勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

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第3章 ここから始まる転換点?

三十四日目④ 【新緑の森ダンジョン】

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 ドロップアイテムをアイテムボックスへしまった俺たちは、さらに森を進んでいく。

 途中で合計5匹のオークと遭遇し、戦闘訓練を行った。
 エルダも調整に慣れたようで、何とか被害無く倒し切ることができた。

 そして魔方陣がいかに有用かというのが理解できた。

 試しにとエルダが水撃の【魔光陣】を空中に展開し、低威力で発動させた。
 その後に、水撃の【魔光陣】を別な空中に展開してみたのだ。
 これはまだ試したことが無かったようで、レンさんからはそういう使い方も可能だとは聞いていたようだった。
 二つの【魔光陣】が展開されて、エルダのMPを吸収しつつ一定間隔で水弾が目標物に向かって飛んでいくのだ。
 これには俺たちも驚いてしまった。
 今はエルダのMPの都合上で3つまでの展開と維持が限界だった。
 つまりこれからMPの上限が増えればもっと増やせるし、瞬間火力を上げようと思うとMPが許す限り青天井になるのだ。
 それに、集中力をかなり使うからまだ1つしか制御できないけど、【魔光陣】を移動させることも可能だそうだ。
 つまりは相手を追尾する。
 または自分を追尾することが可能となるのだ。
 かなり反則臭いなこれ。
 しかし、欠点もある。
 展開数を増やすと一気にMPを持っていかれるそうだ。
 そして移動させた場合は、周囲の警戒がおろそかになってしまうそうだ。
 そんなデメリットよりも余りあるメリットが際立ってしまった。
 本当にレンさんって何者なんだろうか。



 そんなこんなで俺たちは、目的地の【新緑の森ダンジョン】へ到着した。
 ここにも【鉱山跡地ダンジョン】と同様にどでかい門が見えてきた。
 遠くからでもわかるほどの大きさで、森の中に悠然とその存在を誇示しているようだった。

「ようこそ【新緑の森ダンジョン】へ。君たちはここは初めてかい?」

 そう言ってきたのは、受付担当の魔人族の男性だった。
 彼は見た目的には20代くらいに見えるけど、魔人族は青年期が長いらしく、実は70歳くらいとかありえるそうだ。
 寿命も最長で200歳くらいで、人間の約2倍くらいは生きるそうだ。

「はい、ここは初めてですね。【鉱山跡地ダンジョン】は何度か潜りましたが。」
「そうですか、では腕輪や内部での注意事項の説明は不要ですね。では冒険者証の提示をお願いします。」

 俺たちは男性に冒険者証を提示すると受付は完了した。

「ではお気をつけていってらっしゃい。無理はしてはダメですよ?」

 なんて優しい人なんだ。
 魔人族とは言うけれど、俺たちと何ら変わらないんだなと感じた。

「あ、そうだ。確認し忘れていました。王国との戦争状態は解除されたんですか?」
「はい、それは解除済みです。通常に戻ってますので問題ありませんよ。ただ、準戦時状態ではありますので、突如の変遷にお気を付けくださいね。」

 良かった。これでまともに潜れそうだ。
 ただ、国王が変わってもまだ準戦時状態を維持していることは、信用されてはいないんだなってことが 伺える。
 まあ、それがきっと普通なんだろうな。

 受付を済ませた俺たちは【新緑の森ダンジョン】へと足を踏み入れたのだった。


 
「じゃあ、みんな。気を引き締めていこう!!」

 俺はリーダーらしくみんなに注意を促した。
 ダンジョンとは一歩間違えればそのまま死に直結してしまう場所なのだから。

「どうしたのカイト。なんでそんなに気合を入れてるの?ここは推奨Eランクオーバーのダンジョンだよ?第1層なんてメインはゴブリンとオークだけだし。問題ない場所だよ?」
「え?」

 俺はデイジーの言葉に我を失いかけた。
 エルダに目を向けると、すごく申し訳なさそうにしていた。
 ポールも何か良く分からない的な表情をしていた。

「ごめんなさいカイト。説明不足だったわ。ここも【鉱山跡地ダンジョン】と脅威度で言えば大差がない場所なのよ。むしろモンスターを斬れるだけ倒しやすいと言えるわ。【鉱山跡地ダンジョン】は対策さえすれば無双が可能だから人気が高いけど。」
「まじですか?」

 俺はあっけにとられていた。
 俺の気合を返してほしい。

「つまりどういうこと?」
「それは第10層までは私達でも問題なく対応が可能だってことよ。」
「無理をしなければ問題なく攻略を進められるだろうな。」

 デイジーとポールが説明してくれるけど、あまり入ってこなかった。
 精神的ダメージが大きすぎた。

「エルダはちなみにここだと第何層まで進んだんだ?」
「私?私はパーティー組んでた時は第17層までだったかな?」
「エルダすご~い。やっぱりCランクだけあるねぇ~。」

 デイジーも驚いていた。
 デイジーとポールはまだ第10層まで行けていないそうだ。
 ということで当分はここを中心に目標第10層として頑張ることにした。

 俺はいったいいつになったらエルダに追いつけるんだろうな……
 つか、この前の【鉱山跡地ダンジョン】での苦戦って、完全に俺が足を引っ張ってたってことじゃないか!?
 マジで頑張らんとエルダにおんぶにだっこになってしまう。
 それだけは嫌だ!!


 そして俺たちは本格的に【新緑の森ダンジョン】の探索を開始した。
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本日 5/2(木)より新作掲載開始しました!!もしよろしければそちらも立ち寄っていただければ幸いです!!手加減必須のチートハンター ~神様の計算を超えて、魔王の手から世界を護ります!! https://www.alphapolis.co.jp/novel/911619238/145877156
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