399 / 428
第7章 冒険者ルーク3
第59話 後処理 10
しおりを挟むテントの中が光で溢れる。
するとテントの中に居た子供達が騒ぎだした。
「ま、眩しい……な、な、な何で……あ、足が!俺の足がぁ~」
「腕がぁ~!」
「足が!」
「目が見える!見える!」
「指が…………」
「顔がいたくない……」
怪我をした子供が叫んで、自分の怪我や欠損部分が元に戻ったと騒ぐ。
「ふぅ……これで大丈夫かな?後は痛い場所有るかな?」
「「「「…………」」」」
「な、なに?あんた何者だよ!」
「ハハハ。俺は冒険者で、領主の息子だよ。さて、明日は別の建物に移動するからね…今日は休みなさい。アルス君、君もおやすみ。何かあったら呼んでな?」
「う、うん」
そうして俺はテントを出ると、また元の竈がある場所にハンスと戻る。
「ハンス……」
「なんですか?」
「さっきの……受けたぜ?ククク」
「忘れて下さい!二度としませんよ!あんな恥ずかしい!ケルバンに見られでもしたら、この先ずっと話のネタにされますよ!」
「フフフ。済まなかったな?で話は変わるが……他の影達は?」
「彼処で待機してますよ、ほらあそこです!」
今訓練所は大きく別けて、三分割に為っている。
パーテーションで、仕切られていて女達の場所は丸隠しにしてある。
次の仕切りには男達がここも完全に目隠しされている。
そして、三ヶ所目にはさっきの子供達のテントのある場所だ。
それから余った場所に俺が設置した竈と出入り口辺りに影達が固まって居た。
「奴らなにしてんの?あれ、出入り口を見張ってんのもしかして?」
「そうですが…なにか?」
「こっちに呼べよ!中は結界張ってるから安心だぜ?」
「ルーク様……それは早く言ってくださいよ!」
「すまん忘れてた、パラミアがあんまりにも酷かったからな忘れてた」
「……あいつは!」
(マシュー)
(はい?)
(こっちこいよ皆連れて…見張らなくて大丈夫だぞ?)
(……承知しました………)
あ!項垂れてる…すまん。
影達三人が歩いて俺の側に来ると……、何とも微妙な顔をする。
「ルーク様、もう少し早めに言ってくださいよ!」
「済まんて、今ハンスにも言われてたよ」
「お前らルーク様の所為じゃない!パラミアが、原因だ!恨むならあいつだ!」
「「「くそ!」」」
「ハハハ、すまん。で、お前ら飯は?」
「未だですよ!携帯食齧りながら見張ってましたからね」
「ケルバンは女漁りで、忙しかった様に見えたが?」
「ち、違いますよ!ギルドの職員さんに、状況をね?聞いてただけですって!」
「ふぅ~ん、お前不謹慎だからな!止めろよ?」
「わ、分かりました!」
「で?デートの約束は付けたの?」
「いやぁ~彼氏持ちでした。アハハ…………あれ?」
「お前チョロいなぁ~。でも振られてやんの!笑えるから許すよ」
「ひっでぇ~!ルーク様……酷い」
「ククク。さて、ケルバンからかうのも良いが、お前ら飯まだなんだろ?ここに、粥が残ってるぞ?食うか?」
「良いんですか、貰っても?」
「明日はまた作り直すよ。同じものだと気の毒だからな。明日は玉子粥にでもするよ」
「ルーク様の飯が食えるなら、粥でも何でも食います!」
「サンズ……お前どうした?」
「いえ、何でもないです!」
「あっそうなら、食ってくれよ。なんなら全部良いぞ?」
「「「「ありがとうございます。頂きます!」」」」
「お前ら静かにしろ!声が漏れたら皆が怯えるだろ!」
「「「「すみません」」」」
「で!それ食いながで、良いから聞いてくれ」
「「「「……」」」」
「いま、マーキュリー達二人は城に返してる。だが後30分もすれば多分戻る筈だ」
「はぁ……?それで」
「で、明日の予定だが午前中に、保護したもの達に入って貰う土地の下見に行って来る。そして、建物を建てて戻って来たら、全員の移動をさせるからそのつもりで居てくれ。それと、マーキュリー達と入れ替わりで俺は一度城にもどる。朝にはまたここに、来るから宜しく頼みたい。ならべく、お前らはここから動くなよ?トイレ以外はな?」
「は!でしたら二人で行動した方が良いですか?」
「そうだねそうしてくれ、それからマーキュリー達にも伝えてくれ」
「了解しました」
「順番で仮眠は?」
「当たり前だ、仮眠は取れよ?それとこれ、ポーションと、水を置いてくが……。パラミアあれには、ポーションだけは飲ませるなよ?つけ上がるからな?」
1
お気に入りに追加
1,085
あなたにおすすめの小説
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
令嬢に転生してよかった!〜婚約者を取られても強く生きます。〜
三月べに
ファンタジー
令嬢に転生してよかった〜!!!
素朴な令嬢に婚約者である王子を取られたショックで学園を飛び出したが、前世の記憶を思い出す。
少女漫画や小説大好き人間だった前世。
転生先は、魔法溢れるファンタジーな世界だった。リディーは十分すぎるほど愛されて育ったことに喜ぶも、婚約破棄の事実を知った家族の反応と、貴族内の自分の立場の危うさを恐れる。
そして家出を決意。そのまま旅をしながら、冒険者になるリディーだったのだが?
【連載再開しました! 二章 冒険編。】
神々に見捨てられし者、自力で最強へ
九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。
「天職なし。最高じゃないか」
しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。
天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。
転生先ではゆっくりと生きたい
ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。
事故で死んだ明彦が出会ったのは……
転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた
小説家になろうでも連載中です。
なろうの方が話数が多いです。
https://ncode.syosetu.com/n8964gh/
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
婚約破棄ですね。これでざまぁが出来るのね
いくみ
ファンタジー
パトリシアは卒業パーティーで婚約者の王子から婚約破棄を言い渡される。
しかし、これは、本人が待ちに待った結果である。さぁこれからどうやって私の13年を返して貰いましょうか。
覚悟して下さいませ王子様!
転生者嘗めないで下さいね。
追記
すみません短編予定でしたが、長くなりそうなので長編に変更させて頂きます。
モフモフも、追加させて頂きます。
よろしくお願いいたします。
カクヨム様でも連載を始めました。
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる