勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

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第1章 ここから始まるDIY

十六日目② 【生命】をいただく

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今回のお話には動物が死ぬシーンが描かれております。
正直読まなくてもストーリー上、特に問題はありません。

結果として、
鉄インゴットを作成しました。
ゴブリン5匹倒して魔石(極小)を3つ手に入れました。
森の奥でイノシシ親子を見つけて、狩りをしました。

イノシシの皮を3枚
肉を250kg
骨が多数
ゲットしましたよってお話です。
 
というわけで、そういったシーンが大丈夫な方はこのままお読みください。

★★★★★★★★★★★★★★

 そんなこんなであれから25分が経ち、インゴットが5個出来上がった。
 少し前にレンガも20個集まり、簡易溶鉱炉を作ろうと思ったんだけど……

 結局魔石が足りなかった……

 まあ、25分なら許容範囲というところかな。
 続いて残りの4本分を仕掛ける。
 魔石(極小)も残り2個。
 何とか足りてくれて助かった。
 これからは魔石(極小)も清算に回せなくなるな。

 あれ?
 ちょっと待って、これってものすごくまずい気がしてきた。
 ただでさえ換金で金が稼げていない状況なのに、そのメインである魔石も換金できないってことは……

 家なき子確定ルート!!

 これはやばい……
 ほんといっそのこと森に定住してしまおうかな……

 そうこうしていると残りの4本もインゴットが完成した。
 これでついに鍛冶場も完成する。
 レシピを再確認っと。

——————

     ▼設備(NEW)
       簡易鍜治場……鉄インゴット+木材+イノシシのなめし皮で作成。鍜治場。SP:20

——————

 イノシシのなめし皮って何ですか?
 あれですか、動物を狩って回収ですか?

 よっしゃその喧嘩買った!!
 っと冗談を言っている場合ではなくなってきた。
 イノシシを殺すのか……

 そういえば、東の森でイノシシを見たことあったかな?
 いや、なかったと思う。

 どうするかな。
 街で聞けばわかるか……
 それとも探してみるか……


 
 探すことを選択した俺は、その場をあらかた片付けて、改めて東の森にやってきた。
 出会うのはやはりゴブだけだった。
 結果5匹のゴブリンと遭遇し、3個の魔石(極小)を手に入れた。

 やはりこの森はいないのかもしれない。
 もう少し奥に行ってみよう。



 いたっ!!
 イノシシを探してしばらくすると、イノシシを発見できた。
 いつもより森の奥に来て正解だった。
 イノシシが3匹。
 おそらく親子だろうか……
 大きいのが1匹と小さいのが2匹。

 俺はこれから【生命】をいただく。
 ゴブリンとかモンスターではない【生命】を殺す……
 そうか、生まれてこの方【生命】を奪ったことなどなかった。
 モンスターは倒してきた。
 でもやはり違うのもだな……
 すまん、その【生命】もらい受ける。

『職業:なんでも屋の起動を確認しました。職業:狩人(なんでも屋)へ一時変更します。』

 これで良し……

 弓……装備良し!!
 矢……準備良し!!

スキル【ホークアイ】

 成仏してくれ。

 俺は弓をぎりぎりと引き絞り、番えた矢を解き放った。
 矢が一直線に親イノシシの頭に飛んでいった。
 一瞬こちらを見たが、そのまま脳天に矢が突き刺さる。

 飛び道具とはいえやはり来るものがあるな……

 親イノシシが倒れたことに驚いた子イノシシは、その場に立ち尽くしていた。
 そしてその親イノシシの顔をなめ起こそうとしている……

 くそ!!

 俺は、震える手を精神で押さえつけて次の矢と番える。
 狙いがうまく定まらない……

 くそ!!

 これが【生命】を殺すことなのか……
 番えた矢を解き放つと、そのまま子イノシシに突き刺さった。
 さらにもう一発……

 3匹のイノシシの【生命】が潰えた瞬間だった……

 殺したイノシシの側に着いて確認した。
 大きさ的に、やはり親子だったのであろうか……
 そして少し待つことにした。

 あれ?ドロップアイテムが落ちない?

 もしかしてあれって、モンスター限定の現象なのか?
 っていうことは……
 これ解体するの?!
 やったことないんだけど!?
 どうやるのさ?!

 と、とりあえずやってみるしかないか……
 あれかな?魚さばくのと一緒でいいのかな?

 そうだ、血抜きとかするんだっけ?
 それもどうやんのよ?
 まじ誰か教えて。
 Wi〇i先生かG〇〇gle先生とかいませんか!!

 なんて、現実逃避してられないか。
 最悪、スキル【クリーン】かけて誤魔化そう。

 まず、血抜きだけど……
 頸動脈?だっけ、吊るして切るんだっけ?

 よし、まずは蔦で木に吊るして……
 あとは一思いに首を落とそう。

 親イノシシを木に吊るし、剣でその頭を切り落とした。
 ダラダラと流れ落ちる血液が、さらに現実味を帯びさせていく。
 
 あぁ、俺は【生命】を殺したんだ……

 大きくなる血だまりを見つめる。
 俺も一歩間違えばこの血だまりに沈んでしまうんだ。
 そう、ここはそういう世界なんだ……

 絶対生き抜いてやる!!



 徐々に収まる血の流れを見つめ、次の手順を考える。
 魚と一緒だったら、腹を切って内臓出して、皮を剥がしてって流れだよな。
 やってみるしかないか……

 あ、解体用のナイフがない……
 剣でやるしかないか。

 吊るされた親イノシシの腹に、剣を突き刺す。
 グニュリと突き刺さる感触が、やけに生々しい。
 内臓を傷付けないように、慎重に切り裂いていく。
 だらりとぶら下がる内臓を見て、一気に吐いてしまった。
 さすがに素人にこれは無理があるよ。

 ピロン

『職業:なんでも屋の起動を確認しました。職業:解体業(なんでも屋)へ一時変更します。』

技能:解体 レベル(仮)……生物の解体方法及び手順の効率化。解体種類の増加。レベル1以上動物。レベル10以上低級モンスター。レベル30以上中級モンスター。レベル50以上上級モンスター。効率上昇レベル×1%。※解体作業中はモンスターが消滅しない。SP:1/秒。

 なんとご都合主義。
 こんな時でもきちんと仕事してくれるんだね。

スキル【解体】

 強制的に頭の中に解体の仕方が流れ込んでくる。
 最初から覚えさせてほしかったよ。

 あとの解体はスムーズに進んだ。
 そして初めて知ったことがある。
 解体する前に穴を掘らないといけないってことを。
 理由は、解体の際に出た血の匂いに、野生動物やモンスターが引き寄せられるからだ。
 幸いにして俺の場合はスキル【クリーン】があるのであまり気にしないでもいいかもしれないが、それでもスキルに従って作業を進めた。

 3匹の解体が完了すると、手元には皮と肉と骨が残された。
 皮が3枚。
 肉は合計250kg(500g×500ブロック)。
 骨が多数。
 それにしても不思議だな。
 スキルを使うとなんでこんなにきれいに分けられるんだ?
 量りなんて使ってないのにな。

ピロン

『スキル:DIYのレシピが増えました。』

 やっぱりこうなるよね。
 内容はあとで確認しよう……今はそんな気分じゃないし……
 全てをインベントリにしまい、その場をきれいにして立ち去った。



 そして後から気が付いた……
 インベントリに全部しまって、街の解体業者にお願いすればよかったのでは?と。
 まあ、新しい職業を手に入れたので良しとしよう。
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