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第2章 これから始まる共同生活
二十五日目④ 大盤振る舞いもほどほどに
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「こんにちはエイミーさん。」
「あ、お兄さんいらっしゃ~い。それとエイミーでいいよ。さん付けされるとなんだかむずがゆくなるしね。それで、今日は何をご用命かな?」
薬師ギルド会館へ入ると少し気の抜けた元気な声が聞こえてきた。
受付カウンターから聞こえた声の主はエイミーだ。
彼女はどうやら俺を気に入ったらしく、ニンマリとしながら挨拶をしてきた。
「今日は素材を買いに。ヒール草とスライムゼリー……。あとは、弱毒草を貰いに。あ、そうだ、他にも何か薬草類入ってる?」
ここは薬師ギルド。
きっと俺の知らない薬草が集まっているはず!!
って、当たり前すぎるんだけどね。
始めからここに来てれば、いろいろ覚えられたかもしれないな。
今更だけどね。
「そうだね……。ちょっと待って、在庫リスト確認するから。あ、あとギルドランクによって販売できるものも変わるから気を付けてね。」
そういって裏に引っ込んでしまったエイミーを見送ると、どうも手持無沙汰になってしまった。
どうにも落ち着かず、そわそわしていると後ろから声をかけられた。
「あれ?確かこの前来てくれた……カイトさん……でしたっけ?今日も買い物ですか?」
声をかけてきたのは、エイミーと同じ受付嬢のミオさんだった。
なんというか、大和撫子?的な印象を与える感じがある。
俺からしたら和装って感じなんだけど、この世界で和装が通用するか分からないから敢えて言う必要はないだろうね。
それとミオさんはエルダとはまた違う美人だ。
きりりとした面立ちに凛とした佇まいがその美人度を上昇させている。
「えぇ。薬の素材を仕入れに来ました。」
「そうでしたか。エイミーは……っと、今確認作業中ですね。では今しばらくお待ちください。」
「あ、ミオ。おかえり~。」
奥から確認作業を終えたエイミーが顔をだした。
手には何やら目録的なものを持っていた。
「ただいま帰りました。きちんと店番できましたか?」
「もぉ~!!子ども扱いは止めてよね!!」
ふくれっ面のエイミーもまたチャーミングだった。
なんていうか……そう、小動物的な?
それを見たミオさんはくすくすと笑っていて、なんだかほっとする一場面だった。
「もう。えっとお兄さんに今卸せるのはヒール草と弱毒草とパラライの実と眠り苔かな?今最低ランクだから、強い薬効の薬草は卸してあげられないんだよね。あと、パラライの実と眠り苔は銅貨20枚ね。」
「そっか、じゃあヒール草を100とスライムゼリーが50。あと弱毒草とパラライの実と眠り苔を10もらえるか?」
「「えっ?」」
何故か二人が驚いて硬直してしまった。
別に驚く数じゃないと思うんだけどな。
回復ポーションが50本作れる量でしかないんだから。
「どうしたの?なんかまずかった?」
「いやぁ~、お兄さんが太っ腹だと思ってさ。正直窓口で大口購入する人少ないんだよね。大口顧客は契約して直接卸しちゃうからここに来ないんだ。」
「なるほど。それって俺でもできるの?」
「ごめんなさい。カイトさんはまだ最低ランクだし、店舗を持っている薬師と錬金術師に限られてしまうのです。」
エイミーが驚いた理由を説明してくれた。
ここに来るのは駆け出しの薬師・錬金術師とか、あとは店舗を持たない人などが大半で、回復ポーションでも10本作る程度の量が関の山なんだそうだ。
だから、回復ポーション50本分クラスになると大体大口顧客で直接卸したりするのだとか。
しかも、店舗所有で倉庫管理がしっかりしているのが絶対条件だとか。
たしかに、この薬草類は誰かが採取しに行った大事な商品だ。
それを無下に扱う人には売りたくはないよな。
「そっか、教えてくれてありがとう。それで数は準備できそう?」
「それはOKだよ~。じゃあ、料金は全部込々で金貨7枚と銀貨2枚。」
「何が込々なんだかわからないけど、銅貨でもいいかい?」
「じゃあどうか720枚ね。」
俺は袋7つと20枚の銅貨を取り出して、カウンターに置いた。
エイミーが物を取りに行っている間に、ミオさんが銅貨を数えていた。
「はい、確かにいただきました。じゃあ、領収証を発行しますね。…………。お待たせしました。これがあれば品質に問題あった時交換等できますので、なくさないでくださいね。」
「あれ?前はもらわなかったよね?」
「これだけの数ですから、チェックを洩れる場合があるので。その為のものです。」
なるほど、それだけ品質に自信があるってことか。
勉強になるな。
エイミーの準備が終わるまで、ミオさんと他愛のないおしゃべりをしていた。
ミオさんはここの国の出身ではなく、この大陸より東に位置する島国【東武国】の出身なんだとか。
そこでは米に似た穀物も取れるらしく、賢者様によって納豆が伝えられたとか。
一度は行ってみたいな。
それと一番びっくりだったのはミオさんのお姉さんが、魔道具ギルドのギルマスのマイさんだってことだ。
通りで似た雰囲気を持ってるわけだ。
しばらくすると奥から商品を持ってエイミーがやってきた。
ものすごく重そうだったけど……
「あ、お兄さんいらっしゃ~い。それとエイミーでいいよ。さん付けされるとなんだかむずがゆくなるしね。それで、今日は何をご用命かな?」
薬師ギルド会館へ入ると少し気の抜けた元気な声が聞こえてきた。
受付カウンターから聞こえた声の主はエイミーだ。
彼女はどうやら俺を気に入ったらしく、ニンマリとしながら挨拶をしてきた。
「今日は素材を買いに。ヒール草とスライムゼリー……。あとは、弱毒草を貰いに。あ、そうだ、他にも何か薬草類入ってる?」
ここは薬師ギルド。
きっと俺の知らない薬草が集まっているはず!!
