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第2章 これから始まる共同生活
二十一日目② 殲滅戦
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ドゴ~~~~~~ン!!
激しい爆発音と衝撃が当たりに木霊する。
『敵襲!!敵襲!!ゴブリン軍団襲撃!!数は目視で300オーバー!!おそらくその倍は迫ってきている!!すぐに行動に移せ!!!!』
遠くの方で哨戒に当たっていた冒険者から叫び声が聞こえる。
それに合わせるかのように、ゴブリンたちの雄たけびが野営地全体に響き渡る。
それは予想外の最悪な展開だった。
野営陣地後方より、ゴブリンの集団が突如として奇襲を仕掛けてきたのだ。
だが、俺たち冒険者だってあほじゃない。
ブースの指揮管理のもと、野営陣地周辺は【気配探知】持ちの冒険者が持ち回りで警戒に当たっていた。
つまり、その警戒を抜ける何らかの方法で一気に攻めてきたことになる。
「諸君!!落ち着くんだ!!敵集団からの初撃は柵によって防がれた。よって、こちらに被害はなかった!!すぐさま迎撃準備に入れ!!」
浮足立つ俺たちをよそに、ブースは矢継ぎ早に指示を出していく。
臨時作戦会議が始められ、基本B・Cランクがゴブリン奇襲部隊の迎撃に当たることとなった。
Dランクでも遠距離攻撃が可能なものは柵越しに魔法で攻撃をして、牽制をする。
その隙に近接職で順次撃破することになった。
それならばDランク冒険者だってこの戦いの役に立つことが出来る。
そうみんな思っていたんだ。
しかし、その作戦も一つの報告で、すぐに実行不可となってしまった。
ゴブリン集落の偵察に当たっていた先行偵察隊の冒険者の一人が、慌てて戻ってきたのだ。
それは俺たちの予想を超える、さらなる最悪の展開だった。
「で、伝令!!伝令!!先行偵察隊より伝令!!ゴブリン集落内にダンジョンを確認!!ダンジョン内からゴブリンが出てきていることからスタンピートの可能性あり!!すぐに対応を求む!!」
息も絶え絶えで慌てた様子で駆けこんできた冒険者は、息もつかせぬ勢いでまくし立てた。
ゴブリンの集落ではさらに問題が発生していたようだった。
集落周辺を確認して回ったところ、30分前にはなかったトンネルが出来上がっていたのだ。
おそらく、そこから軍勢が出撃したと思われる。
つまり、こちらに気取られることなく出撃したことを鑑みれば、おのずと答えが出てくる。
作戦立案するだけの知恵と、それを実行するだけの統率が取れた集団だということだ。
「早すぎる!!おそらくロードが誕生した可能性が高いではないか……通信担当!!すぐにギルド本部へ伝達を!!通信魔道具の使用を許可する!!」
ブースの指示を受けた通信担当のギルド職員は、すぐさま本部へ情報を伝達をしていた。
数分後、ギルドから返信があり王国騎士団および魔法師団の一団を派遣することが決定したそうだ。
それまでの間、ここにいる冒険者たちだけで野営陣地の死守と集落の包囲作戦を行うことになった。
「Dランクの諸君。君たちには集落の包囲作戦についてもらう。ここの防衛はB・Cランクが受け持つ。おそらくこちらは死闘になるだろう。予測ではゴブリンロードが誕生している可能性が高い。Aランクパーティーで当たらねばならない事案になっていると思われる。よって、君たちには支援が行われないことを十分理解してほしい。最後に……生きて帰るぞ!!」
ブースの言葉に俺たちは息をのんだ。
これから始まるのはゴブリン掃討戦ではないのだ。
これはゴブリンたちによる俺たちの掃討戦なのだ。
ブースたち高ランク冒険者は、より過酷な戦場へと赴くことになる。
否が応でも緊張が高まり、手足が震える。
俺は声も出せず、ただブースの指示にうなづくことしかできなかった。
その間も野営陣地の後方では、激しい戦闘音が聞こえてくる。
冒険者たちの怒号と、魔法の爆裂音。
モンスターたちの咆哮。
たくさんの音が混じり合い、恐怖を醸し出す。
俺たちは即座に準備をはじめ、準備完了後すぐさま野営陣地を飛び出した。
メンバーはDランク39名とCランク1名。それとバックアップにEランク20名の計60名。
Cランクのエルダが臨時指揮官となり包囲戦を展開することになった。
しばらく走ると、前方に前線基地が見えた。
先行偵察部隊が準備を進めてくれていたのだ。
すぐさま班分けが行われた。
A~Cの3班に分かれ、2班は包囲戦へ参加。残り1班は休息となる。
それをローテイションで行い、騎士団が来るまで持ち堪えるという作戦だ。
とはいうものの、作戦らしい作戦はなく、ほぼほぼ行き当たりばったりの遭遇戦が関の山だ。
なお、回復職は戦闘班には編入せず、救護班として後方支援を行ってもらうこととなった。
さっそくA・B班が包囲戦へと突入した。
俺はA班に入り、戦場へ向かった。
先行偵察部隊に案内され向かった先では、偵察部隊の一部が包囲戦を開始していた。
俺たちが到着するとともに偵察部隊は後方へと下がっていった。
これから集落周辺の警戒に当たるそうだ。
まずはA班が集落に突入し、集落内のモンスターを討伐していく。
B班は少し遅れて突入し、中心部のダンジョン入り口を制圧。
