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第2章
第31話 魔王の予兆
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「姫様、ただいま戻りました。」
馬車の外で膝を着き首を垂れるコーウェンさんたち。
この辺は王族と家臣の関係が見受けられる。
「ありがとうございます、コーウェン。皆さんけがは有りませんか?」
「は、リリー殿の助力により皆無事に帰還いたしました。こうして賊どもの捕獲も成功し、次の街に付き次第尋問をいたします。」
ソニアも王族としての対応に終始務めていた。
こうしてみると、貴族って体面を気にしなきゃいけないから大変だよな。
さらに俺たちの後ろに商人たちもいるからましてか。
王族も大変だな。
「ほう、尋問とな……ならば我の出番ではないか?」
「それなら私も手伝うわよ?」
うわ、消化不良の二人が手を挙げてしまった。
さすがに過剰暴力になるだろ、これは。
「いや、それには及びません。我々で尋問を行いますので。」
コーウェンさんから丁重にお断りをされてしまったので、しぶしぶ引き下がる二人。
そりゃ聞かれたら不味い事もあるだろうしな。
俺たちは改めて自分たちの馬車に戻ることにする。
その際何やらぶつぶつと言っていたリルだったが、こればかりは仕方がない。
だけどこの時俺はもっと面倒ごとが起こっていることを知る由もなかった。
——————
「ここは……どこだ……私は確か……そうだ……そうだ、あの木偶の坊を魔境に送り出した後に、あいつらに飛ばされた……」
周りを見渡しても、木、木、木のオンパレード……
あいつらにどこかわけのわからんところに飛ばされたのか……
くそ!!忌々しい!!俺の言うことだけ聞いていればいい物を!!
腸が煮えくり返る思いを込めて生い茂るを殴りつける。
だが返ってきたのは自分への痛みだけだった。
くそ!!こんなはずでは……
青の木偶の坊な間宮をくそみたいな場所へ飛ばして、せっかく気分良くなっていたのに、あいつら邪魔しやがって。
いつもそうだ、あいつらは私の邪魔しかしない……
あぁ~腹立たしい!!
ピロリン
『これより試練を開始します……10……9……』
は?なんだこれは、突然目の前にアナウンスが投げれ始めたぞ?
試練って何だこれは。
『6……5……』
おいおいなんだなんだ……何なんだよ!!誰か説明しろ!!
『3……2……1……試練を開始します』
ピロリン
『魔王復活までの手順①魔素の吸収』
いったい何だこれは……魔王って何なんだ。
ん、いや待てよ……魔王……な。
魔王と言えばあれだな、よく物語なんかで出てくる悪役……
そうかそうか、私に成れというのか……
だったらなってやろうじゃないか!!
そしてこんなくそったれな状況を変えてやる!!
『魔素を吸収しやすいように身体を再構築します』
再構築?
「ぐ……くお……ぐわおおぉぉぉぉぉ~~~~~~~~!!」
『再構築率……10%……20%……』
『100%……魔王の素体を構築……』
あぁ~身体がいてぇ~なぁ~
私は傷む身体をさすってみる。
そこには私の身体とは思えないほどの筋肉が蓄えられていた。
さっきまでのあのダルっとした身体とは別物の様だ。
なるほど、身体の再構築とはこのことか……これは願ってもない……
ん?そう言えば周りに見える、この紫の靄は……これが魔素か。
なるほど、どうすば良いのか勝手にわかるぞ。
知識が流れ込んでくる。
私はその靄を喰らいつくす!!
うまくも不味くもないが、身体に力が満ちていくのが分かる。
喰らえば喰らうほど飢えが沸き上がる。
もっと……もっと……もっと私によこせ!!
まだだ!!まだまだ食い足りない!!
——————
俺は一瞬ぞわっとした感じがした。
何がとは言わないが、背に走る悪寒がとてつもなく面倒なことだということを俺に伝えてくる。
「え?なんで⁈」
「どうしたリリー?」
さっきまで陽気にリルと談笑していたリリーが突然困惑の声を上げる。
その表情も意味が分からないと血の気が引いているように青くなっていた。
「陸人……まずいわ……〝呪いの魔王〟の復活の予兆が始まったわ……」
「あれ?あと5年は大丈夫多って言ってただろ?」
リリーの最初の話だと、あと5年は大丈夫だからその間に力を付けようって話になっていた。
とはいえ力そのものは問題ないため、戦闘訓練って言った方が良いかもしれない。
「そうよ、そのはずだったの!!だけど間違いなく〝呪いの魔王〟復活の予兆だった……いったい誰が……」
首をかしげ考え込んだリリーだったけど、さすがに困ったな。
魔王が復活してしまえばこの世界のリソースを使って勇者召喚とスキル授与が行われるはずだ。
その為にもまだまだ大量のリソースが必要なわけで……しかも今はソニアの護衛中。
これをほっぽり出して対応に向かうことが出来ない。
どっちにしろ後手に回りそうだな。
「ところで思ったんだけど、今の俺と復活した〝呪いの魔王〟……どっち強いんだ?」
「え?」
リリーの表情が固まった。
……
…………
………………
しばしの沈黙の後に、リリーが驚いた表情を見せた。
「そうよ!!そうだわ!!陸人がいるじゃない!!わざわざ勇者を召喚しなくても、陸人が蹴散らせばいいのよ!!」
いった自分も悪かったが、これは言わない方がよかったな。
面倒ごとが積み重なっていくなこれは……
馬車の外で膝を着き首を垂れるコーウェンさんたち。
この辺は王族と家臣の関係が見受けられる。
「ありがとうございます、コーウェン。皆さんけがは有りませんか?」
「は、リリー殿の助力により皆無事に帰還いたしました。こうして賊どもの捕獲も成功し、次の街に付き次第尋問をいたします。」
ソニアも王族としての対応に終始務めていた。
こうしてみると、貴族って体面を気にしなきゃいけないから大変だよな。
さらに俺たちの後ろに商人たちもいるからましてか。
王族も大変だな。
「ほう、尋問とな……ならば我の出番ではないか?」
「それなら私も手伝うわよ?」
うわ、消化不良の二人が手を挙げてしまった。
さすがに過剰暴力になるだろ、これは。
「いや、それには及びません。我々で尋問を行いますので。」
コーウェンさんから丁重にお断りをされてしまったので、しぶしぶ引き下がる二人。
そりゃ聞かれたら不味い事もあるだろうしな。
俺たちは改めて自分たちの馬車に戻ることにする。
その際何やらぶつぶつと言っていたリルだったが、こればかりは仕方がない。
だけどこの時俺はもっと面倒ごとが起こっていることを知る由もなかった。
——————
「ここは……どこだ……私は確か……そうだ……そうだ、あの木偶の坊を魔境に送り出した後に、あいつらに飛ばされた……」
周りを見渡しても、木、木、木のオンパレード……
あいつらにどこかわけのわからんところに飛ばされたのか……
くそ!!忌々しい!!俺の言うことだけ聞いていればいい物を!!
腸が煮えくり返る思いを込めて生い茂るを殴りつける。
だが返ってきたのは自分への痛みだけだった。
くそ!!こんなはずでは……
青の木偶の坊な間宮をくそみたいな場所へ飛ばして、せっかく気分良くなっていたのに、あいつら邪魔しやがって。
いつもそうだ、あいつらは私の邪魔しかしない……
あぁ~腹立たしい!!
ピロリン
『これより試練を開始します……10……9……』
は?なんだこれは、突然目の前にアナウンスが投げれ始めたぞ?
試練って何だこれは。
『6……5……』
おいおいなんだなんだ……何なんだよ!!誰か説明しろ!!
『3……2……1……試練を開始します』
ピロリン
『魔王復活までの手順①魔素の吸収』
いったい何だこれは……魔王って何なんだ。
ん、いや待てよ……魔王……な。
魔王と言えばあれだな、よく物語なんかで出てくる悪役……
そうかそうか、私に成れというのか……
だったらなってやろうじゃないか!!
そしてこんなくそったれな状況を変えてやる!!
『魔素を吸収しやすいように身体を再構築します』
再構築?
「ぐ……くお……ぐわおおぉぉぉぉぉ~~~~~~~~!!」
『再構築率……10%……20%……』
『100%……魔王の素体を構築……』
あぁ~身体がいてぇ~なぁ~
私は傷む身体をさすってみる。
そこには私の身体とは思えないほどの筋肉が蓄えられていた。
さっきまでのあのダルっとした身体とは別物の様だ。
なるほど、身体の再構築とはこのことか……これは願ってもない……
ん?そう言えば周りに見える、この紫の靄は……これが魔素か。
なるほど、どうすば良いのか勝手にわかるぞ。
知識が流れ込んでくる。
私はその靄を喰らいつくす!!
うまくも不味くもないが、身体に力が満ちていくのが分かる。
喰らえば喰らうほど飢えが沸き上がる。
もっと……もっと……もっと私によこせ!!
まだだ!!まだまだ食い足りない!!
——————
俺は一瞬ぞわっとした感じがした。
何がとは言わないが、背に走る悪寒がとてつもなく面倒なことだということを俺に伝えてくる。
「え?なんで⁈」
「どうしたリリー?」
さっきまで陽気にリルと談笑していたリリーが突然困惑の声を上げる。
その表情も意味が分からないと血の気が引いているように青くなっていた。
「陸人……まずいわ……〝呪いの魔王〟の復活の予兆が始まったわ……」
「あれ?あと5年は大丈夫多って言ってただろ?」
リリーの最初の話だと、あと5年は大丈夫だからその間に力を付けようって話になっていた。
とはいえ力そのものは問題ないため、戦闘訓練って言った方が良いかもしれない。
「そうよ、そのはずだったの!!だけど間違いなく〝呪いの魔王〟復活の予兆だった……いったい誰が……」
首をかしげ考え込んだリリーだったけど、さすがに困ったな。
魔王が復活してしまえばこの世界のリソースを使って勇者召喚とスキル授与が行われるはずだ。
その為にもまだまだ大量のリソースが必要なわけで……しかも今はソニアの護衛中。
これをほっぽり出して対応に向かうことが出来ない。
どっちにしろ後手に回りそうだな。
「ところで思ったんだけど、今の俺と復活した〝呪いの魔王〟……どっち強いんだ?」
「え?」
リリーの表情が固まった。
……
…………
………………
しばしの沈黙の後に、リリーが驚いた表情を見せた。
「そうよ!!そうだわ!!陸人がいるじゃない!!わざわざ勇者を召喚しなくても、陸人が蹴散らせばいいのよ!!」
いった自分も悪かったが、これは言わない方がよかったな。
面倒ごとが積み重なっていくなこれは……
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