って、当たり前すぎるんだけどね。
始めからここに来てれば、いろいろ覚えられたかもしれないな。
今更だけどね。
「そうだね……。ちょっと待って、在庫リスト確認するから。あ、あとギルドランクによって販売できるものも変わるから気を付けてね。」
そういって裏に引っ込んでしまったエイミーを見送ると、どうも手持無沙汰になってしまった。
どうにも落ち着かず、そわそわしていると後ろから声をかけられた。
「あれ?確かこの前来てくれた……カイトさん……でしたっけ?今日も買い物ですか?」
声をかけてきたのは、エイミーと同じ受付嬢のミオさんだった。
なんというか、大和撫子?的な印象を与える感じがある。
俺からしたら和装って感じなんだけど、この世界で和装が通用するか分からないから敢えて言う必要はないだろうね。
それとミオさんはエルダとはまた違う美人だ。
きりりとした面立ちに凛とした佇まいがその美人度を上昇させている。
「えぇ。薬の素材を仕入れに来ました。」
「そうでしたか。エイミーは……っと、今確認作業中ですね。では今しばらくお待ちください。」
「あ、ミオ。おかえり~。」
奥から確認作業を終えたエイミーが顔をだした。
手には何やら目録的なものを持っていた。
「ただいま帰りました。きちんと店番できましたか?」
「もぉ~!!子ども扱いは止めてよね!!」
ふくれっ面のエイミーもまたチャーミングだった。
なんていうか……そう、小動物的な?
それを見たミオさんはくすくすと笑っていて、なんだかほっとする一場面だった。
「もう。えっとお兄さんに今卸せるのはヒール草と弱毒草とパラライの実と眠り苔かな?今最低ランクだから、強い薬効の薬草は卸してあげられないんだよね。あと、パラライの実と眠り苔は銅貨20枚ね。」
「そっか、じゃあヒール草を100とスライムゼリーが50。あと弱毒草とパラライの実と眠り苔を10もらえるか?」
「「えっ?」」
何故か二人が驚いて硬直してしまった。
別に驚く数じゃないと思うんだけどな。
回復ポーションが50本作れる量でしかないんだから。
「どうしたの?なんかまずかった?」
「いやぁ~、お兄さんが太っ腹だと思ってさ。正直窓口で大口購入する人少ないんだよね。大口顧客は契約して直接卸しちゃうからここに来ないんだ。」
「なるほど。それって俺でもできるの?」
「ごめんなさい。カイトさんはまだ最低ランクだし、店舗を持っている薬師と錬金術師に限られてしまうのです。」
エイミーが驚いた理由を説明してくれた。
ここに来るのは駆け出しの薬師・錬金術師とか、あとは店舗を持たない人などが大半で、回復ポーションでも10本作る程度の量が関の山なんだそうだ。
だから、回復ポーション50本分クラスになると大体大口顧客で直接卸したりするのだとか。
しかも、店舗所有で倉庫管理がしっかりしているのが絶対条件だとか。
たしかに、この薬草類は誰かが採取しに行った大事な商品だ。
それを無下に扱う人には売りたくはないよな。
「そっか、教えてくれてありがとう。それで数は準備できそう?」
「それはOKだよ~。じゃあ、料金は全部込々で金貨7枚と銀貨2枚。」
「何が込々なんだかわからないけど、銅貨でもいいかい?」
「じゃあどうか720枚ね。」
俺は袋7つと20枚の銅貨を取り出して、カウンターに置いた。
エイミーが物を取りに行っている間に、ミオさんが銅貨を数えていた。
「はい、確かにいただきました。じゃあ、領収証を発行しますね。…………。お待たせしました。これがあれば品質に問題あった時交換等できますので、なくさないでくださいね。」
「あれ?前はもらわなかったよね?」
「これだけの数ですから、チェックを洩れる場合があるので。その為のものです。」
なるほど、それだけ品質に自信があるってことか。
勉強になるな。
エイミーの準備が終わるまで、ミオさんと他愛のないおしゃべりをしていた。
ミオさんはここの国の出身ではなく、この大陸より東に位置する島国【東武国】の出身なんだとか。
そこでは米に似た穀物も取れるらしく、賢者様によって納豆が伝えられたとか。
一度は行ってみたいな。
それと一番びっくりだったのはミオさんのお姉さんが、魔道具ギルドのギルマスのマイさんだってことだ。
通りで似た雰囲気を持ってるわけだ。
しばらくすると奥から商品を持ってエイミーがやってきた。
ものすごく重そうだったけど……
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本日 5/2(木)より新作掲載開始しました!!もしよろしければそちらも立ち寄っていただければ幸いです!!手加減必須のチートハンター ~神様の計算を超えて、魔王の手から世界を護ります!! https://www.alphapolis.co.jp/novel/911619238/145877156
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