勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

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第2章 これから始まる共同生活

二十五日目② 続・ビークール!!

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 エルダと朝のひと時を満喫した俺は、今日の予定について話し合った。

「とりあえずこんなところかな?」
「そうね、それでいいと思うわ。」
 
 ①ギルドに寄ってシャバズのおっちゃんと昨日のまとめ。
 ②その後に時間があれば依頼を受けて貢献度の回収。
 ③時間がかかった場合は、探索を諦めてそのまま帰ってくる。

 こんな感じでまとまった。



 エルダが作ってくれた朝食を食べて、冒険者ギルドへと足を運んだ。
 移動中、しきりにこちらを見てくるエルダが何だかかわいく見えてくる。
 これは一体どういうことなのだろうか……
 何かのサインなんだろうか?
 だがしかし、俺の勘違いってことも……
 いや、ここは男らしくした方がいいのか?!
 いやいや、実は〝どっきり大成功!!〟っていうプラカード準備しているとか⁈
 いや、エルダがそんなことをするはずがない!!
 いや、しかし……でも……

 何て迷ってたら冒険者ギルドへ着いてしまった。
 結局ヘタレ全開でした……
 チラリとエルダに視線を向けると、呆れ顔を浮かべていた。
 うん、ごめんなさい……

 ギルド会館前までくると、エルダはいつものエルダに戻っていた。
 きりりとしたエルダもまたいいよなって思ってしまったのは仕方のないことだろう。
 だけどさっきのは本当にいったい何だったのか、わけがわからなくなってきた。
 とりあえず女心と秋の空。
 俺にはどうやら理解が及ばないらしいです。
 俺……鈍感じゃないはず?


 
 ギルド会館に入るとすぐにキャサリンさんは俺たちを見つけたようで、カウンターから手招きしていた。

「カイト君とエルダさんおはようございます。ギルマスが呼んでますので、執務室までいらしてください。」
「わかりました。カイト、行きましょう。」

 ほんと切り替えの早さはすごいね。
 完全に冒険者モードだよ……
 頼りになりますエルダさん。
 
 こうして俺たちは、キャサリンさんの案内で執務室へ移動した。


 
コンコン

「ギルマス。二人をお連れしました。」
「おう、良いぞ。はいってくれ。」

 そこはいつも通り、書類で埋もれていた。
 何がいいのかさっぱりわからない。
 どう考えてもお世辞にもいいと言えないだろこれ?

「ギルマス……、早く片付けてください。二人とも、ソファーに座って頂戴。今お茶を入れるわね。」

 そう言うとキャサリンさんは給湯室へ引っ込んでしまった。
 俺とエルダは言われた通り、ソファーに座って待つことにした。

カチコチカチコチ
カツカツカツカツ

 時計の音と、ギルマスのペンの音が執務室に響き渡る。

カチコチカチコチ
カツカツカツカツ

 まだ終わらないらしい。

「お待たせ。熱いから気を付けてね。今日のお茶菓子は、ギルマスの好物よ。棚にあったからどうぞ。」
「ありがt……」
「ちょっと待て!!それは俺が昨日やっと買えたやつじゃねぇか!!まじでやめてくれ!!」
「え、ふぉっふぉおふぉふぁっふぁふぇふふぉ?」

 すまんおっちゃん……すでに俺の口の中だわ……
 エルダは……
 うん、頬張ってた。

 ごちそうさまでした。

「まじかよ……」

 やっと書類の片づけが終わったおっちゃんが、絶望の顔を浮かべていた……
 ごめん……

「いつまでもおわらせないあなたが悪いんです。少しは反省なさい!!」
「はい……」

 うん、どっちが上かわからなくなってきた。
 それより話って何だろうな。

「ウォッホン。畜生……仕切り直しだ。まずは昨日はお疲れ様。何とかこちらの望み通りの結果になった。でだ、まずはシュミット公爵からこれを預かった。」

 おっちゃんが取り出したのは、一通の封筒だった。
 公爵家の封蝋がしてある。
 おっちゃんに開けていいか確認すると、俺以外開けると燃えるうえに公爵へ通知が行くそうだ。
 その封蝋が魔道具になってるってことらしい。
 本当にファンタジー万歳だな。
 
 封筒を開けると一枚の手紙が入っていた。

『本日の会議誠に有意義であった。おそらく今後について悩んでおるだろう。カイト、そなたはまず己の力を高めよ。それが出来なくば、今後降りかかるであろう困難を乗り越えることはできまい。よってこれはカール・フォン・シュミット公爵としての厳命である。今出来得ることを行い己の力を高め、備えよ。良いな?』

 うん、全力でフラグじゃねぇかよ!!
 マジで勘弁してくれ。
 ただでさえキャパオーバーだって言うのに。
 ギルマスを見るとある程度話は聞いていたのだろう、半笑いだった。
 手紙をエルダにも見せたが、同じく半笑いをするしかなかったようだ。

「とまあ、そんな感じだ。カイト、お前さんはこれからガンガン依頼を受けて鍛えてもらうから覚悟しろよ。良いな?」
「いや、それはそれでいいんだけど……。絶対さっきのお菓子の恨み入ってるだろ?」

 おいおっさん、目をそらすな!!

「まぁ、力を付けるためには戦わなきゃなんねぇ~し、ランクもあげねぇ~と変な貴族の横やりも来るだろう?だから頑張るしかねぇだろうがよ。」
「わかりました!!わかりましたよ。やりゃいんでしょ!!全く、ゆっくりまったり生活はどこ行ったんだよ。」
「それは全部解決してからのご褒美だと思えば頑張れるだろ?」

 ほんとにさ、良いように使われてるとしか思えなくなってきたな。
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