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第1章 ここから始まるDIY

十七日目⑥ 脳筋の宿命

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 5匹の【ロックワーム】を討伐すると、ドロップアイテムが姿を現した。

・魔石(極小) 3
・岩蠕虫の歯 3
・岩蠕虫の外皮 1

 丁度、岩蠕虫の歯が目標個数を達成することができた。
 他に隠れているモンスターが見えないことで、警戒レベルを下げることができた。

 俺たちは警戒しながらも、中央に鎮座している宝箱に近づいてく。
 エルダから、周辺と宝箱に鑑定をかけることを薦められた。
 理由は鑑定をかけるとトラップが鑑定に引っ掛かるらしい。
 つまり斥候職いらなくない?って思って確認したら、斥候職は斥候職で罠を探す訓練をするらしい。
 うん、俺ってやっぱりチートってやつなんだろうな。
 エルダの言う通りに周辺に鑑定をかけると、トラップらしきもの反応はなかった。。
 改めて宝箱に鑑定をかけてみた。

 低級宝箱:ダンジョンに自然発生する宝箱※毒雲噴出罠付き。

 おっとエルダに従ってよかった……
 危なく毒を食らうところだった。
 ちゃんと鑑定に反応するもんなんだな。

 エルダに罠について伝えると、罠解除は簡単なものだったら解除可能だというので、お願いすることにした。

 ガチャガチャと罠を解除する音が隠し部屋に響いている。
 俺は周辺警戒をしながら、エルダの罠解除を待った。
  しばらくすると、ガチャリという音が小部屋に静かに響いた。

「解除完了よ。」
「さすがエルダ。罠解除も完了?」

 エルダは静かに頷いて肯定の意を示してくれた。
 俺はエルダとともに中を確認すると、一冊の本が入っていた。
 茶色のハードカバーの本で、そこそこきれいな装丁だった。

「これ鑑定掛けるけどいいよね?」
「かまわないわ。むしろ断る意味が分からないんだけど……」

 ですよねぇ~
 俺はエルダに断ってから、本を鑑定してみる。

スキル【鑑定】

スキルブック(低級):ウォーターバレットの魔法が込められている。最初に読んだ者が取得可能。習得後スキルブックは消滅する。

 本を持つ手が震えてくる。
 俺の異変に気が付いたエルダがとても心配そうに見つめていた。

「スキルブックだった。しかもウォーターバレット……」
「この階層でスキルブックは本当に珍しいを通り越して、きもち悪いわね。」

 え?気持ち悪いの?おかしいの?
 もしかしてこれもご都合主義様のお仕事範囲なのかな?
 むしろありがたいんですけど!!
 
「ちなみにさ……この本って取引価格はいくらくらい?」
「初期魔法だからそれほど高くはないけど、最低でも金貨50枚からオークションはスタートするわ。」

 金貨50枚……
 俺はその金額に驚いてしまった。
 これを売り払えば……家なき子が卒業できる……
 あぁ、でも、魔法が……
 これがあれば魔法が使えるかもしれない……
 くそ!!これもダンジョンの罠か⁈

「カイト。あなたがこれを使うといいわ。これから絶対に役立つものだから。」
「……え?」 

 エルダからの申し出に、思考が止まってしまった。
 だって金貨50枚だよ?それをポンっていいよって……
 エルダさん太っ腹!!

「ありがとう。じゃあ、金貨25枚は借りにしておいてもらえるかな?必ず返すから。」
「別にいいのに……でもわかったわ。期待せずにまってる。」

 俺はさっそくスキルブックを読んでみた。
 分厚いハードカバーの表紙をめくるとそこには何も書かれていなかった。
 え?ハズレ?

「表紙を開いたら、真ん中に手を当てるのよ。」

 俺はエルダに教わった通りに恐る恐る手をかざしてみた。
 するとスキルブックから光が放たれ、俺の額へと伸びていく。

 ……唐突に理解する。
 魔法についての知識が強制的に書き加えられていく。

『スキル【ウォーターバレット】レベル1を習得。』

ピコン

『職業:なんでも屋の起動を確認しました。職業:魔導士見習い(なんでも屋)へ一時変更します。』

技能:ウォーターバレット レベル(仮)……水の弾丸で対象物を貫く(貫通)。威力(魔力×5%※切り上げ)。威力上昇レベル×5%。射程距離レベル×3m+10m。MP:3
   ファイアバレット レベル(仮)……火の弾丸で対象物を貫く(貫通)。威力(魔力×5%※切り上げ)。威力上昇レベル×5%。射程距離レベル×3m+10m。MP:3
   エアロバレット レベル(仮)……空気の弾丸で対象物を貫く(貫通)。威力(魔力×5%※切り上げ)。威力上昇レベル×5%。射程距離レベル×3m+10m。MP:3
   ロックバレット レベル(仮)……石の弾丸で対象物を貫く(貫通)。威力(魔力×5%※切り上げ)。威力上昇レベル×5%。射程距離レベル×3m+10m。MP:3

 まじかよ……

 スキルブックで魔法を覚えたことがきっかけで、魔法系の職業が解放された。
 エルダにそれを伝えると、さっそく試し打ちをしてみるように言われた。
 とりあえず、レベル1になってるウォーターバレットで試すことにした。

スキル【ウォーターバレット】

 一応目の前から10m強くらいの距離を飛んで着弾した……
 うん、威力がほとんどない……
 一応飛びはするし、1匹くらいなら濡らすことは可能そうだ。
 
 エルダと相談した結果、初手でウォーターバレット。
 濡れたら剣で切る流れで戦闘することにした。
 魔法の威力は魔力の上昇とレベルの上昇で強くなっていくので、長い目で見ていこうということになった。

 うん、脳筋万歳……
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