同行しているEランクは集落の外にゴブリンが溢れないようにパーティーで警戒に当たってもらった。
そして、これから長い長い戦いが始まるのだった。
激しい爆発音と衝撃が当たりに木霊する。
『敵襲!!敵襲!!ゴブリン軍団襲撃!!数は目視で300オーバー!!おそらくその倍は迫ってきている!!すぐに行動に移せ!!!!』
遠くの方で哨戒に当たっていた冒険者から叫び声が聞こえる。
それに合わせるかのように、ゴブリンたちの雄たけびが野営地全体に響き渡る。
それは予想外の最悪な展開だった。
野営陣地後方より、ゴブリンの集団が突如として奇襲を仕掛けてきたのだ。
だが、俺たち冒険者だってあほじゃない。
ブースの指揮管理のもと、野営陣地周辺は【気配探知】持ちの冒険者が持ち回りで警戒に当たっていた。
つまり、その警戒を抜ける何らかの方法で一気に攻めてきたことになる。
「諸君!!落ち着くんだ!!敵集団からの初撃は柵によって防がれた。よって、こちらに被害はなかった!!すぐさま迎撃準備に入れ!!」
浮足立つ俺たちをよそに、ブースは矢継ぎ早に指示を出していく。
臨時作戦会議が始められ、基本B・Cランクがゴブリン奇襲部隊の迎撃に当たることとなった。
Dランクでも遠距離攻撃が可能なものは柵越しに魔法で攻撃をして、牽制をする。
その隙に近接職で順次撃破することになった。
それならばDランク冒険者だってこの戦いの役に立つことが出来る。
そうみんな思っていたんだ。
しかし、その作戦も一つの報告で、すぐに実行不可となってしまった。
ゴブリン集落の偵察に当たっていた先行偵察隊の冒険者の一人が、慌てて戻ってきたのだ。
それは俺たちの予想を超える、さらなる最悪の展開だった。
「で、伝令!!伝令!!先行偵察隊より伝令!!ゴブリン集落内にダンジョンを確認!!ダンジョン内からゴブリンが出てきていることからスタンピートの可能性あり!!すぐに対応を求む!!」
息も絶え絶えで慌てた様子で駆けこんできた冒険者は、息もつかせぬ勢いでまくし立てた。
ゴブリンの集落ではさらに問題が発生していたようだった。
集落周辺を確認して回ったところ、30分前にはなかったトンネルが出来上がっていたのだ。
おそらく、そこから軍勢が出撃したと思われる。
つまり、こちらに気取られることなく出撃したことを鑑みれば、おのずと答えが出てくる。
作戦立案するだけの知恵と、それを実行するだけの統率が取れた集団だということだ。
「早すぎる!!おそらくロードが誕生した可能性が高いではないか……通信担当!!すぐにギルド本部へ伝達を!!通信魔道具の使用を許可する!!」
ブースの指示を受けた通信担当のギルド職員は、すぐさま本部へ情報を伝達をしていた。
数分後、ギルドから返信があり王国騎士団および魔法師団の一団を派遣することが決定したそうだ。
それまでの間、ここにいる冒険者たちだけで野営陣地の死守と集落の包囲作戦を行うことになった。
「Dランクの諸君。君たちには集落の包囲作戦についてもらう。ここの防衛はB・Cランクが受け持つ。おそらくこちらは死闘になるだろう。予測ではゴブリンロードが誕生している可能性が高い。Aランクパーティーで当たらねばならない事案になっていると思われる。よって、君たちには支援が行われないことを十分理解してほしい。最後に……生きて帰るぞ!!」
ブースの言葉に俺たちは息をのんだ。
これから始まるのはゴブリン掃討戦ではないのだ。
これはゴブリンたちによる俺たちの掃討戦なのだ。
ブースたち高ランク冒険者は、より過酷な戦場へと赴くことになる。
否が応でも緊張が高まり、手足が震える。
俺は声も出せず、ただブースの指示にうなづくことしかできなかった。
その間も野営陣地の後方では、激しい戦闘音が聞こえてくる。
冒険者たちの怒号と、魔法の爆裂音。
モンスターたちの咆哮。
たくさんの音が混じり合い、恐怖を醸し出す。
俺たちは即座に準備をはじめ、準備完了後すぐさま野営陣地を飛び出した。
メンバーはDランク39名とCランク1名。それとバックアップにEランク20名の計60名。
Cランクのエルダが臨時指揮官となり包囲戦を展開することになった。
しばらく走ると、前方に前線基地が見えた。
先行偵察部隊が準備を進めてくれていたのだ。
すぐさま班分けが行われた。
A~Cの3班に分かれ、2班は包囲戦へ参加。残り1班は休息となる。
それをローテイションで行い、騎士団が来るまで持ち堪えるという作戦だ。
とはいうものの、作戦らしい作戦はなく、ほぼほぼ行き当たりばったりの遭遇戦が関の山だ。
なお、回復職は戦闘班には編入せず、救護班として後方支援を行ってもらうこととなった。
さっそくA・B班が包囲戦へと突入した。
俺はA班に入り、戦場へ向かった。
先行偵察部隊に案内され向かった先では、偵察部隊の一部が包囲戦を開始していた。
俺たちが到着するとともに偵察部隊は後方へと下がっていった。
これから集落周辺の警戒に当たるそうだ。
まずはA班が集落に突入し、集落内のモンスターを討伐していく。
B班は少し遅れて突入し、中心部のダンジョン入り口を制圧。
同行しているEランクは集落の外にゴブリンが溢れないようにパーティーで警戒に当たってもらった。
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