33 / 51
第2章
第33話 対アンデッド戦
しおりを挟む
「この呪術は禁忌とされているモノよ。呪術によって死んだ者の魂を死んだ者の身体に縛り付ける。文字通り生きた屍にするものよ。しかも質の悪いことに、生きた時にしかこの呪術はかけられないのよ。」
リリーから漏れ出る殺気。
今にも術者を殺してしまいそうなほどにあたりに充満していく。
それにしても胸糞悪い魔法だな。
対抗手段があればいいんだけど、遅延発動型だから術者がそばにいる必要もないってわけか。
「解決策は?」
「基本アンデッドと同じ対処法よ。燃やしきるか、完全に細切れにするか。もしくは術者・魔導具の破壊。あとは聖女がいれば浄化。さすがにここではそれは難しいから、燃やしきるか細切れの2択ね。」
なるほどね、だったら簡単だな。
俺はすぐに馬車の上にまた昇り、周囲を見渡す。
コーウェンさんたちやリルががんばったおかげで、周囲はアンデッドだらけだった。
しかもさらに胸糞悪い事態になっている。
おそらくここはすでに罠として準備されていたんだろうな。
どう考えても殺気の襲撃者よりもその数が多い。
しかもその大半が獣人だ……つまり獣人たちを襲って殺し、ここの罠として仕掛けてやがった。
「コーウェンさん!!大丈夫か!?」
「問題ない……とは言えないな。くそ!!獣人を何だと思ってるんだ!!」
コーウェンさんからも怒りが伝わってくる。
手心を加えない限り大丈夫だとは思うけど、それでも隙が産まれるだろうな。
「リリー、コーウェンさんたちのフォローを頼む。俺はリルの方を片付けてくる。」
リリーはすぐに頷き、馬車から飛び出していく。
まあ、リリーだったら普通に聖属性魔法が使える気もしなくはないな。
ただ、いくらリリーが神様だとは言え、その身体にあるリソースにも限りがある。
好きなだけバカスカ魔法や魔導を使えるんだったら、〝呪いの魔王〟復活阻止を俺に依頼する理由はないわけだ。
リリーは魔法で徐々にアンデッドたちを浄化していく。
コーウェンさんたちも懸命に戦ってくれているおかげで、どうにか押し込まれずに済んでいるな。
リルはっと……お、商人に付いてきた狩猟者も頑張っているな。
さらにコバンザメでくっついてきた商人は……ありゃ持たないかも……
さすがに殺されたら面倒だから、助けるしかないか。
俺はすぐにその商人の下へと移動する。
その移動がてら、狩猟者の雇い主である商人周辺に集まりだしていたアンデッドを切り刻む。
いくらアンデッドって言っても気分はよくない。
「た、助けてくれ!!か、金ならいくらでも出す!!」
おれが最後尾の商人の下へ到着すると、リルが奮闘しすぎたアンデッドたちが迫っていた。
とりわけかなり吹き飛ばしてくれていたので、その動きの遅さからまだ商人の馬車には到達していなかった。
よかったと言って良いのかな?
「これに懲りてちゃんと護衛を雇ってくださいね。」
その商人はこれでもかというほど頭を縦に振って頷く。
そりゃこんな状況じゃそうなるよな。
俺は周囲を見渡しどうしたものかと思案する。
おそらく胴体真っ二つだとそのままずるずると這いずってきそうだ。
さすがにそんなホラーは勘弁願いたい。
ただ問題は俺が〝魔法・魔導〟を使えないってことだ。
〝丈夫な身体〟も、〝強化〟もどちらも俺の身体に作用しているだけで、魔力を付与してくれているわけじゃない。
つまり、浄化や燃やすっていう手段が俺にはなかった。
あるとすれば切り刻むってところなんだけど、それにしてもこの数を相手にしていたら時間がかかってしまう。
でも迷ってても仕方がないから、数を減らすことに集中しよう。
リリーの方が片付けばこっちを手伝ってくれるだろうし。
それから俺は斬って斬って斬りまくった。
あとどれだけ切り刻めば動かなくなるのかという実験も進めると、ある程度の対処法は理解できた。
アンデッドたちは頭を必要としていた。
頭がなくなったアンデッドはその動きをやめ沈黙する。
逆に身体に頭がくついてると、どれだけ切り刻んであろうとも這いずってくる。
つまり頭を切り刻めば楽ができるってわけだ。
それに気が付いてからの処置はだいぶ楽になった。
リルにもそのことを伝えると、リルの周辺にいたアンデッドは次々と頭を爆散していく。
手加減不要になったかリル的に面白いんだろうな。
また戦いながら高笑いしてやがる。
そのギャップどうにかならかな?
