勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

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第2章 これから始まる共同生活

二十六日目⑥ フラグ回収カイト君

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 第2層まで進んだ俺たちは、問題なく討伐・資源収集をすることができた。
 成果はこうなった。

討伐
・ロックミミクリー 14匹
・ロックワーム 20匹

ドロップアイテム
・岩蠕虫の歯 6本
・岩蠕虫の外皮 6枚
・魔石(極小) 12個
・ロックミミクリーの甲殻 7枚

採掘
・鉄鉱石 250個
・銅鉱石 100個
・石 300個

 うん、だいぶ集まったな。

 素材関連はすべて収納箱(簡易)に入れて、アイテムボックスの空きスペースを確保していく。

 これでよしと……
 それにしても、アイテムボックスと収納箱(簡易)の組み合わせは反則級チートだな。
 あれだけあった鉱石がすっきり収まってしまった。
 まあ、取り出すときにひと手間いるから面倒っちゃ面倒だけど……
 あれだよね。ゲーム的にはあっちとこっちで取り出せる的な道具が出たり……
 ダメだ。考えると本気で出てきそうだ。
 これ以上厄介ごとは勘弁してほしい。

「じゃあ、エルダ。素材も揃ったし、そろそろ戻ろうか。」
「そうね。あとは何事もなく自宅に戻れるといいんだけど……」

 エルダさんや……それは言ってはいけないセリフというやつなんだよ?
 俺は内心その言葉を否定できないと思ってしまった。
 心当たりがあり過ぎるから。
 
「嫌なこと言うねぇ……」
「だって、カイトってそういう星の生まれでしょ?」

 うん、やっぱり否定できない。
 否定しようとしてもその材料が足りなさすぎり。
 この世界ではなんだかんだでテンプレ祭りな人生かもしれないな……

 そんな感じで俺たちはダンジョン探索を終え、【鉱山跡地ダンジョン】の出口を目指した。
 そして先ほどまでのフラグを回収することなく、普通にダンジョンを出ることができた。
 喜んでいいんだよね?

「無事ダンジョンを出られたな。一旦ギルドで鉱石を卸してから自宅へ帰る感じかな?」
「そうね。帰り道に商店街があるから、食材も買い足しましょう。」
「了解。」

 ってこの会話は……どっからどう見ても夫婦の会話でしょ?
 え、エルダさんや……期待してもいいんだよね?

「ほら行くわよ?」
「あ、あぁ、うん。」
 
 そして俺たちは何事もなく街へ戻ったのだった。

 ってなるわけはなく、きちんとフラグ回収イベントが強制スタートしましたとさ。
 めでたしめでたし……なわけあるかい!!

 帰りの道中、左前方に大きな穴が突然開いたのだ。
 人が二人三人ぎりぎり余裕で通れるか否かのサイズだったけど、俺たちには見覚えがある形状だった。
 驚いた俺たちはすぐさま戦闘態勢に移行した。
 こういう時は必ずと言っていいほど、あいつがやってくる。

「カイト!!魔晶石(水)の準備を!!ありったけ投げれるようにして!!」
「やっぱあいつだよな⁉【アーマードロックアント】!!」

 大穴から聞こえるキシキシとなる音。
 それが幾重にも聞こえてくる……
 俺が気配探知を使うと数がおおよそ分かった……
 その数……15!!

「エルダまずい!!おそらく15匹はいるぞ!!」
「こんな時にどうしてそんな数が出るのよ!!戦闘音だってしてないのに。まさかなわばりの拡張⁈」

 くそ!!どうする?!
 俺たちだけで15匹なんて相手は無理だ。
 おそらくエルダだけだったら撤退戦でも問題なく街につくだろう。
 そうして高位冒険者パーティーに引き継ぐこともできる。
 だがここはダンジョンのすぐそばで、街からは遠い。
 そんな中開始されるであろう殲滅戦。
 せめてあと2パーティーくらいいれば、撃退くらいはできるのに……
 でもやるしかないか!!

 俺は即行動に移した。
 大穴の中にありったけの魔晶石(水)をぶん投げた。
 大穴の中で破裂した魔晶石(水)は大量の水を生み出し、【アーマードロックアント】に襲い掛かっていることだろう。
 探知の引っ掛かっていた【アーマードロックアント】のうち13匹が奥へと引き換えしていった。
 残り2匹が入り口付近でもがいていた。
 どうやら、その二匹はもろに水を浴びてしまったらしい。

「エルダ!!13匹は引き返した!!残り2匹だ!!」
「ナイスカイト!!これならいけるわ!!」

 俺たちはすぐに行動に移した。
 エルダは大規模の水魔法を詠唱し、発動待機状態を維持する。
 俺は囮として中に突撃し、【アーマードロックアント】を釣り出すことにした。
 その策は見事に成功し、2匹とも俺の姿に釣られ外へと顔を出した。
 待ち構えていたエルダは、待機状態の魔法を放ち、2匹に大量の水を浴びせかけた。
 追い打ちで水を浴びた【アーマードロックアント】は、まさに虫の息だった。
 俺は剣で。エルダは魔法で。
 【アーマードロックアント】の息の根を止めたのだった。

 魔晶石(水)が8個、計銀貨8枚の出費なら儲けものだった。
 それで格上の【アーマードロックアント】を倒せたんだから、大金星だ。

「何とかなったな、エルダ。」
「本当ね。生きた心地がしなかったわ……」

 エルダも額に汗していた。
 戦闘時間はいたって短いものだった。
 正直ただ、魔晶石(水)を投げてつり出して、また水をかけて切り裂いただけなんだから。
 これが入り口から出た状態の15匹だったらと考えると……
 背筋に嫌な汗が流れた。

「やっぱりカイトは持って生まれたってわけね。」

 変な言いがかりはやめてほしい。
 俺はそんな星に生まれてなどいないのだから……
 生まれてないよね?
 ね?
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本日 5/2(木)より新作掲載開始しました!!もしよろしければそちらも立ち寄っていただければ幸いです!!手加減必須のチートハンター ~神様の計算を超えて、魔王の手から世界を護ります!! https://www.alphapolis.co.jp/novel/911619238/145877156
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