勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

文字の大きさ
上 下
75 / 322
第2章 これから始まる共同生活

二十五日目② 続・ビークール!!

しおりを挟む
 エルダと朝のひと時を満喫した俺は、今日の予定について話し合った。

「とりあえずこんなところかな?」
「そうね、それでいいと思うわ。」
 
 ①ギルドに寄ってシャバズのおっちゃんと昨日のまとめ。
 ②その後に時間があれば依頼を受けて貢献度の回収。
 ③時間がかかった場合は、探索を諦めてそのまま帰ってくる。

 こんな感じでまとまった。



 エルダが作ってくれた朝食を食べて、冒険者ギルドへと足を運んだ。
 移動中、しきりにこちらを見てくるエルダが何だかかわいく見えてくる。
 これは一体どういうことなのだろうか……
 何かのサインなんだろうか?
 だがしかし、俺の勘違いってことも……
 いや、ここは男らしくした方がいいのか?!
 いやいや、実は〝どっきり大成功!!〟っていうプラカード準備しているとか⁈
 いや、エルダがそんなことをするはずがない!!
 いや、しかし……でも……

 何て迷ってたら冒険者ギルドへ着いてしまった。
 結局ヘタレ全開でした……
 チラリとエルダに視線を向けると、呆れ顔を浮かべていた。
 うん、ごめんなさい……

 ギルド会館前までくると、エルダはいつものエルダに戻っていた。
 きりりとしたエルダもまたいいよなって思ってしまったのは仕方のないことだろう。
 だけどさっきのは本当にいったい何だったのか、わけがわからなくなってきた。
 とりあえず女心と秋の空。
 俺にはどうやら理解が及ばないらしいです。
 俺……鈍感じゃないはず?


 
 ギルド会館に入るとすぐにキャサリンさんは俺たちを見つけたようで、カウンターから手招きしていた。

「カイト君とエルダさんおはようございます。ギルマスが呼んでますので、執務室までいらしてください。」
「わかりました。カイト、行きましょう。」

 ほんと切り替えの早さはすごいね。
 完全に冒険者モードだよ……
 頼りになりますエルダさん。
 
 こうして俺たちは、キャサリンさんの案内で執務室へ移動した。


 
コンコン

「ギルマス。二人をお連れしました。」
「おう、良いぞ。はいってくれ。」

 そこはいつも通り、書類で埋もれていた。
 何がいいのかさっぱりわからない。
 どう考えてもお世辞にもいいと言えないだろこれ?

「ギルマス……、早く片付けてください。二人とも、ソファーに座って頂戴。今お茶を入れるわね。」

 そう言うとキャサリンさんは給湯室へ引っ込んでしまった。
 俺とエルダは言われた通り、ソファーに座って待つことにした。

カチコチカチコチ
カツカツカツカツ

 時計の音と、ギルマスのペンの音が執務室に響き渡る。

カチコチカチコチ
カツカツカツカツ

 まだ終わらないらしい。

「お待たせ。熱いから気を付けてね。今日のお茶菓子は、ギルマスの好物よ。棚にあったからどうぞ。」
「ありがt……」
「ちょっと待て!!それは俺が昨日やっと買えたやつじゃねぇか!!まじでやめてくれ!!」
「え、ふぉっふぉおふぉふぁっふぁふぇふふぉ?」

 すまんおっちゃん……すでに俺の口の中だわ……
 エルダは……
 うん、頬張ってた。

 ごちそうさまでした。

「まじかよ……」

 やっと書類の片づけが終わったおっちゃんが、絶望の顔を浮かべていた……
 ごめん……

「いつまでもおわらせないあなたが悪いんです。少しは反省なさい!!」
「はい……」

 うん、どっちが上かわからなくなってきた。
 それより話って何だろうな。

「ウォッホン。畜生……仕切り直しだ。まずは昨日はお疲れ様。何とかこちらの望み通りの結果になった。でだ、まずはシュミット公爵からこれを預かった。」

 おっちゃんが取り出したのは、一通の封筒だった。
 公爵家の封蝋がしてある。
 おっちゃんに開けていいか確認すると、俺以外開けると燃えるうえに公爵へ通知が行くそうだ。
 その封蝋が魔道具になってるってことらしい。
 本当にファンタジー万歳だな。
 
 封筒を開けると一枚の手紙が入っていた。

『本日の会議誠に有意義であった。おそらく今後について悩んでおるだろう。カイト、そなたはまず己の力を高めよ。それが出来なくば、今後降りかかるであろう困難を乗り越えることはできまい。よってこれはカール・フォン・シュミット公爵としての厳命である。今出来得ることを行い己の力を高め、備えよ。良いな?』

 うん、全力でフラグじゃねぇかよ!!
 マジで勘弁してくれ。
 ただでさえキャパオーバーだって言うのに。
 ギルマスを見るとある程度話は聞いていたのだろう、半笑いだった。
 手紙をエルダにも見せたが、同じく半笑いをするしかなかったようだ。

「とまあ、そんな感じだ。カイト、お前さんはこれからガンガン依頼を受けて鍛えてもらうから覚悟しろよ。良いな?」
「いや、それはそれでいいんだけど……。絶対さっきのお菓子の恨み入ってるだろ?」

 おいおっさん、目をそらすな!!

「まぁ、力を付けるためには戦わなきゃなんねぇ~し、ランクもあげねぇ~と変な貴族の横やりも来るだろう?だから頑張るしかねぇだろうがよ。」
「わかりました!!わかりましたよ。やりゃいんでしょ!!全く、ゆっくりまったり生活はどこ行ったんだよ。」
「それは全部解決してからのご褒美だと思えば頑張れるだろ?」

 ほんとにさ、良いように使われてるとしか思えなくなってきたな。
しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

生活魔法は万能です

浜柔
ファンタジー
 生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。  それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。  ――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

王太子様に婚約破棄されましたので、辺境の地でモフモフな動物達と幸せなスローライフをいたします。

なつめ猫
ファンタジー
公爵令嬢のエリーゼは、婚約者であるレオン王太子に婚約破棄を言い渡されてしまう。 二人は、一年後に、国を挙げての結婚を控えていたが、それが全て無駄に終わってしまう。 失意の内にエリーゼは、公爵家が管理している辺境の地へ引き篭もるようにして王都を去ってしまうのであった。 ――そう、引き篭もるようにして……。 表向きは失意の内に辺境の地へ篭ったエリーゼは、多くの貴族から同情されていたが……。 じつは公爵令嬢のエリーゼは、本当は、貴族には向かない性格だった。 ギスギスしている貴族の社交の場が苦手だったエリーゼは、辺境の地で、モフモフな動物とスローライフを楽しむことにしたのだった。 ただ一つ、エリーゼには稀有な才能があり、それは王国で随一の回復魔法の使い手であり、唯一精霊に愛される存在であった。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。