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第3章 ここから始まる転換点?
二十九日目② 公爵からの手紙
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「ねぇ、カイト。「新緑のダンジョン」に向かうのはいいけど、連携のチェックとかしなくてもいいの?」
あ、確かにそうの通りだった。
考えてみたら、普通は数回連携テストしてから本番だろうけど……
その連携テストすらする時間が無かったりする。
というのも、原因は俺の手に握られている一通の手紙……
この世界では珍しくきれいな封筒と、それを封じる封蝋。
俺はその印に見覚えがあった。
間違いなくこれは……
シュミット公爵閣下からのお知らせだった。
『これを読んでいる頃には恐らく事態が進行している可能性が高い。先に謝っておこう。』
うわ~、のっけからこれかよ。
真面目に逃げ出したい気分だ。
白ヤギさんからお手紙着いた、黒ヤギさんたら読まずに食べた♪的な?
エルダさんの視線がものすごく痛い……
『まず初めに、国王と元老院を押さえきれなかった。そのため、とある命令が暗部に発出された。〝王国最難関ダンジョン「深淵の谷」の受付および門の奪取〟。ここは魔人国に繋がる道として有名な場所であったため、橋頭保として抑えるつもりであろう。』
ちょっと待って、魔人族から聞いた話だと、すべてのダンジョンが魔人国の橋頭保になるって話だぞ?
つまり全部が繋がってるって結論にならなかったのか?!
『暗部が先行して門を奪取。制圧およびダンジョン侵攻部隊として動員された者たちは国王直属の近衛騎士団。国王派の貴族の兵士。その寄子の兵士。あとは金で動いた傭兵や冒険者。合わせて5万ほどになる見込みだ。こちらでもなんとか崩せないかと寄子の貴族を押さえにかかっておる。』
5万ってかなり微妙な数字じゃないか?
しかも近衛兵とか出しちゃったら、どうやって自分の身を守るのさ。
まさか王国騎士団にそれやらせる気なの?
阿保なのここの王様って。
『よって、これよりこの国にクーデターを仕掛ける事とする。正直な話、クーデターを起こさずに事を収束したかったのだが……今となっては時期を失してしまったようだ。クーデターの成功が先か。国王軍がダンジョンに到達するのが先か。時間との勝負となろう。儂は、この手紙をしたためた後、準備に入る。お主はお主のできることをしていてくれ。万が一失敗した場合はすまんな。』
うん、なんだろ。
この国大丈夫なのか?
と、まぁ。こんな感じでかなり困った状態になってしまった。
おそらく、ギルマスたちもクーデターに参加することになるはずだ。
この国は緩やかに封建制度を衰退させていくんだろうな。
俺としては民主主義が普通だったから、封建制度の方が逆に違和感があった。
だからと言って封建制度がすべて悪とは限らない。
賢王であれば素晴らしい制度だろう。
すべての権限が一か所に集中することで、早い決断早い行動がとれると考えれば発展期にはこれ以上ない精度だと思う。
しかし、今回のような愚王の元にあるとこうもおかしくなってしまうのかと思ってしまう。
つまりは〝道具はしょせん道具〟……
まあ、だからこそのクーデターなんだろうな。
「本当どうしたもんかね。予定だと「新緑のダンジョン」へ向かってオーク狩りのつもりだったんだけど、下手すると変遷に巻き込まれる可能性だってあるんだよな。」
「そうなんだよねぇ~。ポール。ポールとはどう考える?」
俺が今後の予定について迷っていることを伝えると、デイジーも同じく困ってしまっていたようだ。
ダンジョンが使えない以上、フィールドで連携確認するしかないんだけどなぁ。
「俺としては訓練場か、フィールドだと考える。」
「私もそう思うわ。」
ポールとエルダもフィールドのモンスターを考えていた。
むしろ、それ以外は訓練場しか選択肢が無かったりするんだけどね。
「それか、東の森にゴブリンが巣を作ってくれるといいんだけどねぇ~。」
デイジーがいきなり不謹慎なことを言いだした。
今そんなのが発生したら、まじめに大ピンチに陥……
あああああああ!!!
「エルダやばい!!この間のゴブリン討伐の時のダンジョン。あそこってそのままになってるんじゃないか?!」
「確かに……。でも一応王国騎士団が出入り口を封鎖しているはずだけど……。」
「エルダ。その指揮官が今何をしてるんだっけ。」
「クーデターの準備……」
エルダも気が付いたようだ。
万が一あそこから大量にあふれ出たら、またも大惨事になってしまう。
それにあそこはドロップアイテムが残念過ぎるせいで不人気らしく、あのあとほとんどの冒険者は入っていないはずだ。
聞いた話だと、騎士団の格好の訓練場になっているんだとか。
その騎士団が持ち場を離れるということは……
つまり、ゴブリンを間引きしていない状態でスタンビードが発生してくる可能性が考えられたのだ。
「とりあえず、その辺も含めて一度冒険者ギルドに顔を出そう。キャサリンさんは居るだろうから、一度相談してそれからでも対応は遅くないでしょ?」
「だな。」
「だね~。」
「そうしましょう。」
3人とも了承してくれてよかった。
とりあえずは事の成り行きを静観ってところかな。
これ以上ごたつかないことを切に願うとしよう。
ヤバイ、何もしてないのに疲れてきたよ。
あ、確かにそうの通りだった。
考えてみたら、普通は数回連携テストしてから本番だろうけど……
その連携テストすらする時間が無かったりする。
というのも、原因は俺の手に握られている一通の手紙……
この世界では珍しくきれいな封筒と、それを封じる封蝋。
俺はその印に見覚えがあった。
間違いなくこれは……
シュミット公爵閣下からのお知らせだった。
『これを読んでいる頃には恐らく事態が進行している可能性が高い。先に謝っておこう。』
うわ~、のっけからこれかよ。
真面目に逃げ出したい気分だ。
白ヤギさんからお手紙着いた、黒ヤギさんたら読まずに食べた♪的な?