「陸人!!あっちは片付いた!!こっちをすぐに片付けるね!!」
どうやらコーウェンさんたちの方のアンデッドは片付いたらしい。
それとおそらくあのフードの男も捕まっているはずだ。
それについてはここが片付いたら確認すればいい。
リリーの応援の甲斐があり、アンデッドは次々とその活動を停止していく。
「これで……お終いっと。」
ついにリリーの魔法で最後のアンデッドが浄化された。
戦場に散らばるアンデッドの骸。
人族・猫人族・人狼族……多種多様なアンデッドがそこかしこに転がっていた。
「やっと終わったか……さすがにこれには骨が折れた。」
身体をコキコキと鳴らしながらリルが近づいてきた。
だがその姿はすさまじく、返り血でべったりだった。
さすがにその状態はリリー的にも嫌だったらしく、すぐさま浄化と清潔の魔法をリルにかける。
すぐにきれいになったことで満足したのか、リリーは晴れやかだった。
こうして予想外の戦闘は終了することになった。
リリーから漏れ出る殺気。
今にも術者を殺してしまいそうなほどにあたりに充満していく。
それにしても胸糞悪い魔法だな。
対抗手段があればいいんだけど、遅延発動型だから術者がそばにいる必要もないってわけか。
「解決策は?」
「基本アンデッドと同じ対処法よ。燃やしきるか、完全に細切れにするか。もしくは術者・魔導具の破壊。あとは聖女がいれば浄化。さすがにここではそれは難しいから、燃やしきるか細切れの2択ね。」
なるほどね、だったら簡単だな。
俺はすぐに馬車の上にまた昇り、周囲を見渡す。
コーウェンさんたちやリルががんばったおかげで、周囲はアンデッドだらけだった。
しかもさらに胸糞悪い事態になっている。
おそらくここはすでに罠として準備されていたんだろうな。
どう考えても殺気の襲撃者よりもその数が多い。
しかもその大半が獣人だ……つまり獣人たちを襲って殺し、ここの罠として仕掛けてやがった。
「コーウェンさん!!大丈夫か!?」
「問題ない……とは言えないな。くそ!!獣人を何だと思ってるんだ!!」
コーウェンさんからも怒りが伝わってくる。
手心を加えない限り大丈夫だとは思うけど、それでも隙が産まれるだろうな。
「リリー、コーウェンさんたちのフォローを頼む。俺はリルの方を片付けてくる。」
リリーはすぐに頷き、馬車から飛び出していく。
まあ、リリーだったら普通に聖属性魔法が使える気もしなくはないな。
ただ、いくらリリーが神様だとは言え、その身体にあるリソースにも限りがある。
好きなだけバカスカ魔法や魔導を使えるんだったら、〝呪いの魔王〟復活阻止を俺に依頼する理由はないわけだ。
リリーは魔法で徐々にアンデッドたちを浄化していく。
コーウェンさんたちも懸命に戦ってくれているおかげで、どうにか押し込まれずに済んでいるな。
リルはっと……お、商人に付いてきた狩猟者も頑張っているな。
さらにコバンザメでくっついてきた商人は……ありゃ持たないかも……
さすがに殺されたら面倒だから、助けるしかないか。
俺はすぐにその商人の下へと移動する。
その移動がてら、狩猟者の雇い主である商人周辺に集まりだしていたアンデッドを切り刻む。
いくらアンデッドって言っても気分はよくない。
「た、助けてくれ!!か、金ならいくらでも出す!!」
おれが最後尾の商人の下へ到着すると、リルが奮闘しすぎたアンデッドたちが迫っていた。
とりわけかなり吹き飛ばしてくれていたので、その動きの遅さからまだ商人の馬車には到達していなかった。
よかったと言って良いのかな?
