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第2章
第33話 対アンデッド戦
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「この呪術は禁忌とされているモノよ。呪術によって死んだ者の魂を死んだ者の身体に縛り付ける。文字通り生きた屍にするものよ。しかも質の悪いことに、生きた時にしかこの呪術はかけられないのよ。」
リリーから漏れ出る殺気。
今にも術者を殺してしまいそうなほどにあたりに充満していく。
それにしても胸糞悪い魔法だな。
対抗手段があればいいんだけど、遅延発動型だから術者がそばにいる必要もないってわけか。
「解決策は?」
「基本アンデッドと同じ対処法よ。燃やしきるか、完全に細切れにするか。もしくは術者・魔導具の破壊。あとは聖女がいれば浄化。さすがにここではそれは難しいから、燃やしきるか細切れの2択ね。」
なるほどね、だったら簡単だな。
俺はすぐに馬車の上にまた昇り、周囲を見渡す。
コーウェンさんたちやリルががんばったおかげで、周囲はアンデッドだらけだった。
しかもさらに胸糞悪い事態になっている。
おそらくここはすでに罠として準備されていたんだろうな。
どう考えても殺気の襲撃者よりもその数が多い。
しかもその大半が獣人だ……つまり獣人たちを襲って殺し、ここの罠として仕掛けてやがった。
「コーウェンさん!!大丈夫か!?」
「問題ない……とは言えないな。くそ!!獣人を何だと思ってるんだ!!」
コーウェンさんからも怒りが伝わってくる。
手心を加えない限り大丈夫だとは思うけど、それでも隙が産まれるだろうな。
「リリー、コーウェンさんたちのフォローを頼む。俺はリルの方を片付けてくる。」
リリーはすぐに頷き、馬車から飛び出していく。
まあ、リリーだったら普通に聖属性魔法が使える気もしなくはないな。
ただ、いくらリリーが神様だとは言え、その身体にあるリソースにも限りがある。
好きなだけバカスカ魔法や魔導を使えるんだったら、〝呪いの魔王〟復活阻止を俺に依頼する理由はないわけだ。
リリーは魔法で徐々にアンデッドたちを浄化していく。
コーウェンさんたちも懸命に戦ってくれているおかげで、どうにか押し込まれずに済んでいるな。
リルはっと……お、商人に付いてきた狩猟者も頑張っているな。
さらにコバンザメでくっついてきた商人は……ありゃ持たないかも……
さすがに殺されたら面倒だから、助けるしかないか。
俺はすぐにその商人の下へと移動する。
その移動がてら、狩猟者の雇い主である商人周辺に集まりだしていたアンデッドを切り刻む。
いくらアンデッドって言っても気分はよくない。
「た、助けてくれ!!か、金ならいくらでも出す!!」
おれが最後尾の商人の下へ到着すると、リルが奮闘しすぎたアンデッドたちが迫っていた。
とりわけかなり吹き飛ばしてくれていたので、その動きの遅さからまだ商人の馬車には到達していなかった。
よかったと言って良いのかな?
「これに懲りてちゃんと護衛を雇ってくださいね。」
その商人はこれでもかというほど頭を縦に振って頷く。
そりゃこんな状況じゃそうなるよな。
俺は周囲を見渡しどうしたものかと思案する。
おそらく胴体真っ二つだとそのままずるずると這いずってきそうだ。
さすがにそんなホラーは勘弁願いたい。
ただ問題は俺が〝魔法・魔導〟を使えないってことだ。
〝丈夫な身体〟も、〝強化〟もどちらも俺の身体に作用しているだけで、魔力を付与してくれているわけじゃない。
つまり、浄化や燃やすっていう手段が俺にはなかった。
あるとすれば切り刻むってところなんだけど、それにしてもこの数を相手にしていたら時間がかかってしまう。
でも迷ってても仕方がないから、数を減らすことに集中しよう。
リリーの方が片付けばこっちを手伝ってくれるだろうし。
それから俺は斬って斬って斬りまくった。
あとどれだけ切り刻めば動かなくなるのかという実験も進めると、ある程度の対処法は理解できた。
アンデッドたちは頭を必要としていた。
頭がなくなったアンデッドはその動きをやめ沈黙する。
逆に身体に頭がくついてると、どれだけ切り刻んであろうとも這いずってくる。
つまり頭を切り刻めば楽ができるってわけだ。
それに気が付いてからの処置はだいぶ楽になった。
リルにもそのことを伝えると、リルの周辺にいたアンデッドは次々と頭を爆散していく。
手加減不要になったかリル的に面白いんだろうな。
また戦いながら高笑いしてやがる。
そのギャップどうにかならかな?
「陸人!!あっちは片付いた!!こっちをすぐに片付けるね!!」
どうやらコーウェンさんたちの方のアンデッドは片付いたらしい。
それとおそらくあのフードの男も捕まっているはずだ。
それについてはここが片付いたら確認すればいい。
リリーの応援の甲斐があり、アンデッドは次々とその活動を停止していく。
「これで……お終いっと。」
ついにリリーの魔法で最後のアンデッドが浄化された。
戦場に散らばるアンデッドの骸。
人族・猫人族・人狼族……多種多様なアンデッドがそこかしこに転がっていた。
「やっと終わったか……さすがにこれには骨が折れた。」
身体をコキコキと鳴らしながらリルが近づいてきた。
だがその姿はすさまじく、返り血でべったりだった。
さすがにその状態はリリー的にも嫌だったらしく、すぐさま浄化と清潔の魔法をリルにかける。
すぐにきれいになったことで満足したのか、リリーは晴れやかだった。
こうして予想外の戦闘は終了することになった。
リリーから漏れ出る殺気。
今にも術者を殺してしまいそうなほどにあたりに充満していく。
それにしても胸糞悪い魔法だな。
対抗手段があればいいんだけど、遅延発動型だから術者がそばにいる必要もないってわけか。
「解決策は?」
「基本アンデッドと同じ対処法よ。燃やしきるか、完全に細切れにするか。もしくは術者・魔導具の破壊。あとは聖女がいれば浄化。さすがにここではそれは難しいから、燃やしきるか細切れの2択ね。」
なるほどね、だったら簡単だな。
俺はすぐに馬車の上にまた昇り、周囲を見渡す。
コーウェンさんたちやリルががんばったおかげで、周囲はアンデッドだらけだった。
しかもさらに胸糞悪い事態になっている。
おそらくここはすでに罠として準備されていたんだろうな。
どう考えても殺気の襲撃者よりもその数が多い。
しかもその大半が獣人だ……つまり獣人たちを襲って殺し、ここの罠として仕掛けてやがった。
「コーウェンさん!!大丈夫か!?」
「問題ない……とは言えないな。くそ!!獣人を何だと思ってるんだ!!」
コーウェンさんからも怒りが伝わってくる。
手心を加えない限り大丈夫だとは思うけど、それでも隙が産まれるだろうな。
「リリー、コーウェンさんたちのフォローを頼む。俺はリルの方を片付けてくる。」
リリーはすぐに頷き、馬車から飛び出していく。
まあ、リリーだったら普通に聖属性魔法が使える気もしなくはないな。
ただ、いくらリリーが神様だとは言え、その身体にあるリソースにも限りがある。
好きなだけバカスカ魔法や魔導を使えるんだったら、〝呪いの魔王〟復活阻止を俺に依頼する理由はないわけだ。
リリーは魔法で徐々にアンデッドたちを浄化していく。
コーウェンさんたちも懸命に戦ってくれているおかげで、どうにか押し込まれずに済んでいるな。
リルはっと……お、商人に付いてきた狩猟者も頑張っているな。
さらにコバンザメでくっついてきた商人は……ありゃ持たないかも……
さすがに殺されたら面倒だから、助けるしかないか。
俺はすぐにその商人の下へと移動する。
その移動がてら、狩猟者の雇い主である商人周辺に集まりだしていたアンデッドを切り刻む。
いくらアンデッドって言っても気分はよくない。
「た、助けてくれ!!か、金ならいくらでも出す!!」
おれが最後尾の商人の下へ到着すると、リルが奮闘しすぎたアンデッドたちが迫っていた。
とりわけかなり吹き飛ばしてくれていたので、その動きの遅さからまだ商人の馬車には到達していなかった。
よかったと言って良いのかな?
「これに懲りてちゃんと護衛を雇ってくださいね。」
その商人はこれでもかというほど頭を縦に振って頷く。
そりゃこんな状況じゃそうなるよな。
俺は周囲を見渡しどうしたものかと思案する。
おそらく胴体真っ二つだとそのままずるずると這いずってきそうだ。
さすがにそんなホラーは勘弁願いたい。
ただ問題は俺が〝魔法・魔導〟を使えないってことだ。
〝丈夫な身体〟も、〝強化〟もどちらも俺の身体に作用しているだけで、魔力を付与してくれているわけじゃない。
つまり、浄化や燃やすっていう手段が俺にはなかった。
あるとすれば切り刻むってところなんだけど、それにしてもこの数を相手にしていたら時間がかかってしまう。
でも迷ってても仕方がないから、数を減らすことに集中しよう。
リリーの方が片付けばこっちを手伝ってくれるだろうし。
それから俺は斬って斬って斬りまくった。
あとどれだけ切り刻めば動かなくなるのかという実験も進めると、ある程度の対処法は理解できた。
アンデッドたちは頭を必要としていた。
頭がなくなったアンデッドはその動きをやめ沈黙する。
逆に身体に頭がくついてると、どれだけ切り刻んであろうとも這いずってくる。
つまり頭を切り刻めば楽ができるってわけだ。
それに気が付いてからの処置はだいぶ楽になった。
リルにもそのことを伝えると、リルの周辺にいたアンデッドは次々と頭を爆散していく。
手加減不要になったかリル的に面白いんだろうな。
また戦いながら高笑いしてやがる。
そのギャップどうにかならかな?
「陸人!!あっちは片付いた!!こっちをすぐに片付けるね!!」
どうやらコーウェンさんたちの方のアンデッドは片付いたらしい。
それとおそらくあのフードの男も捕まっているはずだ。
それについてはここが片付いたら確認すればいい。
リリーの応援の甲斐があり、アンデッドは次々とその活動を停止していく。
「これで……お終いっと。」
ついにリリーの魔法で最後のアンデッドが浄化された。
戦場に散らばるアンデッドの骸。
人族・猫人族・人狼族……多種多様なアンデッドがそこかしこに転がっていた。
「やっと終わったか……さすがにこれには骨が折れた。」
身体をコキコキと鳴らしながらリルが近づいてきた。
だがその姿はすさまじく、返り血でべったりだった。
さすがにその状態はリリー的にも嫌だったらしく、すぐさま浄化と清潔の魔法をリルにかける。
すぐにきれいになったことで満足したのか、リリーは晴れやかだった。
こうして予想外の戦闘は終了することになった。
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