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第7章 冒険者ルーク3

第59話 後処理 10

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テントの中が光で溢れる。
するとテントの中に居た子供達が騒ぎだした。

「ま、眩しい……な、な、な何で……あ、足が!俺の足がぁ~」
「腕がぁ~!」
「足が!」
「目が見える!見える!」
「指が…………」
「顔がいたくない……」

怪我をした子供が叫んで、自分の怪我や欠損部分が元に戻ったと騒ぐ。

「ふぅ……これで大丈夫かな?後は痛い場所有るかな?」
「「「「…………」」」」
「な、なに?あんた何者だよ!」
「ハハハ。俺は冒険者で、領主の息子だよ。さて、明日は別の建物に移動するからね…今日は休みなさい。アルス君、君もおやすみ。何かあったら呼んでな?」
「う、うん」

そうして俺はテントを出ると、また元の竈がある場所にハンスと戻る。

「ハンス……」
「なんですか?」
「さっきの……受けたぜ?ククク」
「忘れて下さい!二度としませんよ!あんな恥ずかしい!ケルバンに見られでもしたら、この先ずっと話のネタにされますよ!」
「フフフ。済まなかったな?で話は変わるが……他の影達は?」 
「彼処で待機してますよ、ほらあそこです!」

今訓練所は大きく別けて、三分割に為っている。
パーテーションで、仕切られていて女達の場所は丸隠しにしてある。
次の仕切りには男達がここも完全に目隠しされている。
そして、三ヶ所目にはさっきの子供達のテントのある場所だ。
それから余った場所に俺が設置した竈と出入り口辺りに影達が固まって居た。

「奴らなにしてんの?あれ、出入り口を見張ってんのもしかして?」
「そうですが…なにか?」
「こっちに呼べよ!中は結界張ってるから安心だぜ?」
「ルーク様……それは早く言ってくださいよ!」
「すまん忘れてた、パラミアがあんまりにも酷かったからな忘れてた」
「……あいつは!」
(マシュー)
(はい?) 
(こっちこいよ皆連れて…見張らなくて大丈夫だぞ?)
(……承知しました………)

あ!項垂れてる…すまん。
影達三人が歩いて俺の側に来ると……、何とも微妙な顔をする。

「ルーク様、もう少し早めに言ってくださいよ!」
「済まんて、今ハンスにも言われてたよ」
「お前らルーク様の所為じゃない!パラミアが、原因だ!恨むならあいつだ!」
「「「くそ!」」」
「ハハハ、すまん。で、お前ら飯は?」
「未だですよ!携帯食齧りながら見張ってましたからね」
「ケルバンは女漁りで、忙しかった様に見えたが?」
「ち、違いますよ!ギルドの職員さんに、状況をね?聞いてただけですって!」
「ふぅ~ん、お前不謹慎だからな!止めろよ?」
「わ、分かりました!」
「で?デートの約束は付けたの?」
「いやぁ~彼氏持ちでした。アハハ…………あれ?」
「お前チョロいなぁ~。でも振られてやんの!笑えるから許すよ」
「ひっでぇ~!ルーク様……酷い」
「ククク。さて、ケルバンからかうのも良いが、お前ら飯まだなんだろ?ここに、粥が残ってるぞ?食うか?」
「良いんですか、貰っても?」
「明日はまた作り直すよ。同じものだと気の毒だからな。明日は玉子粥にでもするよ」
「ルーク様の飯が食えるなら、粥でも何でも食います!」
「サンズ……お前どうした?」
「いえ、何でもないです!」
「あっそうなら、食ってくれよ。なんなら全部良いぞ?」
「「「「ありがとうございます。頂きます!」」」」
「お前ら静かにしろ!声が漏れたら皆が怯えるだろ!」
「「「「すみません」」」」
「で!それ食いながで、良いから聞いてくれ」
「「「「……」」」」
「いま、マーキュリー達二人は城に返してる。だが後30分もすれば多分戻る筈だ」
「はぁ……?それで」
「で、明日の予定だが午前中に、保護したもの達に入って貰う土地の下見に行って来る。そして、建物を建てて戻って来たら、全員の移動をさせるからそのつもりで居てくれ。それと、マーキュリー達と入れ替わりで俺は一度城にもどる。朝にはまたここに、来るから宜しく頼みたい。ならべく、お前らはここから動くなよ?トイレ以外はな?」
「は!でしたら二人で行動した方が良いですか?」
「そうだねそうしてくれ、それからマーキュリー達にも伝えてくれ」
「了解しました」
「順番で仮眠は?」
「当たり前だ、仮眠は取れよ?それとこれ、ポーションと、水を置いてくが……。パラミアあれには、ポーションだけは飲ませるなよ?つけ上がるからな?」


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