勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

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第2章 これから始まる共同生活

二十日目⑧ スキル【軍勢指揮】

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 東門に集合した冒険者の数は100名
 うちBランクが2パーティ12名。
 Cランクが8パーティー49名
 残り39名がDランクだった。

 今回は補給部隊として、Eランクも召集され、総勢200名の大所帯となったそうだ。
 Dランクの2パーティー12名はEランクの補給部隊の護衛を務めることになった。
 Dランク残り27名が実質のゴブリン討伐部隊となる。
 ゴブリン討伐部隊の冒険者は、一人でも問題なくゴブリン討伐が可能である。
 しかし念には念を入れてバディでの行動となった。
 つまりは14チームで討伐を行う。
 俺は特例としてCランクのエルダと行動を共にすることになった。
 まあ、普段から二人だからそうなるよねって話なんだけどね。

 

ガンガン!!

「静粛に!!」

 東門に男性の澄んだ声が響き渡った。
 先ほどまで浮かれた様子で騒いでいた冒険者たちが一斉に静まり返った。

「今回の討伐指揮は、私、リチャード・グラハム・ブースが執る!!これより先ゴブリン集落20km手前に野営陣地を構築。前線基地とする!!今回はおそらくゴブリンジェネラルに進化した個体がいると思われる!!一筋縄では到底終わらないだろう!!しかし!!ここに集まった冒険者たちならやり遂げられると確信している!!」

 うん、なんだろ……
 高揚していく感じがたまらなく心地いい。
 体が軽くなっていく気がする。

「あれが副ギルドマスターのスキル【軍勢指揮】よ。あれによって強制的に指揮権を得られたり、配下になった者のステータスを一時的に上昇させる効果があるわ。」

 ほうほう、つまりは精神干渉系スキルってことろか。
 確かに、こういった討伐作戦にはもってこいの人材だな。

「準備が整ったようだ。ではこれより作戦行動を開始する!!出撃!!」

 ブースの号令とともに冒険者たちが一斉に動き出した。
 軍事訓練を受けていないにもかかわらず、それなりに動けてしまう。
 これがスキル【軍勢指揮】の効果なのか……
 ある意味これって怖いことなんだけどな。
 それについては誰も文句を言っていないあたり、こういったケースでは当たり前なのかもしれないな。



 出撃してからしばらくすると、野営陣地予定地へと到着した。
 すでに工兵要員の土魔法使いが周辺を整備し終えていた。
 そこからは一気に陣地を構築していった。
 堀の掘削、柵の作成、テント設営、炊事場設営と炊事。
 誰に命令されるでもなく、各々得意とした分野で行動をしていく。
 ある意味気持ちが悪い感じが否めなかった。
 俺はというと……
 気が付くと柵をスキルでどんどん作成していた。
 副ギルドマスターのブースさんも俺のスキルの事をギルマスから聞いていたようで、特に何か干渉してくる様子はなかった。

 1時間も経たずに約200人を収容可能な陣地が出来上がった。
 下手したら、俺がさっき見てきた集落よりも強固なのではなかろうか……

 陣地形成がひと段落したころ、周囲の夜は更けて来ていた。
 今日はここで野営を行い、明日朝一番でゴブリン拠点襲撃を開始することとなった。

 だがしかし、夜になり俺たちには問題が発生していた。
 何故か俺とエルダは同じテントだったのだ。

「エ、エルダさんや。なぜに俺たちは同じテントなんだい?」
「そんなの決まってるじゃないの。私たちはパーティーだからよ?何当たり前のことを聞いてるの?」

 こ、これが異世界ギャップか?!
 エルダはあまり気にしてはいないようだった。
 俺はめっちゃ気まずい!!
 いや、恥ずかしいとかそういうわけじゃないけど、女性と一緒に寝る経験何てそうそうあるモノじゃない……
 いやしかし……むしろ、パーティーでダンジョン下層部まで行こうとしたら当たり前ってやつなのか。
 つまり、気にしたら負けってことらしい。
 あまり考えすぎると意識しすぎて寝れそうにないな。
 沈まれ俺の邪念よ!!

 俺は話を変えるために明日についての確認をした。
 基本集落からあふれたゴブリンの掃討。
 または、集落内のゴブリンの掃討がメインになるそうだ。
 俺たち……っていうより俺がまだ経験が浅いということで、外にあふれた分を受け持つことになっていた。

「なぁ、エルダ。ブースさんって強いの?見た目めっちゃ優男でしょ?強そうに見えないんだよね。」
「そっか、カイトは知らないのか。ブースさんは元Sランク冒険者よ。そしてアーチャーでも右に出る物はいないって言われるほどの実力者。スキル【軍勢指揮】は今日経験した通りなんだけど、もう一つの代名詞、スキル【マジックアロー】がむしろ冒険者としては有名かな。魔力で各種属性矢を作り出して攻撃するんだけど、意思が通ってるかのように変幻自在なのよ。字名は【変幻】。私の父の元パーティーメンバーよ。」

 なんと、実はめっちゃすごい人だったんだね。
 見た目に騙されたらいけないタイプの人だったよ。
 そっか、そんな人が指揮を執るんだし心配するだけ無駄なのかもしれない。
 俺はエルダに討伐戦に対する注意点などを聞いて、その日は休むことにした。

「了解、それじゃあ明日早いからもう寝るとしますかね。」
「何そのおじいさんみたいな口調。」

 俺が冗談めかして話をすると、エルダはクスクスと笑みをこぼしていた。
 それを見た俺はなんだかうれしくなって、結局寝付けなかったのは言うまでもない。
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