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第2章 これから始まる共同生活
二十日目⑤ 結果おーらい?
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なんだかんだと会うのを拒んでいたが、会ってみたら閣下とは有意義な時間を過ごすことができた。
そして、明日のギルド間定例会議についての話題となった。
閣下としても、各ギルドの長に話を通しておいた方がいいのは賛成のようだった。
そしてそれが、商業ギルドへの圧力となるのも納得がいく内容だったようだ。
「してカイトよ、儂もその実物が見てみたいのだがよいかの?」
閣下はどうやら収納箱(簡易)に興味津々のようだった。
まあ、閣下も商人だしね、気になるのは仕方のないことだと思う。
俺がアイテムボックスから収納箱(簡易)を取り出すと、まじまじと観察をしていた。
さすがに持ち上げるには大きさが大きさなんで、周囲をぐるぐる回ったり、触ったり開けてみたり、いろいろやっていた。
ギルマスが教えてくれたけど、どうやら閣下は、スキル【アナライズ】を習得しているようで、アイテム鑑定のスペシャリストでもあった。
「それにしても不思議なアイテムだのぉ。儂も今までこのような物見たことがなかったぞ。」
鑑定を終えて唸りながらも感心している様子の閣下だったが、その横で何か言いたげにエルダが佇んでいた。
「どうしたのエルダ?何か言いたげだけど?」
俺がエルダに話しかけると、意を決したようにエルダが確認していた情報を開示したのだった。
「閣下、横からの発言お許しください。実は昨日、その収納箱(簡易)に冷水を入れておりました。そして、少したってから調理用にと取り出したところ、まだ冷たさを残しておりました。ただ、完全に温度を保っていたわけではありません。このことから、多少なりとも時間経過が遅くなっていることが推測されます。」
「それは誠か?!」
閣下はエルダの報告に驚きを隠せないようだった。
慌てているというよりも、興奮して入りって言った方がシックリくるくらい、目を輝かせていた。
エルダはそんな閣下をよそにさらに話を続けていく。
「もしこれが公になれば一大事かと私は愚考いたします。また、今はまだカイトの作った収納箱は(簡易)と名前についておりますが、カイト曰く、アイテムの品質のようなものだそうです。もしこの(簡易)が取れた場合、アイテムがどれほどの性能になるか……私には考え付きません。もはやこれは完全に戦略物資の位置づけになると考えます。」
「それならばかなりの重要アイテムになるではないか?!商人など、これほど優れたアイテムをどれほど欲するものか……。」
閣下はそう言うと何かを考え始めたのか、腕を組んだまま目を閉じ自分の世界へ入っていった。
時折ぶつぶつと声に出ていたが、俺には聞き取ることが出来なかった。
それから少しして、考えがまとまったのか、ようやく目を開けた閣下。
ギルマスに向き直ると、その頭を下げた。
「シャバズ殿、貴殿の行動感謝する。これが他の貴族に情報が流れたならば、カイトがどのような目にあうか……想像に容易い。」
閣下は何故か俺を気に入ってしまったようだった。
まあ、後ろ盾になってくれるっていうんだからありがたく頂戴はするが……
それによってガチガチに拘束されるのは御免被りたい。
ただでさえ、後輩……西森 樹莉亜を探しに行きたいというのに。
「カイト……また心の声が駄々洩れよ?」
……はい、やらかしました……
ギルマスは唖然としていたが、閣下はさすがといえばいいのか、豪快に笑っていた。
「なるほどのぉ。やはり勇者召喚は成功しておったのか。あのバカ王めが、魔法師の人材をイエスマンでそろえるからこんな結果になるのだ。それをこ奴のせいにして追い出すとは嘆かわしい。よし決めたぞ、儂もその探索に協力させてくれまいか。そして勇者を見つけて、あのバカ王に一泡吹かせてやろうぞ!!」
なんだか嫌な予感しかしなかった。
つまりは、西森を探して来いってことでいいのだろうか?
「なぁに、心配する出ない。探索はこちらの密偵に任せておれ。カイト、お主はレベル上げに勤しむがよい。むしろ今のままでは全てを奪われかねないぞ?だから強くなれカイト!!」
俺はとんだ誤解をしていたようだ。
貴族にも話が通じる人がいるんだな。
あの執事はいったい何だったんだろうな?
あの親子……閣下の奥さんと子供か、ものすごく礼儀正しかったもんな。
そう考えれば貴族だからって色眼鏡で見ていた俺が悪いわけだ。
うん、これからは気を付けて行かないとな。
俺が知る常識が、ここでの常識とは限らないし。
むしろここの常識をエルダに教えてもらわないとな。
俺はエルダと相談し、閣下の提案を受け入れることにした。
エルダに言われた通り、今は焦っても仕方がない。
何せ俺は弱い。権力・武力・財力・知力どれをとっても弱者だ。
だからこそ、強くなりたい。
誰にも邪魔されずに俺の道を歩きたい。
そう願ってしまった。
「そうそう、若者はそうでなくてはならん。しりぬぐいはこのおいぼれに任せておれ。それと忘れておったが、おぬしには一つ任務が課せられることになるはずだ。今はまだその時ではないのだが、勇者が見つかり次第、魔王と和睦交渉の為魔界へ行ってもらうことになるぞ。」
はい、俺の人生はどう転んでもイージーモードにはなってくれないようだ。
そしてここでお気づきだろうか……
俺閣下に話しかけてないんだぜ?
