勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

文字の大きさ
上 下
110 / 322
第3章 ここから始まる転換点?

二十九日目① リーダー解任のお知らせ?

しおりを挟む
「おはよう、2人とも。エルダは……、キッチンだね。」
「あ、あぁ。おはよう。」
「おはようございます、カイト。」

 ん?なんだか2人とも元気がなさそうな感じがする。
 どうかしたんだろうか?
 あれかな、枕が違うと眠れないとか?

「それにしても、2人とも顔色が悪いけどどうした?」
「「カイトのせいだ!!」」

 おぉう。見事なハモリですこと。
 ま、そうなるよね。

「昨日の件については、今後の事も考えて知ってもらう必要があったんだ。昨日説明した通り、俺のスキル【DIY】の効果だと思ってもらっていい。」
「ほんとに謎スキルよね。」
「むしろはた迷惑だと言っても過言ではない。」

 2人とも頭を抱えながら返事をしてくれた。
 うん、第三者から言われると、規格外に思えてくるのはなぜだ?

「はいはい3人とも、朝食の準備ができたわ。食卓の準備手伝って。」

 キッチンから顔を出したエルダが、俺たち3人を見て呆れていた。
 俺たちは若干申し訳なさげに朝食の準備を手伝った。

「そう言えばカイト。装備の確認も終わったし、今日はどこのダンジョンに向かうつもり?」
「それなんだよね。結局どのダンジョンも変遷を経て、大分かわっていそうだし。デイジーとポールはどうなの?変遷後のダンジョンの印象は。」

 エルダは今日の予定がまだ決まっていないことを心配していた。
 むしろ、ダンジョン変遷のおかげで予定が大分くるってしまったのだ。
 早いとこ冒険を進めていかないと、いつまでたっても足踏みをしたままになってしまう。
 そう、俺のスローライフが遠のいてしまうのだ。

「俺としてはかなり厳しくなった印象だった。攻撃が激しくなったとかではなくて、単純に数の暴力という感じだ。俺が受け持てるモンスターの数だって限界があるからな。」

 ポールは自分の盾職の限界値をきちんと理解していた。
 これが理解できていない盾職は、モンスターを必要以上に受け持ちすぎて結果崩れる。
 盾職が崩れるイコール戦線の崩壊だ。
 それを理解しているポールはかなり優秀な盾職だと言えるだろう。

「ん~~~~~~~~ん。どうだろ~~~~~~~~~。」

 ポールとは対照的に、デイジーは答えを出せずにいた。

「何か気になることでもあったの?」

 エルダはデイジーの歯切れの悪さに、いつもとは違うイメージを持ったらしい。

「はっきりとは言えないんだけど、違和感みたいなのがあったのよね。なんて言ったらいいんだろう……。」

 うん、デイジーの話に要領を得ないな。
 どうしたものか……
 確かに俺も違和感を感じていた。
 モンスターの統率が取れすぎている。
 というよりも知能が上がっている感じがしてならないのだ。

「デイジー、もしかしてモンスターに嵌められたのか?」
「カイト、それよ!!それそれ。臨時で組んだパーティーだからと思ったけど、やっぱり違う。こっちがいけるって思ったところで、すっと引いたり。仲間のモンスターを囮に使ったり。今までにない動きが増えた気がするのよね。」

 デイジーも俺と同じ違和感を感じていたみたいだった。
 この違和感は何かの前触れじゃないことを祈るばかりだけど。

「デイジーも感じていたのね。私も昨日カイトと鉱山跡地ダンジョンに入ったけど、まずはその数の多さに圧倒されたわ。その後、第2層に進んだんだけど、あれは第2層のレベルじゃなかったわ。まさかクイーンが自分の子供たちを囮にするなんて思いもしなかったもの。」
「あぁ、あれね。気が付いたら数十匹のワームに囲まれるっていう、最悪な状態になったもんな。」

 昨日の事態はさすがにやばかった。
 むしろ、良く生きて帰ってこれたもんだ。
 今装備している『岩蠕虫シリーズ』が無かったら確実に詰んでいるところだった。

「なるほど、エルダとカイトも感じたんだ。ってか、その数良く捌けたわよね?普通は6人パーティーで対応するものよ?」
「そこは規格外のカイトがいたおかげで助かったわ。」
「俺は普通の冒険者になりたいんだけどね……。」

 エルダの一言にものすごく落ち込んでしまった。
 こうなってくると本格的にできることが限られてくる感じだな。

「カイト。予定ではどうするつもりだったんだ?」

 ポールが停滞しそうだった話を先に進めてくれた。
 この辺は俺よりもリーダーに向いてるんじゃないかとさえ思ってしまう。

「予定では「新緑のダンジョン」でオークを狩ろうかと考えていたんだ。ただ変遷でどこまで難易度が上がったかわからないから、とりあえず入ってみて、だめなら速攻撤退ってところかな?」

 おそらくこれが今採用できる一番の安全策だと思う。
 無理して死んでしまったら意味がないしね。
 それに、こうやって仲間が増えればそれだけで慢心してしまいそうになる。
 だからこそ、今一度気を引き締めていかないんと。
 
「それで問題ないな。デイジー、エルダもそれでいいか?」
「オッケー。」
「それでいいわ。」

 うん、もうさポールをパーティーリーダーにしない?
 俺よりもリーダー適正めっちゃ高い気がするんだよね。

 というわけで、朝食後に準備を進めて「新緑のダンジョン」へ向かうこととなったのである。
 リーダーって難しい……
しおりを挟む
本日 5/2(木)より新作掲載開始しました!!もしよろしければそちらも立ち寄っていただければ幸いです!!手加減必須のチートハンター ~神様の計算を超えて、魔王の手から世界を護ります!! https://www.alphapolis.co.jp/novel/911619238/145877156
感想 77

あなたにおすすめの小説

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

生活魔法は万能です

浜柔
ファンタジー
 生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。  それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。  ――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。