130 / 322
第3章 ここから始まる転換点?
三十四日目③ 轟く雷鳴。漂う香り。
しおりを挟む
「ブブ!!ブブヒ?!」
「ブヒ!!ブヒ!!」
これがオークの鳴き声か?どう聞いても豚じゃんよ。
オークたちは俺たちが近づくと、こちらの気配に気が付いたのか、怒りを顕わに騒ぎ出した。
ポールは構わず盾を構えた状態で突進していく。
「スキル【シールドチャージ】!!」
ちょっと待って!!あんた盾役のディフェンダーじゃないの?!
盾役が前に出たら……ってあれ?
ポールの【シールドチャージ】で2匹のオークは体勢を大きく崩すことになったってより吹っ飛んだぞ?
ポールはさらにヘイトコントロールをしていく。
普通の盾職だったらここでスキル【ウォークライ】を発動させるらしいんだろうけど、それに近いことを技術としてこなしていく。
この辺はムーさんから教えてもらってことが役に立っているみたいだ。
大きなタワーシールドで俺をオークたちの視界から遮っている。
おかげで俺はオークから標的にされずにいた。
俺はポールの陰でエルダの準備が終わるのを静かに待った。
俺たちの後方ではエルダが【魔光陣】の準備を始めていた。
まだ実践的に使うには難しいようで、補助としてレンさんから譲り受けた【魔導書】を開き、雷撃の【魔光陣】を上空に展開していく。
ガンガン!!
ドガン!!
ガギン!!
次々と繰り出されるオークからの斬撃やら打撃やらを、ポールはタワーシールドを巧みに操り受け止め、いなしていく。
オークの表情からは、思い通りにいかないためか苛立ちの感情が伝わってくる。
ってよりもさ、オークにも〝感情〟があるんじゃないかとさえ思えてしまった……
そのおかげで、上空への注意がおろそかになっていた。
そして上空には光の魔方陣が形成れていく。
次の瞬間。
ピカ!!
「雷鳴!!」
ゴロゴロゴロゴロ~~~!!
エルダの声が聞こえるよりも先に、光の柱が目の前に落ちる。
遅れて爆音が俺たちを襲った。
「ぐわ!?」
「ぐッ!!」
俺とポールは視覚と聴覚を一気にやられてしまった。
これでも一番簡単な魔方陣だっていうんだからやばいよな。
徐々に視覚が回復していき、状況がわかってきた。
目の前には焦げた豚の丸焼きが2匹転がっていた。
一瞬いい匂いだと思ったのは内緒だ。
南無さん
違った……
それにしても、いまだに耳が聞こえないので、かなり困った状態だ。
後ろを振り向くとエルダが慌てた様子で駆け寄ってきた。
その顔には焦りが浮かんでいた。
そして何か話しているんだけど、何言ってるかよくわからなかった。
とりあえず謝罪の気持ちは伝わってきた。
だって涙目なんだもの。
少しして、聴覚も回復してきた。
その間に【職業:解体業】に変更するのは忘れていなかった。
ドロップアイテムはオーク3匹で
・魔石(小)が1つ
・オークの外皮が1枚
・オークの肉(500g)が1つ
だった。
ピコン
「ごめんなさい!!出力調整を間違えました!!」
エルダは全力で謝り倒した。
実はこれは由々しき事態でもある。
今回は運よくオークを倒せたからよかった。
しかし、俺とポールは五感のうち2つをつぶされた状態になってしまったのだ。
それほどまでにエルダの【魔光陣】の威力がすさまじかったのだ。
予定では1匹をしびれさせる程度にとどめるつもりだった。
だが、蓋を開けたら2匹を丸焼きにするほどの威力になってしまったのだ。
「エルダ……、さすがにやり過ぎよ。」
「ごめん……」
デイジーは後方警戒を兼ねてエルダより後方に陣取っていた。
そのおかげで、災難に巻き込まれずに済んだのだ。
「でもどうしてこんな威力になったの?」
俺はエルダに問題を確認した。
それによっては【魔光陣】のテストはこれで終了せざる得ないのだ。
「それが……。初めての実践投入で気合を入れ過ぎました。」
つまり、気合を入れ過ぎて、MPを注ぎ過ぎたと?
魔力調整をもう少しうまくしてもらわないといけないかもしれないな。
エルダも反省しているようで、今回は不問としたが、次使う時は威力を上げ過ぎないようにと釘は刺しておいた。
それにしても【魔光陣】……すさまじい威力だな。
これがスキルじゃなくて〝技術〟だっていうんだから、かなりばかげた性能だよな。
「エルダ、さすがに目と耳をやられるとは思わなかった。」
「ごめんポール。」
ポールはもろにその光を直視してしまい、今もまだ完全に視界が回復していなかった。
俺はダメもとで回復ポーション(低)を取り出し、ポールと一緒に飲み干した。
するとどうだろうか。
いまだに見辛かった視界がクリアになっていったのだ。
ポールもその性能に驚き、二人で目を見合わせてしまったほどだ。
「とりあえず、これで大丈夫そうだね。ポールも大丈夫そうか?」
「あぁ、何とか元に戻った。しかし、まさか閃光による目つぶしにも効くとはな。」
確かに俺もそう思う。
普通こういったのって違う回復系ポーションがお約束なはずなんだけど……
これも俺のポーションが異常なせいなのかもしれない。
あとでちゃんと検証しないとな。
「おそらく、目にダメージを負ったって判定で、ポーションが作用したのかもしれないな。」
「なるほどな。」
俺とポールはそう納得することにした。
俺の作るポーションは、考えるだけ無駄なような気がしたからだ。
そして俺はシステム音を聞き逃していたのだった。
「ブヒ!!ブヒ!!」
これがオークの鳴き声か?どう聞いても豚じゃんよ。
オークたちは俺たちが近づくと、こちらの気配に気が付いたのか、怒りを顕わに騒ぎ出した。
ポールは構わず盾を構えた状態で突進していく。
「スキル【シールドチャージ】!!」
ちょっと待って!!あんた盾役のディフェンダーじゃないの?!
