおすすめの小説

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

生活魔法は万能です

浜柔
ファンタジー
 生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。  それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。  ――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。