勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

文字の大きさ
上 下
115 / 322
第3章 ここから始まる転換点?

二十九日目⑥ 突然の……

しおりを挟む
「お父さん!!」

 エルダはそう叫ぶと、一目散に駆け出した。
 向かう先は訓練場の真ん中。
 今まさに訓練中のパーティーの処だ。
 俺はあっけにとられてしまい、エルダの行動に付いて行けなかった。
 事態を察した二人もエルダの後を追った。
 俺は何が何だかわからず後ろから付いて行くことしかできなかった。

「んお?エルダじゃないか!?」
「どぉ~~~~っせい!!」

バチ~~~~~~~ン!!

 エルダの勢いの乗った良いビンタが、その男性の左頬にクリーンヒットした。
 ものすごくいい音がした。

「いきなり何するんだよ、エルダ。親子の再会じゃないか?!」
「うるさい!!この馬鹿親父!!」

 エルダさんの口調がものすごく悪くなってるのは気のせいでしょうか……
 はい、気のせいだってことにしておきます。

 エルダさんから鋭い眼差しがあったことは気にしてはいけない。
 お口にチャックします。

「ジェダン、この子は?」
「あぁすまんなレイ。この子は俺の娘だ。」
「はぁ~~~?ジェダン子持ちだったの?」
「兄さん、それは失礼なんじゃない?」
「ジョウジ……」

 うん、なんて言っていいのか……
 俺、蚊帳の外……

 とりあえず、このスラっとした男性がジェダン。
 エルダの父親だってのはわかった。
 で、このレイと呼ばれる男性と、ジョウジと呼ばれた男性はいったい何者なんだ?

「お父さん!!いったい今まで何をやってたの?!ずっとずっとずっとずっと待ってたんだから……」

 エルダはあふれる涙が我慢できなかったようだ。
 両目から滝のような涙を流し、力なくジェダンの胸を叩き続けている。
 それを受けたジェダンは、目を細めてそっとエルダの頭を撫でつけていた。
 エルダが落ち着くまでずっと。

「レイ兄さん、本当の親子みたいですよ?」
「ジョウジ、さすがに俺でもこれはわかったからね?」

 男性ふたりで何か話しているみたいだ。

「悪かったなエルダ。極秘の任務に就いていたので話せなかったんだ。それがやっとひと段落して戻ってこれたってわけだ。」
「でもでもでも、それでも家族にくらいは話してくれてもよかったじゃない!!心配したんだよ!!」

 何となくエルダが幼く感じてしまった。
 きっと、今まで我慢して生きてきたんだろうな。
 これもまたエルダの素の部分だと思うとなんだかうれしく思えてしまう。

「ねぇ、ポール。私が懐かしく感じるのって変じゃないよね?」
「あぁ、俺も感じている。村でよく見た光景だな。」
「そうだよね?狩りに出て数日帰ってこれなかったときの光景と全く一緒だね。」

 あ~なんだろ。完全に入れそうにないな。
 とりあえずここでスクワットとか筋トレとかしてればいいかな?

「ん?そこに居るのはポール君とデイジーちゃんじゃないか?ひさしぶりだな~。ポール君なんて俺よりでかくなったんじゃないか?元気そうで何よりだ。」

 ジェダンさんはエルダに追いついたポールたちを見て感慨深げに話しかける。
 ポールはジェダンさんよりも身長が高く、その成長を嬉しそうにしていた。
 
「おじさん、久しぶり!!って、どこ行ってたのよ?おじさんもう死んだことになってるんだよ?」
「おひさしぶりです。」

 デイジーたちにも気が付いて、ジェダンが声をかけた。
 デイジーたちも懐かしそうにジェダンとの会話をしていた。

「まじか……俺、死んじゃったのか……ってそうじゃない。お前たちに紹介しよう。今の俺のパーティーメンバーだ。」

 そう言うとジェダンは後ろに控えていた人たちを手招きで呼び、挨拶を交わしていった。

「パーティーリーダーのレイ・アマザワです。一応は魔法使い?ってことで良いのかな?」
「兄さん、なんで疑問形なの?僕はジョウジ・アマザワです。武術全般こなせます。」

 どうやら二人は兄弟らしい。
 しかも名前が日本名。
 この二人もまた転移者又は転生者なのかな?
 もしくは東国かもしれないな。
 まあ、いいんだけどね。

「私はスーザン・リン・ニューマンなんじゃが、今はアウラ・セイレンと名のっておる。アウラと呼ぶのじゃ。」

 なんかめっちゃ個性的なのでてきた!!
 見た目的には幼女?
 だけど来てる服は若干きわどいのは気のせいだろうか。
 こう、見えそうで見えない的な?
 あ、耳がとがってるってことはエルフ族かな?
 そしてメガネに金髪ツインテール。
 極めつけはのじゃ娘……
 ドンだけ個性を盛る気だよ。

「……………。」

 え?何か言ってるけど全く聞こえない……

「わりいな、こいつはカナデ・ウエマツ。魔弓士だ。」

 ジェダンさんが代わりに教えてくれたんだけど……
 この人も個性強そうだな。
 身長は……170前後かな?
 体の線が細い割に出るとこ出てるから、メリハリがはっきりしている。
 その体でモジモジするものだから、余計に目立ってしょうがない。
 そう言えば、ウエマツって言ったかな?
 もしかして、マイさん達の姉妹とか?

「僕の名前はムー。こう見えてスライムです。」

 おい!!これ以上は個性の渋滞事故起こすからやめてくれ!!

 ムーと名のった少年は、いきなり青い液体になったと思ったら、小さなドラゴンに変わったり、少女になったり、エルダになったりと、姿かたちを次々に変えていった。
 こいつが居たら情報収集し放題じゃないか?
 まったく、意味が分からなくなってきた。
 俺に普通の冒険者をさせてくれないのだろうか……
しおりを挟む
本日 5/2(木)より新作掲載開始しました!!もしよろしければそちらも立ち寄っていただければ幸いです!!手加減必須のチートハンター ~神様の計算を超えて、魔王の手から世界を護ります!! https://www.alphapolis.co.jp/novel/911619238/145877156
感想 77

あなたにおすすめの小説

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

生活魔法は万能です

浜柔
ファンタジー
 生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。  それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。  ――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。