盾役が前に出たら……ってあれ?
ポールの【シールドチャージ】で2匹のオークは体勢を大きく崩すことになったってより吹っ飛んだぞ?
ポールはさらにヘイトコントロールをしていく。
普通の盾職だったらここでスキル【ウォークライ】を発動させるらしいんだろうけど、それに近いことを技術としてこなしていく。
この辺はムーさんから教えてもらってことが役に立っているみたいだ。
大きなタワーシールドで俺をオークたちの視界から遮っている。
おかげで俺はオークから標的にされずにいた。
俺はポールの陰でエルダの準備が終わるのを静かに待った。
俺たちの後方ではエルダが【魔光陣】の準備を始めていた。
まだ実践的に使うには難しいようで、補助としてレンさんから譲り受けた【魔導書】を開き、雷撃の【魔光陣】を上空に展開していく。
ガンガン!!
ドガン!!
ガギン!!
次々と繰り出されるオークからの斬撃やら打撃やらを、ポールはタワーシールドを巧みに操り受け止め、いなしていく。
オークの表情からは、思い通りにいかないためか苛立ちの感情が伝わってくる。
ってよりもさ、オークにも〝感情〟があるんじゃないかとさえ思えてしまった……
そのおかげで、上空への注意がおろそかになっていた。
そして上空には光の魔方陣が形成れていく。
次の瞬間。
ピカ!!
「雷鳴!!」
ゴロゴロゴロゴロ~~~!!
エルダの声が聞こえるよりも先に、光の柱が目の前に落ちる。
遅れて爆音が俺たちを襲った。
「ぐわ!?」
「ぐッ!!」
俺とポールは視覚と聴覚を一気にやられてしまった。
これでも一番簡単な魔方陣だっていうんだからやばいよな。
徐々に視覚が回復していき、状況がわかってきた。
目の前には焦げた豚の丸焼きが2匹転がっていた。
一瞬いい匂いだと思ったのは内緒だ。
南無さん
違った……
それにしても、いまだに耳が聞こえないので、かなり困った状態だ。
後ろを振り向くとエルダが慌てた様子で駆け寄ってきた。
その顔には焦りが浮かんでいた。
そして何か話しているんだけど、何言ってるかよくわからなかった。
とりあえず謝罪の気持ちは伝わってきた。
だって涙目なんだもの。
少しして、聴覚も回復してきた。
その間に【職業:解体業】に変更するのは忘れていなかった。
ドロップアイテムはオーク3匹で
・魔石(小)が1つ
・オークの外皮が1枚
・オークの肉(500g)が1つ
だった。
ピコン
「ごめんなさい!!出力調整を間違えました!!」
エルダは全力で謝り倒した。
実はこれは由々しき事態でもある。
今回は運よくオークを倒せたからよかった。
しかし、俺とポールは五感のうち2つをつぶされた状態になってしまったのだ。
それほどまでにエルダの【魔光陣】の威力がすさまじかったのだ。
予定では1匹をしびれさせる程度にとどめるつもりだった。
だが、蓋を開けたら2匹を丸焼きにするほどの威力になってしまったのだ。
「エルダ……、さすがにやり過ぎよ。」
「ごめん……」
デイジーは後方警戒を兼ねてエルダより後方に陣取っていた。
そのおかげで、災難に巻き込まれずに済んだのだ。
「でもどうしてこんな威力になったの?」
俺はエルダに問題を確認した。
それによっては【魔光陣】のテストはこれで終了せざる得ないのだ。
「それが……。初めての実践投入で気合を入れ過ぎました。」
つまり、気合を入れ過ぎて、MPを注ぎ過ぎたと?
魔力調整をもう少しうまくしてもらわないといけないかもしれないな。
エルダも反省しているようで、今回は不問としたが、次使う時は威力を上げ過ぎないようにと釘は刺しておいた。
それにしても【魔光陣】……すさまじい威力だな。
これがスキルじゃなくて〝技術〟だっていうんだから、かなりばかげた性能だよな。
「エルダ、さすがに目と耳をやられるとは思わなかった。」
「ごめんポール。」
ポールはもろにその光を直視してしまい、今もまだ完全に視界が回復していなかった。
俺はダメもとで回復ポーション(低)を取り出し、ポールと一緒に飲み干した。
するとどうだろうか。
いまだに見辛かった視界がクリアになっていったのだ。
ポールもその性能に驚き、二人で目を見合わせてしまったほどだ。
「とりあえず、これで大丈夫そうだね。ポールも大丈夫そうか?」
「あぁ、何とか元に戻った。しかし、まさか閃光による目つぶしにも効くとはな。」
確かに俺もそう思う。
普通こういったのって違う回復系ポーションがお約束なはずなんだけど……
これも俺のポーションが異常なせいなのかもしれない。
あとでちゃんと検証しないとな。
「おそらく、目にダメージを負ったって判定で、ポーションが作用したのかもしれないな。」
「なるほどな。」
俺とポールはそう納得することにした。
俺の作るポーションは、考えるだけ無駄なような気がしたからだ。
そして俺はシステム音を聞き逃していたのだった。
846
本日 5/2(木)より新作掲載開始しました!!もしよろしければそちらも立ち寄っていただければ幸いです!!手加減必須のチートハンター ~神様の計算を超えて、魔王の手から世界を護ります!! https://www.alphapolis.co.jp/novel/911619238/145877156
お気に入りに追加
3,346
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。