エルダさんの視線がものすごく痛い……
『まず初めに、国王と元老院を押さえきれなかった。そのため、とある命令が暗部に発出された。〝王国最難関ダンジョン「深淵の谷」の受付および門の奪取〟。ここは魔人国に繋がる道として有名な場所であったため、橋頭保として抑えるつもりであろう。』
ちょっと待って、魔人族から聞いた話だと、すべてのダンジョンが魔人国の橋頭保になるって話だぞ?
つまり全部が繋がってるって結論にならなかったのか?!
『暗部が先行して門を奪取。制圧およびダンジョン侵攻部隊として動員された者たちは国王直属の近衛騎士団。国王派の貴族の兵士。その寄子の兵士。あとは金で動いた傭兵や冒険者。合わせて5万ほどになる見込みだ。こちらでもなんとか崩せないかと寄子の貴族を押さえにかかっておる。』
5万ってかなり微妙な数字じゃないか?
しかも近衛兵とか出しちゃったら、どうやって自分の身を守るのさ。
まさか王国騎士団にそれやらせる気なの?
阿保なのここの王様って。
『よって、これよりこの国にクーデターを仕掛ける事とする。正直な話、クーデターを起こさずに事を収束したかったのだが……今となっては時期を失してしまったようだ。クーデターの成功が先か。国王軍がダンジョンに到達するのが先か。時間との勝負となろう。儂は、この手紙をしたためた後、準備に入る。お主はお主のできることをしていてくれ。万が一失敗した場合はすまんな。』
うん、なんだろ。
この国大丈夫なのか?
と、まぁ。こんな感じでかなり困った状態になってしまった。
おそらく、ギルマスたちもクーデターに参加することになるはずだ。
この国は緩やかに封建制度を衰退させていくんだろうな。
俺としては民主主義が普通だったから、封建制度の方が逆に違和感があった。
だからと言って封建制度がすべて悪とは限らない。
賢王であれば素晴らしい制度だろう。
すべての権限が一か所に集中することで、早い決断早い行動がとれると考えれば発展期にはこれ以上ない精度だと思う。
しかし、今回のような愚王の元にあるとこうもおかしくなってしまうのかと思ってしまう。
つまりは〝道具はしょせん道具〟……
まあ、だからこそのクーデターなんだろうな。
「本当どうしたもんかね。予定だと「新緑のダンジョン」へ向かってオーク狩りのつもりだったんだけど、下手すると変遷に巻き込まれる可能性だってあるんだよな。」
「そうなんだよねぇ~。ポール。ポールとはどう考える?」
俺が今後の予定について迷っていることを伝えると、デイジーも同じく困ってしまっていたようだ。
ダンジョンが使えない以上、フィールドで連携確認するしかないんだけどなぁ。
「俺としては訓練場か、フィールドだと考える。」
「私もそう思うわ。」
ポールとエルダもフィールドのモンスターを考えていた。
むしろ、それ以外は訓練場しか選択肢が無かったりするんだけどね。
「それか、東の森にゴブリンが巣を作ってくれるといいんだけどねぇ~。」
デイジーがいきなり不謹慎なことを言いだした。
今そんなのが発生したら、まじめに大ピンチに陥……
あああああああ!!!
「エルダやばい!!この間のゴブリン討伐の時のダンジョン。あそこってそのままになってるんじゃないか?!」
「確かに……。でも一応王国騎士団が出入り口を封鎖しているはずだけど……。」
「エルダ。その指揮官が今何をしてるんだっけ。」
「クーデターの準備……」
エルダも気が付いたようだ。
万が一あそこから大量にあふれ出たら、またも大惨事になってしまう。
それにあそこはドロップアイテムが残念過ぎるせいで不人気らしく、あのあとほとんどの冒険者は入っていないはずだ。
聞いた話だと、騎士団の格好の訓練場になっているんだとか。
その騎士団が持ち場を離れるということは……
つまり、ゴブリンを間引きしていない状態でスタンビードが発生してくる可能性が考えられたのだ。
「とりあえず、その辺も含めて一度冒険者ギルドに顔を出そう。キャサリンさんは居るだろうから、一度相談してそれからでも対応は遅くないでしょ?」
「だな。」
「だね~。」
「そうしましょう。」
3人とも了承してくれてよかった。
とりあえずは事の成り行きを静観ってところかな。
これ以上ごたつかないことを切に願うとしよう。
ヤバイ、何もしてないのに疲れてきたよ。
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