「これに懲りてちゃんと護衛を雇ってくださいね。」
その商人はこれでもかというほど頭を縦に振って頷く。
そりゃこんな状況じゃそうなるよな。
俺は周囲を見渡しどうしたものかと思案する。
おそらく胴体真っ二つだとそのままずるずると這いずってきそうだ。
さすがにそんなホラーは勘弁願いたい。
ただ問題は俺が〝魔法・魔導〟を使えないってことだ。
〝丈夫な身体〟も、〝強化〟もどちらも俺の身体に作用しているだけで、魔力を付与してくれているわけじゃない。
つまり、浄化や燃やすっていう手段が俺にはなかった。
あるとすれば切り刻むってところなんだけど、それにしてもこの数を相手にしていたら時間がかかってしまう。
でも迷ってても仕方がないから、数を減らすことに集中しよう。
リリーの方が片付けばこっちを手伝ってくれるだろうし。
それから俺は斬って斬って斬りまくった。
あとどれだけ切り刻めば動かなくなるのかという実験も進めると、ある程度の対処法は理解できた。
アンデッドたちは頭を必要としていた。
頭がなくなったアンデッドはその動きをやめ沈黙する。
逆に身体に頭がくついてると、どれだけ切り刻んであろうとも這いずってくる。
つまり頭を切り刻めば楽ができるってわけだ。
それに気が付いてからの処置はだいぶ楽になった。
リルにもそのことを伝えると、リルの周辺にいたアンデッドは次々と頭を爆散していく。
手加減不要になったかリル的に面白いんだろうな。
また戦いながら高笑いしてやがる。
そのギャップどうにかならかな?
「陸人!!あっちは片付いた!!こっちをすぐに片付けるね!!」
どうやらコーウェンさんたちの方のアンデッドは片付いたらしい。
それとおそらくあのフードの男も捕まっているはずだ。
それについてはここが片付いたら確認すればいい。
リリーの応援の甲斐があり、アンデッドは次々とその活動を停止していく。
「これで……お終いっと。」
ついにリリーの魔法で最後のアンデッドが浄化された。
戦場に散らばるアンデッドの骸。
人族・猫人族・人狼族……多種多様なアンデッドがそこかしこに転がっていた。
「やっと終わったか……さすがにこれには骨が折れた。」
身体をコキコキと鳴らしながらリルが近づいてきた。
だがその姿はすさまじく、返り血でべったりだった。
さすがにその状態はリリー的にも嫌だったらしく、すぐさま浄化と清潔の魔法をリルにかける。
すぐにきれいになったことで満足したのか、リリーは晴れやかだった。
こうして予想外の戦闘は終了することになった。
125
お気に入りに追加
543
あなたにおすすめの小説

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件
月風レイ
ファンタジー
普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。
そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。
そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。
そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。
そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。
食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。
不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。
大修正中!今週中に修正終え更新していきます!
勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します
華音 楓
ファンタジー
旧題:re:birth 〜勇者じゃないと追放された最強職【何でも屋】は、異世界でチートスキル【DIY】で無双します~
「役立たずの貴様は、この城から出ていけ!」
国王から殺気を含んだ声で告げられた海人は頷く他なかった。
ある日、異世界に魔王討伐の為に主人公「石立海人」(いしだてかいと)は、勇者として召喚された。
その際に、判明したスキルは、誰にも理解されない【DIY】と【なんでも屋】という隠れ最強職であった。
だが、勇者職を有していなかった主人公は、誰にも理解されることなく勇者ではないという理由で王族を含む全ての城関係者から露骨な侮蔑を受ける事になる。
城に滞在したままでは、命の危険性があった海人は、城から半ば追放される形で王城から追放されることになる。 僅かな金銭で追放された海人は、生活費用を稼ぐ為に冒険者として登録し、生きていくことを余儀なくされた。
この物語は、多くの仲間と出会い、ダンジョンを攻略し、成りあがっていくストーリーである。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

1000年生きてる気功の達人異世界に行って神になる
まったりー
ファンタジー
主人公は気功を極め人間の限界を超えた強さを持っていた、更に大気中の気を集め若返ることも出来た、それによって1000年以上の月日を過ごし普通にひっそりと暮らしていた。
そんなある時、教師として新任で向かった学校のクラスが異世界召喚され、別の世界に行ってしまった、そこで主人公が色々します。

異世界転生は、0歳からがいいよね
八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。
神様からのギフト(チート能力)で無双します。
初めてなので誤字があったらすいません。
自由気ままに投稿していきます。
やっと買ったマイホームの半分だけ異世界に転移してしまった
ぽてゆき
ファンタジー
涼坂直樹は可愛い妻と2人の子供のため、頑張って働いた結果ついにマイホームを手に入れた。
しかし、まさかその半分が異世界に転移してしまうとは……。
リビングの窓を開けて外に飛び出せば、そこはもう魔法やダンジョンが存在するファンタジーな異世界。
現代のごくありふれた4人(+猫1匹)家族と、異世界の住人との交流を描いたハートフルアドベンチャー物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる