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第2章 これから始まる共同生活

二十六日目⑧ どう頑張っても規格外

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 買物を終えて冒険者ギルドへ着いた俺たちは、さっそくキャサリンさんに鉱石を卸しに行った。

「ただいまキャサリンさん。今回は鉱石大量ですよ。」
「それは嬉しいわ。じゃあ、裏手に倉庫があるから、そっちに出してもらえる?」

 おそらく俺のアイテムボックスと収納箱(簡易)のことを考えて、人目につかないようにしてくれたんだろう。
 指示通りに裏手の倉庫へ移動した。

「おう、来たな。」

 そこにいたのはキャサリンさんではなく、若い男性だった。
 周りを見てもキャサリンさんの姿はなかった。

「あんたがカイトさんだろ?話はギルマスから聞いてるよ。俺はガレオン。素材管理担当の主任責任者をやってる。今後の買取は俺が専属ですることになったんでよろしくな。」

 元気ハツラツ!!オ〇ナミンC!!
 っていうくらいのスマイルで挨拶されてしまった。

「そうですか。改めて俺はカイト・イシダテといいます。彼女はエルダ。俺のパーティーメンバーです。」
「エルダです。今後ともよろしく。」

 ガレオンの握手に答えると、ニカッ!!って効果音が鳴りそうなくらいのスマイルで強く握り返された。
 しかも、健康的に日焼けした肌に白い歯って、どこぞの芸能人ですか?
 俺とは大違いだな。うん。

「じゃあ、鉱石類をこの台に乗せてくれるかい?鑑定してより分けるから。」

 俺はアイテムボックスから鉱石の入った収納箱(簡易)を取り出し、中から卸す分の鉱石を取り出した。

 指定された場所は土間打ちの床。

 出来上がったのは二つの山。

 鉄鉱石が100個(40kg)
 銅鉱石が50個(20kg)

「なぁ、聞いていいか。これ、どうやって掘ってきたんだ?」
「え?普通につるはしで掘りましたよ?」

 この人、何変なこと聞いてくるんだろう?

「あのなぁ……。普通つるはしで掘るとこんなにきれいに重さがそろわないんだわ。魔法できれいに掘るやつもいるけど、かなり稀だぞ?」

 え?もしかしてやっちゃった?
 エルダを見ると目をそらされた!!
 うん、これまたやっちまったようだ。

「スキル【鉱物鑑定】……。うん、やっぱりだ。」
「どうしたんですか?」
「あぁ、あんたの掘ってきた鉄鉱石な、普通じゃないんだわ。不純物がほとんど含まれていないんだよ。これ掘ったの鉱山跡地ダンジョンだろ?あそこから出る鉄鉱石は純度60%が良いとこなんだわ。でもこいつは90%を超えてやがる。とりあえず、こいつはここ以外に卸すな。いいね?」

 なるほど、通りで自分で製錬しても不純物が出てこないわけだ。
 逆に10%が何なのか気になってしまったのは内緒だ。

「カイト、あなたが規格外であることは十分把握してるつもりだったけど、ここまでとは思わなかったわ……」

 あれ?エルダさんまで若干引いた目で見つめて来てるではないですか……
 ちょっと心が折れちゃいますよ?

「ちょっと待ってろ。ギルマスと交渉してくる。ここまでいい鉱石だと色付けてやれそうだからよ。」

 そう言うとガレオンは、全力ダッシュでギルマスの元へと向かった。
 途中で悲鳴がきこえ、怒られてるのが聞こえてきたが気にしないことにした。
 しばらくすると、ガレオンが全力疾走で戻ってきた。
 ただし、顔には赤いモミジが付いていた。
 いったい何をしたんだ?

「お待たせ。鉄鉱石がキロ銅貨15枚。銅鉱石がキロ10枚で許可貰って来た。つうことで鉄鉱石が銅貨600枚。銅鉱石が銅貨200枚の計800枚でどうだ?」
「喜んで!!」

 ちょっとエルダさんや、俺より先に答えないでくれるかな?
 つか、目にお金になってますよ?

「あぁ、うん。それでお願いするよガレオン。」
「交渉成立だ。この木札をカウンターに持っていけば換金できるからよ。それと定期的に卸してくれると助かるからよろしく頼む。」
「あまり期待しないでくれよ?」

 ガレオンから木札を受け取ると、倉庫を後にした。
 そして、エルダの目は今だお金になっていた。
 何か……エルダさんが怖い……



 倉庫を後にした俺たちはギルド会館へと戻ってきた。
 そのころにはエルダの目も元に戻っており、一安心だ。

「すいませ~ん。換金お願いします。」
「はいは~い。あ、カイトさんお疲れ様です。最近換金に来ないから心配してたんですよ?」

 換金所に居たのはいつもの受付嬢ではなく、新しいお姉さんだ。
 って言ってもたぶん俺とさほど年齢は変わらないと思う。
 強いていうなれば……うさ耳!!
 そう、ここ数日で換金所の受付嬢に配置換えになったそうだ。

「あれ?お姉さんとどっか出会いましたか?たぶん今日が初めてだと思うんですが?」
「あれ?そうでしたっけ?いつも話題にあがるから会ってる気になってましたよ。じゃあ、本当に会ってみません?」

 何を言い出すんだこのお姉さんは……
 エルダの視線が痛いじゃないか……

「冗談はいいんで、換金してもらえますか?」
「つまんな~い。」

 つまんないじゃなくて仕事しろ、仕事!!
 俺の胃の為にもきちんと仕事してくれ!!

 報酬を受け取った俺たちは、自宅へと向かった。
 帰り道エルダが終始不機嫌だったのは言うまでもない。



 自宅に帰り、夕食となった。
 うん、めっちゃおいしいよ。
 おいしいんだけど、無言・無表情は止めませんか?
 俺の胃が持ちませんから……

 結局その状態のまま夜は更けたのだった……
 あの受付嬢、絶対ワザとだろう?
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