勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

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第2章 これから始まる共同生活

二十八日目⑩ 共犯関係

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「そうだ、ポールとデイジー。あとで見せたいものがあるから、食後に付き合ってくれる?」
「何々何々。私たちにサプライズ?」

 デイジーの食いつき半端ないな。
 エルダは……。
 うん、わかってるみたいで、苦笑いしてた。

 俺は口に人差し指を当てて、エルダには黙ってもらうことにした。
 それを理解したのか、苦笑いが乾いた笑みに変わっていたが気にしてはいけない。

「ある意味サプライズ……かな。まぁ、楽しみにしててよ。」
「カイト……」

 エルダから非難の目が向けられてるけど、それはそれだ。
 同じパーティーとして活動するなら、必ず教えなくてはいけないこと。
 そのための魔道具による契約書なんだから。



「ごちそうさまでした。」

 俺たちは大満足の夕食を終えた。
 エルダはさすがに作りすぎたといって反省していたけど、うまいから問題はないよ。
 用意してくれた料理はきれいに俺たちの胃袋に収まったんだし。
 むしろ、こんなうまいご飯を用意してくれたんだ、文句を言ったら罰が当たるる。

「じゃあ、この後作業室へ案内するよ。」
「作業室?」

 俺は食後のお茶で少し休んでから、ポールたちに声をかけた。
 ポールは俺が何を言っているか理解できていないようだった。
 デイジーも同じで、頭にはてなマークが浮かんでいそうな表情をしていた。

「そ。俺の作業室。なんて言ったらいいのか……。見たらわかるってしか言えないかな?」
「二人とも、頑張って。」

 エルダさんの応援がいまいちわからなかったみたいだけど、ある意味頑張ってとしか言えない。
 むしろ、気を確かに持ってほしい……
 あのシャバズのおっちゃんでさえ呆れたんだから。



 そして食事の後片付けが終わったところで、全員で作業場へ移動した。

「ねぇ、カイト……。カイトっていったい何の職業なの?」
「確かに。」

 デイジーとポールは作業場に入るなり、驚きを隠せずにいた。
 まぁ、それが普通の反応だと思う。
 炉や作業台。
 製薬台に鍜治場。
 うん、作業場のごった煮もいいところだね。

「何の職業と言われても……、冒険者?」
「なんで疑問形なのよ……」
 
 デイジーが呆れ顔で俺を睨み付ける。
 睨まれても仕方がないんだけど……
 だって、本当に冒険者だもの。
 冒険者……だよね?

「カイト……」
「わかってるよエルダ。俺の職業は【なんでも屋】。スキルは【DIY】。ぶっちゃけると、どんな職業にもなれ、どんなものも作れる。そんな感じだ。」

 あれ?二人とも固まっちゃったね。
 そりゃそうか。
 とりあえず、2人が返ってくるまで待つかな。

「ねぇ、ポール。私は夢を見たのかな?」
「あぁ。きっと夢を見たんだ。」

 デイジーはほっぺたをつねって現実か確認しているようだ。
 もちろんつねっているのはポールのほっぺただが……
 そこは怒ろうよポール。
 
 さてと話が進まないから、そろそろ二人には現実に帰ってきてもらわないとね。

「二人ともそろそろいいかい?」
「あ、あぁ。」

 やっとポールが帰ってきたみたいだ。
 そろそろ本題に入りたいんだけど、大丈夫かな?

「じゃあ、そろそろいいかな?まだ本題にすら入ってないんだけど……。」
「すまない。予想外過ぎて混乱していた。」
「そう?まいっか。じゃあ、次にこの素材持ってもらっていい?」

 俺はポールに回復ポーション(低)の素材を手渡した。
 ポールはなぜ素材を手渡されたのかわからずにいるようだった。
 まあ当たり前と言えば当たり前か。

「じゃあ、ポール。その素材を持ってこの簡易薬物作業台に手を当てて、『回復ポーション(低)』って声にだしてもらっていい?」
「わかった。」

 何が何だか分からないって顔を浮かべるポール。
 ポールは恐る恐る俺の言われた通りに、簡易薬物作業台に手を触れた。

「回復ポーション(低)」

 ポールの言葉と共に素材が光に包まれ、手の中から消えていった。
 突然の出来事に何事かと飛び退いたポールは、一気に緊張感を高めていった。

「大丈夫だよ。警戒しなくてもいいよ。」

ピコン

『回復ポーション(低)が作成完了しました。』

 突如流れる音声に、ポールとデイジーは体をビックっとさせて、周辺を見回していた。

「え⁈何今の⁈」
「カイト!!これはなんだ⁈」
 
 やっぱりそうなるよね。
 慌てた二人は、俺に詰め寄ってきたけど、大丈夫としか言いようがないんだよね。
 エルダも苦笑いしていたので、同じことを考えていたと思う。

「ポール。簡易薬物作業台にもう一回手を触れてもらっていいかい?」
「あ、あぁ。」

 ポールは警戒しながら簡易薬物作業台に手を触れる。
 すると、透明な板状のものが目の前に現れたことにさらに驚きを隠せずにいた。

「じゃあ、ポールその板に書かれている回復ポーション(低)を取り出すイメージをしてみて。」
「あ。あぁ。」

 すると、目の前に突然回復ポーション(低)が現れたものだから、ポールはまたフリーズしてしまった。
 今まで黙っていたデイジーがようやく回復したようで、その回復ポーション(低)について質問をしてきた。

「カイト、その回復ポーション(低)って何なの⁉」
「これ?これはポールが作った回復ポーション(低)だよ?」
「はぁ~~~~~~~?!」

 わお、二人そろってきれいなハーモニーだこと。
 まあ、そうなるよね。

「とりあえず、2人とも。これが秘密にしてほしい内容なんだ。というわけで二人とも俺たちの共犯ね?」
「「うん、この依頼受けるんじゃなかった。」」




 ですよね~。
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本日 5/2(木)より新作掲載開始しました!!もしよろしければそちらも立ち寄っていただければ幸いです!!手加減必須のチートハンター ~神様の計算を超えて、魔王の手から世界を護ります!! https://www.alphapolis.co.jp/novel/911619238/145877156
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