なのに会話が成立してるってことは……
「カイト?誰に話しかけているの?そこ壁よ?」
「独り言です。」
がってむ!!
そして、明日のギルド間定例会議についての話題となった。
閣下としても、各ギルドの長に話を通しておいた方がいいのは賛成のようだった。
そしてそれが、商業ギルドへの圧力となるのも納得がいく内容だったようだ。
「してカイトよ、儂もその実物が見てみたいのだがよいかの?」
閣下はどうやら収納箱(簡易)に興味津々のようだった。
まあ、閣下も商人だしね、気になるのは仕方のないことだと思う。
俺がアイテムボックスから収納箱(簡易)を取り出すと、まじまじと観察をしていた。
さすがに持ち上げるには大きさが大きさなんで、周囲をぐるぐる回ったり、触ったり開けてみたり、いろいろやっていた。
ギルマスが教えてくれたけど、どうやら閣下は、スキル【アナライズ】を習得しているようで、アイテム鑑定のスペシャリストでもあった。
「それにしても不思議なアイテムだのぉ。儂も今までこのような物見たことがなかったぞ。」
鑑定を終えて唸りながらも感心している様子の閣下だったが、その横で何か言いたげにエルダが佇んでいた。
「どうしたのエルダ?何か言いたげだけど?」
俺がエルダに話しかけると、意を決したようにエルダが確認していた情報を開示したのだった。
「閣下、横からの発言お許しください。実は昨日、その収納箱(簡易)に冷水を入れておりました。そして、少したってから調理用にと取り出したところ、まだ冷たさを残しておりました。ただ、完全に温度を保っていたわけではありません。このことから、多少なりとも時間経過が遅くなっていることが推測されます。」
「それは誠か?!」
閣下はエルダの報告に驚きを隠せないようだった。
慌てているというよりも、興奮して入りって言った方がシックリくるくらい、目を輝かせていた。
エルダはそんな閣下をよそにさらに話を続けていく。
「もしこれが公になれば一大事かと私は愚考いたします。また、今はまだカイトの作った収納箱は(簡易)と名前についておりますが、カイト曰く、アイテムの品質のようなものだそうです。もしこの(簡易)が取れた場合、アイテムがどれほどの性能になるか……私には考え付きません。もはやこれは完全に戦略物資の位置づけになると考えます。」
「それならばかなりの重要アイテムになるではないか?!商人など、これほど優れたアイテムをどれほど欲するものか……。」
閣下はそう言うと何かを考え始めたのか、腕を組んだまま目を閉じ自分の世界へ入っていった。
時折ぶつぶつと声に出ていたが、俺には聞き取ることが出来なかった。
それから少しして、考えがまとまったのか、ようやく目を開けた閣下。
ギルマスに向き直ると、その頭を下げた。
「シャバズ殿、貴殿の行動感謝する。これが他の貴族に情報が流れたならば、カイトがどのような目にあうか……想像に容易い。」
閣下は何故か俺を気に入ってしまったようだった。
まあ、後ろ盾になってくれるっていうんだからありがたく頂戴はするが……
それによってガチガチに拘束されるのは御免被りたい。
ただでさえ、後輩……西森 樹莉亜を探しに行きたいというのに。
「カイト……また心の声が駄々洩れよ?」
……はい、やらかしました……
ギルマスは唖然としていたが、閣下はさすがといえばいいのか、豪快に笑っていた。
「なるほどのぉ。やはり勇者召喚は成功しておったのか。あのバカ王めが、魔法師の人材をイエスマンでそろえるからこんな結果になるのだ。それをこ奴のせいにして追い出すとは嘆かわしい。よし決めたぞ、儂もその探索に協力させてくれまいか。そして勇者を見つけて、あのバカ王に一泡吹かせてやろうぞ!!」
なんだか嫌な予感しかしなかった。
つまりは、西森を探して来いってことでいいのだろうか?
「なぁに、心配する出ない。探索はこちらの密偵に任せておれ。カイト、お主はレベル上げに勤しむがよい。むしろ今のままでは全てを奪われかねないぞ?だから強くなれカイト!!」
俺はとんだ誤解をしていたようだ。
貴族にも話が通じる人がいるんだな。
あの執事はいったい何だったんだろうな?
あの親子……閣下の奥さんと子供か、ものすごく礼儀正しかったもんな。
そう考えれば貴族だからって色眼鏡で見ていた俺が悪いわけだ。
うん、これからは気を付けて行かないとな。
俺が知る常識が、ここでの常識とは限らないし。
むしろここの常識をエルダに教えてもらわないとな。
俺はエルダと相談し、閣下の提案を受け入れることにした。
エルダに言われた通り、今は焦っても仕方がない。
何せ俺は弱い。権力・武力・財力・知力どれをとっても弱者だ。
だからこそ、強くなりたい。
誰にも邪魔されずに俺の道を歩きたい。
そう願ってしまった。
「そうそう、若者はそうでなくてはならん。しりぬぐいはこのおいぼれに任せておれ。それと忘れておったが、おぬしには一つ任務が課せられることになるはずだ。今はまだその時ではないのだが、勇者が見つかり次第、魔王と和睦交渉の為魔界へ行ってもらうことになるぞ。」
はい、俺の人生はどう転んでもイージーモードにはなってくれないようだ。
そしてここでお気づきだろうか……
俺閣下に話しかけてないんだぜ?
なのに会話が成立してるってことは……
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