フェンリル娘と異世界無双!!~ダメ神の誤算で生まれたデミゴッド~

華音 楓

文字の大きさ
上 下
10 / 51
第1章

第10話 ついにこの時が来た!!

しおりを挟む
 扉の先に進むと、そこには幻想的な空間が広がっていた……
 ってはならなかった。
 なんていうか、システマチック?な感じがした。

 おそらく部屋の広さは50m四方だろうか、狭くなく広くなく……そんな感じだ。
 そこの中央には紫色に輝く球体が、台座の上に浮かんでいた。
 そこから何かよく分からない靄状のものがふわふわと出たり入ったりしている。
 その台座にはいくつのも管が付いており、それがそのまま地面に繋がっていた。
 さらにその台座にはディスプレイやキーボード、その他各種スイッチが付いており、どう見てもこれ管理者いるでしょ?って感じがしてならなかった。

「リリー、一応確認だけどさ、ここって無人なんだよな?」
「そうね、普段は無人よ?あとはダンジョンマスターが出入りしているくらいかしら。ただここは放置されてから大分たっているんじゃないかしら?ここ最近手入れがされた気配がないから。」

 確かに言われてみれば、埃のようなものが機械の上に蓄積していた。
 おそらく管理しなくても問題ないと判断されたのか、完全に放置されたのかどっちかだと思う。
 
「リルはここの管理者を知っているのか?」
「うむ、ここの管理者は魔王様だ。だが、先の戦いで敗れ現在の管理者は代行の四天王になっていたが……誰もこなんだ……。」

 そう言うとリルは少しだけしょんぼりとした表情を見せた。
 つまり完全放置されたってわけか……それでも律儀にここを護っていたリルって……けなげすぎるだろ。
 そりゃ、寂しくもなるってもんだよな。
 
 まあ、それはそうと、これからどうしたらいいんだ?
 このコアを壊せばいいんだろうか?

「それじゃあ陸人、あのコアに触れてちょうだい。そうしたら私が陸人の身体を通してリソースを吸収するから。」
「え?ちょっと待って、それって俺の身体大丈夫……って、あぁ、それで〝丈夫な身体〟ってわけか。」

 なるほど、ここでも〝丈夫な身体〟が生きてくるわけか。
 確かにこれのおかげでいろいろとケガなどすることなく此処まで来たわけだしな。

「え?関係ないわよ?そもそも人間に吸収されるようなものじゃないから、ただ通り抜けてお終……い……」

 っておい、リリー。
 どうして顔を背けるんだ?
 ちょっとこっちを見なさい。
 俺はリリーの顔を無理やりつかむと俺と目の合う位置まで移動させる。
 いやよとばかりにじたばたと暴れるリリーだったが、観念したかのように深くため息をついた。

「これは仮定の話よ?今陸人って種族が半神になっているでしょ?もしかしたら……万が一……影響が出かねないかなって……」

 それを聞いたリルは平伏するように地面へとひれ伏した。
 え?なんでそうなるの?今そのタイミング?

「こ、これは我が主が半神様だとはつゆ知らず、無礼極まり無い所業、平に平に謝罪いたします!!」

 あぁ~そう言えばリルに言い忘れてたな。
 いや、むしろ俺自身忘れていたな。
 うん、これは俺の失態だ。

「リル、頭を上げてくれ。俺は俺だ。確かに種族は半神になってしまったけど、心はまだ人間だから、そうされると俺が悲しくなる。人間を辞めちまったって……」

 俺の言葉にしぶしぶ納得したように、リルが立ち上がった。
 そしてお座り状態で軽く頭を下げていた。
 ヤバイ、めっちゃモフリたい!!

「申し訳ありません主殿。半神様と聞き取り乱してしまいました。」

 少ししょげた様子のリルだったが、理解は示してくれたらしいので少し安心した。
 それよりもだ、半神になった弊害がもしかしたら出るとかマジで怖いんですが……

「あ、あくまで仮定の話だからね?」
「で、その仮定がヒットする確率は?」

 リリーはそっと手を挙げて6の数字を現した。
 何だ6%くらいだったら平気じゃないか。
 まあ、何かあれば〝丈夫な身体〟が良い仕事をしてくれるに違いない!!

「陸人……6割……」

 ですよねぇ~~~~~~~!!
 知ってた!!
 多分そうじゃないかと思ってたよ!!

 なんて顔に表すわけにもいかない。
 何せこれをしないことにはリリーのリソースが溜まらないから、俺のスキルもつけてもらえない。
 こればっかりは行き当たりばったりでも仕方がないか……

「リリー大丈夫だ。ダメそうだったら止めてくれ。その時考えよう。」

 俺はそう言ってダンジョンコアに手をかける。
 するとダンジョンコアは紫の光から赤の光へと変わっていく。

『警告……警告……コアへの浸食を確認……エラー……メイン防御プログラム起動確認できません……サブプログラムの起動を開始……エラー……再度実行……エラー……再度実行……』

 なんかいきなり警報音が鳴ったと思ったら、警告メッセージが現れたん。

「リリー!!これはいったいなんだよ!!」
「大丈夫よ、問題ないわ。とりあえず回収しちゃうわね。」

 そう言うとリリーは焦った様子すら見せずに、俺の左胸に手を当てる。
 するとさっきまで大音量で流れていた警報音が徐々に静かになっていった。
 それからしばらくすると、完全に音は止み、警告メッセージも見えなくなった。

「うん、これで大丈夫。それじゃあ念願の〝手加減〟を付与するわね。」

 これで俺も普通に生活が出来る。
 俺はほっと胸をなでおろしたのだった。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件

月風レイ
ファンタジー
 普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。    そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。  そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。  そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。  そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。  食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。  不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。  大修正中!今週中に修正終え更新していきます!

勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓
ファンタジー
旧題:re:birth 〜勇者じゃないと追放された最強職【何でも屋】は、異世界でチートスキル【DIY】で無双します~ 「役立たずの貴様は、この城から出ていけ!」  国王から殺気を含んだ声で告げられた海人は頷く他なかった。  ある日、異世界に魔王討伐の為に主人公「石立海人」(いしだてかいと)は、勇者として召喚された。  その際に、判明したスキルは、誰にも理解されない【DIY】と【なんでも屋】という隠れ最強職であった。  だが、勇者職を有していなかった主人公は、誰にも理解されることなく勇者ではないという理由で王族を含む全ての城関係者から露骨な侮蔑を受ける事になる。  城に滞在したままでは、命の危険性があった海人は、城から半ば追放される形で王城から追放されることになる。 僅かな金銭で追放された海人は、生活費用を稼ぐ為に冒険者として登録し、生きていくことを余儀なくされた。  この物語は、多くの仲間と出会い、ダンジョンを攻略し、成りあがっていくストーリーである。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

異世界転生は、0歳からがいいよね

八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。 神様からのギフト(チート能力)で無双します。 初めてなので誤字があったらすいません。 自由気ままに投稿していきます。

やっと買ったマイホームの半分だけ異世界に転移してしまった

ぽてゆき
ファンタジー
涼坂直樹は可愛い妻と2人の子供のため、頑張って働いた結果ついにマイホームを手に入れた。 しかし、まさかその半分が異世界に転移してしまうとは……。 リビングの窓を開けて外に飛び出せば、そこはもう魔法やダンジョンが存在するファンタジーな異世界。 現代のごくありふれた4人(+猫1匹)家族と、異世界の住人との交流を描いたハートフルアドベンチャー物語!

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

処理中です...